イラスト入り
読んだのは図書館に蔵書されていた旧版です。だからpassed〜が読めてません。
さらに、三部作の最後を先に読んでしまったって言う悲しい出来事。
後書きを読むまで気が付いてませんでした。なのでこれだけ読んでも違和感はありません。
で、、、何ですか、これはBoysのLoveなんですか?!
Loveが無い(実際にはあるんだと思うが)んですよ。攻めは良く出てくるタイプの誠実じゃ無い医者。受けは意思疎通をしにくいけど、ちゃんと生活できるレベルの自閉症の子。ひょんなことから、攻めの治療を受けて…なのですが、もう恋愛小説じゃ無いですよね。さすが木原音瀬さん、って。
途中に出てくる吉村なんかは典型的な偽善者だし。最初はもしや吉村と他にわきが取り合うのか?とか思いましたけど、そんな型にハマったものじゃなかった。コイツもイケてないクソ野郎だった(爆)
金髪の加藤の方がフラットに物事を見られるいい奴じゃ無いか。
しかし、谷脇の改心?が佑也の力だとしたらすごい。彼がこれから見えない感情を理解して言葉にできる時がやって来るのかな。
二人の間にあるものが愛情だと良いのに。。。
木原さんの作品って、その後、のお話がとても良いので、やはり新装版を手に入れるべきか…と思ったのでした。
WEED→FLOWER→POLLINATIONの3作目です。
常識で考えたら「こんな作品出版して大丈夫なの?」と思ってしまうようなハラハラする描写が多々ありますが、そこは木原マジックですんなり受け入れられちゃいます。
最初のWEEDではゲスかった谷脇が作品を通してだんだん本当の愛に目覚めPOLLINATIONの後半には溺愛攻めに覚醒。感動しました。
木原先生はエロくて魅力的なキャラを書くのが本当に上手いなと思います。
「これをすれば『思いやり』と『優しさ』がわかるのです」
3部作の3冊目。自閉症を木原さんがどう描かれるのか。そして相手が鬼畜谷脇!3つの中で私が一番気になっていたのはこのお話でした。
3冊どれから読んだら良いのか迷っている方がいらっしゃれば僭越ながら参考までに。(ネタバレを含みますが) 私は②③①で読みました。
クズの医者2人が3冊共通の登場人物で、お話自体は1冊完結です。
①WEEDから…これだけ若宮メイン、谷脇と3P強姦した被害者との恋。中盤乙女で後味はエモめ!
②FLOWERから…谷脇メインのお話。医大生との恋 ①の若宮岡田cpも少し出ますが説明があるので、若干愛着は沸きづらいですが話としては問題ないです。
③今作からであれば、②で恋人が亡くなるまで谷脇は散々酷いことをして大切さを実感できなかったこと、外科一の腕を持っていることを知っていれば大丈夫です。
谷脇の心の声や企みは笑える程クズで清々しく笑っちゃいます。思う存分抱けると思って上手いこと周りを丸め込み、外科処置した少年佑哉をマンションに引き取ります。何も知らない少年を地位ある男が囲うBLかと思いきや、谷脇と一緒に自閉症とはなんて厄介なんだと思い知らされます。
本編後の佑哉視点である「NEED」で更に、自閉症とはなんと生き辛く、彼らにとって自然なことが他の人に理解されないかが描かれています。悪気がなくとも理解できない人が去っていく。
谷脇のことを佑哉がどう思うか聞かれた時の答えには笑っちゃいました。
佑哉と暮らし、人らしい側面が生まれてくる谷脇の成長?に、読む側はほんの少し感動します。
谷脇にも人の心が宿ったかと思いきや、佑哉の大学の友人吉村に性的搾取を指摘され、勘違いだと大人の男らしく軽くあしらいます。その後の帰り際のゲス顔ときたら…!!(挿絵あり) 最高でカタルシスを感じるほどでした。なんて魅力的なクズキャラなんでしょう。
そしてもう1人の魅力的なキャラクター、“金色”と呼ばれる加藤。彼はドラッグもするし勉強しない若者ですが、佑哉に金髪を気に入られ交流を持ちます。金髪にオレンジ色や黄緑色の服を合わせるのなんて良い趣味です。絶対可愛い。
自閉症について知らなくとも色んな友達のいる加藤は殆ど先入観も差別もなく佑哉に接し、時に諭してくれます。彼との会話がこの小説の中でキーになっていて、彼との出会いがなければこの美しいラストにはなりませんでした。彼がいれば佑哉は心の成長(それは普通と言われる人側の差別的な意味ではなく、人として)が出来る、思った事を口にして議論出来る。人として認めてくれる人です。
また谷脇にとっては佑哉との出会いが、今までにない人らしい部分を生み出したと考えれば、この本は二つの出会いが人を変えていくことを描いていると言えるのではないでしょうか。
「やっぱ、イイよ。アルジェ・ガリのコート着てゴミ集めなんてすんの、世界中でもお前だけだぜ。」
どうかこのまま交流が続いて、金色くんは谷脇の良きライバルになってほしいものです!
3部作目!
このシリーズではもはやお馴染の谷脇がまたまたメイン攻めです。
1部から群を抜くクズっぷりですが今回も健在で。
自閉症の未成年の男の子に現役医師が手を出しはじめます。
モラルの欠片もあったもんじゃない。
自閉症については深く知らなかったので、色々と驚かされました。
そんな設定の子をBL本の受けにし書ききった木原先生は本当に凄いと思いました。
BL界隈では稀なカップリングではないのでしょうか。
一日で読み終えました。
二人の愛と呼んでもいいのか分からない結び付きから目が離せませんでした。
でもBL本としてしっかり成り立っているとも思える…木原先生らしいマジックです。
前作「FLOWER」で、恋人の松本を失って初めて愛に気付いた谷脇。急患で手術した自閉症の少年・佑哉に松本の面影を感じて、行き場のない彼を引き取り暮らし始めます。初めは松本の身代わりだったのに、気づけば扱いの難しい佑哉の世話を焼き、可愛く思い始めて。しかし、谷脇が佑哉自身を愛していると気付いた途端、佑哉は谷脇の元を逃げ出してしまいます。
以前、私は自閉症のお子さんの特性について知る機会がありました。この作品を読み、彼らの行動についてようやく腑に落ちた部分が多々あり、木原さんの入念な取材姿勢に感嘆しました。
抽象的な感情を理解できない佑哉という人物を通して描きたかったことは何か。口絵のイラストにある佑哉のセリフ、「思いやりは、なんですか」、「優しさは、なんですか」、「愛は、なんですか」。その問いかけを描きたかったのではないかと思いました。
佑哉は、自分の中に芽生えた谷脇への愛情を理解できなくて一度は谷脇の元を逃げ出すのですが、考えてみれば、恋愛感情というのはひどく曖昧で、苦しい時もあるため、そういう感情の浮き沈みに耐えられない人がいるのは不思議ではないのかもしれません。思いやり、優しさも、愛と同様、目に見えず、それが何かと問われたら、簡単に説明するのは難しいことに気付きます。
ヒントかなと思ったのが、佑哉の大学の顔見知りの金髪男・加藤の言葉。「大切にされてたら、一般的に嬉しいもんなんよ」。大切にされたら嬉しい、だから自分も相手を大切にしたい。優しくされたら嬉しいから、優しくしたい。愛されたら嬉しいから、愛したい。嬉しいと言う気持ちが、思いやりや優しさ、愛の出発点なのかもしれないなと思いました。
でも、佑哉は加藤の言葉が理解できません。加藤に「お前は谷脇に大切にされている」と言われ、大切にされると苦しいなら、『苦しみ』が『好き』ということなのか?と、分からなくなってしまいます。
その後、谷脇が風邪で寝込んで、佑哉に小さな変化が生まれます。佑哉は、再び谷脇と暮らすようになってから毎晩セックスすることを習慣にしていたので、寝込む谷脇の服を脱がせるのですが、だるそうな谷脇を見て、今は『しない方がいいのかもしれない』と考えます。それが思いやりや優しさと分からなくて、そして谷脇が自分にとって何なのか知りたくて、「思いやりは、なんですか」「優しさは、なんですか」「愛は、なんですか」と問うのです。
谷脇の「知りたかったら、俺のそばにいればいい」という返事が、谷脇の成長を感じさせてグッときました。男も女も欲望のままに弄んできた谷脇が、こんなことをいう日が来るなんて。佑哉が自分を好きになるのは砂漠の中で探し物をするようなものだから、気軽にやっていこう。そんな大きな気持ちで佑哉と一緒にいることにした谷脇が、すごくいい男に思えました。佑哉の身の回りの世話をし、同じ質問を10回以上繰り返す佑哉に、細かなニュアンスを変えて応える谷脇は、もうスパダリの域に到達している気がします。
松本の墓参りの後、谷脇は切なくなって佑哉の胸に顔を押し付けます。佑哉は、砂場で泣く子どもが母親に抱きしめられていた姿を思い出し、谷脇の頭を撫でてやります。そして、谷脇が切ないとき自分はそばにいないといけないと思うのです。心で感じるのではなく、形から入る独特のアプローチ。それでも谷脇は慰められたでしょう。少しずつですが、佑哉なりに谷脇に近づいています。
希望が感じられるラストに、愛にはいろいろな形があっていいと、しみじみ思いました。
タイトルのPOLLINAIONとは、植物の受粉のこと。佑哉は、谷脇と自分の行為は男同士で雄蕊と雌蕊じゃないから、セックスじゃないと固く言い張ります。タイトルと共に、谷脇と佑哉の物語は忘れられないものになりました。