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久我有加先生の芸事シリーズ、の中の「落語家」ものです。
舞台は現代。大阪に住む若手上方落語の初蝉と、京都に住む幇間(太鼓持ち)の弥助の恋。
地味で華が無く巧くもない若手・初蝉(本名は守博)は、師匠の涼風に連れられて初のお座敷遊びへ。
そこで「太鼓持ち」という存在を初めて知る。そして、その美しい男が印象に残って仕方ない。結局それは初めての恋。
とにかく守博は真面目で、一途で、ヘタレで。何より誠実ですよ。
一方、弥助。
こちらはね…心は叶わぬ恋に捧げ、裏腹にカラダは後腐れ無い遊びを続け。
弥助の想い人は守博の師匠・涼風。だから守博にもいい顔をしてたわけだけど。
セフレとのトラブルを助けてくれたことから接近していく2人。
自分への想いを力に変えて実力をつけていく守博に、知らず好感を持ち始める弥助。
とは言え、2人の初めてには温度差があります。
落語一筋、DTの守博は辛抱たまらん。経験豊富な弥助はカラダが甘えたい。だから「両想いじゃなくてもいい?」なんて聞きながらの初H。
これから一途ワンコの深い愛を思い知っていく道筋は見えるので、守博がんばれ!です。
続く「八日目の恋心」では、2人はちゃんと恋人に。
そしていつの間にか弥助の方の恋心も大きく大きくなっていた…というお話。
真面目に精進を重ねる守博は少しづつ人気も出てきて、弥助は浮気の心配。そして試すような事を。そんな弥助の自己嫌悪が描写されます。
勿論守博は誠実で一途です。行き違った後の久々のHは燃えに燃えて。
「酸いも甘いも恋のうち」の真遊・小藤の名前も出てきますよ。
初めて守博が弥助と関係を持った場面が、筆おろしをしてあげるお姉さん♂感があって素晴らしい。
弥助の外見は平凡な見た目であまり唆らないが、言動や仕草に加え京都弁なところで存分に色気を放っている。
落語シーンというか、専門的な場面が多くてちょいちょいすっ飛ばしてた。
守博に片思いされてた時は、冷たくしたり弥助からする以外は連絡するなと言っていたのに、いざ付き合って守博が人気になり会える日が減ると「ヒロ君のくせにムカつく」と言ったり、ファンの女に嫉妬したりとめちゃくちゃ可愛いです。
キャラ設定にはゲイってありますが、男だけではなくて女とも遊んでいて、ゲイ寄りのバイなのでゲイ受けではないです。
久我さんの落語家シリーズです。
今回も現代もの。
おまけに落語家同士ではなく落語家×幇間(太鼓持ち)なんです。
「シリーズも長くなると色々と出してくるなぁ……凄いなぁ」と思います。
今回は上方落語と江戸落語の違いについても何度も出て来るんですよ。上方落語はあまり馴染みがないものですから大変勉強になりました。初蝉(守博)は『江戸落語だったら大物になるパターン』の人なんですよねぇ。だから高座でウケないことを気に病むくだりが出てくる度に、私の頭の中には「?」が何度も浮かんでしまって。「上方で生まれ育った人じゃないと、この感覚は解らないかもしれない」と何度も思いましたよ。
で、LOVEの方なんですけれど。
弥助にはとても共感したんです。
クールにふるまっていながらも、実らぬ恋をいつまでも手放せないあたりなんかとても可愛い人だと思う。
初蝉の方が何故弥助に惚れたのかが良く解らなくて。
多分『一目ぼれ』っていうやつなんでしょうけれど。
初蝉が真面目一辺倒の誠実男なのもあって、そこの部分が不思議なまま最後まで行っちゃってしまい、ちょっとのり切れない感じがありました。
ただ、このシリーズはLOVE要素で「おおおおお」とならなくても面白く読めるものですから、また続けていただきたいと思っております。漫才シリーズもそうでしたけれど、芸人さんの世界は非常に興味深いのですもの。コンビを組む漫才よりも書きづらいかもしれませんが、是非!
すみません、蛇足です。
北沢きょうさんのイラストは美しいのですけれども。
ただですねぇ、濡れ場シーン背景に芍薬の花が乱れ飛んでおりまして。
ごめんなさい。吹いちゃったのね。
あくまでも趣味の問題ですが、これはちょっとあまりにも時代がかっているのではないでしょうか?
それとも、狙ってやったことでしょうか?
そこの部分がとても不可解でもやっとしております。
久我先生の芸人シリーズ、落語家さん編です。
今回は、地味でちょっと伸び悩んでいる若手落語家さんと、京都の花街の置屋に籍を置く関西でただ一人の幇間のお話。
色っぽい年上の受けと、ヘタレわんこな攻めが、体の関係先行であれこれするお話なのですが、、、。
時間軸では「酸いも甘いも恋のうち」の真遊と小藤がくっついたちょっと後、スマホも登場する、ほぼ現在、「酸いも~」の二人もちょっと登場しますが、そちらを読んでいなくても問題ありません。
当然今作の主人公も、その二人が付き合っていることなど全く知りません。
さて、今回のお話は、もともと主人公が地味で花もないし芸も今一つという所から始まるので、お話自体も地味でもっさりした雰囲気です。
この主人公が、元噺家の、関西最後の幇間という美しい年上の男を好きになって、徐々に成長していく、その過程を楽しむお話です。
そして、「におう桜のあだくらべ」の古い大阪弁とはまた違う、京都よりの関西弁が素敵です。
芸人シリーズの一つだけど、他が未読でも読める作品。
タイトルの「七日七夜」とは、祇園祭の無言詣の七日間のことだそう。花街の女性がこの期間、四条御旅所に欠かさず参拝するという風習で、お参りをしているその間、誰とも口を聞かなければ願いが叶うとか。
守博は年に一度しかないその無言詣で、叶うはずのない恋を叶えようとしていた弥助の邪魔をしてしまい、怒らせてしまう。
そこから弥助のセフレや片想いの相手のことを知り、一気に距離を詰めるのだけど、もともと他に好きな人がいても、体の欲求はそれはそれとして、他の男と処理していた弥助。
守博の自分に対する気持ちを知っただけで、自分は年下はタイプじゃないけど、とりあえずしてみよう、的なノリで跨がっちゃう。
初な年下ヘタレ攻めと、経験豊富な年上誘い(襲い)受けというのが、なんかありがちというか、よく見るパターンでいまひとつ萌え切れず…。
受けが、結構割りきった感じで遊んでた風だったので、ノンケの年上男性への片想いに苦しんでいた、という健気さや切なさみたいなのは、あまり伝わらなかったのが残念。まあ、相手が攻めの師匠なんで、あまりそこを強調されても萎えたかもしれないが。
この、さほど好みじゃないけどエッチしてみて、その後で愛が芽生える、というパターンって、体の相性がよかったから芽生えたのか?そうじゃなかったらこの二人はどうなってたのかな、とちょっとモヤッとしてしまうので、自分はあまり好きじゃないのかも。いや、大人なんだからそっちが大事ってのはわかるんだけども、なんか生々しいよな…。
後半の受け視点の話では、攻めにすっかり夢中になっている受けが見られてよかったし、落語に関する部分も面白く読めた。
ただ、個人的には久我先生のキャラは、包容力ある大人な年上攻めの方が好きだなー、とこれを読んで気づいてしまった。
年下ワンコ攻めが好きな方なら、満足できる一冊かと思われます。
