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木原音瀬先生の作品は設定や展開がすごく好みのものばかりなのですが毎回オチだけ受け入れられない!ってことが多く今回もびくびくしながら読みました。
結果、この作品は最後まで好きでした!
途中なんでやねん!ってところもありましたが、私も木原節に慣れてきたのか今回はこれか〜って感じで割と流せました笑。
とにかくこの二人の関係が大好きすぎたのでもう細かいことはいいです!愛し合ってない、信頼関係が築けていないカップルが大好きなのですが、この二人はそれがすごくてどちらからも純粋な愛は0(元々はそんなことなかったはずなのにね)なのに離れられない。逃げられない。苦しくて悲しくて怖くてしんどい地獄。辛くて楽しかった。
最後の三浦がまた悲しくてやるせなくて素晴らしかったです。どうしても三浦に肩入れしちゃう…どこで間違えたんだろうね…でもこれでいい。二人は良くないだろうけど私は読んでて楽しかったです。
再読。
プライベートでも仕事でも死ぬほど忙しく精神的に余裕のないこの頃。
ふと夜中に目覚めてしまい、眠いのに寝付けず、こんなことをしている場合じゃないのにと焦りながらも現実逃避でこの本を手に取りました。
さらに追い討ち。
この追い込まれた気持ちを記録として残さなくては、、、と変な使命感に掻き立てられてレビューします。
嫌な奴
このタイトルの意味。
終始、受けの和也の視点で物語は進みます。
自分に執着する、攻めの三浦から必死で逃れる和也。
執拗に追いかける三浦。
逃げたかったのは、何からか?
途中から、和也の三浦に対する認知にズレがあることが明らかになります。
和也の中では、転校初日の印象のままの三浦のままです。
彼の内面に触れることを頑なに拒絶し、認知の修正を拒否します。
客観的に見ると、三浦は人たらしと言えるほど魅力的。
けれども、和也の中では、乱暴で自分勝手で鈍感な奴のまま。
諦念から三浦を受け入れはじめた和也。
ようやく認知のズレも受け入れはじめます。
小学生のような幼い情緒から、成長をはじめます。
これは、和也の成長物語と受け取りました。
何か面白い小説が読みたいと思い、木原音瀬ってBL界では巨匠らしいし読んでみっか〜と軽い気持ちで「美しいこと」「箱の中」の文庫版を読んだのですが、す、っすげえ‼︎と衝撃でぶっ飛んでしまいました。
私は面白かった作家の本をローラーするヘキがあるのですが、とにかく作品数が多いので、文庫になっているのを拾って読んで、出会ったのがこの作品です。やっぱりすごい〜すごく面白いよー!
子どもの頃から苦手だった男に粘着され、大人になってもなんやかんやとそばを離れてくれず、結婚が決まってやっと逃げられると思っていたら婚約者に式当日に駆け落ちされ、戻ってきた男に最終的に手ごめにされる…という、ノンケの男子からしたら悪夢でしかないお話。でもこれが、腐女子の目を通すとなぜか良い…。なんだろう、ラブもときめきもなく、荒涼とした物語なのに、なんでこんなに面白く感じるんだろう。不思議です。
この話の見どころは、やっぱり執着攻めのものすごさでしょうか。授業中に教室に乱入してきた三浦に、学校の中を追いかけられるシーンは圧巻です。あと、いきなりシャツを引き裂かれるところでわくわくしてしまいました、すみません笑
攻めの三浦は、杉本に嫌われていることを知りつつも、離れようとしない。自分も相手も傷ついてもうぐちゃぐちゃなのに…。心はくれないんだろう、でも体に触れれば温かいとか、出会わない方が良かったとか、セリフがもう切なくて、一方通行の愛の悲しみを感じます。最後の一文にも胸を締めつけられました。三浦に感情移入しているのかも…
三浦と比べると、どうしても杉本は見栄っ張りで情のないやつに感じてしまいます。彼も相当かわいそうなんですが。最後の方で、怒りと憎しみの中にあきらめの安寧を見い出しているような描写がありました。
愛って決して甘いだけのものではなく、不条理かつ理不尽なものだということを思い知らされる傑作だと思います。いやあ、本当に木原作品はすごかった。
小学生時代の凶暴な三浦のイメージが染み付いて大嫌いなのにかといって無下に扱うことも出来ずズルズル関係を続けた結果、救いようのない状況になる話
和也の本性が垣間見え初めてから三浦が傷つく様子が痛々しくていたたまれなくなる。一方的に追い詰めているのは三浦なのに。
無理やり体の関係に持ち込めても本当の意味では受け入れて貰えない。でも心が反応を示さなくても身体は応えてくれる。それが自分には優しいんだと吐露する三浦が哀れで愛しくて泣けます。
全く救いようがないかと思いきや、終盤の和也のエピソードから三浦を受け入れつつある事が窺えました。
なんだかんだ死ぬまでずっと一緒に居そうな二人。
新装版と旧版どちらも読みましたが、セリフなど変更されてる箇所が多く見られます。新装版では初回限定でその後の2人の様子が書かれたリーフレットが付いてきました。
このずっしり来る読後感。
これぞ木原音瀬。という作品です。
中立にしていますが、作品としては神評価です。萌えるポイントがあるか?というとほぼ無い(苦笑)
もうBLって世界じゃおさまらないのかもと思います。
というか私はビブロス版を読んだのですが、文庫版はBLレーベルじゃないのですね。比留間久夫さんのYesYesYesのような読後感。
この受け(和也)の偽善者というか、幼い頃に「みんなと仲良くしましょう」という先生の言葉で縛られ、嫌いな三浦のことも嫌いと言えない。三浦は和也を好き(このときは友情だったのかも)で同じ高校に行くために必死で勉強をしたり、親友のような立ち居振る舞いをしていたために離れられない状況に。
逃げ出すしかない、どうやったら逃げられるのかと考えていたときに、母親の再婚を期に引っ越しする。そのまま大人になって高校教師になったりしている訳ですが、ひょんなことから三浦と再会してしまう。
でも再会の前からずっと気にしていたので、勝手ながら読み進めるうちに結局心の奥底では好意?それとも情なのかな、があったのではないのかと思いました。
この三浦がめちゃくちゃな執着(いや、ストーカ的なんじゃなく)で和也を蝕んでいく・・・・その様が描かれています。
和也がはっきりと決別するとか、はっきりした行動を取っていたら、友人の小野田にも話を出来ていたら、、、壊れなかったのかもな。(和也が明確に壊れた表現はなかったのですが、そう読めたんです)
嫌な奴だけど切り捨てられないっていうのは、男女間でもありえるし、それが同性だから余計ややこしいことになっちゃっていて。三浦も同じこと言ってましたけど。彼らはどうやったらぐるぐるから抜け出せるんでしょうね。
この先の二人がどうなっていくのか、、、
モデルがいらっしゃるとも書かれているのですが、どうしても気になってしまう作品でした。
また、他の方のレビューを見るとビブロス版と文庫版で改定されているところがあるようです。ですので、私の感想はあくまでもBL版!のビブロス版のものです。
文庫版ではちがった受け止め方になったのかも知れません。。。
逆に変更しなければ講談社文庫では出せなかったのか、それとも作者の意図でそうしたのか、ちょっと気になりました。