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リュカオンの末裔 オメガバース・紡ぎの運命

Lykaon no matsuei

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表題作リュカオンの末裔 オメガバース・紡ぎの運命

イズマ・黒国の医師でα
シア・白国のΩ・18歳

あらすじ

【オメガバース×ファンタジー、溺愛×不憫!
発情期が来なくて捨てられた「役立たずのオメガ」を拾ったのは…!?】
オメガがアルファに支配され、
アルファの子供を孕むための道具のように
王宮で管理されている白国。
成人しても発情期が訪れないシアは、
子を産めない「役立たずのオメガ」として
王宮の外に捨てられ、青年医師イズマに救われる。
初対面のシアを優しく守り、涙をぬぐってくれたイズマ。
実は彼は白国と敵対する黒国の強力なアルファだった。
発情できない出来損ないと言われてきたシアだが、イズマに惹かれる気持ちを止められず…!

「アルファがオメガの首を噛むと、
そのオメガは噛んだアルファ以外に、
アルファは噛んだオメガ以外に発情しなくなるんだ」

二人の間に命が生まれる後日談「アルカスの光」も収録。

【登場人物】
シア/白国の王の血を引くオメガ。
役立たずとして捨てられ、自分に自信がない。

イズマ/青年医師。実は黒国最高位のアルファ。
シアには蜜のように甘い。

作品情報

作品名
リュカオンの末裔 オメガバース・紡ぎの運命
著者
水樹ミア 
イラスト
コウキ。 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
シリーズ
リュカオンの末裔 オメガバース・紡ぎの運命
発売日
ISBN
9784799733288
3.8

(47)

(14)

萌々

(20)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
179
評価数
47
平均
3.8 / 5
神率
29.8%

レビュー投稿数8

ルサの将来が楽しみで仕方ない

オメガバースものは作品によって好みが分かれるのですが、このお話は受け入れやすいというか、
気付いたら話にのめり込んでいました。

まずは始まり方が好きで。
後々、神話風に語り継がれる事になるアルファ・オメガ・ベータの創世記が書かれているので、最初から一気にその物語の世界観に入れました。
それを踏まえて、受けさんのシア視点で進められます。
シアは18歳になっても発情期が現れず、それまで暮らしていた王宮内から役立たずとして放り出されます。
ですが白国の国民(ベータ)はオメガを毛嫌いしている事もあり、放り出された瞬間から国民によって痛い目に遭い、間一髪というとこで攻めさんのイズマと出会い助けてもらいます。
そこからは展開が早く、2人は黒国というイズマの故郷に移り住むことになり。
シアは初めて外界に出た事で、無知だった事、間違った認識を持っていた事、初めての発情期、初めての愛するという感情など、多くの事を経験して知っていき、番となったイズマと幸せに暮らしていくのですが…。

と、読んでいて辛いシーンは最初の方だけだったような気がするので、読み終わった今全体的に感じるのは溺愛甘々ものだったな、と。
なので、痛いのが苦手な方に受け入れやすいかと思います。
シアは本当に素直で真面目で純粋で、黒国に移ってからは皆から愛されるキャラとなります。
イズマは小出しでびっくり設定が出てくるのですが、本当に最強アルファ様で今流行りのファンタジー版のスパダリといった感じでした。
この2人は出会った時から無意識にいちゃこらしてくれるので、ほわほわ幸せに浸りながら読み進めれます。
書き下ろしのお話では出産後のお話となり、その後の白国と絡めた少しだけ未来のお話となるので、充分に楽しめました。
(シユキのお相手が誰なのかだけは気になりますが…)

もし続編などあるのならば、是非!
サウロのお話を希望します。サウロが気になって気になって仕方ないです。サウロにも幸せになって欲しいです(。・ω・。)

10

運命の番

アルファ、ベータ、オメガという3種類の人間の存在する世界。
強大な白国はアルファがベータを従え国を支配し、唯一アルファを生むことができるオメガは保護を名目に月の宮という場所に集められています。
この国ではベータ同士のみ夫婦という制度があり、オメガは誰のものにもならず発情期のたびにアルファと交わり、子を孕むためだけに生かされています。
オメガであるシア(受け)は18歳になっても発情期が来ないため出来損ないとして月の宮から追放されてしまいます。
アルファに搾取され続けているベータはオメガのことをアルファを堕落させる化物と嫌悪しているので、街中に捨てられたシアはその悪意に晒され襲われるのですが、すんでのところでイズマ(攻め)という医者を名乗る男に助けられます。
シアを助けるため騒ぎを起こしてしまったイズマは実は隣国の黒国の人間で、怖がるシアを説得して故郷の黒国へと連れて行きます。

シアは王の血を引くオメガなので発情期さえ来れば強力なアルファを産むと期待されていたため、16歳までは他のオメガとは別格な扱いを受けます。が、16歳になっても発情期が来ないとわかると発情を促すため薬を大量投与されたり、代わる代わるアルファに性技を施されつらい日々を送ります。そして18歳の誕生日、とうとう月の宮を追放されてしまうのです。

白国では黒国はオメガを保護していないのでオメガは酷い目に遭うと言われていたのですが、実は黒国はアルファ、ベータ、オメガが協力して国を作り、結婚して家族を作り、国王ですら選挙で決める国でした。(白国では一番強いアルファが王となる)
アルファとオメガは番となることによって唯一無二の存在になれるという話もシアは黒国で初めて教えられます。白国では番のことは上位の限られたアルファにしか知らされていません。強いアルファを産ませるため強いアルファとオメガと掛け合わせるには番は都合が悪いからです。

オメガは外界から隔離されていることと、シアの異父兄で月の宮の長サウロが影でシアを守ってくれていたお陰で、シアは16歳まで悪意に晒されることなく素直純粋な子に育ちました。
魚も切り身で泳いでいると思っているような世間知らずなシアでしたが、一生懸命イズマの役に立とうとする姿や天然なところはすごくかわいいです。黒国の人たちはオメガに対して偏見がない上、黒国のオメガはたくましい人が多いようで、素直で可愛らしいシアは皆に優しくされ、イズマの仕事を手伝いながらいろいろな人と交流し様々なことを学んでいきます。
普段のほやほやしたかわいい感じと発情した時の大胆さとのギャップ、愛を知って強くなった姿はどれも好感が持てました。

アルファにとって都合の悪い番という習性を隠匿した白国と番を否定せず性差にかかわらず平等で愛情をもって子供を産み育む黒国。
最高位のオメガであったがために強いアルファでないと発情せず出来損ないの烙印を押されたシアは運命の番と出会って愛を知って初めて発情し、奇しくも二人の出自も含めて黒国の正しさを証明する形になります。
ただ、高位のオメガであるシアを巡っての白国と黒国との争いの解決方法はアルファの力技によるものでちょっとひねりがなかったように思います。
これほどの差があれば戦争などすれば一瞬で片がついてしまいそうです。

白国のアルファが変わらない限り、白国の衰退を止めることは難しいです。
白国のオメガもまたアルファの都合の良い話で洗脳されているのでこの価値観を覆すことはまた難しいと思われます。
ただ、力を持たないと思われていた白国のオメガも実はオメガの長サウロが必死で守ってきていたオメガの自立した世界があることがわかります。シアに対するひどい仕打ちも彼なりにシアのことを心配してしたことだったのでしょう。

表題作後の短編では二人の子供が生まれます。
最高位のアルファとオメガの番の子である二人の息子ルサはきっと名前の通り皆を導く光となるのではないでしょうか。

物語のはじめは発情期が来ないシアの境遇は辛いものだったのですが、イズマと出会ってからは出会った直後からイズマは激甘で、この溺愛っぷりで上書きされるので、痛い話や辛い話がだめな人でも大丈夫だと思います。この話はシリアスと銘打っていますが溺愛ものだといってもいいと思います。

出産シーンがありますが、軽く触れられてるだけなので苦手な方も大丈夫だと思います。

6

先に読んでいれば…

「アポロンの略奪 オメガバース・契りの運命」のルサの両親のお話があると知り読んでみました。こちらのお話を先に読んでいればと後悔しています。

まず白国と黒国の成り立ちの違いや国民の特色がスッと頭の中に入って来るからです。

さらに次巻の「アルテミスの揺籠 オメガバース・結びの運命」を読んでいれば、赤国がどんな国かも分かったと思いました。

こちらのお話は白国の王の血を引くオメガのシアと黒国のアルファのイズマのお話でした。
実はイズマには出生の秘密があるのですが、最高位のアルファがどうやって生まれてどんな力があるのかも興味深かったです。

シアが箱入りで育ったのと白国での価値観でガチガチなのがとても焦ったくハラハラする場面も多くありました。
しかしイズマが思慮深くピンチには必ず助けに現れるスパダリぶりがとてもスカッとするお話でした。

こちらにチラッと登場するシアの異母兄のサウロと、イズマの友人のオリカが次巻のCPなのでこちらの本を一番先に読むことをお勧めします。

こちらのシリーズの受けは酷い目にあっていても、攻め以外には抱かれていないので地雷がある方でも安心して読めると思います。

3

不憫な受設定が好きなら!

コウキ。先生のイラストに惹かれて購入していたのをやっと(;・∀・)読みました。
初読み作家さん。

オメガバースですが、作者さんオリジナルの設定もあります。
白国と黒国という架空の国が舞台。
白国はアルファ・ベータ・オメガの階級差がまだはっきりと残っている国で、オメガはアルファの子どもを産む為だけの道具のような扱いで、王宮で庇護はされているけれどもアルファやベータから蔑まれている存在です。
黒国は人種・性差による差別の無い国です。

その白国で生まれたオメガのシアが、私の大好きな不憫で無垢で素直な受ちゃんです。
ラスト付近はじんわり涙してしまいました。
シアちゃんは18歳になっても発情しないため王宮から追い出されてしまうのですが、生まれてから育った環境で植え付けらる思想というの本当に恐ろしいなと思います。
けれども、イズマという運命の相手に出逢い、白国での考えだけが正しいものではなかった、もっとオメガも自由に生きる事ができるということを知って強くなっていくのが可愛いです。
イズマの甘やかしぶりや嫉妬心を隠さないところが私的には好感持てました。
二人の子どもルサが成長が楽しみです。
イズマとルサちゃんで、シアちゃんの取り合いをしそうだな~( *´艸`)

二人の物語ではありますが、二つの国の物語としても興味深く楽しめました。

そして、シアちゃんの異父兄・サウロとのエピソードも心にとまりました。
続編では彼が主役なので、そちらも楽しみです!

2

設定はツボなのですが

初読みの作家さまでしたが、コウキ。さんの可愛らしい表紙とあらすじに惹かれ購入。内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。





オメガバースものです。

このストーリーは白国と黒国という架空の国が舞台。

白国では、αの子どもを産めるΩは、発情期が来た時にαとなら誰とでも性交できるよう王都に隔離されています。αの子どもを沢山産ませるために特定の「番」をつくることは禁じられており、Ωの意思は全く尊重されない国。
そして、αとΩの生活を賄うためにβたちの生活は搾取されていて、そのためΩはβからも憎しみの対象になっています。

主人公はそんな白国のΩ・シア。
彼視点で話は展開していきます。

白国の王の子でもある彼は強いαを産めることが見込まれ、それゆえに生まれたときから大切に育てられてきました。が、通常なら16歳くらいまでに来るはずの発情期が来ない。発情期が来ないΩは子をなすことができないわけで、18歳の時に「役立たず」というレッテルを張られ王宮から出されることに。
町に放り出されたシアは、βたちからは侮蔑と怒りの目を向けられ、また性の対象となり襲われますが、その時に助けてくれたのが通りかかった医師のイズマ。
自分の置かれた状況をイズマに説明するシアですが、それを聞いたイズマに「白国を出て黒国に行こう」と誘われ…。

というお話。

白国で、ただ子をなすだけの性として扱われてきたシアがイズマと出会い、黒国で様々なことを吸収し成長していく様が可愛いです。彼が育ってきた白国では普通だったことが、外の世界では全然違う。それを素直に認め頑張るシアが健気で可愛い。

そして一方のイズマも。

彼は出会ったときからシアに親切にしてくれますが、それがなぜなのかわからない。なのではじめは何か裏があるのかなとか、実は悪い人なのかな、とか穿って読んでいましたがそんなことは全くなく掛け値なしのいい人なんです。
誰にでも優しく、イケメンで医師でαで、と非の打ちどころのないスパダリさんなのも良い。彼の出生の秘密もなかなか素敵。

なので余計に気になってしまったのが、「なぜイズマはシアに親切にしてくれたのか」という点。
これを「運命の番だから」の一言で片づけてしまうと単なるご都合主義な話になってしまうので、その点をもう少しひねって描いてほしかったな、と。イズマがなぜシアに惹かれたのか、が、この話では重要な部分だと思うので。

あと、イズマの持つ「強さ」もなんだかなあ、という…。
イズマとシアの子もその力を持っていそうですが、そこまで行っちゃうと本当にご都合主義な感じでちょっと興ざめでした。
白国と黒国の、国としての外交をその力でねじ伏せちゃうのはちょっとなあ、という。

黒国の皆さんが良い人で温かい人ばかりなので、出だしはシリアスムード満載ですが全体を通してはさほど痛い展開ではありません。
シアははじめこそつらい思いをしますが、その後はイズマたちに守られ幸せに。
けれどシアは16歳までは王の子という事でほかのΩたちよりも好待遇で成長してきていたわけで、それを思うとシアはそこまで過酷な過去を持っているわけではない。

むしろシアのお兄ちゃんのサウロ。
実は彼が「Ω」としての哀しい過去を持ち、ゆえに一番精神的に強く、そしてシアを一番大切に思っていた人なんじゃなかろうかと思うのです。彼メインのスピンオフを描いてほしいなと思ったりしました。

設定やキャラはなかなか面白かったのですが、もう一声欲しかったな、というのが正直な感想です。

9

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