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再召喚勇者は年下騎士の執愛から逃げられない

saishoukanyuusha ha toshishita kishi no shitsuai kara nigerarenai

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表題作再召喚勇者は年下騎士の執愛から逃げられない

ギルバート・クロムウェル
英雄の息子と呼ばれる王国騎士団員,24歳
牧野透弥
かつて魔王を討伐した元勇者の日本人,26歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

十年前、冒険も恋も終わったはずなのに――。 社会人四年目の牧野透弥は、親代わりの優しい祖父母を大学生のころに亡くして以来、同性愛者であり内向的な性格も相まって、恋愛せず波風立てない日々を過ごしている。実は透弥は別世界のネスティニア王国に勇者として召喚され、魔王を倒したことがある。当時まだ十六歳だった透弥は、ともに魔王を討伐した剣士・アーロンに恋心を抱いていた。初恋だったが、自分の性的志向が他人と違うことも知り、想いは秘めたまま元の世界へ帰還した。 しかしある日、透弥はネスティニア王国に再び召喚される。倒したはずの魔王が復活した兆候があり、もう一度勇者に倒してほしいらしい。なんとこの世界は前の召喚から二十六年経っており、王国で透弥が伝説の勇者と語り継がれる一方、アーロンは結婚し、爵位を得て剣士としての前線を退いていたのだ。さらに今回の討伐パーティとして紹介されたのは、アーロンによく似た彼の息子で問題児の王国騎士・ギルバート。腕は立つが厳めしい性格故に良くない噂も多く、他の仲間との衝突も絶えないが、透弥はギルバートが旅の中で見せる素顔を知っていくうちに、彼の本当の姿が見えてきて――?

作品情報

作品名
再召喚勇者は年下騎士の執愛から逃げられない
著者
村崎樹 
イラスト
秋吉しま 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344853133
3.6

(40)

(7)

萌々

(17)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
140
評価数
40
平均
3.6 / 5
神率
17.5%

レビュー投稿数10

実らない初恋から実る初恋へ

一度、勇者として異世界の魔王を倒し、元の世界へ帰還した主人公が再び同じ異世界に召喚されるところから始まるお話。
冒頭から描かれていた神殿の魔方陣の不具合がラストにまで活かされてくるとは思いませんでした。
最初の帰還の際、予定日より3日ずれた描写が印象に残っています。
小さな不具合が年月を経て大きくなっていくことは想像に難くなく、魔方陣の不具合描写がある度に「これ、ちゃんともう一度帰還できるのかな?」という不安を抱いていました。

試し読みをしてから購入した作品ですが、予想したよりも話に入り込めず、主人公(透也)が旅をしながら変わっていくまでは読むのに苦労しました。
透也があの性格なのも、ギルバートがああいう態度なのも、読み終えた今なら必要なことだとわかりますが、知らずに読んでいる最中は、どう楽しめばいいのかわからなくて…。

旅をし、ぶつかることを経験して、徐々にパーティーメンバーが打ち解け、信頼できる仲間となっていくところはよかったです。
その中で、透也とギルバートの距離が縮まり、関係が深まっていくところは胸きゅんでした。
ギルバートの一途さ、真面目さ、強さ、秘めた情熱は魅力的だし、透也の素直さ、性根の良さ、秘めた強さも魅力的。
恋人となってからのギルバートの甘さには、きゅんきゅんします!
人前でべたべたし過ぎず、自然な甘さと二人きりのときの情熱的な甘さが素晴らしいです。
それに翻弄されながらも、素直に喜ぶ透也が可愛い。

最も感動したのは、「英雄の息子」というレッテルに苦しんだギルバートの原動力となっていたのが、伝説の勇者(透也)に対する憧憬であったこと。
そして、透也の初恋が実らなかったことで、ギルバートの初恋が実ったこと。
この辺りの巡りめぐる関係性については、是非とも読んで感動してほしいです。
透也が一度帰還したことにも意味があるし、26年後の再召喚の際に10年ものズレが生じてしまったことにも大きな意味がある。
ナフィリィの最後の嘘で作られた空間での、仮想アーロンに向けた透也の言葉も大きい。

透也が再召喚される原因を作ったナフィリィの行動理由は切なかったです。
そもそもの原因は透也自身にあった。
真実の精霊だからこそ、透也を好きだからこそ、起こしてしまった事態。
最後の嘘を透也に見破られて、きちんと透也が本当に望む時点に戻してくれたのは、ほっとしました。
ギルバートが透也を庇って亡くなる未来もあり得たことを自分の中にだけ留める決意をする透也にも切なくなりました。

元の世界に帰還することよりも、ギルバートの命を、ギルバートとともにこの世界で生きていくことを望み、選んだ透也。
透也の幸せはそこにあると、確信できました。
ギルバートの目は透也しか映していないのだから。
冒険者と剣士として、新たな門出を迎える二人の未来が明るく幸せであることを願っています。

萌×2と迷いましたが、最初の入り込みにくさが印象に残ってしまったので、萌です。

0

一粒で二度美味しい攻めが楽しめる

主人公の受けを含めて、みんなが成長する物語でした!
物語としてはタイトルから受ける印象よりもしっかりしていて読み応えもありました。
ただ個人的にBL的な萌え部分でちょっと物足りなさがあったかな?

ある意味一粒で二度美味しい攻めでした。
最初は再召喚された勇者の透弥(受け)に対する態度が、これでもかってくらい塩。ツンな攻めが存分に味わえます。
ただ、年下感といえばそうかもしれないけれど、まだ成長しきっていない未熟さのようにも感じられてしまい…。

そこから透弥の頑張りもあって、著しい心の成長を見せる攻めギルバート。きちんと成長できるところはとても好感が持てました。
また、元々勇者に憧れていたこともあって、割と素直に恋へ発展していきます。2人のときは甘いのに、外に出るとイチャイチャしない派というのも良かった!(意外とBL界では少ないような?)

受けは受けで成長もあったのだけど、どうもこの子の魅力が分からないというか、ハマることができませんでした。自信のなさや周囲に合わせちゃう心の動きが同調しにくかったのかも。

冒険や仲間たちとの関係性、そして再召喚された理由の魔王が復活したかも?の原因はちょっぴり切なくなる意外な展開がありました。
決してお話は悪いわけではないけど、攻め受けのキャラクターへの萌えやピンとくる箇所が薄めだったかなと思いました。

1

再召喚先で恋に落ちたのは…片想いしていた相手の、年下息子騎士

村崎先生のセンチネルバースの新刊がとても面白くて、他の作品も読みたいなと思い手に取った、こちら。

16歳の時に異世界に召喚され勇者として戦った経験を持つ主人公、透弥。
そんな彼が10年後に再召喚され、前回の魔王討伐の時に好意を持っていた相手の息子と恋に落ちるー
(↑ざっくりあらすじ)

幼い頃の経験から過剰に周囲に気を遣うようになった透弥ですが、10年前の魔王討伐経験を経て積極性を得る。ところが初めての恋愛がうまくいかず失敗したことで、また元の性格に戻ってしまい、再召喚された先で試行錯誤しながら、自分を見つめ直していく、と展開するお話です。

「異世界に再召喚され、好きだった相手の息子と恋に落ちる」という設定や、主人公の”再成長”展開がとても面白い!!

…んですが、攻め・受け共に萌えたか?と言われると「どうだろう…?」という感じだったため、「萌」評価です。

何より、がっかりしてしまったのが攻めの父親であり初回の魔王討伐の際のパーティにいた騎士、アーロンの変わり様…見た目の話ではなく、息子を思うがあまり…の行動が裏目に出てしまうんですが、その行動に(勝手にですが)ガッカリしてしまった〜( ; ; )

いや、アーロン、快活で受け君を引っ張ってくれて気遣いもできて…と、26年前の姿がとても格好良かっただけに!!
父親になり、自分が英雄扱いされているせいで悩む息子の姿を見、冷え切った親子関係になってしまったことで、余計な手を出さざるを得ない心境になってしまったんだろうなあ…と理解はできるのですが。ですが…なんか、なんかめちゃくちゃ残念だったー!( ノД`)

もちろんその後、ちゃんと反省して親子仲直りもしているんですけどね。

そして、”魔王が再度現れたかもしれない”という、再召喚の理由の真実に迫る部分。
この部分が個人的にちょっと肩透かしというか。。や、理解はできるんだけど、うーん…

全262ページとそこそこボリュームのある物語なんですが、激しい萌えやストーリーへの興奮は少なかったかなあ、、

1

ハズレが無い村崎作品

今年発売された村崎樹先生の作品は全てが面白くて神評価にしていたので、今巻も今とても大好きな設定とあり迷わず予約していました。

そして予想通り冒頭から一気にお話の世界観に引き込まれていました。
秀逸だったのが最初はギルバートが透弥を拒絶する態度を取っていたのが、討伐パーティとして旅をするうちに徐々に打ち解けて行くところでした。

この作品の魅力はなんと言ってもギルバートなんですよ。どうして彼が問題児と言われ続けていたかの真相を知ると、彼のこれまでの苦難に胸が苦しくなり、彼の真実の姿を知ると胸がキュンとするんです。「こんな不遇な青年を誰か助けてあげてよー」って誰もが思うと思います。

そんな彼の孤独で頑なな殻を破るのが透弥となります。実は再び召喚された直後の透弥にはかなりイラッとして、この受け好きになれないかもと思ったんですが彼もギルバートによってかなり変わって行きます。

読んでいると透弥が再び召喚される事になった事の真相に直ぐに気が付いてしまうんです。そこら辺は答え合わせとして凄く面白いと思ったんですが、終盤に起こった出来事が個人的に受け付けなくて今作は神にはなりませんでした。

それと申し訳ないんですがギルバートの父親が嫌いなタイプで、彼の出番が多いのは仕方ないですがウンザリしました。www

2

ギルバートが特に最高!

人生は選択と決断のフローチャート?

まさかの再召喚もの。でもとっても読みやすくて面白くてどのエピソードも大切で最高でした!

透弥の人生の栄光と挫折。変われたと思ったのに。
身につまされる…。
また元の内気で周りの顔色を伺い自己主張できない自分に戻って…。

また魔王が復活したかも?な理由であっさり再召喚されちゃった透弥。
しかも同行し護衛してくれる騎士は前回一緒に旅をした初恋の君、アーロンの一人息子ギルバートで。
なんかめっちゃ透弥のことを敵対視してる?
なんでこんな都合よく召喚されまた魔王を倒せなんて勝手な!と思いながらも、空気を読んで行ってきますと答えてしまう透弥。

この年下の騎士ギルバートがねえ、とーーーーっても良いんですよ!
もう掴まれちゃいます♡
お互いの色んな所を知って打ち解けて成長して信頼し合って…。

ギルバート、好きにならずにいられないよ〜!!名誉や褒美なんて関係ねえ!な隠密行動?偉いよ(泣)
俺の勇者に憧れて最高の騎士になりましたね!!この憧れての部分がめちゃくちゃ良いんですよ!!ギルバート〜〜〜!

冷たく拒絶するかと思えば遠回しにしてくれてることに萌えます!少しずつ見せてくる笑顔や甘え。くっ、可愛いぜ!

お話は予想外な方向へ進み、どうなるの?とハラハラ先が見えずドキドキで。

魔王騒動のまさかの真相に泣けちゃいます。でも過去の栄光への決別のトドメになりましたね。

最後も良かったねーーーー!!!心残りが成仏どころか再生しました。

二人の成長もすごく良かったけど、やっぱりギルバートにもう心はわしづかみされちゃいました。

7

2段階の萌えが来ます

大変失礼ながら、タイトルの長さに最近流行りの少しライトめなWEB発風味のお話なのかなあと思ってしまったのです。
すみません…!非常に面白かったです!
再召喚された元勇者という特殊なファンタジー設定なのだけれど、設定が魅力的に活かされながら心理描写はとても丁寧。すっきりと読みやすい文章で、何より萌えがたくさん詰まっていたんですよ。
村崎先生の文体、すごく好きです。

過去に討伐したはずの魔王が再び復活したのかもしれないと、元いた日本で平凡な生活を送っていた元勇者の主人公・透弥が再召喚され、魔王討伐のパーティーを組むことになる。
初対面の3人とパーティーを組み、魔王を倒しに向かう冒険譚といえば、剣と魔法と特殊アイテムと…設定が詰め込まれた華やかなお話になりそうなところです。
ですが今作は、そんな基本的な要素はありつつも、透弥の勇者(2回目・ブランクあり)設定が良い意味で派手な展開になりすぎず良かったのだと思います。
個性豊かなパーティーメンバーとの交流と旅路、心の成長。
そして、旅の中で育まれる恋愛要素のバランスが良く、終始楽しんで読めました。

全編受けの透弥視点で描かれている今作。もちろん読み手的にはやはり透弥の目線でしかものが見えないわけなのです。
けれど、透弥のギルバートへの想いの変化を感じながら、ギルバートからの透弥への想いの変化もしっかりと感じられるんですよ…!
これがまたとんでもなく甘くてむずむずするもので…突然ドンとくる萌えではなく、じわじわ〜っときてからキュンとするような、2段階構えで萌えのツボを突いてくる素敵仕様。
不器用とも言えるほどぶっきらぼうで、人から誤解をされてばかりいる年下攻めのギルバートの素顔に、あ〜、こんな年下攻めはずるい…!溺愛じゃないか!と思っていると、年上受けの透弥にサクッと射抜かれてしまう。いやはや参った。見事にサクッとやられました。
何がどうと書いてしまうと面白くないと思いますので、これはぜひ読んで確かめてほしいです。萌えが待っていますよ。
年上を甘やかす年下攻め、良かったな…

再召喚ものを読むのは初めてだったのですが、登場人物達の心の成長や透弥が再召喚された本当の理由など、恋愛パート以外の読みどころもたっぷり。
攻めと受けがメイン!はいめでたし!では終わらない、サブキャラクターにも光が当たるような話運びが印象的でした。面白かったです。

5

勇者

しま先生挿絵だったので購入。再召喚されちゃったんですが、今回も頑張っちゃうという善人さんのお話です。攻め受けともめちゃ萌え~なポイントは無かったんですが、サブキャラが印象的だったので萌にしました。本編250P弱+あとがき。柔らかなタイプの受けが好きな方には良いかも。

卸会社で営業事務をしている透弥。ある日帰宅してベッドに横たわったところで魔法陣が周囲に浮かび、気が付いたら異世界召喚。どうやら10年前に召喚され、勇者として魔王をやっつけた世界に再び召喚されたようで・・・と続きます。

攻め受け以外の主な登場人物は
アーロン(前回召喚時に共に戦った方、攻め父)、ララ(♂だけど見た目キレイ♀)、クリフ(今回の同行者)、ナフィリィ(前回の同行者、泉の精霊)ぐらいかな。

++良かったところ

攻め受けはさておき。

なぜか今回サブキャラのナフィリィにとてもシンクロしてしまいました。
秋になったからですかね?人恋しいというか淋しいという感情に入れ込んじゃって。終わりで救われたので、良かったんですが、うっかりすると「うああ・・・」と先生を恨んじゃったかもしれなかったです。上向きな気持ちで終われたので、先生有難うございました。

攻めは親父がヒーローだったので、比較されちゃったが故にかなり捻くれた様子になってしまった方。パーティ組まされるとちょっと困っちゃうよな。

そんな攻めを、26歳営業事務やってきたスキル?物腰やわらかな受けがなんとか一緒にやっていかなきゃと奮闘し・・・という感じで進むお話です。

二人の心情メインというより、あれこれエピソード入って進みます。だから、最後まで読み飽きず、でも二人の気持ちもちゃんと伝わってきて、いい按配だなあと感じました。しま先生の神挿絵(受けが光の矢を放つ)もめっちゃ良かった・・・かっこよい・・・変態攻めとか変人受けが好きなので、刺さるものは無かったんですが、王道話がお好きな方でしたら良いのではと思います。

4

ツンツン男子の溺愛変化は心の健康維持装置

村崎先生の文体萌えで作家買い。今回は〝再召喚〟モノ!
攻め様が中々のツンツン男子で〝ツンデレ攻めスキー〟の性癖を擽る良きキャラクターでした♡

〝再召喚モノ〟ならではな『過去の栄光の面影がなく、草臥れた大人になった元勇者』の設定が活きていて、かつて国を救った勇者とは思えない程、人の顔色を伺う八方美人な透弥にイライラを募らせていくギルバート。
幼い頃から勇者に憧れていたギルバートは「正直、ガッカリした」と透弥を冷たく突き放し、2人の距離感は絶望的

初期ギルバート、めちゃくちゃ塩対応です……
歩み寄ろうとする透弥を猛犬の如く威嚇しまくり。
ただ、ツンツン描写が多ければ多い程、後の溺愛変化が美味しくなるってモンですよね!
棘のある言い方で透弥を牽制しつつも、なんだかんだ近くで見守る素直じゃ無い感じ…堪らん

そして、過去のトラウマから人に嫌われる事を恐れ、自分の本音を隠してしまう八方美人な透弥。
恐らく、正義感が強くて真っ直ぐな性格の持ち主なんだろうなぁ…と。それ故に「ウザい」と思われてしまうタイプで、諦めたような切ない心境に胸が締め付けられました。

幼い頃より他人の悪意に晒され、卑屈で人間不信気味なギルバートと、〝空気を読む〟処世術で傷つかないよう一歩引いてきた透弥。
性質も性格も正反対の2人ですが、不器用で何処か生きづらそうで…そんな2人の欠点とも言える部分を、ゆっくり補い合う様子が丁寧に描かれていて、関係変化にキュンキュン悶えました!

萌え所満載でBLとして楽しめるのは勿論のこと、再召喚ファンタジーとしても読み応え抜群◎
思いの外、魔王復活の理由が切なくて終盤ボロボロ泣いてしまった……

ただ、タイトルの『執愛』は少し違うかな……と。
透弥の初恋相手である自分の父親に嫉妬して、感情を乱すギルバートをもっと堪能したかったのが正直なところ。
もうちょい、ギルバートには感情グチャグチャの監禁レベルで執着して欲しかったです!笑

7

登場人物みんなの成長物語

タイトルからイメージするに、異世界から召喚された勇者が騎士にグズグズに愛されるキラキラ系なお話なのかな。
……と思っていましたが、意外と堅実なお話。設定より心の動きが光るストーリーです。

当たり障りのない言動、八方美人な主人公・透弥の心の脆さがこの物語の軸になっていまして、勇者と言えどもちょっと頼りないキャラクターだったりします(主に前半)。それが元で騎士・ギルバートと折り合いが悪かったり、魔獣発現の原因に絡んでいたり。
バシバシ魔獣を倒しながらBL愛を育むといったストーリーから一歩踏み込んだ感じの勇者召喚もの作品だと思います。


この話の面白いところは、透弥が再び勇者として召喚される設定です。以前に召喚され、魔王を倒してまた現世に戻り、そして魔獣が現れ始めたからまた透弥が召喚…っていうもの。

再召喚なので、前回の召喚のことはサラッと流す程度です。2回目の召喚に当たっての話がメインとなりますが、1度目と2度目における召喚時の状況や環境、そして透弥自身やそのとき関わった人たちの変化が大きな見どころとなっています。

まず年齢ですね。
透弥の世界では、10年の年月が経過していて彼は現在26歳。召喚先では26年が経過していて、共に魔王討伐の命を受けた仲間の男に24歳の息子がいます。その息子こそが"執愛の騎士"なる男で、透弥のお相手ということになります。
それだけの時間が経過しているのであれば、透弥や共に旅した仲間たちにも少しの変化があるのは当然ですよね。自分たちの置かれた環境だって変わるだろうし。

こうした変化の波を受け、再び勇者になった透弥と魔獣討伐のために組まれた新しい仲間たち。彼らが共に過ごす旅の中で、どのようにBLが芽生えていくのか注目です^ ^
始まりはあまりうまくいかない冷ややかな関係だったのに、徐々にわだかまりが解けて恋の感情が湧き出だしていく変遷がすごく良い。

透弥とギルバートは、お互いの良いところや悪いところを知って、どんどん相手のことを知りつつ仲を深めていくので地に足がついてる印象でした。好きになる理由に説得力があるので、展開がストンと落ちる。
最初は嫌いなところから始まって、良いところを見つけてどんどん好意が膨らんで、それに加えて魔獣討伐での吊り橋効果もあったのかな?…とにかく中盤以降は甘い空気感が漂っています。


ギルバートと透弥の愛はその時点ではふわふわ〜っとしたもので、後半の厄介な魔獣が現れたのちに全ての謎とモヤモヤ感が解決しますので、最後まで目が離せません。
設定はファンタジーで派手にも思えるものですが、登場人物たちの心の弱さや強さ、恋心や親心、仲間に対する心…といった複雑な心理描写が色濃くて深いです。


1度目と2度目の時間経過の幅は、現世と召喚世界とでは異なりますが、この時の流れが自分たちを取り巻く世界を変え、自分自身や周りのをも変えていくちょっと切ない感情も合わせて楽しむことが出来ました。

ギルバートや透弥だけじゃなく、登場人物みんなの成長物語のような作品だと思います。
読後感も良くおススメです(^ ^)

6

勇者として生きた世界に再び召喚されました

今回は英雄と呼ばれる剣士の息子の騎士と
再び異世界に召喚された元勇者のお話です。

受様が召喚された事変を解決し、攻様との恋を実らすまで。

受様は卸会社に入社して4年目の会社員です。
営業サポートがメインですが、性分で他人の業務も引受け
残業する事が多々あります。

今日も営業の肩代わりで資料作成して帰宅し
ベッドに転がると唐突、身体の下から青い光が放たれ
光に包み込まれて浮かび上がり

天井が見えたと思った次の瞬間には
真っ逆さまに落下して堅く目をつぶりますが

衝撃は走りながらも覚悟したものより軽く
恐る恐る目を開くと精悍な顔立ちの青年に
横抱きに抱き留められていたのです。
彼が今回の攻様になります♪

攻様はなぜか受様の名前を口にし
その言葉は日本語ではないもののすんなり理解できても
受様はそれほどびっくりはしません。

というのも受様は10年前に異世界に召喚されて
異世界の魔王を倒した元勇者だったのです。

受様を抱き留めた攻様は受様の初恋の人にそっくりで
彼の名で呼びかけた受様に攻様の表情は冷たく変化します。

その時、背後から屈託の笑顔で受様の名を呼ぶ
男性が近づくるのですが、彼こそが初恋の元剣士で
攻様は彼の一人息子と紹介されます。

前回の討伐から26年、魔王が復活した形跡がみつかり
魔王と対する光魔法の使い手である勇者である受様が
再び召喚される事となったのです。
果たして受様は再び魔王を討伐できるのか!?

救国の英雄の息子である攻様と伝説の勇者である受様の
異世界トリップファンタジーです♪

タイトルの再召喚と年下騎士の執愛というキーワードに
萌ツボを押されて手にした1冊になります。

魔王復活の確証もなくで召喚された受様は
モヤモヤしつつも王の依頼を引受け
護衛となった攻様と補佐の騎士、白魔術師とともに
元魔王城を目指す事になります。

最年長の受様はまとめ役をと思いますが
10年ぶりの山歩きに体力の衰えを感じ
噂を彷彿とさせる攻様の言動に振り回されて
パーティの雰囲気は良好とは言えません。

伝説の勇者ながら受動的で自己肯定力の低い受様
剣の腕は立つものの騎士団の鼻つまみ者な攻様
攻様の補佐役で攻様に好意的な没落貴族の次男
回復系魔法の使い手で女装男子の白魔術師

魔王は既に復活しているのか
今回のパーティが仲間となりえるのか
受様に素っ気ない攻様の真意はいつ伝わるのか

実は魔王は復活していないのも
黒幕は前回召喚で受様と関わった○○なのも
攻様の命が失われてしまうのも
予想外過ぎてどうなるのかとハラハラ&ドキドキ

受様と攻様の年の差を上手く活かして
張られた伏線が丁寧に回収されていっての大団円まで
楽しく読ませて頂きました。

4

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