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彼が愛しているのは

Kare ga Ai shite iru no wa

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表題作彼が愛しているのは

町田亮輔
建築設計事務所の若手設計士、バイセクシャル、25→26歳、真白のセフレ
片瀬真白
建築設計士、町田が勤める事務所から独立、29→30歳

同時収録作品彼が愛しているのは

東江由基
東江建築設計事務所所長の甥,設計士,真白の先輩
片瀬真白
新人建築設計士

その他の収録作品

  • あとがき
  • Home Coming

あらすじ

元勤め先の後輩・町田と気楽なセフレ関係を続けている真白。真白には辛い恋の記憶があり、誰とも深い付き合いをするつもりはなかった。だが町田は優しくて仕事熱心で、本人が軽く見せようと装っているよりは、ずっと深く真白を想ってくれているように見える。町田に惹かれていくにつれてかつての恋人の記憶が蘇るようになり、戸惑う真白だが……? 抱えた傷ごと、彼を愛した。切ない年下攻ロマンス。

作品情報

作品名
彼が愛しているのは
著者
安西リカ 
イラスト
橋本あおい 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403526435

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16

4.4

(29)

(19)

萌々

(7)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
127
評価数
29
平均
4.4 / 5
神率
65.5%

レビュー投稿数6

切なさと救済と愛情が織り混ざって。

想像していた以上に、切なさ溢れてました。

誠実で包容力のある年下攻め×儚げ美人の年上受け。
セフレから始まった2人の関係は、最初から割といい雰囲気です。
気楽で楽しくて気が合って…攻めが弁えてて気遣いもできてすごく良い人。セフレだけど、どんどん恋人未満の関係に発展していくのが可愛くて。

だけど、受けは過去の恋の傷を引きずっていて、飛び込めないのが分かる。
何を抱えているのだろう…?と思っていたら、途中元彼と受けの恋愛話が始まり、結構ガッツリ展開するので正直戸惑いました。
なぜ、元彼との話をこんなに丁寧に描くのだろうと。

受けが元彼のことが大好きで、追いかけて、でも哀しい終わり方をしてしまった。
あぁ、このためにこんなに濃厚なエピソードがあったのかと…。とにかく切ない。
そして、受けはまだ吹っ切れていない心情がよく伝わってきました。

そして、その後に明かされる攻めの真実。
一途で誠実で健気な年上攻めだった。
この辺り安西先生だなぁと思う。切なさと救済と愛情が織り混ざっていて。

2人がお互いに好きだと自覚していて、正式に付き合う前の空気感すごく好きでした。

受けの傷をまるっと受け止めてくれる攻めで良かった。包み込んでくれて良かった。
ゆっくり好きになった、その気持ちの変遷が無理がなく、幸福で溢れる2人の未来まで見えるようで安心の読後感でした。

3

意味深なタイトルが良い

今回は建築設計事務所の若手設計士と
フリーランスの設計士のお話です。

元カレを忘れられない受様が
気安いセフレだった攻様を恋人とするまでと
伯母視点の後日談短編を収録。

受様は大学卒業後
受様の出身大学のランクでは本来通用しない
業界では存在間のある中堅設計事務所に
就職します。

受様は課題や提出物は常にギリギリクリアですが
学外のコンクールやコンペにセットと挑み
センスとアイディアだけで勝負し

対象には縁遠かったものの
特別賞や審査員賞などを獲得した成果を
最大限発揮して採用獲得でした。

その設計事務所には
代表の甥でエース級の若手設計士がおり
受様の同期達は彼に憧れ共に仕事ができるかもと
入所を志した者もいましたが

受様が彼の名を知ったのは入所後で
更に代表から数多くの志願者で採用を揉めた時に
甥の推しがあった事が決め手になったと言われ
彼の作品をみた受様も憧れるようになります。

そして少しでも彼に近づきたいと学び
仕事でも彼の助言を受けられるようになり
恋を育てる仲となり

彼の移籍と同じくして受様も事務所を出て
フリーランスとなるのですが
ある不幸な出来事で受様は恋を失います。

元々長くは続かないと思っていた恋ですが
彼を失った受様の傷は深く
誰かと付き合う事はありませんでした。

事務所からの依頼も多く受けていた受様は
去年の新卒で有望株と噂される攻様に
熱い視線で見られていて
年度末の飲み会で口説かれたこと話きっかけに
セフレ感覚で付き合う事になります。

受様はそれまでワンナイトを楽しみつつも
割り切った関係と言っても続ける事で
面倒なことが起きそうだと
特定の相手を持たずに来ますが

男は興味があったが初めてという攻様は
セックスに余計な意味づけをせず
性格もドライで

飽きたらあっさりと終わりにできそうと
セフレ関係を続けていたのですが・・・

憧れの人だった元カレを忘れられない受様が
遊び慣れていそうとセフレにした攻様との
恋物語になります♪

意味深なタイトルが
物語の展開に明暗をつけていて
大変楽しく読ませて頂きました。

受視点での2人の現状から
受様の過去の恋事情が語られ
攻視点で受視点には見えない攻様の恋事情が
描かれているのですが

受様の元カレ視点はないのですが
攻様から見た2人の様子を描くことで
元カレの心情が透けて見える事で
それぞれの立ち位置と思いが三角関係のように
絡み合って影響していて非常に面白い展開でした。

受様の元カレの不幸な事故は
受様が抱いていたネガティブな未来へと繋がり
ハラハラさせられましたが

受様が攻様との恋を選ぶまで
ドキドキ&ワクワクさせて頂きました (^-^)/

あとがきの後に番外編があるので
ここまでしっかり堪能しましょう♪

2

それもあなたの積み上げたもの

先生買い。予測以上に良かったでした。キャラを絶対忘れないか?と言われると少し自信ないけど、お話がとにかく良かったので、神に近い萌2にしました。最近かけがえのない身近な方に会えなくなってしまった経験をした方は、少ししんどいかもです。

新卒で入社した会社を辞めたあとも、そこから発注を受けたりしている真白。有名大卒業ではないけど人に訴えるパースを描けるので、そこそこ仕事がもらえています。その会社の年下の町田とは、遠慮なく気軽に付き合えるセフレな関係で・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
東江(建築設計事務所所長)、三毛屋(真白の学生時代からの親友)、由基(真白の憧れの人)、その他事務所の方少々。由基も三毛屋もいいんですよ。いいんですよ。。。。

++胸に迫ったところ

真白が、由基が好きだった自分を思い出して、でも町田が好きで、どうしたらいいのか分からなくなってしまったところ。

ここがもう泣けて泣けて。

「いいの!忘れなくていいの!それも真白の一部なのーーーーーーーー」と
吠えましたねえ・・・・

町田も「忘れさせてやる」とか「忘れろよ」とか言うような奴でなくて、本当に良かった。一人にさせないって言ってくれてほんと良かった。絶対一人にさせないなんて言いきれないと思うのに、若さゆえ?言い切ってしまうところが良かった。

「好きで、好きで」がとっても好きだったんですが、あれと同じぐらい
わーーっと胸に迫るものがあったし、「バースデー」みたいに「うわ」と思うところもあって、すっごく良かった(としか言えない語彙力が悲しい)一冊でした。
こーれーは皆さん是非読んでほしいです。いいわ・・・

そうだ、購入者特典ペーパーがあるんですけど、本編とうってかわって、真白が余裕ある雰囲気で、めっちゃ良かったですよ!!!!!!!!!!!
そうだそうだ手玉にとってやれーーーーーーーーーwww

4

3人のラブストーリー

作家様買いです。
読み始めたときの印象がいい意味で裏切られる作品でした。途中は正直かなり切なかったんですよね、特に攻めの立場がしんどいな…と思いつつ面白くてほぼ一気読みしてしまったのでした。攻めが出木杉くんです。

通常モードの日常系を予想してたので、美人受けの元カレさんの展開は想定外でして、そこでちょっと心理的に重くなってしまいました。いやもう、そうなったらどう転んでもフォーエバーな存在になってまうやろがぃ…っていう切なさ。時間がたっても心のなかに残り続ける存在を抱えているっていうのを知りながら、どーしてもどーしても真白さんがいいんですっていうまっちーの献身があまりに完璧すぎて泣きそうになりましたよ…。上書き保存じゃなくて別フォルダに保存っていう器用さのない真白のやるせなさもあいまって…まっちー派なので元カレが憎らしく思えましたねw ちなみに、なかなか恋を自覚しない真白の心情として「町田といると心に影が差さない」って表現がやたら好きです。

元カレとのエピソードが結構濃密な印象だったので、同時にふたつのラブストーリーを読んでいるような感覚でした。真白がまっちーを現在進行形でとても大事に思っているということに気づくタイミングでみたあの夢の意味ってどういうことだったのか…?!よくわからなかったので(”忘れろ”って、むしろ執着に見えて軽く怖い…)、攻めの誠実さによる受けの救済&元カレの成仏っていう印象を受けてしまいました…。

建築業界のお仕事ものとしても面白かったです。

4

過去を上書きするのではなく、過去とも共存する愛のカタチ

このお話、面白いなと思ったのが過去の恋と現在の恋が同じだけ重要視されていることです。

真白が過去に愛した恋人の恋物語に想いを馳せる一方で、セフレ関係にある年下後輩・町田にどんどん惹かれていくという恋愛の二重構造になっています。
こういう場合、過去の恋愛を引きずる真白に対して町田が過去の愛なんか俺が上書きしてやるぜ〜!ってなりそうなもんですが、このお話は好きな人の過去の愛もまるっと受け入れましょうという町田のスタンスが男前。昔の恋人を忘れられなくてもそれでいい、むしろ忘れないでいてとサラッと言ってのける町田の真白への愛が沁みまくって堪らんでした( ´∀`)

真白にずっと恋心を抱いていた町田の執着心を感じるストーリーではあるものの、真白の生活空間や恋愛観をとても大事にしている寄り添い型の健気さがグッときます。
町田も真白も真白の元恋人・東江も建築に関わる同じ業界人。東江は業界内では有名なエース建築士で、町田にとっても真白にとっても憧れの対象の人物です。
真白と東江の間に町田が間男として入ったとかではなく、ましてやこのストーリーは三角関係でもありません。物理的には三角関係でなくても、東江が真白の心にいつまでも忘れられない存在として居続けている意味では、精神的な三角関係といえるかもですが。

真白が東江を失い、真白と再会したのち真白に近づくためならセフレでもなんでも利用する町田の想いがどこまで献身的で、こんなにも素敵な攻めキャラを生み出してくれた安西リカ先生にありがとうととにかく言いたいです。
真白を軸として過去と現在の恋愛が構築されているように見えますが、このストーリーを動かしているのは町田だと思っています。真白が東江と交際に至るその時点においても実は町田の真白への執着と恋心が裏では既に稼働しており、真白と東江の交際ストーリーにも町田の感情が少なからず絡んでいるからです。

真白と東江への憧れと羨望の感情や、2人の親密な仲を感じて失恋、そして新たに始まる真白との関係への期待が複雑に交錯していることにより、真白の過去と現在の恋愛が町田の存在により一層の深みを増していくことに注目いただきたいなと思います。そして、後腐れない関係のセフレから好きな人へと気持ちが変化していく真白の町田に対する想いからも目を離さないようお見届け下さいね^ ^

真白と元恋人との別れがあんな風な終わり方だっただけに切なめなストーリーになるのは否めませんが、いつまでも過去に留まるのではなく新しい恋愛に前を向いていこうとする未来の動きは明るい読後感に繋がります。
過去を上書きするのではなく、過去とも共存しながら愛を構築していく姿が風通しの良い爽やかな恋愛の空気を感じさせ、最後の最後まで彼らの愛に酔いしれることができました。

4

抱えた傷ごと包み込まれ、ゆっくり育ってゆく気持ち

決して消えぬ大きな喪失を抱えた受けを、
その傷ごと愛する攻め。

信じられないくらい一途な攻めの包容力が胸を打つ、
受けの救済ストーリーです。
途中からティッシュが手放せなくなるほど、泣けて泣けて、泣けました...

肌色な表紙にちょっとドキッとするけれど、
内容はとてつもなくピュア。
読み終えて表紙を見返し、攻めが受けを見つめる
その優しい視線に、たまらない気持ちに。


元勤め先の建築設計事務所後輩の町田に
飲みの席で誘われたことをきっかけに、
セフレ関係を続けている真白。

実は真白には忘れられない辛い恋の記憶があり、
誰とも深い関係を築く気にはなれず、
気楽に過ごせる町田との関係を気に入っています。

しかし共に過ごすうち、だんだんと
”軽い遊び人”を装っている町田の真面目な人となりや
優しさ、自分に向ける真剣な思いを理解するようになり、
心が揺れ動きー

と続きます。


これ、まず、真白の抱える恋の思い出と傷が、
とてつもなく大きくて痛くて切なくて、やるせないのです。
(以下大きなネタバレを含みます)





遠い憧れの存在だった先輩設計士・東江由基との恋。
確かに気持ちは通じ合っていたけれど、どこか”終わる”ことを予感させる緊張感を孕んだ恋だったことが、中盤、真白視点で丁寧に綴られています。

そして天才的な能力・技術を持つ東江が
海外へ活躍拠点を移した直後の、永遠の別れー


本気で恋していた人を喪い、人前で元気な顔を見せられるようになるまで、
真白がどれだけの時間を要し苦労したか。
引き出しに今も入ったままの眠剤や、恋人の訃報から半年の間休業していた…といった描写から、彼の苦悩がダイレクトに伝わってきます。

で、この真白の元恋人・東江という男が、憂いと大人の色香を纏う、
良い男なのですよね…
真白の気持ちの方がずっと大きいのかな、と思いきや、
誕生日を覚えていてさりげなく「欲しいものはないか?」と聞いて来たり。

海外へと行ってしまう時にも、真白からもらった観葉植物を「連れて行く」なんて言い方をして、真白をドキッとさせる。
「待っていて欲しい」という直接的な言葉は告げずに希望を持たせるような言動、ずるいなあ…!と思うのですが、憎めない。

特に切ないのが、二人で話し合いながら、
「一緒に住むなら…」と理想の家の意匠製図を作るシーンです。
そんな未来はきっとないだろう、と頭のどこかで互いに分かっていながらの会話に胸が痛む。。

そして東江の告げた「2年」という期間を、
真白が待ち続ける決意をした矢先の喪失。


で!!

ここから攻め・町田視点へと大きく場面転換してからの展開が、
この物語最大の見せ場ではないかと思います。

飲みの席で軽々しく真白を誘った時。
飄々としながら自分のことを「セフレ」だと言っていた時。
自分が設計を担当する場所に、「ちょっと付き合ってくれない?」と言って
真白を何度も連れ出すようになった時。

彼の軽口の裏に、一体どれだけの真摯な思いが隠れていたか…

この攻め視点パートを読んで前半を振り返った時、
一番に「あっ!」と思い浮かんだシーンがあります。

真白が初めて町田の家に誘われ、いい雰囲気になったにもかかわらず
ベッドでうとうと…と眠りかけた時。
町田はてっきり強引にでもキスしてくるのかと思いきや、
優しい声で「寝ていいよ」と囁く。

これ…!

真白の家の引き出しに眠剤が入っていること、
それが置いてある理由、それらを全て知った上での、セリフだったのですね。。

自分のそばでは、何も心配せず安心して眠ってほしい。
決して真白を一人にしない。寂しくさせない。泣かせない。

「決まった相手は面倒くさい」と言う真白の心に負担をかけないように、
明るく、気楽で、軽い男を演じる。
そうして真白が立ち直るまでそばにいる。
他の誰かが軽い気持ちで真白と遊ぶことなんて、絶対嫌だー

えっ、実はそんな前から真白のこと、知ってたの!?
という二人の出会いエピソードに驚くと共に、
とんでもなく深く大きな彼の献身愛に衝撃を受けました。


そんな攻めの一途愛が明かされ、
二人の思いはもう”セフレ”の枠をとうに超えたよね、両思いだよね…!?
となったところからの、”すれ違い”描写。
切なさが、加速していきます。。

はっきりと好意を認識してしまったからこそ、
セフレだと思っていた時には抱かなかった
「昔の恋人を今も引きずっている」ことへの罪悪感が、
真白を苦しめるようになる。

過去の恋の傷を(本当は知られているのだけれど)
町田に告白できない真白の葛藤も十二分に理解でき、
切なさに涙しました;

このすれ違いの回収というのかな、それがまた見事すぎて。

未完成でいつもどこか不安定だった、東江との恋。
そんな関係性の象徴でもある意匠製図を、
今度は町田と二人で話し合って形あるものにしてゆき、完成させる。

真白が新たな恋を自分自身に許し、覚悟を決めた瞬間の描写に
心震えました。
で、そんな真白の心を、言葉で態度で行動で、しっかりホールドしてくれる町田!!
君はどれだけ包容力を持っているのー…!

ラスト、二人で共に訪れる場所に、また(何度目かの)熱いものが込み上げてきます。
輝く希望の見える最後の一文も、とても素敵で沁みるものでした。


そして最後に、タイトルの『彼が愛しているのは』。
これも秀逸だなあ…と唸ってしまう。

恋が成就するまでの攻め視点で見ると、
「彼(=真白)が愛しているのは(東江であり、自分ではない)」と、切ない恋心として読み取れる。

けれど物語全体の流れから見ると、
「彼(=真白)が愛しているのは(、今は確かに町田ただ一人)」と捉えられる。

考える余地と余韻、そして最後にはたまらない幸福感を感じさせてくれるこの短いタイトル、本当に素敵です。

あとがき後の掌編は、真白の叔母視点。
温かな叔母の目線を感じるお話に、ほっと優しい気持ちになります。

抱えた傷ごと受け入れられ、愛されるー
なんとも印象深い、夜明けの救済ストーリーでした。

10

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