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表題作水曜日の悪夢

阿川真吾,高校二年生
新城和成,バイオリン講師,28歳

あらすじ

「悪夢のような過去は、決して繰り返してはならない」高校の音楽講師を務める元バイオリニストの和成。
不慮の事故で弾けなくなった和成は教え子である真吾の類まれなる才能に惚れこんでしまう。
ある日、和成は、父親からの虐待に苛立つ真吾を預かることになった。
「先生の身体、触りたい」教師として尊敬されているだけだと思っていた。
突然無口な真吾に飢えた獣のように激しく求められて、和成は戸惑う。
しかし愛を知ることによって、真吾の才能を更に伸ばせるならと偽りの愛情を与えてしまい…。

作品情報

作品名
水曜日の悪夢
著者
夜光花 
イラスト
稲荷家房之介 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
水曜日の悪夢
発売日
ISBN
9784877245801
3.6

(59)

(17)

萌々

(13)

(22)

中立

(4)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
207
評価数
59
平均
3.6 / 5
神率
28.8%

レビュー投稿数10

読み応えあり!

危うく火曜日から読み始めそうになりましたが、順番は水曜➝金曜➝火曜日。
水曜と金曜日はがっつり話の絡みがあり、火曜日は少し独立してるけど、水曜、金曜のキャラも少し出て、これまでを読んでるからこそ胸にくるとこもあったので、やっぱり順番は大事ですね。

今作は真吾の才能に惚れ込んだ和成が、真吾の恋心を利用してでもヴァイオリンの道を極めさせようとするところに、気持ちが変わっていくところが読み応えがありました。

真吾のどうしても和成が良い、和成を守りたい、誰も近寄されたくないっい独占欲の荒々しさも子供っさもあれど、それはそれで良かったです。

どうしてまた…という苦しみから、和成が道を見つけて最後は大団円で…この無限ループが3冊続くと勘違いしてたので、一区切りで良かったです!

1

悲しい運命を変えるために

事故で将来を断たれてしまった元バイオリニストと、類まれな才能を持ちながらも、バイオリンを父親に反対されている男子高校生のお話。だいぶ前に読んだはずなのだが内容を憶えておらず、再読。

教え子の真吾が諍いの末に父を殺してしまうという痛ましい事件が起こり、そのことを激しく後悔した瞬間に、和成は事件が起こる直前にタイムリープする。そのまま真吾を自宅に住まわせ、どうにか父親との接触を阻止したものの、やがて時空がねじれはじめ、徐々に運命はまた元の方向へ…。

SFっぽい凝ったストーリーそのものは面白かったのだが、萌えという点では若干不発。
真吾は和成にもともと憧れがあるので、同居の過程で関係を持ってしまうことになるのだが、和成は技巧は申し分ないのに曲に情感を込められない真吾が、恋をすれば変わるのではないか、と思って彼の気持ちを受け入れる。しかも、和成が真吾を救いたいという動機のもとは、彼ほどの才能があれば、叶えられなかった自分の夢を託せると考えているから。
この二点がどうにも引っかかってしまい、年下男子が若さの勢いでガツガツしてるのを見ても、終始独り相撲に見えてしんどい。徐々に和成もほだされてくるものの、その気持ちは、真吾には才能があるから、その才能を潰したくないから、という条件付きの愛情な気がして、最後までどことなくモヤモヤしてしまった。という訳で、ちょっと残念な気持ちの読後感だった。

0

まさか、そっちの方向に引っ張られるとは!?

自分の場合、この小説は九割がた読んで真相が見えてきたところでようやく潜んでいた面白さに気付いたので、できる事ならばネタバレを見ていない状態で読んでもらうのをお薦めしたい。

見た目不愛想で取っつきにくい高校生×臨時の音楽教師。
真吾にバイオリンを教える立場の和成が年上受けとしても教師をしてもしっかりしていたので、彼をどうにかしたいという感情に流されていながらも、本来教師が持つ矜持は保たれていた気はする。
ピアノ・バイオリン物でよくある『プロを目指す情熱』ってのがこの話にもあって、真吾の秘めている才能を閉ざしたくないという熱意を感じた。

話は【起】から【承】に流れていく辺りで真吾の父親は何故バイオリン嫌いなのか、母親はどんな人物なのかって疑問と、一部分だけ時間が巻き戻った謎の伏線が織り込まれている。
真吾をプロの演奏家に育てたい和成、独占したい相手=先生だけに聴いてもらえばいいと思っている真吾。
この二人の意識の差違を埋めていく過程がメインなのかと思っていたところへ、【転】にて意外な方向へ引っ張られて意表を突かれた。

恋愛感情よりも、真吾の再生といった経緯に惹かれた一冊だったが、結末まで読んでこの二人が今後どうなるのか気になるところだ。
この一冊を通して、和成がいざとなれば真吾を守りたいと立ち回る頼もしさが読めたのが良かった。

0

わたしのラブはサブキャラでした

本作→『金曜日の凶夢』→『火曜日の狂夢』と続くシリーズの一作目です。
三冊とも表紙が素敵なのですが、この『水曜〜』の表紙が一番好きですね。(作品は金曜日が好きなのですが)
このシリーズ文字もみっちり、厚さもある、話は複雑と、じっくり読むにはうってつけです。

**********************
受けの和成は28歳のバイオリン講師。
この度、高校で代理講師を努めることに。
過去にはプロのバイオリニストでした。

攻めの真吾は、和成がレッスンすることとなった内の一人。
テクニックは完璧ながら情緒に乏しく、危うい雰囲気を持つ高校二年生。
**********************

小柄な年上の受けとガタイの良い年下攻め。
最初はそんな印象しかありません。
臨時講師にちょっとした憧れのある高校生といった風です。
真吾の家庭環境は複雑で、そちらと彼の不器用さメインに進んでいきます。
が、その真吾と父親の件で和成が経験することとなるのはタイムリープ。
なんだかこんな横文字で書くと、なんとも軽い感じなんですが(汗

最初に時間を遡った時、和成は真吾の未来を救ったように見えますが、現実には和成自身の欲求、野心のためと受けとれます。
なんともこれには形容し難い後味の悪さがあるのです。
真吾が純粋なだけに。
視点が和成なので、彼が真吾に対して愛情よりも自分の夢を重ねていて、そのためだけの行為という辺りが書かれているからだと思います。
まあ和成は音楽バカなので、真吾を情緒に欠けると言いながら自分自身も充分その毛があるなあ(苦笑

和成はタイムリープによって真吾と自分の夢を守ったと思っていましたが、それは大きな勘違いであり傲慢な考えだったんですよね。
話の収束の仕方は若干ご都合主義的な部分がないわけではないのですが、この後の未来がどうなるのかこちらへ想像させる終わらせ方です。
が、アンハッピーではありません。
ちょっと切ない感じでしょうかね。
次巻にこの彼らのその後も登場していますので、続けて読まれると良いですよ。

途中途中、和成の友人である紀ノ川が登場しますが、彼は二作目の攻めとなります。
わたしは紀ノ川贔屓なので、こんなにたくさん登場してくれてこちらの作品も楽しめました。そのせいで萌×2です(笑

6

やっと読めた!

音楽家ものということで気になっていたのですが、
SFのような設定と知り、苦手意識が最初にきてしまい、
気になりつつも、なかなか手にとることができませんでした。
しかし、なかなか楽しめました。
うまくできたお話だな~と感じました。

バイオリニストの夢を諦めた音楽講師、和成は、
生徒、真吾にたぐいまれなる才能を見つける。
真吾は母親を亡くしており、父親とはうまくいってない様子。
和成は、自分の叶えられなかった夢を真吾に叶えてほしいと、
バイオリンを教えていきます。そんなある日、真吾が、
父親を殺してしまうという事態が起きる。
和成は、止められなかった後悔にさいなまれると
なぜか、真吾が父親を殺す事件を起こす前日に戻っていた。
所謂、タイムリープが起きるお話でした。
真吾を父親と一緒にしておくと、また同じ事件を起こしてしまうのではないかと
懸念し、和成は真吾と一緒に暮らすことにします。
そんな中、真吾は、和成のことが好きだといい、
和成は、真吾が音楽家として大成するためには恋愛を知ることも必要と
考え、関係を持つようになります。

最初、和成が打算的に感じてしまい、なかなか好きになれませんでしたが、
徐々に和成の心が動いていく様子が、面白かった。

色々大きな事件が起きているお話なので、
2人のラブは少ないので、幸せな2人の後日談を読みたいです。

2

なんとなく物足りない

夜光花さん、初読みです。
事故で将来を失ってしまった和成が才能ある高校生、真吾と出会ったところから始まる物語。
時間が行ったり来たりするちょっと不思議なお話でした。
絶望して目覚めると過去のある時点に戻っているので夢落ち?とも思いましたが、起こっていることが、夢と言うには生々しいのでタイムスリップと考えた方がいいのかも・・・。
大人の打算(笑)と純粋で真っ直ぐでそこしか見ない高校生、死してなお続く愛する人たちへの思いというにはちょっと物足りなかったかも知れません。

0

なんとなく中途半端

夜光花さんは、初読みです。
レビューなどを見るにあたり、人気の作家さんなんだろうなぁと思います。
なので、期待して読んだんですが....

文章は、落ち着いていて、とても読みやすかったです。
ただ私の感情の起伏を促がすような部分が全くなくて、全体的に印象が薄いです。
泣かせる要素や切なくさせる要素が、エピソードにふんだんに盛り込まれてはいると思うんですが、全てが通り一遍といった感じで、ふーん...としか思えませんでした。
決して、読むのが苦痛になるというほどつまらない訳じゃなかったんですが、とにかく読後感に何も残らない。
お話としてはよくまとまっていると思うので、無難に落ち着きすぎているのが、私にはマイナスだったのかなぁー...と。
攻め受けともに、私の好きなタイプではなかったのも、二人の心情に沿いにくい要因だったのかも。

個人的には、偽りの愛情うんぬんかんぬんで、攻めと受けに一波乱あれば、泣けたのでは...と思ってます。
なんだか全てのエピソードが中途半端に思えたので、もう少しエピソード自体を減らして、的を絞ってあったら良かったんじゃないかなぁ?と思います。

2

SFBL

・どこまでも子供な攻め(高校生だし)
・どこまでも大人な受け(先生だし)
・時間枠いったりきたり。
・ホントは死んでる筈なのに?
・気になるいろんな人生。
・やりなおしたい、あの時間から
というのをなんだか見事に書きこなしておられました。
・執着攻めと、気長受け。
題材はおもしろかったですが、時間枠のトラップにおちこむと
あれ?って気持ちにさせられます。

総評
難しい題材をうまくまとめていたと思います。
このSFティックな作風についていければ楽しく読めるのではないかな。

0

泣きました

最後まで読んで泣きました。

和成は事故でバイオリンをまともに弾くことができず、音楽講師として高校に勤めていました。そこで出会ったのが真吾。
真吾はバイオリンの技巧が素晴らしく、真吾なら自分の夢を叶えてくれるかもしれないと期待していました。しかし真吾の家は母親が死んで、父親に虐待を受けていました。
ある日顔に傷を負った真吾はバイオリンをあずかってくれと和成に頼み、次の日和成は最悪な事態を知ります。真吾が自分の父親を殺してしまったのです。
和成はショックを受けましたが目が覚めるとなんと、真吾がバイオリンをあずけにくる水曜日に戻っていたのです。

確かにSFといったらSFでしょうね。時間が戻ってしまうのですから。
時間が戻った和成は真吾を最悪な事態にしないために必死に運命を変えようとします。
真吾がすごく一途な年下攻めでした。和成が大好きという気持ちが伝わってきます。エチのときも「舐めて…いい?」と聞いたり、可愛かったです。若いのでちょっと性欲が元気なとこもありますけどね(笑)

最後がすごく良かったです。
この水曜日の悪夢を終わらせられて、真吾と父親の関係もうまくいって、和成も真吾に気持ちを伝えられて。ほんとに涙が止まりませんでした。
夜光花先生はストーリーもエロも神すぎます(笑)

4

SF

SFでした。
アイデア自体はよくあるものですが、こういうのを使いこなして小説書くのって夜光花さんらしいなァと思います。

主人公はバイオリンの先生(受け)です。交通事故で、バイオリニストの道を閉ざされた過去がある。
相手役は高校生(攻め)。
受けは攻めのバイオリニストとしての才能に惚れ、自分の夢をたくすことを決意する。
ただ高校生の家庭は複雑で、虐待にあってて、ある日その高校生は父親を殺してしまう。先生は絶望し、後悔する。
すると不思議なことが起きる。事件の前まで時間がリターンするのだ。
先生は高校生の父親殺しを食い止め、家に引き取る。
先生にとってこの高校生は、自分のなしえなかった夢を具現化したものだった。
だから、先生に恋したこの高校生が、恋人としての愛を求めてきたとき、断りきれないんです。迷いつつも『踏み台になるなら』『バイオリンの肥やしになるはずだ』と受け入れる。

高校生の愛は子供っぽいです。グイグイ押してきたかと思うと、叱られてシュンとなったり。エッチをちらつかされてバイオリン頑張ったり。
先生はオトナ。何をされても怒らない。気が長い。
一見高校生が先生に片思いしてるかにみえるけど、そこにバイオリンが介在するだけで形がかわる。先生のバイオリンに対する執念はスゴイです。

最後は夜光花さんらしい落ちがつきました。面白かったです。
高校生の性格がもうちょい愛らしかったら良かったなぁ。凶暴なゴリラみたいで、どうも萌えにくかったw
脇役の紀ノ川さんがイイと思ったのは私だけではあるまい。

6

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