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ありがとう いい夢見れた
人口減の町で役所に勤める矢澤は、日々の閉塞感を癒やすためにチラシにあったレンタル猫を試すことに。約束の日、家に来たのは本物の猫ではなく、猫耳としっぽをつけた人間の男だった。というお話。
「ちるちる」でずっと前から紹介されて気になっていた作品。メリバ的な特集でしょっちゅう挙げられるので覚悟してページをめくったのですが、その先入観がなければもっと衝撃を受けただろうなと思いました。確かにこのシチュエーションでは救いがないけれど、でもやっぱり普通のハッピーエンドを期待してしまう。二人とも苦境に立っているからこそほんわかした生活を送って欲しいという、お花畑的な希望ゆえです。ハッピーエンドは商業BLのお約束でもありますし。
最終話のとびらイラストが可愛くて、こんな毎日を二人には迎えて欲しかったですね。切に。
矢澤もタマも、ビジュ含めて好きなキャラでした。二人とも表情がとてもよくて、特にタマが矢澤に抱っこされてるときの安らいでいる顔が可愛らしく印象的で、あとで自棄になったタマ(青)が「あのときはよかったなあ」と回想するのに相応しいシーンでもありました。
キャラもよかったですが不穏な背景も秀逸でした。将来、人口減の果てはこんな風な社会になっていくのかなあと薄ら寒い気持ちにもなりました。
かなり前から、タイトルと評価は聞いていて読もうと思っていたのですが、なかなか手が出ずようやく読むことができました。
まず読んだ感想としては、これ本当にコミック一冊か?・・・です。三時間の映画を一本見たような重さがズーンと胸に響くそんな作品でした。
らくたしょうこ先生の作品は、『ドラマ 雨上がりの僕らについて』をきっかけに読んだ原作しか知らなかったので、今回の『レンタルタマちゃん』はあまりにも角度が違う作品だったのでかなり驚きました。
少し寝かせて読んで大正解の作品でした。
プロの「レンタルネコ」のタマと、猫好きなのに猫に好かれないお疲れ役所勤めの矢澤の、人生を変える出会いをした2人の、幸せについて本気で考えるヒューマンドラマでした。
タイトルとサンプルで勝手に「寂れた町でねこちゃんに癒されるハートウォーミングラブストーリー」と思って読んだら、色々と大変なことになった作品でした。
参考までに書くと、殺人、死ネタがあります。以下、ネタバレ注意です。
私的には、バッドエンド寄りのメリバに仄かな明かりが灯されたような読後感でした。
まず、設定が地味にクるものがありまして。
「国家が社会福祉制度を手放してしまい、都市間の貧富の差がはげしくなって寂れてしまった死にゆく町」という設定に、フィクションと言い切るには何かザラッとした物を感じてしまいました。
あと、私の中で、物語を読んでるときに無自覚に意識していた「まさか越えることはないだろう一線」を越えた作品でしたね。
そして、タマの人生にとって「いい夢」が見れたことはよかったことなのか?という疑問は、いつまでも心のどこかに引っかかり続けると思います。
辛辣なリアルとボーナスのファンタジー。童話の様で寓話的な。どうしようもなく心にこびりついて離れなくて、気づけば何度も思い返して噛みしめてしまう、印象に残る作品でした。読めてよかったです。
メリバと聞いて読みましたが結局は救われたような話でした。読んだあとはぬるいような温かい心になります。そもそもの絵柄がとても繊細でタマの瞳には毎回見とれてしまいます。本当にキラキラしているんです。そういった描写はないのでわかりませんがおそらく攻めの矢澤は町役場づとめで日々疲弊しきっています。そんな矢澤がタマの前では笑顔で、タマのことを心から愛しいと思っている表情にはこちら側の心も満たされます。タマが矢澤の前で裸になり温まる場面ではそういうことをしなくてもこんなに充足感が得られるとタマ自身が安心した様子が書かれています。
絵柄もストーリーも雰囲気も何もかも大好きな作品。最初は、「おじさんと猫...?」と少しの抵抗感があったが、最後の方には号泣してこびと図鑑みたいな顔になっていた。タマが会う回数を重ねていくうちに矢澤さんに心を開いていく描写を、言葉を話さないから表情だけで伝えなければいけないという、普通なら難しくなかなかできないことなのにも関わらず完璧に伝えていて、作者さんの技量を感じた。そして何より最後の、猫に転生したタマに、生前のタマの本名を矢澤さんが名付けるという終わり方。ただただ悲しい終わり方でも現実味が出て良かったが、そのほっこりする終わり方で、よりストーリーが綺麗にまとまってるように見えるなと思った。一冊でこんなに満足感がある作品に出会えたことに本当に感謝。メリバ最高。
