• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作メールの向こうの恋

四方伊織,リフォーム会社の営業,卯月の上司
卯月蓮,リフォーム会社の営業

その他の収録作品

  • メールのこちらには愛(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

知らないアドレスから届いた一通の間違いメール――
そこには、同性への恋に悩む決死の告白が
綴られていて…!?

建物のリフォームやリノベーションを扱う会社に
勤める卯月。
大好きな仕事に就き、順風満帆な彼の秘密は、
営業部の上司である四方に憧れ以上の感情を
抱いていることだ。そんなある日、
知らないアドレスから突然届いた一通のメール…
「実は、俺は男が好きなんだ。それでも、
友人を続けてくれるだろうか? 」
ブラックと名乗るその男は、どうやら
送る相手を間違えてしまったらしい。
同じ悩みを抱える男を放っておけず、
送り間違いを指摘するために返信すると、
今度は「見知らぬあなたへ」という返信が届き、
恋の悩み相談を受けることに!?
本当の名前も顔も知らない、
ただメールだけの繋がりだったはずなのに、
しだいに毎晩ブラックから届くメールが
待ち遠しくなっていく自分に気づいてしまい…!?

作品情報

作品名
メールの向こうの恋
著者
火崎勇 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010057
3.1

(22)

(2)

萌々

(5)

(10)

中立

(5)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
65
評価数
22
平均
3.1 / 5
神率
9.1%

レビュー投稿数7

物足りなさを感じた

不足していたのは、甘さです。
せっかくのリーマン同士の恋&年上エリート攻め。
もう少し糖分多くしてもらったなら…個人的には満足できたかも。

間違いメールから始まる交流はムズムズしましたし、ツッコミどころもいくつかありました。
でも、全体としてはお仕事モノとして楽しく読めました。

というか、主人公の受け・卯月がお仕事を頑張っているので、そちらを応援したくなる、というか。
特に両思い後の後半部は、仕事面で苦悩する卯月の描写が大半で、LOVE はどこー?でした。

卯月を苦しめていた後輩の言動に読者はずーっとイライラさせられてますから、最後に四方さん(攻め)が卯月をヨシヨシしていてもフラストレーション解消には至りませんよ。
もっと溺れるほど甘やかしてあげてー!!(心の叫び)

卯月は男前だから、しょうがないのかなとは思いましたが。
両思い後は、甘々な話が良かったな。

0

憧れから恋へ

表題作とその後の書き下ろしの2作収録。

「メールの向こうの恋」
外見も内面もかっこいい職場の上司・四方に憧れのような恋心を抱いている卯月。
同じ職場で時々会話もできて、という今の状態でいい、これ以上を望んじゃいけない…と進展などは望まないようにしていたが。
ある日、全く知らない人物からメールが誤送信されてきて…
…と物語が動いていきます。
男性が同性の友人を好きになってしまった、という内容のメールに、同じ境遇だと感じた卯月が返信した事でやりとりが始まるわけなんだけど。

まあ…最初からこれはこういう話なのかな?と思う通りに展開していきます。
卯月はとても真面目で誠実な青年。少し臆病だけど、彼が自分では行動を起こさないのは普通にそうだろうな、と思えます。
逆に四方の方が、こういう人だったの?と思ったかな。
変化球というか、大人にしてはいじらしいような気もするけど、もっと正攻法でアプローチするタイプの方が好きですね私は。
恋は人を変える…って事なのかな。


「メールのこちらには愛」
無事恋人になった2人ですが、まだ「ひみつメール」やってます。
秘密の社内恋愛だもんね。こういうのが楽しいんですよね。
さて、卯月の下にインターン的な大学生・坂井がアシスタント的につくことになります。
この坂井が社会人としての色々が未熟で、卯月は彼の教育に悩み、ついにトラブルが起きてしまう…というお話。
卯月は傷つき、だけど四方に相談できず。
一方四方は卯月をよく見てなかった、と悔やみ。
いつもそばにいてやりたいしいてほしいから、一緒に住もう…
仕事は嫌なことキツいこと、これからも多分いっぱいです。でもとりあえず甘々の結果になって良かったね、ですね。

麻々原絵里依先生のイラストは素晴らしい。特に四方のかっこいいスーツ姿とお風呂Hでの髪を下ろした姿も最強ですね。

1

恋愛には臆病でも仕事はしっかり

火崎勇先生×麻々原絵里依先生×キャラ文庫さんということで、個人的にスーパーにてノールックで卵のパックをカゴに入れちゃう感覚です。

麻々原先生のイラストですとフラフラと吸い寄せられるのはいつものことなのですが、これは先生のコミカライズが読んでみたい。先生のリーマンスーツは垂涎ものなので…それとネックストラップのIDカードね…♡

卯月の感性は恋愛においてとても女性的です。なので恋愛感情の部分をしっとりと読ませてくれるタイプのお話だと、女性読者としてはおなじみの女性臭さは遠ざけたいのです。現実逃避したいの…。コミックの方がその部分を伏せることができて、卯月の心情と読み手に距離が出て読みやすいかもしれないなぁと勝手に思いました。

ガッツリな男同士!というより、作家様の受けって、いかついタイプよりかは受けっぽい受け(どんな受けだ笑)のイメージなので、攻めの男らしさ、特に対面で上手く気持ちを伝えられない不器用さが引き立つ印象です。このお話の四方さんも仕事ができて、頼もしくて優しい男って感じで好みでした。有能な人は自己処理能力が高く情緒が安定してるので、常に機嫌が良いもの。職場では落ち着いていて話しやすく、メールではしっかり恋人として甘い言葉もくれる…卯月の気持ちを的確に察してくれているんですよね。そりゃ、営業としても優秀なわけです。

表題の本編後に「メールのこちらには愛」が収録されていますが、後半編では坂井くんの教育に奮闘する卯月の気持ちにかなりシンクロして読んじゃいました。

仕事に関しては信念があって、周りの先輩方(特に四方)を参考にしながらしっかりと下積みをした上で、自分の判断でできる限りのことをやり切った卯月は偉かった。あんなふうに感情的にならずに後輩を諭して育てられるだろうか…。彼みたいに自力で解決しようとしていく人が伸びていくのかもしれないなぁ。翻って坂井くんは自分で起業した方が性に合ってると思うよ…。明文化されてようがいまいが学生の身分に甘えて会社のルールを受け入れて守れない人は、組織の中でやっていくのは息苦しいだけだし、会社側からしても教育コストに値しなさそうな人物だったし…。

BL小説でこんな感想が出るの、予想外でした。最近リーマンもののコミックに飢えているので、麻々原先生のビール会社のお話みたいな、本作のコミカライズが読みたいっていう希望を叫びたかっただけのレビューになってしまいそう…。四方や卯月たちみたいな、誠実に働く人たちのお話が読みたいです。オフィスで盛らないタイプの笑

これを読んでいて、メールをモチーフにした海外の映画作品を思い出しました。文面だけで見ず知らずの人に妄想を膨らませて、思いを馳せるのがロマンチックに思えた時代がありましたね。いつの時代でも、文章の奥に隠されている発信者の思いをきちんと汲み取れる人になりたいなと、いくつになっても思っていたいです。

しかし、あとがきに書かれている、二人のその後がいつも面白そうなんだよなぁ。

2

SNSではなくMMSはいかがですか?

10年ほど前までは、プライベートでの連絡手段・コミュニケーションツールとして、携帯電話のメールを頻繁に使っていたように思います。
今で言うMMSというやつです。
現在はメールよりも、もっと手軽なメッセージアプリやSNSが主流ですよね。
それも、このレビューを書いている2020年の話ですから、もしこのレビューを何年か経って読み返す事があれば、もうその時にはまた違ったツールが流行しているのかもしれないなあ。
読み終えた後にそんなことを考えてしまったりして。

主人公であり受けである卯月視点で進む今作。
攻め視点はありません。
出版社側の紹介文が細かかつ分かりやすいものなのであらすじは割愛しますが、タイトル通り「メール」がテーマの、1通の間違いメールから始まるお話です。
前半は小説キャラに掲載された作品で、後半部分が書き下ろしとなります。

まず、電話番号ならまだしも、世の中に無数にあるメールアドレスの中から間違いメールなんて届くものか?と、あまりあり得なさそうな始まりからか、はじめは斜めに読んでしまっていたんですよね。
ただですね、名前も年齢も知らない者同士がお互いを「ブラック」「ホワイト」と称して、毎日同じ時間帯に恋の相談メールのやり取りをする描写に妙に癒されてしまって。
ブラックのメールでの口調や文面が、どことなく洋画の吹き替えのような感じでクセになる。

なんだろうなあ。この時代にMMSメールというのがなんだか良いんですよ。
メッセージアプリと違って既読マークがつかない、相手からの返事が来るまでのどきどきだったり、返信が来た時のわくわく感を懐かしいなと感じるのと同時に、スタンプも絵文字もないシンプルな文字だけでのやり取りだからこその良さがあったというか。
卯月が早く家に帰ってメールのやり取りをしたくなる気持ちが伝わるというか…
うーん、とっても良い。

メールの描写と同じくらい良かったのが、卯月の仕事に対しての丁寧さ。
幼い頃から家に興味があったのもあって、リフォーム・リノベーションを得意とする会社の営業として勤務する卯月。
クライアントの悩みや相談にも丁寧かつ誠実に対応しようとする姿勢が素敵で、本当にこの仕事が好きなことが伝わって来るんです。
卯月のお仕事シーンがすごく好きでしたね。
四方への気持ちを募らせていく様子は少し乙女かなーとも思いますが、恋で一喜一憂する姿は微笑ましくもありました。

攻めの四方はちょっと可愛い人かも。
年齢は不明ですが、麻々原先生のイラスト通りのスマートな大人の男前。
後輩思いで仕事が出来て、これは憧れちゃうよなあと思えるさり気ないかっこ良さがあるんですよ。
でも、ところどころでヘタレっぽさも垣間見えて、完璧な大人感がないのが良かった。可愛い。

前半部分は話の展開がふんわりと読めてしまうので「いつこうなるのかな」を楽しむお話なのかなと思うんです。
でも、それが予想内となるか予想外となるかは読む方によって異なるかも。
結果、とても楽しめました。恋が下手な大人同士だなーなんて思ったりして微笑ましくって!
なので、前半は萌萌寄りだったんです。
しかしながら、後半部分がどうにも合わなくて。

というのも、恋愛はどこに行った?となってしまったから。
お仕事描写は大歓迎なんですけど、新たに登場したサブキャラクターにストレスを感じて仕方がなくて…
おそらく、あえてのいらつかせる立ち位置なのだと思うので、そういう点では先生の描き方が上手いからこそだと思うんです。
モンスターすぎて、ある意味リアルすぎるお仕事ならぬ後輩教育描写なんですけど…本当にこういう子はたまにいますから…これはきつかった。
モンスターよりも、もっと卯月と四方の甘いお話が見たかったなあと。
BLを読んでいるはずが、ふと現実の仕事のことを思い出して魔法が解けてしまったので、迷いながらこちらの評価に。
前半のみでしたら萌萌でした。

2

間違いメールが結ぶ恋

今回は敏腕営業マンと営業部2年目社員のお話です。

受様がメル友とのやりとりで攻様への憧れが恋だと気づくまでと
受様が入社予定のアルバイトを育てようと奮闘する続編を収録。

受様の実家は祖父の建てた大きな一軒家ですが、8人家族と
大所帯で子供部屋は2人兄と共有だった為、自分だけの部屋に
強い憧れを持っていました。

そのため高校からアルバイトを始め、一生懸命勉強して学費の
安い国立大学に入り、憧れの1人暮らしを始めます。6畳1間の古
アパートでしたが、古い家具をリメイクしたり、安いツールを
レイアウトを楽しみ、リフォーム関係の仕事に就きたいと思う
ようになります。

就職のための会社訪問で、受様はリフォームやリノベーションを
扱う大手リフォーム会社を訪れます。説明会でプレゼンターを
務めた男性社員は、受様のバイト先のカフェでよくパソコンを
開く男性客で受様が秘かに憧れている人だったのです。彼が
今回の攻様になります♪

受様はユーモアを交えながら会社概要を説明をする攻様を知り、
攻様が見た目以上に内面も素晴らしい人だと思います。こんな
人の下で働きたいと強く思った受様は、口下手ながらも必死に
面接で思いを口にし、力説の甲斐があってかめでたく入社、
しかも攻様のいる営業部に配属されるのです。

受様の会社は個人から会社や公共施設のリフォームまで手掛け
ています。今の受様の担当は小さな飲食店のリフォームで、
実績のある攻様はチームでマンション1棟の耐震リフォームに
取り組んでいます。

最初は小さな好意と憧れだった攻様への思いは2年がたった今、
大きくなりますが、自分の恋をアイドルに憧れるようなものと
思っていたのです。受様は好きと言えないならせめて仕事仲間
として近くにいたいと仕事に励みます。

そんな受様の考えを変えたのはある1通の間違いメールでした。
受様が帰宅後も今の案系の新アイデアに頭を捻っていたある夜、
スマホに見知らぬ人からメールが届いたのです。

受様はすぐに間違いメールと気づきますが「真剣な相談です」と
いう件名に思い切って開きます。するとそれは友人宛だろう恋の
相談で、なんと「好きな男がいる。それで友人を続けてくれる
だろうか?」という身につまされる内容だったのです。

受様は悩みながらもメールの主に宛先の間違いを知らせますが、
受様自身も攻様への恋に悩んでいた事から彼の相談相手を務める
事になります。やがて受様の恋がアイドルに向けるような淡い
想いではない事を自覚していきますが、攻様に恋人がいる事を
知ってしまうのです。

果たして受様は自らの恋を攻様に告げるのか!?
そしてメールの主の恋の行方とは!?

雑誌掲載作であるタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で、
秘かに憧れ続けた攻様の勤務する会社に入社した受様が恋に仕事
に頑張るオフィスラブ(!?)になります♪

受様は入社前からずっと攻様に憧れていますが、同じ会社に後輩
として入社した事で可愛がられはするものの、経験の差はいかん
ともしがたく、ずっと前を歩く攻様の隣にたてるとは露ほども
思っていません。

見ていられるだけで満足、一緒に仕事ができたらさらに嬉しいと
思って仕事に励む受様でしたが、間違いメールの主の恋という
一見無関係な相手の恋が受様の恋を変えていくツールとなるのが
面白かったです。

同性が好きだ、キスしたい、抱きたい、と言うメールの言葉で、
受様は自分の恋についても考えるようになります。そして偶然
攻様に恋人がいるらしい事を知ってしまった受様が、自分の恋も
メールの主と同じくらい強い想いなのだと気付いていく様が
丁寧に描かれています。

傷つきたくなくて目を逸らしていた自分の恋に否応なく向き合う
事になる受様の恋がどうなるのか、メールの主の恋が実るのか、
ワクワク&ドキドキで読み進めました。

受様視点で進むので攻様の気持ちは全く受様にはわかりません。
第三者な読者には攻様がちらちらアプローチしている事でメール
の主が誰なのかはうっすらとはわかりますが、なぜに彼がそんな
手段に出たのかはわかりません。

受様のぐるぐるとメールの主の思惑と正体を想像しながらいくつ
になっても恋は人を臆病にするのね♪ なんて思いつつ、とても
楽しく読ませて頂きました。

受様にとって攻様は仕事の出来る大人であり、頼れる上司であり、
およそ弱点はなさそうな完璧な男性なのですが、受様に嫌われた
くなくて小細工するようなヘタレな所がすごく火崎先生らしい
攻様で、個人的にはかなり萌ツボでした (^_-)v

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP