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表題作密林の彼

青山真聡
テレビ番組制作会社の新米AD24
月ケ瀬漣
国立民俗学博物センター研究員で文化人類学者27

その他の収録作品

  • まだ密林の彼
  • あとがき

あらすじ

番組制作のため先住民の暮らす熱帯雨林にやってきたADの青山。
そこで出会った研究者の月ヶ瀬は、ジャングルに似合わない美しい人で……?

作品情報

作品名
密林の彼
著者
小林典雅 
イラスト
ウノハナ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
国民的スターに恋してしまいました
発売日
ISBN
9784403524752
3.8

(63)

(22)

萌々

(22)

(12)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
15
得点
237
評価数
63
平均
3.8 / 5
神率
34.9%

レビュー投稿数15

まさにビタミンBL、笑いと愛情にあふれたお話

元気になれそうな作品を読みたくて、小林典雅先生の未読作品、こちらを手に取りました。

1ページ目から笑わせにくるのは、小林先生、流石としか言いようがない。
「姉さん、事件です」ってどのくらいの世代まで通じるんでしょうね。

テレビ番組の制作会社にADとして勤めている青山(攻め)ですが、イレギュラーな姉さん報告案件が重なったゆえに、単身ダヌワ族というジャングルの奥地の先住民がいる村に取材に向かうことに。

まず、このお話でとても好きなのが、青山の人柄。
ダヌワ族に初めて対面するときも、ジャングルの僻地にひとりぼっちにされたのに、不安に思いつつもちょっと間の抜けたことを考えているし、ダヌワ族がいきなり姿を現しても、通じもしない日本語でとにかく気持ちを伝えようとする誠実さが、すっごく良い。
そんな誠実さに、「密林の彼」である月ヶ瀬(受け)へ愛情を伝えるときにはさらに情熱が加わって、とても素敵なのです(大袈裟なところはちょっと笑えるけど)

月ヶ瀬は文化人類学の研究の一環で、一年半ほどフィールドワークで現地に住んでいる日本人。
クールで物言いもぶっきらぼう、だけど青山を本当に邪険にするわけではないし、部族からの歓迎として食事に出された幼虫やら蛇やら、横から食べてくれたり親切なところも垣間見える。
ちょいちょい青山にドキドキしてる動揺が漏れてるのも可愛くて、ツンデレのデレ要素を期待させます。

ダヌワ族には色々なしきたりや習慣があって、挨拶に始まり、喧嘩した時の仲直りの仕方など、びっくり面白いことばかりでかなり笑わせてもらいました。
タガイー、パタエカ、読んだ人にはわかるあの場面。ずっと忘れられなさそうな単語です。
性に奔放というより、人とのコミュニケーションやつながりを大事にする愛情深い民族なんだなぁという印象です。

そんなふうに男女関係なくスキンシップが盛んで、密林あちこちでヤっちゃってるダヌワの人々の仲直りのためのしきたりで、青山と月ヶ瀬でパタエカすることに。
戸惑いつつも濃厚なパタエカをしたことから、お互いの気持ちが大きく進みます。
青山の実直な告白も、月ヶ瀬のツンデレな告白も、サイコーに可愛いやりとりでした。
即なだれ込むエッチもお互いの気持ちを抑えきれない感じでめちゃくちゃよかった。

トゥクトゥム(民族の若手のリーダー的な青年)はナイスアシストですね。

本編後の月ヶ瀬目線のお話も、帰国後時折訪ねてきたり、手紙を送ってくる青山の、まっすぐで独特な愛情をまんざらでもなく(心の中ではめちゃくちゃ喜んでる)受け取る月ヶ瀬がとても可愛かったです。
青山が月ヶ瀬のツンデレをよく理解していて、ぶっきらぼうな言葉を鵜呑みにせず、本当はこんな風に好きでいてくれてるんだよね、って言葉にして伝えてあげるのも良きです。
日本に帰国して同棲しても、なんだか喧嘩にならなさそうくらい相性の良いふたり。
パタエカする必要はなさそうですが、たくさん愛し合っていくんじゃないかな。

とても幸せな読後感、楽しいお話でした。
「密林の彼」というタイトルも、青山が気持ちを込めて月ヶ瀬への愛を詠う短歌の一節のように思えます。

1

至る所で笑わせてくる

 初っ端、『ダヌワ族の村に行ってほしい』と言っているつもりが、『ワ族の村に行ってほしいんだぬ』に聞こえてしまったのか〜って文章にすごくジワジワきました。
 やはり典雅先生のギャグセンは高い。

 ちるちるで書かれているキャラクター設定の攻め(ヘタレ)受け(クーデレ寡黙)がドンピシャで読むのを楽しみにしてたが、受けがクール寡黙というよりも、ツンツンツンデレでただ態度と口が悪いだけでちょっと違うなーってなってしまった。口調もクールだったらなあ……。

 ただ自分の好みを無視したら、二人ともとてもいいキャラクター。
 攻めに対して態度が悪かった理由も語られるが、それがグッとくる。
 両思いになった途端、攻めに対してデレデレの素直になる(口は悪い)のが可愛かった。

 好きすぎたシーンは、受けのフェラと、攻めのアナル舐め。
 受けには早急に日本に戻って攻めとイチャイチャしてほしい!

0

ジャングルで恋なんだぬ

朗らかなテレビマン×ツンデレゲイの美貌の研究者です。

タイトルに使った「〜だぬ」というのは作中の小ネタですが、こういうのを入れてくるセンス、どうでもいいタイミングで笑わせてくる感じ(失礼)がまさに典雅節で、あ〜先生の作品読んでるわ〜と味わわせてくれます(笑)。

トラブルによりたった1人でジャングル奥地に取材に行くことになった攻。そこでダヌワ族という人々の研究をしている日本人である受の協力を何とか得られることになるのですが、受はツンツンしまくりで…という始まり。

典雅先生の作品らしく、あ〜最初からお互いちょっとイイなと思ってたじゃん、ということがわかりやすい、親切設計。
頼れる相手が受しかいない状況で、ツンツンしつつ攻の代わりにゲテモノ系の料理をさりげなく食べてくれる受にときめく攻に共感しました。
2人が恋人同士になってから、受が1人で過ごしている時の、初めてできた彼氏に浮かれまくっている姿は、めちゃくちゃ可愛かったです。

ダヌワ族は性的な触れ合いでコミュニケーションを取る種族。ここまで奔放な人々が実際にいるのかはわかりませんが、なんかまあ世界は広いからいるかもしれないな…と思わせていただきました。パタエカはびっくりしたけど(笑)。いや、これ、女同士だったらどうするのよ。別の儀式があるんでしょうか。

メインの2人の次に出番の多かったトゥクトゥムは、有能でピュアでとても良かったです。トゥクトゥムの挿絵欲しかった〜!

物語後半のブンデス野郎(ブンデスリーガに失礼)にはもう少し暴れてほしかったというか、あそこでトゥクトゥムにやられておしまいだと、ちょっともったいなかったかなと思いました。あと一回、受に求愛しにくるぐらいの根性見せて、ストーリーを盛り上げてほしかったですね。
というかブンデスリーガって言葉が何の説明もなく出てきて驚きました。本筋には関係ありませんしユニフォームと書いてあるのでだいたい雰囲気はわかるとは思いますが、一瞬でも「?」となりそうな表現は避けて、ドイツのサッカーリーグとか書いていただいた方が、サッカー詳しくない方にとっても読みやすかったんじゃないでしょうか。
それにしてもユニフォーム見ただけでドイツリーグとわかるとは、この受、かなり海外サッカー詳しい可能性ありますね。

0

さすがの小林典雅先生

切なさは皆無でしたが、月ケ瀬のツンデレぶりが最高でした。

青山が好みのど真ん中だけど、例え好きになっても短期間で帰るノンケだからと邪険に接していたなんて、なんて可愛いのって思いました。

綺麗なのに弓の腕前は凄いし、虫も平気で食べるしと型破りな人物です。

一方で青山は素直でおおらかな性格です。月ケ瀬に邪険にされながらも腐ることなく前向きです。そして月ケ瀬の表面的な態度だけじゃない一面を知って惹かれて行くのです。嫌われないように気持ちを伝えないでいますが、部族の少女が青山に求愛して来た事により2人が両思いだと判明するのです。青山の帰国の前日だったので初めて結ばれてから、遠距離恋愛が始まります。

携帯も通じない密林の奥地にいる月ケ瀬は、遠距離恋愛は続かないと思っています。しかし青山はまめに手紙を出し、例え滞在数時間でさえも会いにやって来る情熱家です。

月ケ瀬の任期があと一月後に終わるという時にやって来た青山は、日本に帰国したら一緒に住もうと提案します。月ケ瀬が照れながら同意するのも素直じゃなくて可愛いのです。

他部族の若者が月ケ瀬に一目惚れして、無理矢理攫おうとした事件もありましたが、青山とトゥクトゥムの活躍によって無事でした。

ダヌワ族の設定が小林先生らしくて、面白くて読後感の良い作品でした。

0

ツンデレの彼


表題作+書き下ろし中編「まだ密林の彼」の二本立て。

さわやかでおおらかな新米ADと美人だけどすごく口が悪いツンデレというかクーデレな研究員の話。


南太平洋に浮かぶ島国のジャングルのいち部族へロケに向かう3人組のクルーのうち二人が順番にダウンし、上司の命令で一人で撮影に向かうことになった新米AD青山(攻め)。
本来の現地案内役は倒れた上司が病院から脱走しないよう見張らなければならず、急遽日本人がフィールドワークしている別の部族に取材先が変わることになり、研究員の月ヶ瀬(受け)が案内を担当することになります。


もうすでにたくさんレビューされているので、感想だけ。
評価が高いところ悪いのですが、私はちょっとこのツンデレのツンがすぎる月ヶ瀬がどうにも可愛いと思えず、あまり入り込めませんでした。
特に表題作は青山視点なため月ヶ瀬が何を考えているのかわかりにくかったのもあると思います。
せめて、月ヶ瀬視点が間にちょっと入っていればもう違う評価だったと思うのですが・・・

急に案内を頼まれたから機嫌が悪いというのはわからないでもないし、テレビの考え方の無責任さに腹を立てるのもわからないでもないけど、月ヶ瀬の態度はちょっと度が過ぎると思いました。
青山が好みど真ん中で、二週間で帰ってしまうからわざと仲良くならないように
きつく当たったというのは青山にしたらすごい迷惑な話です。
断る選択肢もあったのに引き受けたからには社会人として仕事に私情を持ち込むのはどうかと思いました。
わざと怒らせるような言葉を選んで会話しているようで読んでいて嫌な気持ちになりました。
ただ、青山は秘境の地で放り出されたら困るというので終始低姿勢なので、ほとんど言い争いになることはなく、なんとか取材を続けているといった感じでした。
話が進むにつれて月ヶ瀬の態度が軟化し少しづつ歩み寄っていくのではと読み進めましたが、全くそんな風に感じられず、終始わざと感じ悪く対応しているので、この二人は本当に恋人になるのだろうかと心配になるくらいでした。
だから、青山が月ヶ瀬を好きになるのが全く理解できませんでした。
確かに、時々デレが出たり、嬉しさを隠しきれない様子は見れますが、基本こちらに対する態度は機嫌が悪い感じで、青山はドМなのかと思いました。
せめて、月ヶ瀬の態度がもう少し可愛くなっていけばもう少し読んでて楽しかったと思ったのですが。

書き下ろしでは両方の視点で読めるので、月ヶ瀬が青山のことが大好きだというのは伝わっています。
ただ、口の悪さは変わらず、ちゃんと月ヶ瀬の意図が伝わっているからいいものの青山が少しでも受け取り方を間違えたら、この二人は続かないんじゃないかと思ってしまいました。

あまりにも、二人の関係に萌えがないので、二人の話より青山が一人で頑張ったこの取材によって番組がどうなったかとか違う方面が気になりました。
月ヶ瀬が帰国した後の計画を立てていましたが、二人が帰国した後も少し読みたかったです。
青山は、誰とでも仲良くなれるタイプのようなので、きっと日本に帰ったら月ヶ瀬はやきもきするんじゃないでしょうか。
二人が恋人らしくいちゃいちゃするところはがあまりみれないのがとても残念です。


萌えとは関係ないですが、取材することになった部族のはじめましての挨拶が股間を触ることだったり、挨拶がお尻や胸を触ることだったり、色々と驚きの習慣に対する青山の取材シーンはとても楽しかったです。

2

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