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表題作華は褥に咲き狂う(6)恋と闇

紫藤純皓,光彬の御台所かつ闇組織「八虹」の長
七條光彬,恵渡幕府第八代将軍

その他の収録作品

  • 受け継ぐ痛み
  • あとがき
  • もうひとつの恋と闇(イラスト)

あらすじ

光彬と純皓が夫婦になって四年。二人の仲はいよいよ睦まじく、光彬の善政で恵渡の町はますます繁栄の時を迎えていた。だが先年起こった凄惨な人さらい事件と光彬の子を望む玉兎の存在が、常に光彬の頭を離れなかった。そんなとき朝廷の使者一行に混じり、長年姿を消していた純皓の異母兄・麗皓が現れる。人さらい事件の裏に麗皓の気配を感じていた純皓は警戒を深めるが……? 御台所×将軍の豪華絢爛色恋絵巻第6弾!!

作品情報

作品名
華は褥に咲き狂う(6)恋と闇
著者
宮緒葵 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
華は褥に咲き狂う
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525254
4.2

(38)

(26)

萌々

(6)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
5
得点
155
評価数
38
平均
4.2 / 5
神率
68.4%

レビュー投稿数5

シリーズ6作目にして萌え下がらず

作家買い。

宮緒作品はワンコを通り越したオオカミのような執着攻めって多く登場しますが、今作品の攻めさんである純皓もやっぱり執着攻め。が、それに萌えを伴うのは、その攻めさんからの深すぎる愛情をきちんと受け止める受けさんの男気がともに描かれているからではないかと思われます。

今作品の受け・光彬もめっちゃ男前。ビジュアルが、というのではなく、その心意気が。そして、その男気に惚れこむのが純皓だけではなくって―。

『華は褥に咲き狂う』シリーズは続きものなので前作未読だと理解できません。順番としては『華は褥に咲き狂う』→『華は褥に咲き狂う~鬼と剣~』→『華は褥に咲き狂う~悪華と純華~』→『華は褥に咲き狂う~火華と刃~』→『華は褥に咲き狂う(5)~兄と弟~』に続いての、今巻となります。

今シリーズは副題もとてもナイス。内容を端的に現しているかのよう。で、前巻の「兄と弟」からの、「恋と闇」。その奥深さに、読後痺れました。

ということでレビューを。ネタバレ含んでます。ご注意ください。



前巻で、異母弟・吉五郎を失うことになった光彬、のお話が描かれていましたが、吉五郎を襲った過酷な環境を通して描かれていたのは複数の藩を巻き込んでの犯罪。その犯罪は表沙汰になったものの、その際に一人の人物が登場しました。光彬の御台所である純皓に、よく似た面差しを持つ人物。それは一体誰なのかー。

というところから今巻はスタートします。



その人物は、純皓の腹違いの兄・麗皓。
麗皓は母亡き後孤独に過ごしていた幼少期の純皓に、唯一優しくしてくれた身内でした。教育も何も施されることのなかった純皓に、様々な知識と教養を施してくれた人物。

その兄が姿を消して10年。
裏組織「八虹」の力をもってしても見つけ出すことができなかった兄と、純皓は意外な形で再会するけれど。

いやね、もうさすが宮緒さん、といった感じ。
ああ、あれがここに繋がってるのか―!と、読んでいてゾクゾクします。いったいどこまで先を見通してストーリー展開しているのかと、宮緒先生の頭の中を覗いてみたいです。

光彬の、将軍であるという立場。
将軍の御台所である純皓が子を成すことのできない男であるということ。

そういったバックボーンは1巻からずっと変わらず、けれどそのバックボーンをフルに生かし二転三転するストーリーがめっちゃ面白い。

今巻で純皓vs麗皓という構図が成立しましたが、そこを軸に権力争いや、さらに妖刀(というか守護刀)である鬼讐丸、そして「玉兎」といった存在が上手く絡みどうなるのかハラハラしっぱなしでした。

この「玉兎」という存在が、ストーリーをありきたりなものではなく独特な世界観を紡ぐツールになっているんですよね。彼の存在があることでファンタジー要素が強くなるかと思いきや、日本には万の神という認識があるからでしょうか、スッとなじんでしまう。

純皓×光彬、「玉兎」、鬼讐丸、そして麗皓。
もちろん忘れちゃいけない咲ちゃん×門脇夫婦。
彼らの間に共通しているのは深い愛。そこから、発生する執着。
そういったものが築き上げられて行く様に、人間の業とか、だからこそ紡がれる信頼関係にぐっと引き付けられました。

光彬の祖父である彦十郎が繋いでくれた縁が、光彬を守ってくれるといいなと思いつつ。

麗皓がねえ、なんか切なかった…。
純皓と似た面差しを持つ彼が、何かを抱える彼が気になって仕方ない。
彼が守りたい「もの」が一体何なのか、続編が待たれます。

ストーリーも秀逸ですが、BLとしての萌えもきちんと押さえられています。
貞淑な妻、に見える純皓が、光彬を抱きつぶすその男の顔にも萌えますが、この二人の間にはきちんと信頼と愛情が育っているのでエロだけに非ず二人の想いに萌える。

咲ちゃんと門脇のコンビも、もうお約束の様ですが、爆笑しっぱなし。

今巻も面白かった。
小山田さんの描かれた挿絵も最高だった。

ということで、文句なしの神評価です。

5

時代劇として強烈に面白い

「み、光っちゃん……かっこいい~!」と『鎌田〇進曲』のヤスの様な科白を思わず呟いてしまったのは、今作の流鏑馬爭いのシーン。
いや、最高にカッコいいよ、将軍光彬。
あの純皓が、果てのない愛情を持ってしまい「怖い」と言うのも解る。

本当にこのシリーズは『光彬無双』。
無双のくせに光彬自体は『想い人は純皓ただひとり』というのもすごい。
King of kings、真のスパダリ、漢の中の漢と言うべき彼が、受け様だっていうのもすごい。
これは同時に、闇組織八虹の首領でありつつ、牡丹の花に譬えられるほど美しい観台所の純皓が攻め様だっていうのもすごいってことになるのですけれど。
お話は実にオーソドックスな時代劇の形を取っていながらも、このジェンダーの『混乱(良い意味でね)』が実に楽しいんです。
この世界はとことん自由だーっ!

玉兎という『神』が光彬の血を繋ぐ、つまり光彬に子どもを産ませることに執着しているものですから、この巻ではかなり大ごとな陰謀術策が起きています。
絡んでくるのは佐津間藩主、志満津隆義(漢字のチョイスが最高やな)と行方知らずになっていた純皓の異母兄、紫藤麗皓。
この2人が手ごわい悪役でね。バックには玉兎もついているものですから、将軍勢は大ピンチですよ。この巻で『スッキリ解決』しないので後味もそれほど良くないですし。あと麗皓が何か『悲しいこと』を隠しているみたいなのですが、それは全く何なのか解らないんですよ。
……だから、続きが早く読みたいっ。
(麗皓の秘密なんですけど……ひょっとして源氏物語的な?その場合、純皓が光源氏の立ち位置です)

このシリーズが非常に面白いのは『学校で習ったりドラマ等で覚えた私たちの江戸』をお上手に利用しているからなんじゃないかと思うんですね。庶出の将軍、京から来る御台所、吉原、火消、ご落胤etc.etc.……。
ちゃんとした知識じゃなくても楽しめるのです。
でも「ちゃんとした知識を持っているともっと楽しめるのだろうな」という匂いがします。いいかげんな話じゃないから、楽しめる『偽江戸=恵渡』なんですもの。

そして何と言っても、榊原彦十郎時代から続く『大きなお話』の全貌が見えてきて、それが『神との闘い』なんて言う、それも『愛を貫くために神と闘う』なんていう、どっちかって言えば欧米風思想に近くて、だからこそ私たちの考えと似通っているものであるというのが、とっても面白いんです。

時代劇は敬遠される方もいるかもしれません。でも『観方・読み方』と言うか『お約束』のコツさえ掴めばスルスルいけます。
もう、強烈に面白いから。
既刊をご覧になって来た姐さまだけでなく、未読の姐さまも是非お手に取ってみてください。
この至福のひと時を共に。

5

くっそう待ってろよ玉兎!

タイトルは鬼讐丸の気持ちを代弁したわけでは無く、読み終わった後の私の素直な気持ちでした。

今作は玉兎、麗皓、隆義という3代ムカつく奴等に暗躍を許してしまってて、先手を打たれる度に「キー!」ってなりながら読みました。www

それくらい面白くて息を止めて読んでて、息苦しさに苦しんだくらいです。

これだけ長く続いているのに全く飽きなければ、どんどん面白くなっているように思います。

帯に書いてるようにモブの方々も夢中になる光彬は相変わらず聡明で公平で愛情深い将軍様でした。そして武芸上覧での光彬と愛馬雪華との小笠懸の活躍に胸躍りました。

でも純皓と咲の活躍が少なかったのが少し寂しかったですね。

今までは一冊で一事件を解決していた内容も、6巻からは違うようです。
まだまだ玉兎と麗皓と隆義の陰謀は続いてます。

ただ光彬が玉兎を「この手で討つ」と決めたからには、玉兎の願いは叶えられないと思うのです。

鬼讐丸やっちゃってくれ。

そして6巻から小山田あみ先生のかきおろしイラストも復活して嬉しいかぎりです。内容は見てのお楽しみ。www

3

ここからが本番か!?

本シリーズは公家の出身で裏の顔を持つ美貌の御台所と
文武に優れ清廉な名君である八代目将軍のお話です。

武芸上覧を隠れ蓑にした受様の血の継承を願う神の暗躍と
受様の守護聖刀の剣精の決意を描いた短編を収録。

受様は陽ノ本の八代目将軍です。
受様は恵渡を襲った凶悪な流行病により、
前将軍の7番目の男子ながらも将軍の座に就きます。

そんな受様の正室は
公家の出で男性ながらも美貌の麗人である攻様です。
過去の邂逅により秘かに受様を慕う攻様の画策により
輿入れした攻様ですが、今では受様の最愛の妻となります。

受様は外様大名が糸を引いていた人身売買にて
幼い異母弟を失ってしまうのですが
その背景には受様を敵視する西国大名の存在が
見え隠れしていました。

事件に関する詮議を推し進める受様達でしたが
幕府の奏請を朝廷に取り次ぐ武家伝奏が改まり
就任と年賀の挨拶に登城してきます。

前任の武家伝奏は
余計な波風を立てずに職務を全うする人物でしたが
後任は不毛の棟梁たる将軍に膝まづく事に
忸怩たる思いを抱いている様子で

受様が話題を振っても短い応えを返すのみと
機転も利かず内心も隠せない男で
受様は内心苦笑してしまいます。

嫌が王にも緊張感が高まるその場を変えて見せたのが
補佐役として付き従っていた美貌の貴公子でした。

彼が顔を上げたとたん、
受様はなぜか補佐役に攻様の姿が重なって見え
その名を呼びそうになったほどです。

それもそのはず、補佐役は京の都でただ1人
攻様に優しくしてくれた異母兄だったのです!!

しかも彼は失踪してから今まで10年もの間、
攻様が頭を務める闇組織「八虹」の力をもってしても
見つけられずにいた人物であり、
受様の異母弟のご落胤騒動にも関与が疑われている
人物でもあるのです。

果たして攻様兄の目的とは!?

前巻よりディアプラス文庫にてリスタートした
痛快時代劇的シリーズ第6弾となります♪

前巻は2人のなれそめや現状を説明しつつ
主キャラ達を上手く絡めて登場させていましたが

本作ではいよいよシリーズ当初に張られた伏線、
重要な役どころながらも相見える事はなかった
噂の攻様の兄が登場と相成りました♪

攻様に多大な影響を与えた人物であり
心に秘めた目的のためなら
他人を全て駒と化せる人物であり
ラスボス感満載な御仁ですよ ヾ(≧▽≦)ノ

今回も新たに就任した武家伝奏の補佐役として
受様の前に現れるとともに
野心かな西国大名にその身を預けながら
妹を受様の側室とする計画を巡らせていたのです。

攻様だけを愛する受様は
そんな縁談は初手で断るのですが

攻様兄にとって受様の初手は計画の内で
新任の武家伝奏と大名の妹を利用して
受様を追い込むまでの続く策略も練っていたのです。

受様が追い詰められたと思ったら
今度は攻様が危機一髪と波瀾続きな上に

攻様兄の背後には西国大名だけでなく
受様の祖父に執着して受様に子供をと望む
神までもが絡んでいてハラハラエンドレス!!

側室を断れなくされられた受様はどうする!?
受様を守る力を欲する守護聖刀の剣精はどうなる!?
そして受様を守るために攻様が打つ手とは!?

今まで張られた伏線を回収しながら
次巻へと続く布石を打っていくストーリー展開は
見事としか言いようがないです。

南町奉行と町火消の頭の活躍にも期待しつつ
次巻を待ちたいと思います (^O^)/

3

流鏑馬と側室候補暗殺の巻

姐さんがたが評価する通りで、凄く面白い。
玉兎が謀る、跡継出産騒動の佳境に入っていきます。

沢山の死者を出しても、鎮守の神だったのに、玉兎は平気。
みかけが童子だけあって、精神年齢がかなり低そう。

やっと光彬は、祖父と一緒に疫病が流行った時に造られた、
今は里人に忘れられて壊れたままの祠に参拝した事を思いだしている。

--
★著者は、善く調べて描いている。
「流鏑馬」:「矢馳せ馬(やはせむま)」 願いを込めておこなう神事。
神事のルーツは、九州豊前の宇佐。
(参照:武器と芸能〈その二〉―流鏑馬を中心に―)

・・だから、西国の大名が流鏑馬をリクエストしたのか・・と、納得。

▶「玉兎」信仰:
太陽を背に持つ兔は、瀬織津姫の印。
「兔」は、月神・山の神・産神・農神・族霊という神性を持つ

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