Sakura0904
◆洒涙雨(表題作)
尾流の無骨な感じがいいなぁと思いました。汗臭い汚部屋に、それでも律儀に通い続ける東条。両片想いなのに、互いに一歩引いてしまうもどかしさ。東条は臆病だから、尾流は東条に後悔させたくないからという風に見えました。再会後も、最初はお互い知らない振りまでして、本当に進展が遅いのだけど。東条のペースに合わせてあげる尾流の根気がすごいなぁと。本気の同性の大人同士だからこそのペースだった…
200ページの中で大渋滞を起こしている、というのが読後真っ先に感じた印象でした。このタイトルと表紙からは想像がつかないほど、シリアスな要素が絡み合っているんですよね。これがデビュー作品なのには驚きました。もっと話題になってもおかしくなかったと思います。最初は冴えない楓(ただし、眼鏡を取ったら美青年)が、風俗店で出会った春と親しくなり、彼と初めての恋を楽しむ甘酸っぱい話になりそうな予感がしたのです…
『ラムスプリンガの情景』のスピンオフということでとても期待して読み始めたのですが、期待以上のものが得られた作品でした。個人的にスピンオフものは、元の作品を越えられるか否かよりも、元の作品とはまた異なる魅力を見せてくれて、どちらの作品も違った味わいがあって楽しめるというのが理想なのですが、このシリーズはまさにそれでした。
今回はメイン2人の恋愛以外にも、様々な要素が詰まっていたように思いま…
やっぱり倫敦先生とリーマンものの相性は抜群ですね。ちょっと童顔ぽくて、営業成績は後輩の吉成に負けていて、モテ具合もパッとしない真壁。最初は自分の短所を自覚しているけれど、それをどうにもできず足掻いている冴えない先輩なのかな、と思うんです。けれど、彼以外の目線を通すと、彼がいかに仕事ができる有能な人物か見えてくる。単に自己評価が低いだけで、真壁はとにかく常に先回りして人をサポートするのが上手くて、…
本仁戻先生のタッチが存分に活かされた、濃い作品でした。きっと山藍先生の原作の方はもっと長編で濃密なんでしょうけど、このコミック単体だと想像していたよりは痛ましさを覚えることなく読めた印象です。今まで読んだことのある本仁戻先生ご自身が原作のものの方が、もっとシリアスでしたね。BL初心者に薦めるのはさすがに躊躇われますが、ある程度読まれてきた方で本仁戻先生作品を初めて読むという方になら、比較的オスス…
相変わらずテンポが良く、メイン2人の「合理的だな!」の掛け合いも健在、そして、もちろん濡れ場はめちゃくちゃ多い! 笑えて、萌えて、ドキドキして、大満足の続編でした。茄子川が鈍いのも1巻の頃から全然変わってないんですが、彼自身は大真面目なのであくまでギャグシーンとして楽しめ、鈍過ぎて鼻につく、とは感じさせない絶妙なバランスなんですよね。
危機管理能力のない茄子川に振り回されっぱなしの蕪木で…
コミカルさと萌えと、皆大人なのにちょっと抜けている可愛らしさ、それらがこれでもかと詰まっているのがやはり未散先生の魅力だなぁと、改めて感じる作品でした。最初は問題児な森澤を押し付けられて、彼の圧の強さにも負けていたし、羽仁はもっと気弱なタイプかと思ったんです。でも、段々彼の男気というか、芯が強くてちょっとのことでは動じない淡々とした態度が見えてきて。そのギャップに思わずかっこいい!と惚れてしまい…
三崎先生らしい雰囲気と可愛いタッチを最後まで楽しめる作品でした。結構シリアスなんだけど、ずっと痛々しい悲愴感が漂っている感じは不思議としなくて。絵で緩和されているのと、時折くすっと笑えるシーンもあるからでしょうか。攻めの翔が人気俳優とありますが、既に俳優の彼が守を見初めるのではなく、守とは俳優になる前から深い面識があるので、そこまでベタなシンデレラストーリーにも感じませんでした。
相手を…
面白かったなぁ。シリーズ本編の方では確かにBL要素もあったと思いますが、こちらではほとんど感じることはありませんでした。それでも良いと思えたのは、大人になったラベルの堂々とした姿を見れること、何年経っても喰えない態度は変わらないリーに会えること、2人を取り巻く環境が、いつでも変化や刺激に富んでいて飽きないことが理由かな。あと、ラベルの使役の姿はいつ見ても可愛いですね。人型じゃないからこそ湧く愛着…
こういうタチの悪い三角関係、好きだなぁ。最初、兄弟2人を惑わす石井はかなり遊び人な悪人キャラなのかと思うんです。脱法ハーブまで所持して、共有していますしね。でも、読み進めていくと、意外にも根っこは誠実な人間なのだと分かる。もちろん、薬なんかやってる時点でいい人もくそもないと言われたらそれまでだけど、彼は哲郎が弟に欲情したり好意を抱いたりしていることも、その弟が女装癖を持っていることも、最後まで誰…