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表題作とろけるまで縛って

波留河希一,35歳,星卯の憧れの上司
松上星卯,28歳,会社員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

痛みで快感を得てしまった星卯。職場の先輩・波留河に相談すると試してみようと言われ、尻を叩かれた。もの凄く感じてしまい……。

作品情報

作品名
とろけるまで縛って
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
雪路凹子 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626191
4

(36)

(16)

萌々

(11)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
9
得点
145
評価数
36
平均
4 / 5
神率
44.4%

レビュー投稿数9

性癖か、恋か

電子書籍で読了。挿絵(雪路さん、好きです)、あとがきあり。

果してこれからの人生で役に立つのかどうか解らないのですが『SM道(ここまで来るとまさしく『道』としか言いようがない)』の深さをまたしても学んでてしまったお話でした。
いや、SMについてだけじゃないと思うのですよ。
体の相性、あるいは性癖と恋の成就はどういう関係があるかについて、考えちゃったりしたんです。今回、攻め(S)の波留河の科白から色々考えちゃったもので、後の方で直接引用します。お嫌いな方はこの部分から回避してください。

階段から落ちたことをきっかけに、自分が痛みで性的快感を得てしまうことに気づき悩んでいた星卯は、かねてから憧れていた職場の上司、波留河に相談したところ「手伝ってあげるから、本当に痛いのが好きなのか、試して確認してみたら?」と言われます。波留河の手で、自分がマゾヒストであることに気づいた星卯は、それと同時に彼に恋をしていることにも気づきます。波留河の恋人になりたいと願っても、スレイブとして施される調教は自分を辱め、突き放すようなものでした。それに寂しさや哀しみを覚えるのと同時に、波留河から蔑まれていることに性的興奮を覚えてしまう星卯。言いつけを守っていれば波留河の恋人になれるのではないかと考えていた星卯ですが、彼の友人から「波留河のスレイブ=恋人ではない」「波留河はスレイブとも長続きしない」と聞かされます。それでも星卯は波留河への想いを断ち切れません。そんな中、波留河の転勤が決まり、結局は一度も体を繋げないまま波留河は大阪に行ってしまうのですが……

『恋することが解らない男』波留河は、このお話の中でいくつかの名言を吐きますが、そのいくつかを紹介します。
「結局我々(サディストのことです)は……自分のために、相手に奉仕を要求するという意味では同じなんだ」
「だいたい、恋人ってなんだろうね?セックスがしたい、欲望を満たしたいという気持ちならわかるよ。でも、それなら恋人じゃなくてもいい」

確かにそうなのよ。
言う通りなのよ。
でも「違う!」って強く思っちゃうんですよ。

星卯がこのお話のラスト近くで波留河の友人に話した気持ちは、奉仕を要求するのではなく、奉仕したいと思うことに繋がっています。
また、最終的に波留河が星卯に抱いた感情は、セックスが(体の)欲望を満たすだけのものではないことを知った結果から生まれたものだと思うのです。
私の疑問は、このお話の進行と共に見事に解けて行きました。

『恋は幻想かも知れない』と私も思います。
でも『二人の関係を続けていこうとする気持ちがあれば、幻想が真実に変わるという奇跡が起きると信じること、それこそが恋なのだ』と語るこの物語に、深く感動しました。
SMエロ話を読むつもりで読み始めたのですけれど『恋の真実』なんて途方もない処まで連れて行ってくれたこのお話、文句なしの名作だと思います。

下卑た欲望まみれのおばさんで申し訳ない。
でも『下卑た欲望』の方も充分満足いたしたことも申し添えておきます(笑)。

10

リアルなSMの世界

受けの星卯は元々はノンケでノーマルなセックスをしてきた、少しワガママで可愛い猫っぽい男子です。
穏やかで優しくスマートな上司、波瑠河(攻め)が大好きで上司として憧れています。
波瑠河も甘え上手で憎めない星卯を可愛く思っていて、上司と部下ですが、友人として食事をしたりしてました。

ところが一見スマートで穏やかな波瑠河は、実はゲイでベテランなSだったのです。
そうとは知らない星卯は自分が痛みで興奮するMかもしれないと、波瑠河に相談して、Mかどうか試してみようという展開になるのです。

しかし波瑠河はMが従順になると冷めてしまうという屈折したSで、波瑠河が好きだと自覚した星卯にお願いされてプレイの関係を結びますが、星卯の気持ちが信じられず厳しい調教を繰り返します。

波瑠河を好きな星卯は、いつか波瑠河に好きになってもらおうと、必死に調教に従順に従いますが、激しい調教に徐々に壊れていきます。

ワガママで恋人にもあっさりだった星卯は波瑠河を好きになり、波瑠河に振られても諦めない健気な性格に変わります。

激しい調教の合間に、カレーを作ってキスしたり、香水をプレゼントしたりと、スレイブから恋人になりたい星卯は好意を示しますが、スレイブとしてしかみていない波瑠河には、その好意にイライラするばかり。

しかし元々上司と部下の時から、可愛いと思っていた星卯に、波瑠河は徐々に絆され、心を開き、星卯と恋人同士になるのでした。

首輪にスパンキング、鞭に射精管理と、
会員制SMクラブや、公開調教などもでてきて、本格的で読み応えがあります。
ただ調教は淡々としていたので、調教+挿入の甘々セックスをもう少し読みたかったです。

ベテランSに調教されMに開花されていく単純なお話しだけでなく、スレイブを信じられない屈折したSと、少しワガママでSM初心者Mとの、一癖ある恋愛もあって面白いです。

私がBL小説読んでで、初めて本格的なSM作品に出会い、SM系BLに目覚めさせられた作品なので、神評価にさせてもらいました。

雪路凹子先生の波瑠河と星卯の絵が、お話しの雰囲気とあってて、とっても素敵です。

3

至高の性癖BL…

SMもの好きなのに何で今までスルーしてた…?というくらい、クセ強めなSM小説でした。嗜好によると思うので、誰彼に強く勧められるものではないのですけど、性癖と攻受の個性が見事に融合し昇華して、最終的には甘いラブになってるの、、もうたまらん、、、と悶えました。やっぱりSMっていいですよね!!

人の数だけ性癖ってあると思うんですけどね、その受皿があることの幸せが描かれていますw(と思います)

受は痛みの快楽に目覚めてキャリアは浅いものの真性どMな星卯、攻は普段は温厚で仕事ができる上司だけど、その裏の顔(?)は人を信用できない真性どS紳士、至高のマスター波留河。いや~~~、、この受ちゃん、本当にお仕置きしたくなっちゃう感じなんですよ~~、おねだり多くていい!!生意気で頑張り屋なスレイブって、このマスターにとっても読者にとっても新しい扉な気がしましたw。昼間の関係・上司と部下がそのまま夜の関係、下剋上なし、むしろ普段見せない本性丸出しにして、日常の関係性が過剰になった夜の部という印象です。

アイデンティティなんかめちゃくちゃ確立してそうな攻さまの感情に、実は結構あいまいな部分があって、ふらふら軽薄そうに見える受ちゃんの内面に壊されることのない自己(意志)がちゃんとある意外性が面白いと思いました。

雪路先生のイラストがこれ以上ないくらいこれ!!!ってハマっています。そのビジュアルイメージと攻様の言葉攻めの内容にゾクゾクさせれてしまいました。はぁ、もっとこういうの読みたい。

1

SMってやっぱりよい!

これは...素敵なお話です。
SMといえば完璧なマスターありきでMを調教してゆくというイメージだったのですが、いい意味で裏切ってくれます。
調教モノはちょっと...という方にもオススメです。痛々しいシーンはあまり多くなく、あくまでSとMの精神的な描写が主軸にお話は進んでいきます。
もちろんSMが性癖という方にもがっちりコミットする作品だと思います!!!
Sの精神、Mの精神、両側から描かれていて焦れったくて切なくてかわいいです。
1冊で色んな表情のマスターに出会えます。
マスターとはいえど、人間です。その人間臭さが良いのです!!!

やっぱりSMってすてき...
「S」はサービスのSといいますが、結局どこまでいっても結局はMがSをコントロールしてるんですね...ということを突きつけてくれる物語です。
苦悩するマスターも従属するだけではないスレイブもとっても愛おしいお話でした...!!!

1

SMって良いかも

表紙からドキドキなわけですが、
どうなるの?どんなプレイが待ち受けてるの?ドキドキはらはら!

ひょんなことから痛みで感じてMに目覚めるも信じたくない星卯、
上司の波留河さんが確認しようとSMに付き合ってくれることに…
受け止めてくれてる?突き放してる?キリキリ辛切ない。
からの巻き返し!に惹きこまれました!!!

星卯のへこたれない強さ、どんどん深みにハマり、開花して蕩けてく様は堪らん!
波留河さんは普段は包容力ある紳士なのに、思想拗れた良いS様でした。
調教も優しくて厳しくて…アナ○ビーズ!69!玉しゃぶ!素晴らかったね!!

思いが通じあってからの、あまーい、溶かし溶かされっぷりはご褒美!!
波留河さん、良いとこ突いてきます。

プレイが痛々しくなくて、星卯が前向き、淫乱だけど下品じゃないか、
SMあれば読むって感じだったのがSMめちゃくちゃ美味しいな!に格上げされました!!

0

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