Sakura0904さんのレビュー一覧

うちの上司が痴漢にあいまして コミック

熊猫 

リアルとBLファンタジーの中間くらいの空気が心地いい

◆うちの上司が痴漢にあいまして(表題作)
 おじさん受けと敬語眼鏡攻め、そしてしつこいほどの濃厚なエロを満喫できる作品でした。上司の渡辺を痴漢から守るという紳士的な行動から、流れるように自分が襲う側に回る部下・山下の狡猾さには拍手。しかもそれがカプセルホテルの1室という狭過ぎる空間の中で行われるんです。これは渡辺もたまったもんじゃないですよね。初セックスにも関わらず、奉仕させるところから始まって…

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雪と松(3) コミック

高橋秀武 

夫婦の盃より余程堅い契りかも

 安定感の一気に増した3巻。遊女や佐吉も登場し、松庵と雪がお互いに嫉妬を見せるシーンもあり。しかし、どちらも長い間負の感情を引きずるわけではなく、思い切った行動に出たり、あるいは許したりしてすっぱり解決されます。口では相手を疑うようなことも言いつつも、何だかんだ心の奥底では自分への愛を信用しているからこそ、とれた言動なんじゃないかなと思いました。嫉妬を分かりやすく表現しながらも、どこか相手への甘え…

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恋をするなら二度目が上等 1 コミック

木下けい子 

苦い思い出もむしろロマンチック

 テンポも良かったですし、攻め受け両方にとって苦い思い出である過去もシリアスになり過ぎず、余裕を持ってじわじわ距離を詰めていく攻めと、それに何とか抗おうとする受けとの掛け合いを楽しんで読める作品でした。ハイスペックな攻めは木下先生作品ではよく見かけますが、この作品の攻めの岩永は過去の自分の未熟さも自覚していて割と可愛げもあり、単純なナルシスト的キャラになっていないところが良かったです。当時受けの宮…

2

堕天使 コミック

歩田川和果 

一生懸命な子ほど可愛い

 何と言っても主人公の圭が、とても好感の持てるキャラなんですよね。年上の恋人だった高橋に突然女性との結婚を告げられた上、四股をかけられていたことを知っても、恨むことのできない圭。それは彼が愚かなほどお人好しだからとか、恨んでもどうせ何もできないと諦めているからとかではなくて、本当に心から高橋のことが好きだったからというのが、彼の1つひとつ言動から伝わってくるんです。平たく言えば確かに「バカな子ほど…

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お遊びはそこまで コミック

松本ミーコハウス 

エロだけじゃなく、いろいろ共感できる作品

 『美しい野菜』のスピンオフ作品ということで、あちらにも登場していた工藤が受けの話です。私はこっちの方がハマりました。けっして強気を装っているわけじゃないけれど、失恋するのが怖いからもう一歩を踏み込まないよう気丈に振る舞う工藤。濡れ場ではどれだけ乱れて泣いても、普段は年上らしい懐の深さをずっと持ち続けているところも好みのポイントでした。学生時代は泣いたこともあったけど、今は泣かねえぞ、と安易に弱々…

3

指先の染み コミック

たうみまゆ 

平行だった3つの線が、最後にぐっと角度を変えるのが面白い

 亡き父の後を継いで若手議員となり国民に注目され、裏では有力者とベッドを共にすることで着実に足場を固めていく門明。一般的なBLなら、登場人物の中で彼が一番可哀想で、同情すべき受けになるんでしょうけれど、この作品においてはそうではない。門明には不思議なほど悲愴感がなくて、そこが面白い要素なんですよね。本当に心身を削っているのは、弟の明菜の方で。門明の指先の染みに徹する彼の自分の身を一切顧みない尽くし…

6

わんちゃんおいでよ、撫でてあげるから コミック

ロッキー 

ビジュアルもストーリーもすべて良質な短編集

◆わんちゃんおいでよ、撫でてあげるから(表題作)
 これは文句なしで可愛かったです。ちょっとおバカ系の受けだけど、ロッキー先生の儚いタッチと静かな雰囲気が合わさって、けっしてくどいとは感じないキャラなんです。そして、実は刑事だった攻めの落ち着きっぷりがたまらない。無表情のままチャラ男の尊を簡単に手懐けて、でも頭の中では尊を可愛がりたい欲求でいっぱいな天野。彼のギャップが最高でした。緩い2人の日常…

2

月にむら雲、花にあらし コミック

こめり 

旅館からラブホへ変更も楽しめる、2人が好き

 こういう雰囲気、大好きだなぁ。大学時代からの親友同士の、友人と恋人の境目が曖昧な関係性。芸術家らしく飄々としていて、三木への好意をすんなり口にして欲望にも忠実、でも三木からのアクションには照れたりもする鶴間がとっても愛おしい攻めでした。そんな鶴間に相対する三木も、大胆な祖母に育てられたせいか素直な性格のボンボンで、この悪意のなさに鶴間が同性でも惚れてしまうのは分かるなぁと思いました。

 そ…

1

ブルースカイコンプレックス番外編 インディゴブルーのグラデーション コミック

市川けい 

普段と熱い時のギャップが素敵

 楢崎と寺島の穏やかで甘い日々が綴られた作品集。このシリーズのファンだったら、買って損はないと思います。こういう番外編や後日談を集めたものって、時々甘過ぎると感じることもあるのだけど、この2人の場合だと会話が淡々としているから胸焼けすることもなく、静かな空気に滲み出した甘さを堪能することができました。普段そこまで甘々なカップルじゃないからこそ、燃え上がった時の絡み方が尋常じゃなく濃いんですよね。特…

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ラヴィアンローズ 1 コミック

桂小町 

藍が成長していくのが目に見えて嬉しい

 藍が元々強かったけれど、さらに精神的にもかなり強くなったなぁという印象でした。それはやはり、長門にたっぷり愛されて、大事にされているということが、一番の理由なんでしょうね。愛を知った人間は強い。中盤で少し長門と関係が拗れて藍が1人で悩んでしまうシーンもありますが、長門の真っ直ぐな言葉で藍の殻がすぐに溶けて、言葉を紡ぎ出したのも印象的でした。信頼関係がしっかり出来上がっているからこそですよね。2人…

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