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表題作華は褥に咲き狂う~火華と刃~

紫藤純皓,25歳,光彬の御台所であり闇組織の長
七條光彬,21歳,恵渡幕府第八代将軍

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

稀代の名君と名高い恵渡幕府の第八代将軍・七條光彬には恐ろしいほど美しく妖艶な妻がいる。
その麗人は――紫藤純皓という男だった。
昼は貞淑で楚々とした立ち居振る舞いだが、夜には獰猛な獣に変貌し光彬を翻弄する。
夫婦として仲睦まじく過ごしていたところ、
御三家筆頭である尾張藩の『七條彬春』が参勤交代のため恵渡城に訪れる。
光彬は自分と生い立ちが似ている彬春のことを近しい存在として好ましく思っていた。
だが彬春が登城してからというもの、恵渡の町で不審な事件が相次いで…! ?

作品情報

作品名
華は褥に咲き狂う~火華と刃~
著者
宮緒葵 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
華は褥に咲き狂う
発売日
ISBN
9784796412124
3.9

(53)

(31)

萌々

(8)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
7
得点
202
評価数
53
平均
3.9 / 5
神率
58.5%

レビュー投稿数7

御台所さまの葛藤。

『華は褥に咲き狂う』シリーズの4作目。
『華は褥に咲き狂う』→『華は褥に咲き狂う~鬼と剣~』→『華は褥に咲き狂う~悪華と純華~』の続編にあたります。

恵渡幕府の第八代将軍・光彬のもとに純皓が輿入れして3年後、のお話です。序盤、光彬が将軍になった過程や、純皓が男でありながら光彬の御台所として輿入れしてきた経緯が書かれているので、この作品単品でも読めるかと思いますが、でもやっぱり前三作を読んでいた方がより楽しめるかと思います。








相変わらず仲睦まじい光彬と純皓。
質実剛健で、優しく、将軍としての器を持っている光彬。
光彬を一途に愛し、尽くし、けれど夜は一転、光彬をむさぼりつくす純皓。

と相も変わらない二人。

光彬には親友であり、親戚でもある彬春がいる。御三家筆頭である尾張藩の藩主でもあり、光彬と似た境遇ということもあって、光彬は彬春のことを信頼しきっているが、その彬春が参勤交代のために恵渡城へとやってくる。

心許せる彬春が近くにやってきたことで心浮きたつ光彬だが、時を同じくして恵渡では不審火が続き―。

という展開。

光彬が、身分を隠し恵渡の町を闊歩し、そして悪をさばく。

という、時代劇さながらのストーリーはこのシリーズ一貫してブレない設定ですが、今作品の大きなキモは、純皓が、自分の正体を光彬にカミングアウトするのか否か、という点だったかと思います。

闇組織『八虹』の長。

それが純皓が、あれだけ愛し尽くす光彬にひた隠しにしている秘密。「八虹」の長であるがゆえに裏社会にも通じていて、その道の筋で知りえた情報をもとに光彬を守ることが出来ている。

が、優しく穏やかで、民のために何が出来るのかと心を砕いている光彬にとって、多くの人を殺めてきた自分は相応しくないのではないだろうか。嫌われるのではないだろうか―。

そんな不安が常に純皓について付きまとっている。

そして同じ悩みを抱える人物がもう一人。
「八虹」のメンバーで、純皓の忠実な腹心である咲ちゃん。

見た目は儚げな美少女である咲ちゃん。
でも、実は夫である門脇を夜な夜な良いように抱きつぶしている咲ちゃん。
彼女…、もとい彼も、門脇に事実を知られるのを恐れている。

と書くと、かなりドシリアスな展開なのかと思いきや、なかなかどうして、爆笑必至な展開も。

光彬が持つ、妖刀・鬼讐丸。
咲ちゃんに夜な夜な抱きつぶされている門脇の嘆き。
純皓と咲ちゃんが交わすガールズトークのような悪だくみ。

そして何より、純皓と光彬がお互いに交わす深い愛情に萌える。

後、個人的に非常に萌えポイントだったのが、光彬の祖父であり前将軍だった彦十郎や、彦十郎に仕えていた沢山のイケオジたち。彼らが、クッソカッコいいのです。

ぜひぜひ、彼らメインのスピンオフを描いていただきたい。

展開としてはどうしても「暴れん〇将軍」を彷彿とさせるので、もしかしたらそこで好みが分かれるところかも。

が、ベースは某時代劇ドラマですが、そこから発生していく人間関係とか、愛情とか、忠誠心とか、そういったものが非常に面白く、そして萌えました。

そして忘れちゃいけない小山田さんの描かれる挿絵。

これがまた素晴らしい。
エロいし、綺麗だし、最高なのです。

最後のあとがきで小山田さんが1Pイラストを描いてくださってますが、これにまた萌えるやら笑えるやら…。

門脇、苦難の日々は続く!
って感じですかね。

今作品は妖刀・鬼讐丸が大活躍でしたが、この子がまた可愛いの。
小山田さんの描かれるイラストに萌え心をギュギュっとつかまれました。

次作も楽しみに待っていようと思います。

あ、そうそう。

今作品の帯についている応募用紙と、プラス700円の自己負担金で、

「華は褥に咲き狂う」シリーズの番外編などを収録したレアな小冊子。

の全サに応募できます。
締め切りは2019年4月30日(消印有効)。
ご所望の腐姐さま方、お忘れなきよう。

13

光彬無双!

読み終わった瞬間に、大きく息を吸い込んでいるのに気づきました。
『息をもつかせぬ』ってこういうことなんだなぁ。
中盤からの怒濤の展開がとんでもなく劇的なんですもの。
もう『椿三○郎(白黒の方)』を、念願叶ってフルスクリーンで観た時くらい興奮してしまいました。
時代劇、特にチャンバラ好きにはたまらない1冊です。

小山田画伯のイラストも豪華絢爛!
おまけに色っぽいことこの上ない。
もう、雰囲気を盛り上げるったらないんです。

今作では、恵渡の財政の悪化を改革するために、先代が登用しようとして失敗した優秀な主殿頭を老中に抜擢したことから起きる謀反が書かれます。武芸の達人である光彬に屈折した想いを抱く御三家の一角、彬春がこれに絡んで、光彬はまたしても命を狙われることに……

このシリーズが面白いと思う所は様々あるのですけれど、私がとてつもなく好きなのは、光彬が紛う事なき『光の人』である所なんですね。
兄たちが流行病に罹患した所為で本来なら就くはずではなかった将軍になってしまった光彬は、市井で育てられた変わり種です。でも、だからこそお恵渡に暮らす人々を愛することが出来る。彼らの生活を安定したものにするために家臣を守ることが出来る。
説得力があるんです、ここに。
登場人物のほぼ全てが(鬼瓦にメロメロの咲ちゃんを除く)光彬に惚れてしまうのがよく解ります。
残念ながら光彬は自分に寄せられる思慕の念にだけはとてつもなく鈍いのですが。

対する純皓は『闇の人』です。
幼い頃から生きていくために裏の仕事をし、闇組織『八虹』の長として君臨しているばかりではなく、光彬の御台になるいきさつも、御台となって光彬に次々と降りかかる危機を退けるのも陰謀術作の限りを尽くしていますものねぇ。
でも、全ては『初恋の人』光彬を、自分だけのものにするためなんです。
エグいのに、可愛らしいことこの上ないんです。
今作でも光彬に対して「おまえ、総受けだって自覚しろよ!」と何度もイライラする辺りは可笑しいのにあまりにもいじらしくて、ほろりとされちゃいました。

光に熱烈な恋をした闇は、その本当の暗さを告白することが出来ません。
「それによって自分を愛さなくなることはないだろう」と思っていても「それによって自分を見る目に陰りが生まれてしまったら」と恐れる純皓。
これ、解るんですよ。
本当に綺麗なものの前で自分の本性を見せることなんて出来ないですよね。
でも、純皓の闇は光彬の光に照らされます。
強い光は、純皓の中にある光彬への慕情だけを照らしちゃうんです。
ラスト近くのこのシーンは素晴らしい!
解放された純皓の心情を思うと、心が洗われるようでしたよ。

「自分ってタフだ」と思っていても、時折「大きなもので包んでくれる人が側にいたらなぁ」と思っちゃう。実はそれほど強くもないんです。
だけど、自分のことは自分で何とかしたいし、好きなものは自分で守りたい。
能動的でいたいんです。
喰われるよりは喰っちゃいたいんです。
だから、この二人の関係は「っもう、理想だな」と思えるんですよね。

しかし、光彬無双だな。
『悪』を全て味方に付けて、全部『良いもの』に変えてしまう。
物語の終焉、光彬の祖父である彦十郎の墓の前で、主殿頭と虎太郎が語り合うエピローグも、お話に余韻を与えて、いつまでもいつまでも、この世界に浸っていたいと思ったのでした。

蛇足
えー、宮尾さんのサイトを見たら、このシリーズの今後についての書き込みがありました。折りたたんでいましたので、ここで明記するのは避けます。
ご興味がある方はご一読を。
……あ~ん!

6

光彬が受けの殿堂入りしました

本当に面白いですね、こちらのシリーズは。

それにしても改めて光彬がすごい。
「光彬」という名前に含まれる「光」のパワーを改めて感じさせられました。
もう私の中では「受けの殿堂入り」です。
(他に殿堂入りしてるメンバーはDEADLOCKのユウトです)

人の痛みを知り、そして刀を持たせれば敵なしという男。
その度量の広さ、男前度、心根の清らかさ、人徳 etc etc…….

至宝の男前受け。

純皓からは無自覚に男をたらしこむ傾国呼ばわりされてるけど、そう言われてもおかしくはないほど、その輝く魅力で人々を惹きつけてしまう……。
伝説の名君であり、伝説の受けでもある。
最高。

闇の組織の長であることを隠し続けている純皓の狂おしいほどの葛藤がいじらしくて、好き。

ちょこちょこ笑える箇所(門脇とか、門脇とか)もあり、勧善懲悪でスカッとする箇所もあり、時代小説らしい人情・心の機微にホロリとさせられるシーン(最後の墓前での語らいにウルっとした)もあり。
最高の娯楽小説だと思います。

そして忘れていけないのが、華麗な小山田あみさんによる挿絵。
ほんとうに惚れ惚れします。



3

今回も最高でした

お決まりの説明文にお決まりの描写で、既にシリーズの様式美が完成されている作品だと思います。

そして場面の切り替えが見事で読者を飽きさせません。
閨のシーンもダラダラ続かないで、ギュッと濃ゆいのが最高でした。

それから何と言っても今回は光彬の活躍がとても光りました。誰にでも平等で寛容な人柄がたまに歯痒く思う時もあります。
ですが火付けの咎人を追い込んだ時に襲って来た武士とやり合う様子や、彬春との真剣勝負では文章からも鬼気迫る剣豪であることが感じられとても読み応えありました。

そして「八虹」の長であることを光彬に秘密にする純皓の苦悩と、純皓の変化に戸惑って光彬が気にかける様子でお互いが唯一無二であることは読者には分かるんです。

今回の事件も光彬の見事な裁きで一件落着となりました。そして純皓の懸念も晴れて2人はなお一層絆が強くなりました。

今月に出る本が次巻の続きなので今から読むのがとても楽しみです。

そして巻末ページの小山田あみ先生のあとがきイラストが毎回面白くて楽しみです。

1

傾国の人誑し・火事・真剣試合 

シリーズ4巻目。

光彬のヒトタラシがまた事件を呼び起こす。
光彬の魅力を玉藻御前に喩えて、不安になる純皓。
光彬は傾国の人タラシ。みんな光彬を知ると愛してしまう。
光彬の心をつなぎ留めて嫌われたくない純皓には
言い切れない「秘密」がある。咲も同様。

将軍後継の候補に挙がった尾張の彬春が、恵渡にやってきた。
二人は再会を喜ぶけど、二人が考える「武士の心得」が、微妙に食い違う。
彬春は血統主義。光彬に苦言を呈したのは、光彬の人事。
それが隙となり、彬春は陰謀に取り込まれて、悲劇を生んでいく。

相変わらず恋心に鈍感な光彬。 そして、彬春の想いを察知して心配する純皓。
彬春の発言に現れる変態嗜好。武芸の戦い=まぐ合う・・??

光彬を守護する九十九神の鬼讐丸が、凄く可愛らしい。

祖父の遺訓に従う光彬は、民優先の裁決を常に選ぶ。
事件が起きて、光彬の改革を阻む悪因がまた一つ粛正される。

ドラマチックなBL時代劇で面白かった。
完結後のスピンオフなど関連作発刊もあるようなので、楽しみ。

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