おまけ付き電子限定版
初めての作家さんでしたが、すごく良かったー…。とても面白かったです。
失声症が題材の作品で、幼いときの虐待から声を失った少年と、同じ施設で育った青年との物語です。
失声症と失語症の違いってなんだろうと思って調べてみました。両者は全くの別物らしく、精神的な原因のものは失声症とのこと。なるほど…1つ勉強になりました。
心因性の失声症ということですが、柚希の場合包帯を首に巻けば一応話すことができます。柚希の限定的な失声症の原因は、同居している塁人が子どもの頃にかけた包帯のおまじないに端を発します。
これにより柚希は話せるようになった一方で、逆にいうと"これでしか"話すことができなくなってしまったわけです。そのことが塁人に罪悪感を抱かせ、柚希の将来への責任感を強くさせます。
というのが導入のストーリーで、この塁人の責任感や罪悪感が、本当に純粋にそれなの?っていうのが注目ポイント。自分でも気付いてないところでムクムクと柚希への愛情が育っているんですよね。柚希が包帯ナシで喋れるようになったら、自分の存在価値は?とか思っちゃう結構独占欲強めな男だったりします。
自分が柚希の面倒をみなきゃいけない責任感が、ずっと柚希の側にいられる理由付けにしてるところとかそんな感じ。だから柚希が包帯ナシで喋ることができるようになることを、心のどこかで怖がっています。
柚希としては好きな塁人の重荷にはなりたくないから頑張るのに、塁人はそれを応援したくない2人のすれ違いが切ない…。柚希と塁人の想いがどっちも分かるだけに読んでいてもどかしくなりました。声が出る出ないのは問題じゃなくて、気持ちが伝わっているかどうかが一番の問題なんですよね。
この辺りの描き方がすごくよかった。切ないシーンも多いけど、心理描写が沁みました。
年上の塁人と年下の柚希。
柚希を守ってやらなきゃと意気込んでいる割には、柚希の方がしっかり者です(笑)
身体の線は細いけど、気持ちは強く頑張り屋なところは好感もてました。塁人のちょっとヘタレ気味な性格とお似合い。尻に敷かれてる感じとかね…既に夫婦感ありです^ ^
恋人期のラブラブが描き下ろし番外編のちょっとだけで、欲をいうならもっと見たかったかな。まあでも、もっと見たいと思うくらい私は楽しめましたので満足です。
読後感ももちろん良しな一冊です♪
幼い頃受けた虐待のせいで失声症になってしまった柚希と、同じように親から虐待されたことで心に傷を負ったままの塁人。
同じ施設で兄弟のように育ってきたふたりが環境の変化とともに、その関係を変えていくようなお話でした。
塁人も柚希も過去のトラウマからは未だ抜け出せていなくて、生い立ちも今の関係性をみても重ためなテーマだなと感じたのですが。
そんな中にいてもそれぞれにお互いを思い遣る姿勢だったり、声が出ないことを悲観するばかりではなくて柚希なりにしっかり受け止めている様子にすごく救われて。
重たい事情だけに引っ張られることなく、彼ら自身のことをよく見ることできたように思いました。
依存し合っていることはお互いに薄々は気づいていたはずで、でも確信が持てないから踏み込めなかったり今のカタチが壊れてしまうのを恐れて逃げたり。
失うことなんて考えられない存在だからこそ本心を見せられずにいたような、美しいけれど苦しい愛情にすごく切なくなりました。
でもいくら遠回りしてもふたりが離ればなれになる選択をするはずはないというのは感じ取れたので、ふたりのすれ違いもそれほどハラハラすることなく読むことができたかなと思います。
たくさんの苦しみの先に一番の幸せが待っていてくれて本当に良かったです。
そして車窓から見えるマジックアワーの空の美しさとふたりの自然体な空気感がマッチした表紙がめちゃくちゃ素敵でした…!
読み終わってから眺めるととても幸せであたたなかな気持ちになったのでした。
共依存・両片想いの二人のお話。
施設出身の会社員・塁人は
同じ施設で育った弟のような存在の柚希と同居中。
二人だけのささやかな生活は一見幸せそうに見えますが、
柚希は幼い頃の虐待が原因で失声症を患っていました。
ただ、首に包帯を巻いたときだけは不思議と声を出すことができ、
塁人や親しい人との前でだけ喋ることができました。
そんな柚希の現状をこのままではいけないと思いつつも、
自分の前でしか声を出せない柚希に歪んだ独占欲を抱いてしまう塁人。
柚希もまた声を出せるようになることよりも
塁人との二人だけの生活がこのまま続くことを願ってしまい…。
思考はすれ違っている二人ですが、想いは同じ二人。
支え合っているように見えるけれど、
実際は互いが互いを縛り付けてしまっている共依存関係でした。
相手を想う気持ちは同じなのに、
後ろめたさから気持ちを伝えられず、
それゆえにすれ違ってしまう二人にもどかしさを感じました。
ただ、新しい友人ができようが、世界が広がろうが、
二人を突き動かす原動力はお互いのみということがわかっているので、
他の人に靡いたりすることもなく安心して読めました。
最後は“兄と弟のような関係”から恋人同士になった二人。
今まで保護者と養育される立場にあったせいかほんのり背徳感はあるものの、
長い両片想いが実って幸せそうな二人が見られて気持ちのいい読後感でした。
表紙とタイトルのキレイな印象に惹かれました
あらすじと試し読みをしてみて今迄に無い感じだなぁ~と思い購入した始めて作家さまです
あとがきによると普段はオメガバやファンタジーをお描きになるそうで「社会人×高校生」は先生にとって初めてのようですね
貴重な初めてを読ませて頂いてありがたいです(﹡´◡`﹡ )
2人の背景は施設育ちという時点で仄暗さを孕んではいますがそこを全画にする感じではありませんが、回想シーンではかなり痛めな過去持ちだな…というのは伝わって来ます
なので虐待系とかが苦手な方は要注意ではあるかと思いますのでお気を付けて下さいね
本人達は無自覚ながら小さな頃から既にお互いが依存関係にあった2人
一旦離れた期間がある事で受けの柚希はきっと先にその想いを自覚したと思います
そして攻めの塁人(るぅくん)は潜在的に積み重なった柚希への特別な想い(自分だけが柚希に求められる事や柚希が懐いている事への優越感や庇護欲などが綯い交ぜになったような感情?)に欲望が孕んでいく事から目を背けて気付かぬようにしているような状況下での同居生活
柚希の進路を巡り自立=柚希の失声症克服=塁人の存在意義の変化という流れで2人の想いがすれ違っていきます
このすれ違いは「声」を介したコミュニケーションが軸では無い2人、というこの2人ならではの設定の妙が活きているな、と思いました!
真正面からこの作品を読むと、静かに進むトーンの中に潜む劣情や互いの想いを掬い上げていくような丁寧さのある切ない系の作品だと思います
そしてその複雑な想いの中で成長していく柚希の健気さや強さ、そしてそれを受け止める塁人自身の気付きや過去の自縛からの解放が美しいストーリーだと思うんです
ただ、一方で選ぶ小物や状況自体に中二病感も何故か感じてしまうむず痒さが私には残りました
これはめちゃくちゃ主観ですし、きっと境遇的に想像でしか追い付かない所が多いからかも知れないのでとっても偏っている感想だとは思います…
何となくこの微細な違和感が真正面からの切なさを感じる前に勝手に何故か2人に背徳感を感じてしまいながら読んでしまった私。。。
多分主流な読み方ではないと思うのですが、、、庇護欲的な共依存感にドキドキしてしまいました (>ㅅ<)
なので「感動的」や「琴線に触れる」というような読み方は出来なかったのですが元から嫌いではない「共依存愛」を感じながら読めた事が私的に楽しめた点でした
年下受けが年上攻めを「るぅくん」と呼ぶ辺りが特に私的背徳ポイントが高かったです(*´ェ`*)
☆満点ではなかった点は脇役さん達の描写に少し引っ掛かってしまった所です
柚希の友達になる英くんの存在がやや突飛な印象で都合良く登場した感が…
椎名さんは2人の理解者として重要なポジションですが演出なのか?社長設定に何故か必要性を感じなかった…
という超個人的な解釈に依るズレです
そもそもハートウォーミングなお話しとして読めればこの必要性は十分にあったハズなのですが、そう読めなかったヘソ曲がりな私の解釈故の評価です(´・ω・`)
修正|色んな修正があってちょっと面白かったですw
そんなに多くの濡れ場がある訳ではないのですが後半の描写でいくつかのパターンがありました
No修正の簡易tnk、トーン修正、トーン+蛍…不思議~♪(シーモア)
今作で初めてあさじまルイ先生の作品を読みました。今までオメガバやファンタジーを描いていたことも知りませんでしたが、1話試し読みをして読みやすい絵柄に好感が持て、またメインカプふたりと思わせぶりで当て馬になりそうなキャラがどうなっていくのか興味を惹かれて購入を決めました。
親からの虐待を受けて保護された施設で出会ったふたりの共依存からの愛の物語になっています。
メインカプは年上のサラリーマンの攻め塁人と失声症の高校3年生の柚希。塁人は施設にいた柚希を自分の家に引き取って保護者のようなことをしています。失声症の柚希に首になにかを巻かないと話せないのは、施設にいた子どもの頃に自分が巻いた包帯のせいだと塁人は思っているからです。柚希に依存されていることをふたりと施設を支援し続けている椎名に指摘された時の塁人の微笑みは、無自覚にも柚希に依存されているのを嬉しく思っているのだとわかります。
柚希にとっての塁人は会った時から特別な存在。親に暴力を受け愛されずにいた時に初めて抱きしめて側にいてくれた人だから。依存してしまうのも好きになってしまうのも、他に友だちなんていらないと思ってしまうのも、ずっとふたりだけでいたいと思ってしまうのも必然です。
でも、そんな柚希にも同級生の友だち英ができます。そのことにショックを受ける塁人。そして英は柚希に好意を寄せていきます。
塁人も柚希も相手に対する想いがバレないようにしていますが、塁人の飲み会と家の近所で開催された花火大会によってふたりの関係が崩れていきます。
それぞれの虐待を受けていたからこその心の傷によってタイミングが悪くすれ違ってしまいます。告白さえさせてもらえなかったと傷つき家を飛び出した柚希ですが、英や椎名と話すことで成長して、ちゃんと自分の声で塁人にもう一度気持ちを伝えると決めます。
塁人も柚希に対する自分の気持ちや自分の弱さを認めて、これまでのふたりの生活・環境を変えようとします。
そしてふたりは自分の本当の気持ちを伝え合います。
柚希の告白はとてもいいシーンになっているので、ぜひお楽しみください。
幼い頃から塁人は柚希を守っていたようでしたが、もしかしたらそうすることで塁人自身が守られていたのかもしれません。先生のあとがきには塁人の闇や心の傷の方が深いようなことが書かれていましたし。
親から愛情ではなく暴力を受けてきたふたりの共依存、互いに捨てられたくない、愛されたいという究極の愛情の物語でした。
個人的には共依存でしたがあまり暗い感じはしませんでした。きっとふたりはこのまま幸せに過ごしていくんだろうなと思える終わり方でした。
エッチなシーンは途中で柚希のひとりエッチと最後に高校卒業した後に初エッチがあります。あと描き下ろしにもあります。
この作品を読んだ後、あさじまルイ先生の他の作品も読んでみようと思いました。