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表題作いつか、きみのヒーローに

明良、料理人、25歳
西谷夏生、在宅勤務の会社員、28歳

その他の収録作品

  • 今度はきっと、負けない

あらすじ

傷心の夏生は、今は亡き祖父に譲られた家へ逃げるように引っ越した。そこで出会った古民家喫茶で働く強面の青年・明良が、幼少の頃、祖父の家に行くたび夏生によく懐いてくれた「あっちゃん」だと発覚する。保護した迷い犬の飼い主である明良からの提案でそのまま子犬を引き取ると、毎日の散歩に誘ってくれたり不摂生な食生活の夏生に美味しいご飯を用意してくれたり、なにかと世話を焼かれるように。大好きだった祖父とのわだかまり、元恋人からの裏切りで人間不信気味な夏生の心を、明良は優しく解いてくれるけど……?

作品情報

作品名
いつか、きみのヒーローに
著者
椎崎夕 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344851061
3.7

(11)

(5)

萌々

(1)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
39
評価数
11
平均
3.7 / 5
神率
45.5%

レビュー投稿数4

ストーリーが良すぎて長文レビューで失礼します

めちゃくちゃ素敵なストーリーです。
もうね、心臓がちぎれるかと思いましたよ。

20年ぶりに幼馴染と再会するお話なんですが、BL要素とは別に家族のストーリーもあって、主人公・夏生の祖父とのエピソードが、あまりにも感動的で涙ボロボロでした。ティッシュ何枚使ったことか分かりません。


亡き祖父の家を相続したきっかけで、20年ぶりに祖父の住んでいた町へ引っ越してきた夏生。
この主人公、すごく可哀想なバックボーンを背負っています。まず、実の両親と兄が毒親・毒兄です(特に母親は最悪)。本編では過去エピソードでのみの登場ですが、夏生への仕打ちが酷すぎてムカついて仕方なかったです。
そんな夏生の味方でいてくれたのが、母方の祖父。小3の夏休みまで祖父のいる町へ行っていたのですが、母親の理不尽な言い掛かりによって祖父に会うことが出来なくなります。そして祖父の死…夏生は葬式に出ることもできませんでした。

中盤までは祖父と家族の関係に触れていて、家の相続の理由とか、幼い日の祖父との思い出に触れるのがメイン。祖父の夏生を思う気持ちと、夏生の祖父を慕う気持ちの描写が超絶感動的です。涙で文字を追うのが困難でした。
夏生に届くことが叶わなかったゲーム機のプレゼント。母親によって受取拒否扱いにされてしまった祖父からの手紙とテレホンカード……今はほぼ見かけないアイテムが、無常な時間の流れを感じさせていて、余計に涙を溢れさせました。
この部分だけでも実写して欲しいくらい(曲は井上陽水「少年時代」でお願いします 笑)、胸がジワーっと熱くなりました。


亡き祖父との感動的な思い出エピソードも最高ですが、本筋のBLストーリーもこれまた良い。
昔祖父の家に遊びに来ていたときに仲良くなった"あっちゃん"との再会です。見違えるほど男らしくなった"あっちゃん"こと明良は、自分の家で産まれた仔犬が夏生に懐いたことをキッカケに、夏生の家のこと食事のこと、身の回りのことを色々とお世話し始めます。

明良のアプローチがめちゃワンコ(^-^)
昔から夏生のことが好きだった明良は、夏生が来訪を何度断っても諦めない。俺が来るの迷惑?とかなっちゃん(夏生のこと)といるのが楽しいし、好き。とか言うんですよーーこ・れ・が!もう言動があからさまでニヤニヤするしかないじゃないの(笑)
町の人気者の明良だから、嫉妬のあまり夏生に敵意を向けるヤツもいてウザさ満点です。ちょいちょい出てきていらんこと言うから、殴ったろかって何度思ったか。コイツのせいですれ違いと誤解が生じて、脳内でコブラツイストからの卍固めをブチかましてやりましたわ。

明良とのすれ違いと同時に、夏生の元カレまで登場して、夏生を無理矢理引っ越しさせようとする展開に。夏生が前の会社を退職する元凶のくせに、今度は脅しをかけにくるクズヤローです。夏生は、自分の家族のこと、元カレのこと、会社を退職に追い込まれたこと、嫉妬ヤローのことなど、敵が多くて可哀想過ぎです。

そんな夏生を助けてくれたのは、もちろん明良です。夏生は元カレの前でキッパリと明良を好きだと公言しました。強く突っぱねた夏生は以前より強くなっていました。それもこれも明良と過ごした日々のお陰。
でも明良は、昔自分がひ弱だった頃いつも夏生が助けてくれたから、夏生はヒーローなんだと。お互いにヒーローだと思い合う2人の関係が、すごく素敵だなぁ…と感じずにいられませんでした。

堰を切ったようなキスとエッチは、描写がすごく丁寧。文字の綴り方がロマンチックでした。シーンにしたら多分あっさり目だと思うんですけど、情感たっぷりで濃厚さを感じました。

恋人同士になったあとの、明良の溺愛ぷりが良い!さらに夏生にデレデレです。
最後にちょこっと明良視点のエピソードもあります。うん。間違いなく溺愛攻めでした(笑)

ワンコ2匹もとっても可愛くて、表紙も素敵。
夏生の家族が現在どうなってるのか気になりましたが、今は夏生がとても幸せそうなのでまーいっかと。何かが起きたとしても、夏生の最大の味方である愛する番犬がいつも傍にいて守ってくれますから(笑)


大好きな作品がまた増えました。
何度でも何度でも大事に読み返していきます。

10

また泣かされましたw

椎崎夕先生の作品好きなんです。妙に性癖にブッ刺さるというか、人と人との感情の機微を書かせたら見事なんですよね。
今回も思いっきし泣かされて、鼻を啜る音に家人が具合悪いの?と部屋を覗きに来たほどでした。www

今作では極悪人が2人登場します。
1人は夏生の母親でハッキリ言ってしまえば、今なら児相案件にもなりそうなほどのハラスメントだと思うんですね。8歳の子どもに対する扱いじゃないです。今のところ旦那も長兄も言いなりのようですが、あんな癇癪持ちの母親では長兄はこの先結婚出来ないと思うし、出来たとしても嫁姑問題で荒れそうでした。
コイツらの行く末が読みたいので続編が読みたいと思ってしまう程でした。

そんな母親から守って愛情を注いで来たのが夏生の祖父でした。元々折り合いの良くなかった祖父と母親が衝突したことで、夏生は祖父に嫌われてしまったと傷付きトラウマになってしまうんです。

この祖父との誤解が解ける日がやって来るのですが、祖父が遺した夏生の部屋や手紙に渡さなかった誕生日プレゼントの山に涙が止まらなくてですね、こうしてレビューを書いてる時でさえ胸が痛くなって来るんです。

そして第2の悪党は夏生の元彼でした。夏生の仕事の手柄を自分の物とした上に上司の娘との婚約が決まれば夏生を捨てて、更に濡れ衣を着せて会社を退職するように仕向けたのです。こいつも本当に糞で夏生が会社を辞めてからも利用しようと近付いて来るんです。

夏生は小さな頃から母親を始め家族から抑圧されて育ってるので、自己肯定感が低いし言い訳も出来ず諦める方に流れる悪い癖があるんです。
それが祖父が亡くなるまで会えなくて、元彼にいいように利用されてしまう原因にもなっていました。

そんな夏生を救ったのがたった2年しか会ってない幼馴染で、夏生が忘れられなかった明良なんです。そして明良の愛犬であるシエルと、後に夏生の飼い犬となるリオンなのでした。

明良の夏生への好意は明らかなのですが、男同士ということでなかなか進展しないのが焦ったく思いました。
明良は小さな頃と違って精悍な好青年となり男女共々人気なのです。そんな明良を慕うマモルという青年が2人の仲を邪魔していました。

失意のドン底に居た夏生に急に来た祖父の家の相続と逃げるような引っ越しでしたが、そこで明良の好意と祖父に関わりのある人々によって、夏生の傷付いた心が再生されるお話になっていました。今の上司を始め信じられる人を見つけた夏生がやっと幸せになれたと思うと感無量でした。

その後の夏生が気になるので、是非とも続編をお願いします。

1

茶色いもふもふが大活躍

初読みの作家様でした。
正直なところ、攻受のキャラクターにはハマれなかったので(汗)…萌えきれなかったのですが、
1. とにかくワンコが可愛い(あんあんって…)
2. 受とその祖父との関係性に泣ける
というわけで、読みごたえのある作品でした。

印象的だったところ:
もうね~、レトリバーの親子が可愛すぎて癒されます。とくに仔犬ね!!はぁ~、このモフモフには抗えねぇなぁ~!なんちゅー賢くて優しい生きものなんだ、君たちは!と彼らのわんわんしてる描写だけで頬が緩みました。受さんに飼われることになる、仔犬くんが二人の仲をとりもつのが素敵でした。

また、家族仲のよくない受さんの唯一の理解者である母方の祖父との幼い日の思い出が、いい話すぎて反芻するだけで涙腺がやばいですw。にしても、受さん、よくちゃんとした(?)大人になったな~と思えるくらい家庭環境厳しい印象なんですが、それはやはり、短い期間だったけれど、一緒に過ごした彼の祖父の影響なんだろうな~としんみりしました。そして、このおじいさまと地元の古本屋の店主の関係に、なんだか妄想が膨らんでしまいました(なんかある!)。ここで過ごした日々から、受さんが得られたものは、まさにプライスレス!

咀嚼しきれなかったところ:
攻さん、なんとなく登場したときの印象と、その後受さんにデレデレデレデレ…しちゃうところの人格が私のなかで一致しなくて、もっとクールな感じかと思いきやかなりな執着溺愛攻でした。受さんの元カレのキャラとか(破壊しすぎてて理解不能でしたw)、職場の感じとかが、え?そんなことになる??的な軽い違和感があって没入できなかった気がします。受さんの個性、強く出る部分と弱くなる部分が極端すぎて(でもそこがいいと攻は語るw)、読みながら時々戸惑ってしまったというのも個人的敗因かもしれません…。

運命の再会を経て、すったもんだで意思確認まで時間がかかった二人のスケベは、後半にじっくり堪能できました。繊細な描写で、ふたりの官能が高まる過程が丁寧に描かれていて、読みながら少し体温あがりました。

4

いつもはハマるけど

先生買い。いつもはドはまりするんですが、今回はダメだった。攻め受けとも好きになれず萌えあがれず中立にしました。うーん。いつも通りな椎崎先生の攻め受けだったと思うのですが、個人的に何かが足りなかったと感じた、現代日本舞台、ファンタジー要素一切なし、立ち回り下手っぴな受けさんのお話。

母方の祖父が遺した洋館に引っ越した夏生。2年ちかく放置されていたため、お化け屋敷じみているのに加えて、人付き合いが苦手でご近所さんとも挨拶ちょこっとしたぐらいで、ちっとも馴染めていない。初めて買い物に出た際に懐いてきた子犬が家まで付いてきたのを交番に届けようとしたら・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
シエル(攻めのわんこ)、リオン(受けのわんこ)、山科(受け祖父の知り合い)、真藤(受けの上司)、菊池(受けの知り合い、くず)、受けの父母兄、叔母、マモル(攻めの知り合い、意味不明)、その他攻めの知人少々。くそったれな人が今回多いのが、ダメな理由の一つかも。

++攻め受けについて

攻めがなあ。今一つカッコよしと思う瞬間が少なかった気がする。受けの食料事情を一手に引き受け一生けん命面倒見るのは良いのだが。

受けさんは不器用、かつ、くず男に惚れていたが故にくず男に付きまとわれ最悪。やむを得ない状況に追い込まれていってしまって、ひじょー--------にイライライライラ、なんとかならんのか!!!と吠えたくなってしまったのです。

マモルとかいうアホ(精神年齢5歳クラス)も好きじゃないし、菊池とかいう人間の屑のような男は、寄るな触るな同じ空間に位置するのもイヤってぐらい嫌いで、周りに読むのもイヤになる奴がいたことと、攻め受けに惚れる箇所が無かったので、うー-んと唸ってしまった一冊でした。受けになんか特殊な能力(芸術関係とか)があればまだ印象が変わったかもしんないんだけどなあ。

1

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