そのうち、俺なしでは生きていけなくなる。

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表題作監禁

設楽直哉,35歳,有名カメラマン
九条雪鷹,23歳,監禁されたモデル

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

カメラマンの設楽によって拘束され、監禁されたモデルの雪鷹。「きみを隅々まで愛したい。そのために徹底的に暴きたい」と言う設楽に混乱し、抗おうとする。だが、設楽は巧みだった。丁寧に世話をしつつも雪鷹を観察し、恥辱と快楽で翻弄するのだ。やがて設楽の思惑通り心を剥き出しにされた雪鷹は、彼を憎んでいるのか愛し始めているのか、それすらも分からなくなっていき──!

作品情報

作品名
監禁
著者
秀香穂里 
イラスト
雪路凹子 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625934
2.3

(8)

(0)

萌々

(1)

(2)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
14
評価数
8
平均
2.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

調教、精神的SM

読後感、非常に微妙です。
面白くないとかそういう感想的な事ではなく、
既視感について。
というのも、同じ秀香穂里先生による2009年発表の「堕ちゆく者の記録」と設定や展開が類似している。
類似というよりほとんど同じ?なくらい。
攻めが目をつけていた美しい青年を、用意周到に家に連れ込み、監禁し、日記を書かせ、時に優しくしたり、時に突き放して翻弄し、妖しく淫らな接触を繰り返して、快感から肉体的にも崩していき…
…と続く。
言ってみれば「調教」モノ。精神的SM。

私には既視感は半端ないけど、物語自体はかなりスリリングで、受けが翻弄されて変容していってしまう様は読み応えがあります。
本作は、攻めは有名カメラマン、受けが美形モデルで、イラストは雪路凹子先生。このイラストは大変独特で、私は好きでした。
「堕ちゆく〜」の方も是非読んでいただいて、リンクする「調教」の世界観を楽しむのもいいかも知れません。
(ネタバレになりますが、「堕ちゆく〜」の受けの方がホネがあるのかも。本作の若い雪鷹は完堕ちで甘いラストです。もっと昏さや情念が欲しかった。)

2

サスペンスを期待しましたが……

若手モデルの雪鷹(受け)が
カメラマンの設楽(攻め)に監禁され
徐々に洗脳・調教されていくという
サスペンス風味の作品。

雪鷹と設楽がそれぞれに独白する、
日記体小説のような形式で進行。
設楽は雪鷹に「監禁は一ヶ月間だけ」と請け負うが
独白では約束を守る気はない様子。
雪鷹も、表向きは従順にしているが逃げる気満々?

二人の心理戦の結末は如何に?
と中盤までは期待していたのですが
心理戦なんてものはなく、
雪鷹は設楽にコロッとほだされ
書物や美しい音楽、快楽を与えられる監禁生活に
馴染んでしまいます。

設楽は、雪鷹を殴ったりはしませんが
他の男たちに輪姦させようとしたり(未遂)
ポッと出の後輩モデルを誘い3Pに持ち込んだりと
なかなかの鬼畜。
そして、約束の一ヶ月が経とうとする頃には
別人のように優しく振る舞い、
犯されることに慣れきった雪鷹を苛立たせ……

全てが雪鷹の愛を得るための作戦なのですが
その意図も途中で読めてしまう上、
そのように持って回ったことをした意味が
よく分からず、微妙な読後感となりました。
愛を知らず育った不憫な幼少期のことなど
語られてはいますが、
ではラストで雪鷹に愛されたことで
何か変わったのかと言うと
ほとんど何も変わっていない様子。

雪鷹が設楽を愛しハッピーエンド…なのは良いけど
後輩モデルとの3Pも続けるようだし
結局何がやりたかったのか不明です。

雪鷹が設楽の根本を変えることなく
闇堕ちして終了なのだとすれば
設楽が雪鷹に対して最初から最後まで圧倒的支配者で
恋愛ドラマとしてもサスペンスとしても
今一つ楽しみどころがないなという感想です。

雪路凹子さんの挿絵はどれも本当に美しく
男前カメラマン×美形モデルという華やかな設定に
よく合っていました。

10

心理の変化が難しい

目が覚めると見知らぬ部屋で、既に手足を縛られていて
そこには有名カメラマンの設楽が。
簡潔に「きみは俺に監禁されている」と説明され…。

監禁ものって、捉えられてから依存するまでの
心理の変化が肝だと思うので
美しく若いモデルの男がどのように堕ちるのか興味深く
読ませていただきました。

監禁した設楽、監禁された雪鷹の
日記方式の両視点を挟んでいる為、
流れとしては掴みやすかったです。
ただ、非常に残念なことに
私はどちらにも感情移入できませんでした。

雪鷹に執着しているのに
なぜ設楽は第三者に触らせようとするのか…。
二日部屋に放置したのち、外で食事をして
秘密クラブのようなそこで見知らぬ男に触れさせ
〝他人に触れさせて、やはり手放せないという答えに至った〟って
手放したくない、独り占めしたいから監禁したのでは…??
しかもまた今度はモデル仲間の国丸にまで曝して
〝そのほうが物事はよりドラマティックになる〟…そうでしょうか…。
3Pは大好物ですよ、国丸も優しそうな男だったし。
挿入はさすがに設楽のみでしたが
それでも雪鷹を自分のものにする為の得策とは思えませんでした。

散々国丸も込みで快感を植え付けられたからといって
設楽と二人だけの普通のセックスで愕然とするってどういう…。
普通じゃ満たされなくなるほど堕落させられても
それが雪鷹が設楽を一生愛せる理由にはならない気がしてしまいました。
クライマックスのキッチンでの出来事も
雪鷹の感情についていけず
ラストの甘いはずのシーンでは
おいてきぼりをくらったような気持ちに…。

一ヶ月限定の監禁生活で
愛が生まれるのは難しいのではないでしょうか…。
ただ、設楽に愛撫される雪鷹はとても気持ち良さげでしたので
中立とさせていただきます。

3

監禁ネタの醍醐味を見つけられなかった…

監禁ネタがあるものを作者問わずちょこちょこ読んでいるのですが…
な、なんだこの作品は。
正直中身が薄すぎて満たされませんでした。
タイトルでこのネタを全面に押し出すのであれば、ひと癖もふた癖もあるオリジナリティ満載のお話を読みたかった。

攻め受けの日記テイストになっていますが、正直面白くないんですよね。
特に攻めは元から辞書が好きだと言う割に語彙力が豊富に見えない…。
一般人の妄想レベルとさえ思えてしまった。

それより問題視してしまったのは、監禁された受け。
脱出のチャンスを探すこともなく、最初から甘んじて受け入れているようにさえ見える。
タオルで縛られているくらいなら扉の陰に隠れて攻めの入室と同時に体当たりしてみるだとか、特に弱みも握られていないので外出時に大声出す、猛ダッシュして逃げるだとかできるだろうに…

強制的に自由を奪われているのだから攻めを憎んでなんぼなのに、どこにでも転がっていそうな施設育ちの話を聞き(この男に抱かれてもいい…)とさえ思ってしまう。

おまけに監禁部屋が居心地よくなっているどころか、お茶の準備をする攻めに「いつも用意してもらっちゃって、僕がやります」発言とかありえなすぎてビビリました。
いや自由がなくても至れり尽くせり状態ならまだしも、首輪つけての入浴だ排泄だ性的行為だ、って嫌なことされているのにそんなこと言えるものか…。
そもそも攻めと古い仲というわけでも全然ないのに。

監禁された人間ってやっぱりどこかしらおかしくなっていくと思うんですよね。
ゆるい想像で書いたのかな?と思わざるをえなかったのが残念です。

こんなことをしでかした攻め側の気持ちも深く伝わってこないので、なんだかなーな気持ちで終わりを迎えてしまいました。

作品によって振り幅ありすぎる気がしたのですが、も、もしかしてレーベルか?と思い確認したら……
毛色が物凄く私の好みと合わないのかもしれません…。

2

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