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彫りたい、けれど抱いてほしい。
関西の方がどう感じるか分かりませんが、ずっと関東住まいの私としてはものすごく色っぽく感じる言葉でした。
作者の後書きにもありましたが、物語が大正時代の大阪のため出来るだけ古い言葉を使用した、と。
おそらく実際に耳にしても色気を感じる台詞回しだと思うのですが、字面も大変艶っぽくて!
受けの八束が「弄て、弄て・・・・・・」と言うシーンがあるのですが、読みは「いろて」です。
なにこのインパクト!
人生で初めて方言に滾りました。
裏家業のBLが読みたくてこの本を手に取ったのですが、内容はもとより大阪言葉の艶にぐいぐい惹き込まれ、登場人物の話し言葉に心を持っていかれたまま読了。
物語は彫師の八束(受け)が辺りを仕切る織間屋の若頭から博徒の源太(攻め)をしばらく預かるように打診されることから始まります。
そして源太に彫りも入れてやってくれ、と頼まれるのですが・・・。
八束は先代の亡き師匠から、彫りの技はあるが彫物に情がこもっていないと言われていたため彫師としての腕に自信を持っていません。
「綺麗」なだけの彫物を源太に彫るのを躊躇しますが、源太が狙われ身辺が危うくなるなかで二人の距離は・・・といったストーリー。
受けは個人的に大好きなタイプで、美人で気が強く芯のしっかりした自立したタイプ。
攻めは筋を通し義理堅くも野生の危うさもある年下の男前。
この二人、最高です。
主役二人の魅力はもちろんのこと、脇役にいたるまで皆、個性があり生き生きと描写されていて本の世界観を豊かなものにしていると思います。
時代背景として近代国家へと変貌していくなかの日本の市井の人々、そのなかでも決して光の当たる場所ではない裏の猥雑さや薄暗さ、その中にある義理人情がしっかりと書き込まれてあったと思います。
そして何度も書いてしまいますが、なんといっても言葉の持つ色気にやられました。
小説を読む楽しみのひとつである“知らない世界を堪能する”喜びを味合わせてくれた物語でした。
既読「頬にしたたる恋の雨」で近代(明治〜大正〜昭和初期あたり)の大阪言葉の柔らかな美しさに惹かれ、本作を手に取りました。加えて大好きな彫り物モノ!
舞台は大正時代の大阪、博徒の源太x彫師の八束の物語。
表題作「君を抱いて昼夜に恋す」は、彫りの技術も絵の技術もありながら、心を揺り動かす「情」に欠けている彫師八束が、野生の獣のような博徒源太に出会って、彼に惹かれ、惚れて、抱かれて、何より大事な「艶」を会得してゆく、その様を描いた一編です。
「仇枕」
『源太に抱かれてから、俺の彫り物は変わった』。
源太に彫り物を刻み始めて2ヶ月。寝食を共にする源太と八束は、ますます激しく抱き合う。
そこに現れる、10年ほど前に師匠彫為の客だった葉島忠五郎。
この「仇枕」は、源太と八束以上に、忠五郎の抑えきれない激情と未練、全てを秘め諦めざるを得ない哀しさと喪失が描かれて圧巻。
仇枕(徒枕)とは、①恋人と別れて独り寝をすること。②一夜の契り、とあるけど、この場合①でしょうか、忠五郎親分の孤独、求めても得られず差し出しても虚しい心が響いてくる。
今作での大阪言葉は、ヤクザ世界が舞台のためか柔らかさは少ないです。でもHシーンでの雰囲気はすごい。また、麻々原絵里衣さんのイラストは、八束の華奢な身体に咲く妖艶な彫り物、源太の逞しい肉体、彫り物を入れた後の源太と八束の絡み合う美しさがとても良かったです。
大好きな麻々原先生がイラストを担当されているということで手にとった本書ですが…
久々に神作品に巡り会えました(;∇;)/~~
時代モノ、更に関西弁、そしてそして博徒×彫り師……
なんという萌え要素満点な…!と読む前からテンションハイでしたが。
もう最高でした!!!
初めて自ら彫りたいと思える相手に出会えた彫師の八束
しかしその男・源太には「綺麗なだけで情がない」と師匠に評された自分の腕前では足りないと葛藤する…
という内容なのですが
やはりキャラがたっていると何気ない会話でも何ともわくわくドキドキするもので…
ヤクザなんかを相手にするとはいえ一介の彫師であるにも関わらず妙に胆のすわった主人公・八束がネコでありながらすごくかっこいいんです!!
可愛らしい受けも好きですが、こういう過去に男女両方相手にタチ経験もあるという凛とした美しさと男らしさを持つ受け大好物です(*´∇`*)
そんな強気とも言える八束をまるで子供相手にするかのように甘やかしていなす攻めがまた素敵なんです
まるで獣のような、腹のよめない存在感溢れる「ホンモノ」の博徒・源太
様々な人々に警戒され威嚇され欲しがられ憧れられていながら、物事に執着を見せない源太が唯一表情を動かすのが八束絡みの時のみというのが…たまりません!!
また関西弁が主役二人の色香を壮絶に引き立てていて、普段のやり取りも素敵でしたが閨の睦事がまた最高でした!
(「弄て」のカナが「いろて」というのには超グッときました...)
更に物語も非常にしっかりしていて面白かったです
ヤクザや賭博が関わる世界で巻き起こる事件やそれに付随する人間模様…仲を深め合う八束と源太
全てを余すことなく描いていて、すっきりと終わっていたのでかなり大満足です
ストーリー重視且つ濡れ場も適度に満足な位入っていて楽しめました!
既読【落花の雪に踏み迷う】が気に入り、本作も期待を持って読み始め、やはり、作者の文章と魅力的なキャラ達に心を持っていかれました!
本作の背景も【落花~】の時代。
明治維新以降、大急ぎで列強の模倣していくお上の手の平で国民が踊らされていく途中、とても興味があります。
歴史に残る大事件の中、自分の知らなかった見落としがちな庶民への条例や生活を良く調べられていて、その背景描写と比喩も沁みてくる、その筆力に感服しました。
○美丈夫な彫師・八束。
親が早く死に戸籍も無い。名彫師・為吉に拾われるまで最下層の子。
冷えた心には情も育たない。
だから、亡師・彫為のような情動ある絵が描けない。
○源太、貧農の子で徴兵くじに外れ口減らしの為に家を出て、博徒に。
若いながら体も肝もあり、誰もが一目置くオーラを持つ漢。
⇒八束は、懇意の織間屋(博打ヤクザ)から墨を入れて欲しいと源太を預かる。
源太に獣の美しさや凶暴さを感じ取る八束は、この体に描きたいと欲情するが、キレイなだけの自分の絵では、描きたくない・描けないと惑う。
預かった日の夜、源太は八束に欲情を見せてきた。
八束の腹の牡丹をこねくり、猛ったものを擦りつけた源太は、
「あんまり別嬪(べっぴん)やさかい、織間屋が当てごうてくれた“色”かと思うた。」
「抱いたら彫らんぞ。どないすんねん、抱くか彫るか。」
(本文じゃありません)
・・・っくはーっ ((d>◇<b))ドンドンッ!
緊迫感や色気が乗った関西弁が堪らん!
刺青の載った肌がしなる様子や息詰まり感にそそられる!
八束の周りの親分達の騒動、織間屋や対抗組との衝突や混迷の時代に政治家に転身する忠五郎の恋の始末が、メインディッシュで、
その場所に沿って生きているー宝居が焦れた女郎や力蔵や鉄次郎とかーが、いいツマになっているんですね。
どこもここも生き生きと描かれて、映像になってもきっと面白いと思う!
源太×八束の濡れ場も右肩上がりです^^
クールな八束の溺れる描写にドキドキ、ずっと漢だった源太の攻め文句にバクバク!艶っぽいよ~!
ええもん描きはったぁーっ!涎、鼻水もんですわ!
萌×2の評価があったけど「神」にさせて貰いまっさ!
もう久我先生に付いて行きまっせー!
(堺と泉の叔母ちゃん、使い方合っている?)
ちょっと前の時代の、任侠の言葉遣いが、雰囲気たっぷりで素敵です。
久我さんの作品は、全体の印象として、受けがしっかりしているところが好き。
八束も、生い立ちやら諸々あって、現世の欲に恋々とせず、突き抜けた静けさで、しゅっと立っている感じが素敵。
そんな八束が源太と出会ったことで、まるで、冬の木から、つぼみが色づき、花開くように、しっとり濡れて、息づいていく。
大正で、
大阪で、
任侠で、
この設定、自分で自分の始末がつけられる、そんなしゅっとした男達のお話にぴったり。
これ、八束は置鮎さん、源太を石川さんで聞いてみたい。