SS付き電子限定版
匠さん、美人!抱きつかれてズキュンと来ちゃった皐月くん、無理もないですよ。ましてやその美人が、人目を忍んで一人涙してるなんて。無理もないですよ。匠さんには子供の頃にもつらい経験があったことが、さりげなく修子さんからあかされ、ますますなんとかしてあげたいって思っちゃう皐月くん。でもそこで、「まだ学生の自分に何かできるんだろう」って考えちゃうところがすてきです。匠さんに誠実に向き合い、本当に大切に思っているんですよね。いい子だ!
そしてこの物語で、深く傷ついた匠さんを包みこんでくれる優しい湯気は、皐月くんだけではないところがすごくいい!ありのままの息子を受け入れ、心配してきた修子さんはもちろん、地域の人たちの温かさ、です。匠さんの事情はもちろん知らないけれど、帰ってきたことを大仰な言葉ではなく、自然に受け入れ、歓迎してくれています。
優しい湯気に包まれ、未来を向いて進んでいく二人、ずうっとお幸せに。
恋愛に本気になれない大学生と、3年付き合った同僚に結婚を機にフラれて実家である銭湯に戻ってきたサラリーマン(28)の話。
親にも自分のパートナーが同姓であることをカミングアウトしていて、「会ってみたい」と言われていた中でのこの展開。結果的に恋人だけでなく仕事も失って、明るく振る舞っているけど内心はボロボロで、気を抜いたら涙を流してしまう。そんな精神状態。
そんなタクミを支えるサツキが、変に手慣れているでもなく、かと言って初すぎないというのが、ちょうど良い。都会ではないけれどものすごく田舎ではないのだろうという街の雰囲気ともあっている。
もう二度と恋をすることはないと思った。こんなことで絆されるなんて、どうなのかと思った。それでも、過去に自分を捨てた男と目の前の男はまったくの別人なわけで、一度ミスしたらコンティニューできないなんてルールはなくて、差し伸べられたあたたかい手を、先はわからずとも今掴みたいという思いで掴む。そんな恋の話。
優しくて素敵なんですが、個人的には何かもう一つ欲しかったなという印象です。
三年交際していた恋人♂が、黙って結婚を決めたことでフラれてしまい、退職して実家に戻ってきた受様と、そんな受様の実家に下宿している攻様のお話。
三年ってかなり長いのですよね。その間、受様ときちんと恋人してたのなら、元カレもちゃんと受様を想っていただろうことが伝わり、それでも結婚を選んで、別れ話もなしに受様を捨てたという事実が、しんどさを増して伝えてきます。退職してでも離れたかったほどなんですよね。
傷心がこれでもかと伝わってくるのに、それを表には出さずに振る舞う受様にまた切なさが。
一方、好きとはなんぞや、な若い攻様。
即落ち2コマかな?な勢いで受様の涙に一目惚れし、転がるように恋に落ちます。
この、好きとはなんだと理屈で考える前に、一瞬の内に全力で恋に落とされたが故に、受様一直線な攻様の実直さがとても良かったです。
経験を重ねたが故に自身の性嗜好と向き合わざるを得なかった受様と、経験を重ねる前が故に走っていける攻様。
すごく優しいお話でした……!
3年付き合った彼氏と別れ、仕事を辞めて地元に戻った匠。そこで実家に下宿する早月と出会うところから始まるお話でした。
冒頭の元カレとの別れのエピソードはすごく苦しいもので、何でもないようにして見せる匠の笑顔が本当に切なくて…
いくら頑張っても越えられない壁に気付いてしまったら、すべてを一旦おしまいにしてしまいたくもなるよな、と。
そんな空っぽな時に早月に出会って告白されるけれど、すぐには気持ちを受け入れることができない匠。迷わず想いをぶつけてくる真っ直ぐさが怖かった部分もあったかもしれません。
でも早月がブレずに伝えてくれたからこそ、匠の心は救われてまた前を向くことができて。出会ってくれて良かったなと思いました。
そして匠の母ちゃんは本当にすごい人だなと感じました。昔からたくさん悩んできた匠にいつも寄り添ってきたのでしょうね。何があっても揺るがない親子関係ってすごく素敵だなと、しみじみ。
切なくて苦しい過去を乗り越えて、ふたりが心を通わせていくまで。甘さも感動する場面もあるとても素敵な作品でした。
想像していた以上に良かったです。
受けが序盤から不憫で仕方なくて切なかったので、攻めが現れてくれて本当に良かったと思います。
元恋人に裏切られたこの過程が本当につらくて。あらすじには振られたなんて書かれてますが、そんな優しいものではありません。
同性間で結婚できない現代では、この別れ方は残酷で苦しいものでした。
直前まで好きだった相手ですから、受けが元恋人を引きずるのも理解できます。
そんな弱った彼に一目ぼれしたのが、攻めでした。
強引ではないけれど、ぐいぐいと頑張る彼だからこそ受けの枯れかけだった心を潤していきます。
どこまでも臆病な受けと、そんな彼に寄り添っていく攻め。
2人が恋人になれたときは、ほんとうに良かったと安堵しました。