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愛に執着するあまり、心がすれ違う男たちのたどり着く結末は・・・!
やっと、絶版だった作品が新装版で出て嬉しいーー!!
そして、何と旧版になかったラストその後の二人の様子が第三者を主人公にして語られる『others』が入っているのです。
新装版の醍醐味は、こうしたその後が入っていることですよね。
多分、旧版のままのラストでもきっと二人の未来は予想できるものだったかもしれませんが、それを裏付ける、不器用なままだけど、きちんと心が通じ合っている幸せな二人を見ることができて、本当ほっとさせられました。
しかし、正直怖かったです!!
そしてとても痛かった。
とてもとても切なくて、涙がボロボロ、、主人公・篤と自分が同化してしまい身を切られるようなひと時を体験しました!!
木原作品なんだから当たり前なんだけど、コールドシリーズとかその他の痛い作品の色んな痛い要素が詰めあわされたような・・・
だから余計にうちのめされちゃうんですね。
この篤と直己、何となく似た人なんです。
欲しいモノを欲しいといえずに、不器用な事をしてしまう。
ボタンの掛け違いではなくて、歯車の噛み合いがうまくいかなくて
相手の気持ちが通じたと思えばすぐにすれ違い、
追いつかない追いかけっこをしているような~
それは、本当は愛とぬくもりが欲しいのに素直に言えない、
その気持ちを自分の中に抑圧してためてしまう、
どうやって表現したらいいのかわからない。
だから傷つけあってしまう。
それは、直己の生い立ち、
篤の双子の弟と、本当は片想いをしていた弟の恋人へのふっきれなかった想いのせいでもあるのですが。
それがあるから、それを何年も抱えたまま過ごしてしまったから溝をいつまでも埋めることができずにすれ違ってしまうのです。
二人とも真面目で不器用過ぎる!
篤の友人・立原が篤の為に良かれと思ってすることは、彼の正義だ。
それは篤を救いもするけれど、ある時は篤も直己をも傷つけて苦しめ、そのすれ違いを深くする。
彼の言った言葉で、直己が傷付き、篤が壊れかかってしまうが、立原は決して悪くはないのです。
彼の言動は、ある程度の常識人のする当たり前のことだと思う。
人が人を追い詰めて、壊れてしまう様は、
その生立ちやトラウマがあるにしろ、一番怖いものだと思う。
木原さんは、こうした心のホラーを最上級の表現で魅せる人だと思う。
でなければ、こんなに痛く、苦しくなるはずがない!
本当、復刊してくれてよかった、ありがとうと言いたいです。
読了したあと無意識に呟いてしまっていました…。ほんとに何が起きたか理解できなかった…これはわたしの認識が間違っているんじゃないかとラストは何回もページを戻らせたほどです。
歪んでる。
人生の狂い方が尋常じゃない。
篤と直己の思いの交錯が心千切れんばかりに伝わってきて、痛くて、重くて苦しくて切なくていろんな感情が芽生えました…
何でそうなっちゃったの……
もっと幸せになれる方法はなかったのか…
切ない切ないBLが大好きなわたしでも、2人のハッピーエンドを望んだほどです。2人にとっては最高の結末なのかもしれないけれど、第三者からしたらその歪んだ愛の気持ち悪さといったらない…
しかしそれがいい。木原先生しかできないだろうこのあり得ないストーリー展開!先が全く予想できないのはいつものことですが、これほどまでに濃い作品があるでしょうか。
最初の強姦まがいのことから始まり、事故、川に落ちたりアル中になったり…ほんと詰め込みすぎですって…
読んでいて苦しくて苦しくてたまらなかったです。整形。まさかとは思いましたけど。そんな形に行き着いてしまうなんて。
この本に出会えてよかったと思うのと同時に、この本を超える、何物にも言い表し難いこの感情を、味わわせる作品が他にあるでしょうか?!三日寝込みたいほどに辛いです、今。
そして功労賞を与えたいです立原。彼は本当に最後までいい人なんだから…!逆に彼が歪んでしまうんじゃないかと思うとハラハラしました。彼には幸せになって欲しい……!!
「HOME」というほんわか温かみのあるタイトルや、淡い色調の表紙イラストからは、優しいイメージしかなく、どんな衝撃的展開が待ち受けているのか、興味津々で本書を手に取りました。
目次
HOME(篤視点)
HOME2(篤視点)
otheres(大学生の裕太視点)
とても面白かったです。この作品も、私のお気に入りの一冊となりました。毎回思うのですが、木原先生の作品には先の展開が読めない面白さがあります。一体このあとどんな展開が訪れるの?BLとしてこの展開はあり?もしやバッドエンドか?などドキドキハラハラしながら読み進めるのが楽しくて楽しくて…時を忘れて読み耽ってしまいます。
「HOME」のあらすじ
青木篤(受)には忘れられない初恋の男がいました。その男は篤(受)の双子の弟と恋人同士になり、2人とも交通事故で他界。篤(受)は、男の甥で遺児の黒田直己(攻)を引き取り育てることを決意。8年が経ち、篤(受)33歳、直己(攻)18歳になったある日、篤(受)は母が勧める見合い写真を持ち帰ります。その見合い写真を偶然見ることになった直己(攻)は逆上し…。
衝撃的な展開が幾つかありました。
まず、養い親の篤(受)が、養い子の直己(攻)に無理やり襲われるシーン。とはいえ恋愛ものとしては割と王道(苦手な方はご注意を)。
次に、上記のことがあってから篤(受)が直己(攻)を怖がり、ひたすら避け、逃げ回り、恐怖に怯えるシーン。私がこれまで読んだ恋愛小説の中で、これ程まで相手を恐れ戦く主人公っていませんでした。大抵は相手を毛嫌いしながらもなんとなく意識し、だんだん惹かれていくパターンが多く、篤(受)のように震えあがりビクつく主人公は、ある意味斬新。
そして直己(攻)がバイク事故を起こし、死の淵を彷徨いながらも生還するシーン。この事故をきっかけにようやく本当の自分の気持ちに気づく篤(受)。母親にも「恋人は直己(攻)」だときっぱり宣言。明るい未来が開けそうと思った矢先、直己(攻)は障害が残ることを憂い、飛び降り自殺を図ろうとします。でも篤(受)はそうはさせまいと必死で止めます。愛の告白をし、生きて欲しいと伝え、最後こんな言葉で語りかけるのです。
「早く元気になって、家に帰ろう。一緒に帰ろう」
「家に帰ろう」は、正にタイトルの「HOME」。心に沁みました。
「HOME2」のあらすじ
「HOME」の続編。バイク事故で、左目と左耳と左足に障害を負った恋人・直己(攻)。めでたく退院出来たものの引きこもり気味。篤(受)はなんとか外の世界に連れ出そうと、週末ごとに直己(攻)をドライブに誘うものの、乗り気ではないと分かり…不機嫌な恋人を持て余していた篤(受)に、突然の直己(攻)の別居宣言。寂しがりの篤(受)はアルコールに救いを求め始め…。
こちらの続編も衝撃的でした。前半は、重苦しい閉塞感の中で私たち読者は我慢を強いられます。後半は篤(受)の思わぬ失言から、篤(受)の過去の想い人が直己(攻)の叔父であったことを直己(攻)に知られてしまいます。
「悔しいよ。どうして叔父さんに似なかったんだろうって、そう思う自分が悔しい…。結局、あんたはどこまでも『俺』を否定するんだ」
これは直己(攻)のセリフですが、重みのある言葉です。直己(攻)も篤(受)と同じ寂しがり屋でした。きっと篤(受)に引き取られた当初から、自分という存在を認め、肯定して欲しいと心ひそかに願っていたのでしょう。
直己(攻)は家を去る際、こんな捨て台詞を残していきます。
「俺はもう何の迷いもなく、あんたを思う存分憎いって思うことができる」
愛と憎しみは表裏一体。恐らく直己(攻)は、自分が篤(受)を愛するのと同じ分量の愛を貰えていないと感じ、憎むことによって篤(受)を忘れたかったのかもしれません。
二人ともとても不器用。似た者同士が恋をして空回りして弾けてしまった。でも心の中では今でもお互い相手を想って苦しんでいます。篤(受)は直己(攻)を失った寂しさをアルコールに求め、その間、直己(攻)は顔の整形手術を繰り返していたのかな。
そう…直己(攻)は篤(受)の想い人と同じ顔に作り変えていました。ショックでした。そこまでする人なんてなかなかおりません。いや皆無でしょう。でも、だからこそ「究極の愛」を感じました。
「いじらしさに胸が詰まった。直己(攻)はおかしい。考え方も、やり方もおかしい。それでも自分を好きだと言う気持ちは痛いほどわかる。わかるから…切なくなる」
ホント!切ない!!一言相談してくれれば良かったのに…!
「otheres」のあらすじ
裕太はN大学フットボール観戦会のサークルメンバー。同じサークルの女子に恋心を抱いています。その女子が「黒田先生がタイプ」だと聞き、濃い色の眼鏡をかけ、左足を引きずって歩く背の高い男を思い浮かべ…。
10年程、後のお話です。裕太という、N大学に通う学生の視点で物語が進行します。ここで「黒田先生」の面白いエピソードが語られるのです。それは「黒田」は女と経験がなく、裏で「妖精さん」と呼ばれているということ。もう一つは、男前だった顔を、整形で前よりも悪くしてしまったということ。
この二つの情報はとても貴重で、楽しく読ませて頂きました。女と経験がないと言うことは、直己(攻)の最初の相手は篤(受)だったことになります。直己(攻)は篤(受)一筋だったのだと分かるエピソード。嬉しかったです。
もう一つは、男前だった顔をそれよりも悪くしたのに、「俺もこの顔は気に入ってるんだよ」と笑って言える直己(攻)。直己(攻)は一般人の感覚から相当ずれている。でも人に迷惑をかけるわけじゃなし。それで当人が幸せなら、私は良いなと思いました。
この作品を買う前、いろいろレビューを見てどんなものかと思っていたけど、読み終わって直巳がいい!
もう切ない、いじらしい、収まるところに収まってよかったねって感じだった。
途中もう出口のないところをぐるぐるしている時は、苦しくて息がつまって辛かったけど、アルコール中毒に主人公がなったような感じの時に直巳があらわれるところからもう、ああやっと二人に希望の光らしいものが見えたねと思い、キュンキュンした。
最後の直巳の働く大学の生徒の視点で書かれた作品は、二人のその後が見られてよかった。
ちゃんと社会の中で生きている直巳に安心した。
この作品も読後、自分が浮上するのに苦労した。
ズシっとした作品を木原先生は本当にうまい。落ちるとこまで落ちた後、最後の方の浮上感、今回も脳内麻薬が出っぱなしだった。
想いを寄せる男の甥を育てる受様のお話です。
余談ですがこういう設定大好きです。
読み進めて思ったのは、直己(攻)と篤(受)は似通った部分があるのかなーと。想いを秘め過ぎて、器用な表現がまるでできていなくて、長い時間をかけてふたりはこの結末へと動かされていったような…。
序盤、篤が直己に対して度々恐怖するシーンですが、私も読んでてリアルに何度かブルッてなりました。後ろから抱き締めてきたり、ニヤリとするシーンとかに直己の狂気やらが垣間見えてて、すごく引き込まれました。
読了後は、無意識に何度もため息が出ました。是非、未読の方には予備知識を仕入れずに読んでいただきたいなと思います。