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ふわふわとしたやさしい気持ちにさせてくれる、素敵なストーリーでした。
失恋で命を絶ち、生き霊となってさまよう漣と、離婚歴のある医者の那須川。
幽霊と人間の恋?と最初は思っていましたが、そんな設定がすっと心に入ってきました。
表紙絵のような、幻想的で、優しい作品でした。
幽霊の漣と那須川の本気の恋。でも漣は生き霊であり、まだ身体は生きていることがわかる。
生きている身体に霊を戻さないと、幽体ともお別れになるかもしれないことを予想した那須川の焦り。愛している人を失いたくない。
説得する那須川の言葉が重い。
君の絶望は俺が取り払う。君をひとりにしない。
生身の人間に戻った漣のことを、本当に大事に大事にする那須川が切ない。
漣を傷つけないように、精神的にも肉体的にも問題がないか確認して、とにかく見守っている那須川。
那須川がとにかく真面目で優しく、ほんとスパダリ。
そして、漣の苦悩。
生き残ってしまったこと。
家族のもつ、自分に対する複雑な想い、窮屈になりそうな気遣い。
漣の気持ちが想像できて、苦しい。
この漣の苦悩が、ファンタジーであるこの作品の重要なポイントだったと感じました。
ファンタジーの中の、リアリティ。
とても考えさせられることだったし、冷静に向き合う那須川はやっぱり素敵でした。
読後感もよく、やさしい気持ちになれる作品でした。
念願叶って購入した家に、もしも夜毎幽霊が現れたら…?
普通ならビビり散らかしてしまいそうですが、
その現実をスッと受け入れてしまった那須川がまずすごいです。
そんな彼の順応力の高さがあったからこそ生まれた恋は「普通」とは少し違うものだったけれど
常識とか普通とかそういうところをこえたふたりの気持ちの動きがとても美しいお話でした。
人間の那須川と幽霊である漣が交流していること自体不思議な出来事ではあるのだけど
恋愛的な部分以外でもお互いに求め合っているがわかるので違和感とかはなく、
むしろ一緒にいることが自然に思える関係になっていくのが素敵でした。
ただやっぱりどこか「このままでいいのかな?」という気持ちは拭えなくて、どんどん悪化していく状況にハラハラ。
しかもそこを抜けたら生身の身体同士で再会して幸せ!という結末でもなく、
切なめムードが続く展開に苦しくなったりもしました。
漣を蝕んだ絶望は身体が回復したからといってなくなるものではなかったのだと思い知らされるエピソードの数々、本当にツラかったです。
ひとりで抱えているつもりはなくても、なかなか外側に出せない苦しみってあるものですよね。
どうしたらいいのかわからなかった漣の気持ちが痛いほど伝わります。
なので、あのとき那須川がそばにいてくれて
漣が苦しみをひとり抱え込むことにならなくて本当に良かったなとしみじみ感じたのでした。
非現実なやり取りから現実的な日常まで。
ふたりの日々を追うことができて嬉しかったし、最後にはものすごく幸せなところに着地してくれて本当に良かったなと思いました。
バツイチ医者と恋人に捨てられて自殺した幽霊
バツイチになった内科医の那須川(攻め)は町並み保存地区の風情ある一軒家を購入引越しをします。が、そこは裏吉原と言われる場所だったらしく、夜になると男花魁や禿たちの幽霊の溜まり場になるのでした。
悪さをするわけでもなし、すっかり慣れてしまった頃、令和に死んだと思われる綺麗な男性の漣(受け)がやってきます。
他の幽霊とは会話ができないのですが、なぜか漣とは話ができ、話すうち少しづつ距離が縮まっていきます。
那須川は親が敷いたレールに乗り、兄が大学病院に勤めたいということで、医院の跡を継ぎ、見合いで結婚し、とずっと言われたとおりの人生を生きてきましたが、父親が亡くなり、妻には浮気されて離婚し、これからは自分の人生を生きようと心機一転、引っ越したのでした。
結婚も恋愛もこりごりと思っています。
思いがけず始まった幽霊の漣との生活が思った以上に楽しく、仕事から帰ってくるのが楽しみになっていきます。
那須川が言うどんな名医でも治せない病は『絶望』
自殺した漣にとってすごく救われれる思いがしたのではないでしょうか。
絶望して自殺した漣が毎日楽しそうにしていて、2人が恋人になり、ついに幽体なのに本懐も遂げて良かったと思う反面、いつ満足して成仏しちゃうかとドキドキして読んでいたら、そっちかーってなりました。
那須川の兄の行動は那須川の立場だと腹立たしさしかないけど、兄の立場からしたら、かの牡丹灯籠でも亡霊に生気を奪われて死んでしまうのですから、仕方なかったと思ったけど、それでも抜け殻になってしまった那須川が『絶望』してしまうんじゃないかと心配したし、漣がめだかに転生してくることを願って庭にビオトープを作り出した時には、壊れたのではと本当にヒヤヒヤした。
連が結構な年上が好きなのは母子家庭で育ったことが原因かな。
そして、漣が幽霊だったからこそ恋人になれた2人。そうじゃないと医者としての社会的立場が邪魔して恋心すら芽生えなかったかもしれないと思うと、2人のそれぞれの失恋は運命だったのですね。
傷ついた2人が寄り添える存在を見つけることができて本当によかった。
妻に浮気されて離婚した那須川さん。平屋の家を買ったら、綺麗な幽霊の男の子?!漣と出会う。不思議だけどとても素敵なお話だった。せつない気持ちになったり、悲しくなったり。
那須川さんがまたいい男なんだよねぇ……漣の心を繭のようにくるんでくれる優しい男。心が救われていくなぁ…。夏乃あゆみ先生の挿絵がまた美しくて好き✨️
後半は漣の心の問題に焦点をあてていたのもよかったな。自分から…ということは心に大きな傷を残しているわけでそう簡単に立ち直れるものでもないはずだから。
雑誌掲載時から、これは好きな攻様だわ♡と思って、文庫になるのを楽しみに待ってました(≧▽≦)
攻様は内科医の那須川。
引っ越した家に夜な夜な幽霊が現れて、幽霊の集会場所になるのを、驚きつつも楽しんでいた、
歴史のある町らしく、訪れるのは花魁や禿の幽霊。
その中に、ある日1人浴衣の青年が加わり。
こちらが受様である、幽霊の漣。
最初に普通に会話が出来るので本当に幽霊なのか?と那須川が漣の浴衣に触ったら突き抜けてしまった時。
那須川が漣に対して「失礼なことをした」と謝罪した姿を見て、うわーこの攻様、好きだわ~ときゅん(*ˊ˘ˋ*)♡
こうして、立場(?)は違うけど、交流を重ねて好意を育てていく2人。
本当にキラキラときらめいていて優しい。
でも、幽霊だしなぁ、どうなるのかな、とドキドキしてたら、そっか~。
ちゃんと手を取り合うことができてよかった(*^_^*)
雑誌掲載のお話が攻様である那須川視点で、書き下ろしは漣視点。
目覚めた後、幽霊としての実感がないままただの夢だと思っているけど、那須川の事は目覚めてからすぐに気になる存在であり。
ここでも、那須川の優しさ穏やかさが、大人で花丸なのです♡
そのくせ、ここぞと言う時には熱い男の顔も見せてくれて、本当にめっちゃ好きでしたわ。
いい人に出会えてよかったね、2人とも♡
とても読後感のいい、好きだわ~なお話でした(*^^*)