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表題作銀色きつねは愛されアルファ

沖津吉見,26歳,キッチンカーのオーナー(β)
蘇芳凛一,28歳,研究所勤務・銀ぎつねの半獣(α)

その他の収録作品

  • 新妻は可愛い銀色きつね
  • あとがき

あらすじ

銀ぎつねの半獣・蘇芳凛一はアルファなのにも拘らず、勉強もスポーツも結果が奮わない「落ちこぼれ」だった。さらに厳格な家で育ったことで、無表情で口数も少なく、友人もできないまま大人になってしまった。そんなある日、兄が病気であることを知る。弟の結婚を望む兄を安心させるため、凛一は婚約を捏造することを思いつく。仮の婚約者役は唯一親しく話しかけてくれるベータの沖津吉見に頼むことに。沖津は年下ながら思いやりのある優しい好青年で、凛一が憧れる人物だった。沖津は快く承諾してくれたが、「恋人ならみんなするよ?」とキスやセックスなど、本当の恋人同士のような甘い行為を繰り返し…? 「このBLがやばい! 2020」小説部門9位、「ちるちるBLアワード2020」小説部門14位、「愛されオメガの幸せごはん」スピンオフ作品!

作品情報

作品名
銀色きつねは愛されアルファ
著者
葵居ゆゆ 
イラスト
カワイチハル 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344846722
3.3

(51)

(13)

萌々

(14)

(10)

中立

(7)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
11
得点
158
評価数
51
平均
3.3 / 5
神率
25.5%

レビュー投稿数11

たった一人の、大事な人になりたい

「愛されオメガの幸せごはん」スピンオフになります。
今作だけで問題無く読めます。

で、今作ですが、包容力ベータ×半獣アルファの美人受けによる、偽装恋人モノになるんですね。

いや、思ったよりと言うか、すごく葵居先生らしいと言うか、結構切ないししんどいお話なのです。
でも、同時にすごく優しいお話でもあって。
もうさあ、受けのあまりの不器用さに、愛しくて愛しくて仕方なかったですよ。
そして、攻めがそんな繊細な受けを、これでもかと言う大きな愛で包み込むのが、嬉しくて仕方なかったですよ。
ついでに、攻めの愛が意外と重いものである所まで、最高でしたよ。
受けを閉じ込めて独り占めしたいとか思ってる攻め、大好き。
暴走しちゃわないように、そんな自分を戒めてる攻めは、もっと大好き。

ちなみに、1P目から「愛されオメガ~」の二人が(間接的に)登場してまして。
思わずニヤリとしました。
巻末に攻め視点のSSが収録されてるんですけど、そこでもこの二人が活躍してるんですよね。
幸せそうで、思わず「うふふ」となりましたよ。
「愛されオメガ~」もめちゃくちゃ素敵なお話だと思うので、未読の方はこの機会にぜひ!

内容です。
優秀だとされる半獣のアルファでありながら、落ちこぼれの凛一。
病気で入院する事になった兄を安心させる為、偽装婚約者を作る事を計画するんですね。
そんな彼が婚約者役として目をつけたのが、唯一親しくしてくれるベータの沖津でー・・・と言うものです。

で、婚約者役を承諾する沖津。
更に、自然な恋人同士に見えるようにと、濃厚すぎるスキンシップを仕掛けて来て・・・と言う流れ。

と、こちら、ストーリーとしてはすごく甘いですし、一見王道なお話なのです。
お話なのですが、実はとても深いし切なくもあるお話でして。

いやこれ、主人公となる凛一がですね、とにかく不憫だし、読んでて痛々しいんですよ。
えーと、彼は一見、無表情で口調も冷たくと、鼻持ちならないタイプ見えるんですよね。
が、それは彼の生い立ちに理由があって。
こう、威圧的な祖父に極端に片寄った教育を受けた事が原因なのです。
お前は出来損ないだと貶されながら、感情と言う弱味を見せる事を厳しく禁止されて育った。
そのせいで、人と上手く関われない、感情を無表情の仮面に閉じ込めてしまう、現在の彼が形成されたと言いますか。

こちら、凛一視点で進むのですが、そんな彼のこれまでや、現在の友達の一人も居ない、孤独な状況が丁寧に書かれてまして。
これ、本当の彼と言うのは、不器用で繊細で思いやりもある青年なのです。
でも、そのキツい言動と無表情のせいで、誤解されたり周囲から浮いてしまったり。
いや、めちゃくちゃ切ない。
本人の自己評価の低さも、切なさに拍車をかけてるんだけど。

こちら、一番の萌え処がですね、そんな受けが攻めに目一杯愛される事だと思うのです。
攻めの大きな愛により、祖父の呪縛から解き放たれる事だと思うのです。
そして、幸せを掴む事なのです!
そんなすごく優しくてあたたかいお話なのです!!

(偽装)婚約者として沖津とデートしたり、共に過ごしたりと、かつてない甘く優しい時間を過ごす凛一。
こう、初めての経験の数々に、戸惑ったり喜びを感じる彼の姿が、やたら可愛いんですよね。
いや、愛に飢えた受けが、攻めからこれでもかと甘やかされるエピソードなんかが大好きでして。
凛一、良かったねぇ!と。

また、凛一はわりと世間知らずな部分もあると思うんですよね。
明らかに、沖津は彼に惚れている。
そして、偽装恋人にかこつけて、凛一を落とそうとしている。
あれよあれよと誘導されて、キスだのエッチだのいつの間にかなだれ込んでるのに、ニヤニヤが止まらないと言いますか。
凛一、チョロすぎるよ!と。

あとですね、こちらオメガバース。
珍しいベータ×アルファのカップルになるんですね。
これ、沖津がベータの為、二人の間に「運命」というものは存在しません。
これの落とし処が、とても素敵でした。
そう、人を愛するのに、運命とか運命じゃないとか、関係ない。
ただただ、その人だから特別なのです。

他、祖父そっくりの、優秀で高圧的な凛一の兄。
彼もまた、不器用な男なんですよね。
例の祖父に育てられて、愛情の示し方がヘタクソな。
沖津の存在により、この兄弟が(ちょこっとだけ)分かりあえるのも、とても素敵でした。

最後にですね、沖津視点のSSが収録されていて、こちらで彼の内心と言うのが語られます。
彼もまた、ベータである事、そして家庭環境から「特別」な存在を求めてきたんですよね。
そう、受けが攻めによって救われただけじゃなく、実は、攻めも受けによって救われていたー。
すごく、素敵なお話なんですよね。
ちなみに、ここでの沖津ですが、凛一への愛を爆発させてます。
そして、重すぎる本音もチラッと洩らしています。
いやいや、暴走しないように、気をつけて。

と、とにかく優しくてあたたかい、とても素敵な作品だと思います。
若干、受けがグルグル悩みすぎて、ここで好き嫌いが分かれる気もしなくもないんですけど。
ただ、個人的にはそんな主人公の葛藤部分まで、とても読み応えがありました。
いや、受け尊すぎぃ!!

17

愛されるということ。愛するということ。

作家様買いです。

あらすじ等を見ずに購入したのですが、
ベータとアルファの恋愛のお話だったんですね〜!
しかもアルファが受けでびっくりしました(*´ω`*)

『愛されオメガの幸せごはん』と同じ世界で、灯里と貴臣さんが出てきます。
二人の幸せそうな様子も見れてよかったです(*´ω`*)


銀ぎつねの半獣の凛一(アルファ)と、吉見(ベータ)のお話なのですが、
すれ違いが多すぎてどうなることやら…と思いました。
すれ違いというか、凛一は自分に自信がないので
すべてをマイナスに考えてどんどん悪い方向に進んでいっちゃうんですよね。
その姿が痛々しくて悲しかったです。

凛一の育ってきた環境が可哀想で、
こんなこといつも言われてきたら
そりゃ自分は出来損ないだと思っちゃうよね…と。

そんな凛一に優しくしてくれる吉見。
少しずつだけど確実に心の距離は縮まってるはずなのに
凛一は勘違いして吉見を遠ざけようとします。
これが切なかった…。
いつも余裕のある吉見もこの時は余裕がなくて
彼も彼で自分はベータだから凛一と番えないこと、
でも凛一はオメガと番えること、凛一には運命の番がどこかにいることを気にしてるんだなと知りました。

ずっとハラハラしてたけどちゃんと二人の気持ちが通じ合って
ほんとに良かったなぁと思いました(*´ω`*)

二人の赤ちゃんがいつか出来たときのお話とかも
読んでみたいなぁと思いました(*´ω`*)

0

このお話、好きだ……

『愛されオメガの幸せごはん』も良いけど、私はこっちの方が好きかも。
理由は2つ。
1.『ベータ×アルファ』であること
2.エチシーンがとてもとても幸せそうであること
これがたまらんかった。

お話の内容は先にレビューをお書きになられたお2人が詳しく紹介されているので、ここからは私の萌えを書き散らかします(他人に乗っかってごめんなさい)。

オメガバースがいまいち乗り切れないのは『魂のつがい』とか『運命のつがい』っていうのが私に合わない所為なんですよ。たぶん私は『不変のもの』よりも『流転するもの』が好きなんだと思うんです。遺伝よりも環境を重視したい。

オメガバ世界のベータってモブ扱いが多いように思うんです。
それがあえての攻め様。
それもなかなかの男前風味。
対するのは、自己肯定感がやたら低いアルファ!
『!』を付けたくなるじゃないですか。だって自己肯定感が低いアルファって、一般的なオメガバ世界では存在しないものだと思い込んでいたんですもの。
でもね、考えてみればあり得るわけですよ。
ベタなたとえで恐縮ですけれど『自分は頭が悪いと思っている東大生』っているわけでしょ?(いるよね?たぶんだけど)競争という物差しで測れば、すべての集団に上下は必ず生まれてしまいますもんねぇ。

でも、社会では物差しって一本じゃないんですよ。
祖父は凛一を『要領が悪くて弱虫』と評価したけれど、吉見は『丁寧で感受性が強い』とべた褒めする。
同じものを、どの角度から見るかなんです。
だからこそ「アルファの凛一のヒーローはベータの吉見でなけりゃアカン」と思うのです。大切なのは人と人の間に生まれる『関係』であって、その『関係』はやっぱり『運命』なんかじゃない方が良いと思うんですよね。『偶然』の要素はあっても、やっぱり『努力』とか『善きものであろうとする倫理性』だとかによって獲得できるものであってほしい。
だから、これを書いてくれた葵居さんに感謝したい。
だってこの結末にすごい納得できるんだもん。

私はBL小説にそれほど『甘々』を求めません。
って言うか、物語の筋が終了した後のご褒美みたいな甘やかしシーンは「なくてもかまわない」とまで思っておりまして(申し訳ないんですが読み飛ばす時もある)。
このお話のエチシーンはそう思わなかったのよ。
とっても良いんですわ。
滾った(笑)わけじゃないのね。だって性癖は全然違うんだもん。
言ってみれば『幸せ』が読み取れるんです。
2人がどれほど幸せかっていうのが。つながるたびに。

たまたま私のコンディションの所為かもしれないのですけれども、でもね『甘々不感症』の私が、NTRとか緊縛とかが好きな所為で今作にも「私が『神』評価を付けるのにはあまりにも幸せオーラがあふれ過ぎている」と思って『萌×2』にせざるを得なかった私が、ここまで盛り上がっちゃったわけですから『甘々好き』の姐さま方がお読みになったら、かなりの確率で撃ち殺されてしまうと思います。
是非、ご一読を。

13

優しい溺愛もの

スピンオフ作とは知らずに読みましたが、未読でも問題なく楽しめました。
なんでしょう、すっごく可愛らしかった!
タイトル通りの愛され…いやいや、愛されを通り越して溺愛ものでした。
自己肯定感0で不遇の受けの凛一が、攻めの吉見によって優しく包まれ、どんどんとろけていってしまうのが愛らしくて仕方がないのです。

今作のカップリングは、ベータ×半獣のアルファと、あまり頻繁には見かけない組み合わせかなと思います。
オメガバースものではあるのですが、あまり意識せずに読んでいたかもしれません。
凛一がオメガの香りに敏感なタイプではなかったり、設定が少し変わっていたからかな。

毒親ならぬ毒祖父育ちの呪いから抜け出せずに長年不遇だった受けが、どでかい愛を抱えて突っ込んで来た年下攻めの手によって呪いが解かれ、どんどんと本来の愛らしい姿を取り戻しながら幸せでいっぱいになっていきます。
受けのメンタル面の救済とシンデレラストーリーかもしれない。
これはね、定番のアルファ×オメガではなくて、「ベータ×アルファ」なところが良いんですよね。
ベータが主役級になる作品も少なければ、秀でた部分がクローズアップされないアルファというのも珍しいのでは。
ベータだからといって無個性なわけではないですし、アルファだからといって誰もが完璧な人間であるはずがないのです。
良い意味で、運命や性差なんてものは関係無いと思える作品です。

兄を安心させるためにと、偽装婚約の相手として吉見に協力してもらう事になるのですが。
どこからどう見ても吉見は凛一に気があるんですよね。好意の塊なんです。
けれど凛一は微塵も気が付かないという…
これ幸いと、デートに行ったり食事をしたり手を繋いだり「嘘に見えないように恋人っぽくしないと」と、距離を詰めていく吉見。
そのどれもが凛一にとって初めての事だらけで、恋人以前に友人関係というものすら分からない彼が、戸惑いながらも吉見の大きな愛に包まれてきゅんとしたり、嬉しくなったり…
言葉を選ばずに言ってしまえばちょろいんですけど、友達も居なければ優しくされた事もほとんどなかった事もあって、初めての事に触れる度にとっても可愛らしくなっていってしまうんですね。
次第に恋心を自覚するものの、やはりここで問題となるのが凛一の自己肯定感の低さ。
凛一が焦ったいほどぐるぐると悩んでなかなかくっ付かないのですが、それは彼が育った環境を考えると仕方がないのかも。
その後の、たどたどしく想いを伝えるシーンが本当に愛らしい。
生まれたてのひよこちゃんみたいな受けってなんでこんなに可愛いんだろう。
幸せになれるのはオメガだけじゃないんです。

その一方で、元から好意を持っていた凛一の不器用さと繊細さをきちんと理解しつつ、デートや言葉の交流を続ける内にあまりの可愛さにたまらなくなっていってしまう吉見。
凛一の初心さを知った上で、偽装婚約を利用してあれやこれやと距離を詰めていくのはちょっとずるくもあるのですけれど、本当に大切に大切に接しているのも分かるのです。
ここが可愛い、ここも可愛い、全部可愛いとひたすらに溺愛し肯定する様子はなかなかの良い溺愛攻め。
彼の広い心と包み込むような愛によって凛一が解けていく。
巻末の吉見視点のお話を見ると、大きいだけではなく結構重ための愛のようで、恋愛どころか人と接するのが初心者の凛一のペースに合わせて頑張って自制していたんだなと。
ベータならではの嫉妬や不安も描かれていて、ただ受けを甘やかす包容力の持ち主なだけではなく、きちんと人間臭さもある良い攻めでした。
無個性で、オメガバースの世界ではその他大勢として描かれがちなベータを、魅力と個性のある素敵な人として描かれているところが良いです。

初めてのえっちが性急過ぎて、もうちょっとゆっくり進んであげてーと思ったのですが、これがかなり糖度高めのひたすらに凛一を愛でるものでして…
褒められ慣れていない凛一も、耳をぺったりと垂らしてすごく嬉しそうですし、その後何回かある濃厚な睦み合いの数々も幸せに溢れたものでした。
それにしても実況系の溺愛言葉責めがすごかった。
これくらいでろでろに受けの事が好きで溺愛しているのが分かるとたまらないですね。
すっごく甘かったです。幸せの香りがする。
ものすごーーく!萌えました!

吉見と過ごす内に、気持ちの変化が現れたり、本来の抑え込まれていた自分が日常生活でも良い方向に出て来て、彼と出逢えて本当に良かったねと思える、なんだか心が優しい気持ちになる素敵な作品でした。
繊細な受けが優しい攻めの手によって丁寧に愛されて幸せになっていく姿を見届けたい方、溺愛ものがお好きな方にぜひ読んで頂きたい、大変可愛らしい1冊です。
シトロンラテ、飲んでみたいなあ。
本編にちょこっと登場しているスピンオフ元のキャラクター達のお話も読んでみたくなりました。

9

溺愛攻め

「お尻とろとろにしてくれる?」
甘く攻める吉見くん!優しくて 深い包容力で、どんどん凛一が感情や表情豊かになり、素直になっていくのがとてもとても可愛い。
凛一はαだけど祖父の抑圧する教育のせいで自己肯定感なし…とても生きにくそうだったのが、吉見くんと出会って、恋する感情のぐるぐると共に成長していくのも微笑ましかったです。凛一は銀ギツネの半獣なので無表情でいるつもりでも耳や尻尾ダダ漏れなのがなんとも~ケモ耳に興味はないけど、尻尾のとこ撫でると蕩けるのは、きゃんわいい! と思いました。

3

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