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面白い!
読んで良かったです!
本当にジャングルを訪れたような読後感で、何より二人の恋愛模様が最高でした…!
以下、ネタバレです。
撮影クルーメンバーが次々と脱落していくアクシデントで、たった一人ジャングルロケをすることになったAD青山さん。
言葉もわからない土地で頼れるのは、以前からジャングルに赴任し、現地で民俗調査をしている月ヶ瀬さんという人物だけ…
青山さんは爽やか笑顔の好青年、月ヶ瀬さんは、クールな年上美人、且つどんな環境でも生きられそうなワイルド受です。
前半は、ジャングル生活の中で二人が少しずつ距離を縮めていくストーリーで、後半にはまさしく遠距離恋愛の醍醐味が詰まっています。
前半ではまず、ジャングルに住む「ダヌワ族」の風習がすごい…!
というかやばいです 笑
みんな穏やかで知的な民族なのですが、「はじめまして」の挨拶がお互いの○○○を握ることで、「仲直り」の作法は擬似○○をすることという…
(けして下品だったりギャグではないのです!)
月ヶ瀬さん青山さんも、郷に入らばなんとやらで、ガッツリこの風習に巻き込まれています。
本文の言葉を借りるなら、アメリカナイズならぬダヌワナイズされていくところが楽しい…!!
これだけ書くとコメディ一色のようですが、舞台のジャングルや人物はものすごくしっかり作られています。
青山さんも月ヶ瀬さんも仕事への真摯な想いを持っていて、ダヌワ族の成熟した人品や穏やかな暮らしに敬意を払って滞在していました。
そんな二人の関係がゆっくりと育っていくところが良いんです…
ゲイの月ヶ瀬さんは、本当は青山さんが好みど真ん中なのに、「どうせ帰ってしまうんだから好きになりたくない!」と、わざと酷い態度をとり、でも青山さんは、ちゃんと月ヶ瀬の美点を見抜いていて、年下の可愛さと素直さでますます月ヶ瀬さんを動揺させていくのです…。
そして!
個人的に後半がさらに良かったです。
作者様は、登場人物の掘り下げが本当にお上手です。
遠距離恋愛をする中で、青山さんは溢れんばかりの想いを込めたラブレターを送ってくれるのですが、愛とユーモアがてんこ盛りで笑ってしまいます。
月ヶ瀬さんを不安がらせまいと、いつも笑顔で、逆に遠距離を楽しんでいるくらいに見えるのですが、本心では、早く月ヶ瀬さんとずっと一緒にいたくてたまらないという切実な想いが伝わってきます。
一方の月ヶ瀬さんですが、「可愛い」という形容詞はほとんど使われていないのに、読んでいる内に「月ヶ瀬さんが可愛すぎてヤバイ…」という症状に陥りました。
クールなふりをしながらも、年下の恋人からの手紙を枕元に置いていたり、
青山さんがジャングルに会いに来てくれると知るや、待っていられず手作りランチ持参で迎えに行ったり、本当は素直に相槌を打ちたいのにプライドが邪魔して、小細工を効かせた相槌を返してみたり…(←この台詞是非読んでいただきたいです!!)
もうクールなふりしてもバレてますよ!
でもさすがは遠距離恋愛中、Hでは月ヶ瀬さんも潔いところが美味しいです❤
オリジナリティのたっぷり詰まった小説でした!
二人の魅力&最後まで気の抜けない展開を是非味わっていただきたいです♫
今回のテイストは昨年刊行された『若葉の戀』と『管理人さんの恋人』の2つを併せ持つ感じです。
『とんでもないクーデレさんと素直なワンコが異文化の中で出会ってさあどうなる?』というお話なんですが、毎度おなじみの典雅節が大炸裂して、読みながら何度も吹き出してしまいました。
しかし、典雅さんは『言葉の魔術師』だなぁ……
南太平洋にある架空の国、ティオランガ共和国が舞台なんですけれど、ここ、元フランス領という設定なんです。で、公用語がフランス語と現地語が融合した『タバック語』なのですが「こんにちは」が「ブンジュー、コマンタレボイ」なんですよ。
なに?この、じわっとした可笑しみ!
いや、可笑しいんですけれど、でも過去に植民地だった国って本当にこういう言葉があったりしますよね。フィクションの根拠があるんですよ。「見てきた様な嘘をつき」ってやつです。
あとね、大笑いしたのは『東京ラブストーカー』っていうドラマタイトル!
たった1字変えただけなのに「一体、どんなドラマだよっ(笑)」って突っ込ませてくれる。
海外情報バラエティ番組の製作をしている真聡は先住民の取材でティオランガ共和国へ行くのですが、本当は3人で現地入りするはずだったのに1人がインフルエンザで搭乗できず、ディレクターも現地で急病。たったひとりでジャングルの奥地に暮らす『ダヌワ族』の取材に行くことになります。頼みの綱は現地で言語や風習の研究をしている日本人の文化研究学者、月ヶ瀬のみ。
この『ダヌワ族』の有り様がまた笑わせてくれるんです。
スキンシップによって人間関係を円滑に保つ風習があるんですけれど、初めて会った人に「敵意がない」ことを示すために、男子には股間を、女子には胸を『優しく触る』というのがご挨拶。
この他にも『争いごとがあった後の仲直りの方法』が奇想天外で、激しく吹きました(115pです。読んで笑って)。
何度もかなり笑いましたけれど、同時に感心もしたんです。
これ、一歩間違うと『自分たちの文化と異なる人を馬鹿にする笑い』になっちゃう可能性があると思うんですね。でも、母系社会でジェンダーの縛りが薄く、部族みんなで子育てをする『不倫も浮気も児童虐待もない社会』が根底にあるためそういう風習になっていることが読み進めていくうちに解るんです。
『言葉の魔術師』であるのと同時に『異文化理解の名教師』だと思うのね、典雅さんって。
さて、LOVEについて書きます。
クーデレとかツンデレはただでさえ可愛いものですが、月ヶ瀬の可愛らしさはとんでもない!
真聡に対して、とにかく意地の悪い言葉を言い続けます。
でも、意地悪のままでいられないのです。
ついつい『本当はいい人』が滲み出てしまう辺りが『憎みきれないろくでなし(いや、優秀な美人学者なんですけれど)』とでも言うか、もう可愛らしくてしょうがない。
対する真聡も『どこか抜けているヘタレ感』がありつつ、やる時はやってくれるし、何と言っても『惚れた相手に惚れ尽くす』という、典雅さん言う所の『アンドレ攻め』!
激しく、大きく、そして夢の様に美しいジャングルの風景の中で繰り広げられる、甘いあまーい恋に、ニヤニヤしたり、うっとりしたりいたしました。
いやー、新年早々、良いものを読んだ!
作家買い。
典雅さんと言えばコミカルで爆笑必至なストーリーに、むっつりな攻めさん、が定番な気がしますが、今作品もそのイメージを覆すことのない、典雅さんらしい作品でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はテレビ番組制作会社の新米AD・真山くん。
「先住民に会いに行く」という趣旨の番組制作のため秘境である島国に行くことになるが、次々とハプニングが襲い、新米ADでありながら一人でジャングルへ行くことに。
そこで番組制作のために協力を依頼した月ケ瀬という学者と出会うのだがー。
というお話。
舞台が「密林」ということで、そこに住む先住民たちの習慣に、まず笑いを誘われます。
まずtnkを触ってあいさつする、とか。
そこかしこで(屋外で)セックスするのが普通、とか。
架空のジャングルが舞台ではありますが、こういう慣習を持つ部族って実際にいるんじゃないかな?と錯覚してしまう。これぞ典雅マジックか。
そして、主要キャラも、これまたよろしいのです。
のんびり、おっとりしているけれど誠実で優しい真山くん。
そして、綺麗なビジュアルを持ちながら、その見た目を裏切る口の悪さと豪胆さをもつ月ケ瀬。
この二人の掛け合いが、まるで漫才の様で笑いが止まりません。
月ケ瀬という青年はツンデレちゃんです。
個人的にツンデレに萌える性質ではないのですが、この月ケ瀬くんが、とにかく可愛い。
口の悪さが、真山くんへの関心の高さへの裏返しだ、という事が透けて見えているからかも。
彼はゲイ。
それゆえに過去に切ない恋をしている。その失恋を、今も引きずっているのです。
そんな彼を癒し、そして恋心を育てたのは真山くん。
でも、真山くんは仕事で来ただけで、数日後には帰っていく。
だから、好きになったらだめだ。
そんな彼の切ない想いが、ちょっとしたしぐさや言葉から透けて見えてきちゃうんです。読者にはそんな月ケ瀬くんの想いは理解できるものの、真山くんにはこれっぽちも伝わらない。
だからこそすれ違う彼らにやきもきするのですが。
が、そこは典雅作品なので、シリアスになる事はほぼなく、コミカルに進んでいくので楽しく読めました。
一途なわんこ攻め。
そして、悪ぶってるけど、実は健気で可愛い受け。
どちらも萌えツボにまっすぐ刺さる、素敵なキャラ達でした。
これ、続きが読みたいな。
続編を激しく希望しています。
あと特筆すべきはウノハナさんの挿絵。
めっちゃ綺麗です。特に月ケ瀬くんのクールビューティーな容貌がイメージにぴったりで萌え度は確実に上がりました。
で、青山さんの持ち帰った映像は使えたんだろうか?という疑問はさておき、とても楽しく読みました。
月ヶ瀬が同居の返事を青山の脳内モノローグに合わせて滑ったのはリアルだわ。
手紙を読みながらバタ足する姿も想像できる。
現実とかけ離れた設定にリアリティ溢れる人物像とその行動に一気に読まされました。
いるよね、こういう人。と、周りには居ないのにそう思わせる何かがあった。行動や思考が的を外れてない感じが読み手の想像力を掻き立てるんだろうか。
とにかく最後まで楽しく読めて良かった。
元気になれそうな作品を読みたくて、小林典雅先生の未読作品、こちらを手に取りました。
1ページ目から笑わせにくるのは、小林先生、流石としか言いようがない。
「姉さん、事件です」ってどのくらいの世代まで通じるんでしょうね。
テレビ番組の制作会社にADとして勤めている青山(攻め)ですが、イレギュラーな姉さん報告案件が重なったゆえに、単身ダヌワ族というジャングルの奥地の先住民がいる村に取材に向かうことに。
まず、このお話でとても好きなのが、青山の人柄。
ダヌワ族に初めて対面するときも、ジャングルの僻地にひとりぼっちにされたのに、不安に思いつつもちょっと間の抜けたことを考えているし、ダヌワ族がいきなり姿を現しても、通じもしない日本語でとにかく気持ちを伝えようとする誠実さが、すっごく良い。
そんな誠実さに、「密林の彼」である月ヶ瀬(受け)へ愛情を伝えるときにはさらに情熱が加わって、とても素敵なのです(大袈裟なところはちょっと笑えるけど)
月ヶ瀬は文化人類学の研究の一環で、一年半ほどフィールドワークで現地に住んでいる日本人。
クールで物言いもぶっきらぼう、だけど青山を本当に邪険にするわけではないし、部族からの歓迎として食事に出された幼虫やら蛇やら、横から食べてくれたり親切なところも垣間見える。
ちょいちょい青山にドキドキしてる動揺が漏れてるのも可愛くて、ツンデレのデレ要素を期待させます。
ダヌワ族には色々なしきたりや習慣があって、挨拶に始まり、喧嘩した時の仲直りの仕方など、びっくり面白いことばかりでかなり笑わせてもらいました。
タガイー、パタエカ、読んだ人にはわかるあの場面。ずっと忘れられなさそうな単語です。
性に奔放というより、人とのコミュニケーションやつながりを大事にする愛情深い民族なんだなぁという印象です。
そんなふうに男女関係なくスキンシップが盛んで、密林あちこちでヤっちゃってるダヌワの人々の仲直りのためのしきたりで、青山と月ヶ瀬でパタエカすることに。
戸惑いつつも濃厚なパタエカをしたことから、お互いの気持ちが大きく進みます。
青山の実直な告白も、月ヶ瀬のツンデレな告白も、サイコーに可愛いやりとりでした。
即なだれ込むエッチもお互いの気持ちを抑えきれない感じでめちゃくちゃよかった。
トゥクトゥム(民族の若手のリーダー的な青年)はナイスアシストですね。
本編後の月ヶ瀬目線のお話も、帰国後時折訪ねてきたり、手紙を送ってくる青山の、まっすぐで独特な愛情をまんざらでもなく(心の中ではめちゃくちゃ喜んでる)受け取る月ヶ瀬がとても可愛かったです。
青山が月ヶ瀬のツンデレをよく理解していて、ぶっきらぼうな言葉を鵜呑みにせず、本当はこんな風に好きでいてくれてるんだよね、って言葉にして伝えてあげるのも良きです。
日本に帰国して同棲しても、なんだか喧嘩にならなさそうくらい相性の良いふたり。
パタエカする必要はなさそうですが、たくさん愛し合っていくんじゃないかな。
とても幸せな読後感、楽しいお話でした。
「密林の彼」というタイトルも、青山が気持ちを込めて月ヶ瀬への愛を詠う短歌の一節のように思えます。