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表題作残心 中白の恋

青木俊輔,高校1年生,弓道部の後輩
若月新,高校2年生,弓道部

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

弓道部に所属する高校二年生・若月新の平穏な人生は、不遜な下級生・青木俊輔に出会ったことで変わり始めた。誰より強い弓を引き、放った矢は必ず的の中白を射貫く――その化け物じみた才能に憧憬を抱きつつも、周りを軽んじるような態度に苛立ちを覚えていたある日、彼が自分に想いを寄せていると知る。青木を拒絶しながらも、ほの暗い優越感を抑えきれない新。だがあることで青木に「弱み」を握られた時から、半ば脅迫されるように身体の関係を強いられるようになり…!?

作品情報

作品名
残心 中白の恋
著者
丸木文華 
イラスト
嵩梨ナオト 
媒体
小説
出版社
大誠社
レーベル
LiLik文庫
発売日
ISBN
9784865180312
3.7

(41)

(9)

萌々

(20)

(7)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
148
評価数
41
平均
3.7 / 5
神率
22%

レビュー投稿数8

弓射が美しい無自覚美少年 

2014年の作品、あとがきに「青春ものを書きたかった」。
・・高校の弓道部の部員たちがインターハイに向けて修練する中で起きる恋愛騒動物語。

主人公の新は、母似の小柄な体躯。新は、「猿腕」に悩んでいた。
  (女性に多い。肩や肘の関節が通常より柔らかいと、腕が反り返る。)
弓道7段の師範だった祖父の弓射に憧れる新は、猿腕矯正に物凄く努力をして、弓道部以外にも弓射を見学する男子生徒がいるくらい、美しい姿で射すまでに上達する。

いちばん最後の章に、青木君視線の新の容姿について説明がやっとある
実は、新は女子より綺麗な美少年。
更に立ち振る舞いと弓射が美しいので、ファンが大勢いる。
でも可愛い新を兄弟がコッソリ守っていたので、新は自分の容姿と魅力に無自覚、自分は、中庸の凡庸だと思っている。
無防備な新に、脅すようにして新と関係を持つ青木。
新に一目ぼれした青木は事情持ち。憧れの先輩・新と青春の思い出を作りたかった。

表紙で損していないかな?
表紙は、夕日を受けている二人で雰囲気は有るけど、新が馬面で美しくない。
電子版は、挿絵無し。面白かったです。

★弓道の解説:https://www.kyudo.jp/
用語解説:https://bit.ly/3lkTTpT

「飛 中 貫」https://bit.ly/3A4r5YR

2

猿腕って検索しちゃった

主人公(受)の性格が好きになれなかったんですけど、だ、駄目でしょうか…?

自分の今までの傾向から鑑みるに、どうもあまりに鈍い人は好きじゃないのかなと。鈍い人って人を傷つけるんですよね。で、人を傷つけておきながら怒って自分が傷ついていたりする。それって自業自得じゃん、って冷めた目で見て終わっちゃうんですよね。それを可愛いとも健気ともこれっぽっちも思えず…。

うーん現実の人物像の好悪とリンクしてしまって、BLファンタジーに入りきれなかっただけかも。丸木さんの描く、相手を手に入れる為なら相手に嫌われても構わないレベルで執着する人物像(攻)は好きなんですけどねw

1

最終章で★1つプラス!

弓道部を舞台にした高校生同士のお話です。初めての感情を持て余したり、性指向のことで悩んだり、部活に没頭したり家族に励まされたり…と、思春期らしい描写の詰まった爽やかな作品でした。ちょっぴり痛い展開を予感させるあらすじですが、結構さくっと読める一冊だと思います。

五つの章に分かれていて、四章までは新(受)視点+最後の章だけが俊輔(攻)視点でした。この最終章が良かった!主人公の新の人となりが客観的に描かれていて、どうして俊輔が新に惹かれたのかが分かりました。

新と兄弟たちとの関係にも萌えました(笑) 新に彼氏ができたことを知ったらどうなるかな?後日談があれば読んでみたいです。

3

受けが可愛い

この受けが私の理想のタイプでした。
女の子みたいに可愛いことにコンプレックスを抱え、男らしい振る舞いをする受け
この設定だけで美味しく頂くことが出来ました。

3

あおいはる

青い春と書いて青春とはよく言ったもんです。
久々の学生もののあたり作品だと思いました。
自身の心もわからないし操ることもままならない思い、苛立ち、購うことのできない運命とかいろいろ文章に表れていて、自身の焦燥感をかき乱されっぱなしでした。
弓道部内の話で設定が随所にちりばめられていてそこも凄く面白く何よりも袴でいろいろやっちゃうところとかもうおいしすぎるとしか言いようがありません!!!いや、本気で弓道やってらっしゃる方とかはけしからんと怒られるかもしれませんが。。。
話の流れ的に全体的にのほほんでいくのかと思ったらそうでもなく、思わず涙ぐむシーンもありなお良かったです。
青春もので良作をお探しの方は是非お勧めです。

3

丸木先生が「青春」を書いたら

作者のファンですので、おお、丸木先生が青春モノを!と思って、期待して読みました。
一気読みさせられましたし、さすがに一定レベルに面白いです。
が、辛口になるようですが、いつもの濃密ドロドロな空気に、さいご無理やり「さわやか青春モノ」のノリをくっつけたようなかんじで、中途半端というか少し薄まるというか

最後のほう、ちょっとつめこみすぎなような……。


あらすじについては他にくわしく書いてらっしゃるので、軽く人物紹介です↓

若月新(受け)→無自覚な美少女顔の高校二年生。
        弓道部。
正義感は強いが、口は悪い。
        女子に興味がないことを密かに悩む
        が、深く考えないようにしている。
        弓道をこよなく愛している。
        その弓道に天賦の才能を持ちながら、
        軽く見ているような青山に反発するが…。

青山(攻め)→ 新の部活の新入生。
        寡黙で、周囲から浮いた存在。
        複雑な家庭の事情を持つ。

最初の三分の二くらいは、わりといつもの丸木作品です。
性に悩む潔癖気味の新と、青山の新にたいする執着。
弱みをにぎられ、強引に始まる関係。だんだん夢中になる新。
感情描写とエロで濃密なかんじ。

しかし、最後のほうで、なかなか衝撃的な事実が。
思いっきりネタバレですが、青山には婚約者がいたのです。
そういえば青山、新に「一夏の思い出でいい」とか言ってたんでした。
そして青山は、これ以上新と付き合っていると、もう離せなくなると、別れをきりだす。
丸木作品の攻めにとしたら、かなり理性のある常識人です。 
別れをきりだされた新は、青山への恋心を自覚し始めた頃なので混乱し、悩んで、ラストに青山に自分の気持ちをぶつけるわけですね。

この作品、最後の最後で残念だったのが、青山が気持ちを決める決定的な役割をはたすのが、青山の婚約者だったこと。BLによくいる、やたらと物わかりのいい感じの良い女性ですが…こういうご都合キャラが重要な役割をすると、とたん白けてしまうというか。
最後の駆け足な展開が惜しかったです。      
       

3

弓道モノ

私の好きな丸木文華さんでしかも弓道モノ!?これは買うしかない!と思って即購入。

まず、正しい弓道の知識に感動しました。小説家としては資料集めなんて普通のことかもしれませんが、私はそれだけでちょっとテンション上がりました。
(イラストの方はちょっとだけ違うかな?と思う所も一部ありましたがまあ許容範囲内でした)

主人公の新は亡くなった祖父の影響で弓道部に入り、祖父のように綺麗で真っ直ぐな弓が引きたいという目標があります。
そんな中、新入部員で後輩の青木は何でもそつなくこなし、初めて的に向かって弓を射る時に一発で真ん中に当ててしまいます。その後も弓を射るたびにそれが当然だとでも言うように、喜びもせずどうでもよさそうな態度で皆中させる青木に対し、弓道が好きでそのために人一倍努力をしてきた新は苛立ちを感じ、青木を無視するように…。

しかしある時、新は青木に告白され、(次の日?数日後?)新になついている他の後輩からも告白され、その後輩にキスを迫られそうになり、そしてその現場を見ていた青木に迫られ身体の関係を持つようになります。
だんだん心を許すようになってきた新ですが青木に許嫁がいることを知って…。


オチまで話しちゃうのは良くないかなと思うのでこの辺で。
ただ、最後は結局どうなるの!?と、ちょっと気になる終わり方かもしれませんね。
でもやっぱり丸木さんの話好きだわ、と改めて思いました。

3

モラトリアムと現実

弓道部所属の高校2年生・新(受)は
不遜な後輩・俊輔(攻)が苦手。
弓道に大した興味を示さず
そのくせいとも簡単に矢を的に当てる
俊輔に苛立ちを隠せず…。


四人兄弟の三番目に生まれ
祖父を目標に弓道を頑張る新は
とにかく明るくまっすぐな性格。
その一方で、女子にチビと言われれば
ブス!と即言い返すような子どもっぽさや
幼い頃から異性より同性に惹かれてしまう
自身の性癖への戸惑いも抱えており
十代特有の不安定さを感じさせる人物です。

そんな新に対し、俊輔は高1にして全てに達観しているような、大人びた人物。
旅館の後妻の子どもという境遇ゆえに
幼い頃から苦労の多かったであろう彼は
一般的な子どもより早く
精神的に成熟してしまったのだろうと思います。


こんな二人が弓道部の先輩後輩として出会う。
弓道を「案外、簡単」と言ってのける俊輔に
怒りを覚え、彼に冷淡な態度をとる新。
その怒りの源泉は、自分より才能を持つ男への嫉妬と羨望がないまぜになった感情でした。
それを家族に指摘され、さらに俊輔が自分への好意から弓道部に入ったと知った新は、ついに俊輔に身体を許す。
この時点では、新は自身が同性愛者なのか探っているような段階で、俊輔への恋愛感情を自覚していません。

しかし、許嫁がいる俊輔に別れを告げられたことを機に、新は俊輔への想いを自覚する。
インターハイを終えたこと、祖母を亡くしたことも手伝って、良くも悪くも無邪気な子どもだった新が大人になってしまうのです。
また、性的な匂いとは無縁だった元気っ子が
俊輔に出会ったことで「男に抱かれる側」としての自覚と色気を身につけていく展開も、エロティックであるのと一抹の切なさを感じました。


ラストは消化不良と感じる向きもあるかもしれませんが、個人的にはこの不安感を残す結末が気に入っています。
まだ親の庇護下にある二人は、無理やり引き離されてしまうかもしれないし、家を出て二人だけで生きていくのかもしれない。
この先の茨の道を予感させつつも、それでも一緒にいることを決意した二人の真摯な想いが余韻を残す、そんな結末でした。

丸木作品にしてはエロ描写は控えめですが
弓道部という設定や、
十代の性への目覚めというテーマに
独特な色気が漂っており、とても印象的。
明るさと陰鬱さが同居した、
丸木さんならではの青春物かと思います。

10

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