かわいい――愛しい――欲しい――。 高遠琉加2ヶ月連続刊行第2弾!

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表題作好きで好きで好きで

堂島慎一,会社員,23歳
三浦郁彦,花屋店員,23歳

その他の収録作品

  • ラブソングみたいに
  • 君がしあわせになる前に
  • あとがき

あらすじ

フラワーショップで勤める三浦は、高校時代に片思いをしていた同級生の堂島と再会する。しかし堂島には恋人がいると分かり、友人に戻ろうとする三浦だったが、ある出来事から、身体だけ重ねてしまい…。
(出版社より)

作品情報

作品名
好きで好きで好きで
著者
高遠琉加 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784044550066
3.7

(104)

(43)

萌々

(20)

(20)

中立

(13)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
29
得点
368
評価数
104
平均
3.7 / 5
神率
41.3%

レビュー投稿数29

(引)……いきなり襲ってはいけません。

作家買い。残念ながら一人称の文章が合わなかった。お堅い文体を無理して崩したみたいで違和感。
比喩表現はとても綺麗、だがそれが一人称なので、妙に文学的だったり乙女だったり日常的でなかったりする表現が全て視点主の語った言葉になってしまい、果てしなく夢見がちでポエミーな人間のよう。常に脳内で小説書いてる人みたい。

受けの三浦の片思いが軸のお話。最初の告白で、いきなり堂島を襲い始めてドン引きした。男だから気持ち悪いとか以前の問題で、突然襲ってくる相手なんて怖すぎる。なのになぜ三浦は自分が被害者のように振る舞っているのか。
しかしBLにおいて片思いする受けは何をしても擁護され、襲った罪など無かったように展開していく。
再会後の堂島はちゃんと笑いかけて偉いと思った。

そしてまた始まった三浦のぐるぐるは卑屈。今の堂島を見て更新された恋心でなく、初恋をただ忘れられずに未練が強くなっただけな印象。せっかく再会ものなのに、二人共に成長が見られないのはもったいない。これではキャラに魅力を感じない。

二章は堂島視点だが、一人称の口調が三浦と同じでポエミー。堂島視点で見る三浦は、これが女子なら計算高いとか狡猾だとか言われそうなことを自然に言ったりやったりしていて、惹かれる堂島に呆れるしかなかった。
三章はおまけ的な小話。転勤についていくのはやっぱり受けでゲンナリ。

この作品に限らず、BLでよくある(受けが振られる>攻めが襲われる)という扱われ方に納得がいかなかった。未遂とはいえ、襲うより振る方が酷いのか。これが受け攻め逆なら扱われ方も変わる。女なら襲っても罪にならない時代に生きている人の感覚が反映されているかのよう。
結局描かれているのは受けと攻めであって、同性の恋愛じゃないと思った。

好きになれるキャラが一人もいない作品だった。勝手に男だからと思い悩み卑屈になり被害者ぶる三浦が特に無理。
高遠さんの小説は恋愛重視でない方が好きかもしれない。

0

片想いがテーマ

2004年の文庫化に加筆した新装版と言っても、これは2010年2月発、
何方にしても古い作品。
高遠琉加さんは、20年以上前から執筆活動していた作家なんだなー、と。

「好きで好きで好きで」
「ラブソングみたいに」
「君がしあわせになる前に」・・書き下ろし 彼らと彼女のその後
あとがき

繊細で泣き虫、思い込みが深いタイプの受が、著者の作品には多く登場。
ずっと一人を想いづづける三浦君もそうだし、「神様も知らない」の司も似たタイプ。 

淡々とした、日記のように出来事を積み重ねて綴ったよう構成だった。


0

微かに感じるずるさと歯痒さ

2010年刊。
2004年刊行b-boyノベルズからの加筆新装版らしい。
高遠さんの小説って攻め受けの感情の掘り下げにぐっとくるものがある。
作者あとがきにある通り、受けの片思いをじっくり読める貴重な話だが、それぞれの未練の連鎖で最後まで読ませる引力はさすがだとは感じた。

苦しい胸の内の告白を受け入れてもらえず物別れしたまま、5年後に偶然に再会してしまった三浦と堂島。
しかも堂島は三浦が勤める花屋の娘(由布子)と付き合っているという。
失恋した時の辛さを抑えようと、堂島の前では務めて友人として立ち振る舞う三浦の姿は少し痛々しい。

懸命に好きな気持ちを押し隠そうとしている三浦が「気持ち悪いと思わないで」「消えてしまいたい」とまで吐露しているのに、肝心の堂島はそこまでの思い詰めた心情を汲み取れていないだろう歯痒さが見えてしまう。
ノンケの男が同性から恋愛対象として見られているのを受け入れられないというのは分かる。
しかし、過去に振った三浦の目線がまだ切ないのを知っていて受け流したり、由布子との付き合いに迷いが出た時に、三浦は今も俺の事を好きでいてくれるだろうと期待するのは、微かにずるいと感じてしまうのだ。

由布子のほうも同じ女から見ればいい印象がない。
既に堂島と付き合っていながら、元カレとの関係を断ち切れないどころか常に気にしているなんて、端から見てなんだかなぁと感じるよ。
これじゃあ三浦に二股と非難されるのも無理はない。

切ない展開をなるべく淡々と読みたかったのだが、どうしてか作中での他人の恋愛に口を挟みたくなってくる感覚ってのは、多少なりとも感情移入してしまうところがあるからだろうか。
まぁ登場人物の中で一番不憫だった三浦が救われた点は良かったのだろうね。

1

ツボな設定ではあるのだけれど

先日ちるちるさんのBLニュースで紹介されていて、興味をひかれ購入。健気な受けさんというが個人的にとってもツボなんです。

高校生の時に友達の堂島くん切ない恋をしていた三浦くん(受け)。
告白するも玉砕し吹っ切ったつもりが、5年後に偶然再会して自分の中にある彼への恋心を自覚して。
なのに堂島くんには恋人がいて。

三浦くんの、堂島くんへの想いが何しろ重かった。
悪い意味じゃないんですよ。ツボではあるんです。三浦くんみたいな健気な受けさんって。
ただ、「諦めなくちゃいけない」という想いを抱きつつ、それでも忘れられない。
というグルグル加減がちょいうざかったかなあ、と。この辺りはもう好みの問題としか言えないと思うんですけどね。

そして堂島くん。
彼の良さが全然わからんかった…。
「これ」というきっかけもないのに好きになってしまう、というのはわからなくもないし、ストーリーとしては全然問題ないとは思う。けれど堂島くんのカッコよさがまったく理解できないので、少し感情移入しづらかったです。

前半は三浦くん視点、後半は堂島くん視点でストーリーが展開するので、堂島くんの心情はきっちり理解できるんです。前半の三浦くん視点を読んだ時点ではなんだかな…、としか思えなかったのですが、後半を読むと堂島くんの葛藤も理解できるし『家族』というものに自分の理想を持つ彼の心情もわかる。
けれど、そう思っていた堂島くんが、一体、いつ、三浦くんへ恋愛感情を抱くようになっていたのか、がよくわからなかった。自分は恋人がいるのに嫉妬に駆られてひどい言葉を投げつける彼がどうにも男前には見えなかったな、と。

けれど一番よくわからんかったのは由布子の元カレの存在。
堂島くんと由布子を、きれいに別れさせるためだけの存在だったなあ、と。
むしろ由布子は堂島くんのことが好きで、ノンケの堂島くんには由布子のほうが良いに決まっているのに、でも三浦くんを選んだ、というストーリー展開のほうがよかった気がします。あまりに安易な設定だった気がしました。

全体を通して、健気な三浦くんは可愛かったし、グルグル遠回りしながらも三浦くんへの想いを自覚する堂島くん、というストーリーは非常にツボだったのですが、ツボだったが故に、ちょいちょいと引っ掛かりを感じる部分があったのが残念でした。

1

片思いからの…

とにかくハピエンになって良かったぁ!

もうこの一言です。

1

人を好きになることに理由はない

高校の同級生堂島に片思いをしてしまった三浦。
気付いたら堂島の背中を目で追ってしまうくらい好きで好きで仕方ない、そんな片思い。
卒業前に思い来て告白したものの振られてしまい、そこからは堂島を避け会わないようにしてきました。
それなのに社会人になってからアルバイトで始めた花屋の娘さんが堂島の彼女という悲しい展開。

再会後も普通に普通にと笑顔で接する三浦に対し、堂島は三浦の前で彼女と仲良くしたり三浦に優しく近づいたりと、わざとじゃないにしてもちょと鈍感でひどい。
後半の堂島視点のお話で、堂島の本心が分かったからよかったけど、三浦視点の話だけ読んでしまうと三浦がかわいそうで胸が締め付けられます。

三浦が男の自分が好きだということを申し訳ないと思い、堂島に「好きでごめん」とか「気持ち悪くてごめん」と謝るのが、自分ではどうしようもできないくらい好きなんだなと伝わってきてせつなかったです。

本当にどっぷり片思いで、逆に気持ちいいくらいでした。

3

ガッツリとした片思いものでした

片思いものを読みたいなあと思いながら高遠先生のこの小説に辿りづきました。
タイトルからいかにも片思いものな感じです。
クラスメイトである堂島(攻め)の弓道をやっている姿に惹かれ、いつの間にか彼に目を追うようになった三浦(受け)。
一人暮らしの堂島が病気になったところを熱心に看病してあげたのをきっかけに、二人の距離が自然に縮まってきたと同時に、堂島への思いは重ねてくる。
卒業を目の前にして、もう会うことはできないかもしれないと焦った三浦はついに堂島に告白してしまう。
甘酸っぱい告白だろうなと想像したがかなりの迫力だった。
重くなる思いに押しつぶされて爆発したように堂島に自分の思いを打ち明けて、一度でもいいから抱いてくれとまで迫った。
ノンケの堂島はびっくりしてハッキリと拒絶したわけです。
よく「玉砕の思いで」と聞くが、これは本当の玉砕だった。
その後三浦は堂島を避け続け、二人は気まずいまま別れてしまった。
それから五年、そんな過去があった二人は偶然に再会した。
そして最悪のシチュエーションだった。
ずっと仕事を転々としてフリーターの三浦がやっと馴染んだ花屋に、かつての片思い相手堂島がやってきた。あれから違う人生を歩んできた堂島はすっかりいい男になり、そして三浦の尊敬している先輩である花屋の看板娘彼氏になったのだ。
堂島と彼女の姿を見るだけでも苦しかった。でもせっかく好きになった仕事場を簡単に離れない。堂島が何もなかったように普通に接してくれるのが嬉しい半面、自分の思いは彼にとってただの過去だっだのかとがっかりすることもある――皮肉なことに自分は五年経っても好きな気持ちは変わってないのに。
三浦の心理描写は本当に教科書みたいな片思いっぷりでした。
切なくて切なくて、それでも好きで好きで止まらない。
「消えてなくなりたい」
堂島を好きな気持ちが抑えずに店をやめて三浦だが、追いかけてくる堂島に二回目の告白をする。
このシーンがとても繊細に描写されていて、マックスと言ってもいいほど何度も読み返した。
片思いの醍醐味である告白シーン、この話の中には2回もあった。
一回目は高校生の時、二回目は再会のあと。
2回ともとても苦い思いだった。
高校生の時はきっぱりと断られて玉砕だったが、泣きながら二回目の告白をすると、「これでけじめがつくなら一回だけやってもいい」となんと堂島から言われた。
好きな人からの誘いを断られずセックスはしたが、これでは恋が本当に終わってしまたと思う三浦の気持ちは切ないそのものですよ。
堂島、ひどいな…
そんな堂島でイライラしていたら、後半の攻め目線がサービスしてくれました。
こんな長い攻め目線初めて見ました!
この番外編長っ!と思っていたらちゃんとした本編だった(笑)
攻めの目線から話が進むのがすきです。
段々三浦に惹かれて、この気持ちに悩んで、矛盾して、それでも最後は思いっきて三浦を追いかけていく堂島を見ていると満足するなあ~
終わってみればいい片思い話でした。
彼女の恋事情もなかなか面白いし、やはりこの頃のblのなかの女性ってみんないい人で都合がいいなあとツッコミだくなるほど。
三浦が辛かったから堂島をひどいと思ったりもするけど、じっくり読むとそれなりの理由があるし結局合理的なキャラ作りだと思いました。
ただ受けの不憫さを引き立てるためのひどい男ではなく、ちゃんと筋が通ってるところがすごくいいと思います。
あらすじが話を三分の二を説明していたほどのシンプルな話なんですが、こんなシンプルな話こそ作者の描写力が試されるのです。シンプルな話をくどくなく時間かけて展開させる高遠先生はさすがです。
片思いものが好きな人には満足できる一冊でした。
ちなみに、受けがあまりにも切ないと耐えられなくなりそうだったら、126ページから読むのをおすすめします(笑)

7

これでもかこれでもかというほどの片思いのお話し

 あとがきで高遠さんも書いているように、これでもかこれでもかというほどの片思いのお話し。息が苦しくなるほどの。

 高校の同級生だった堂島のことを好きになった三浦。ずっとずっと好きで。一回振られても好きで。振られても5年の間好きで、偶然再会した堂島に気持ちを隠せずにボロボロ泣く三浦が切なかった。しかも3回も。
「俺だってこんなつらいのもう嫌だ」と三浦が堂島に気持ちを吐露するところも切なかった。
 そうなんだよ。報われないと分かっていても止められない。コントロールできない。生まれることと、死ぬことと、恋することは思い通りにいかないんだよ。
 そんなまっすぐな思いを自分に向け続ける三浦を気にしだす堂島。おう。よかった。堂島がいいやつで。
 
 好きになってもらえて、自分のその相手に思いを返せることってすごく幸せなことだ。この作品を読んで、人が人を好きにあることの尊さについて、あらためて気づかされた。恋って、怖いけれど、やっぱりいい。

7

後半は攻め視点

ネタバレなしで書きたいと思います。

高遠さんの作品は『神様も知らない』シリーズでハマりました。
硬い感じのものを選んで買っていましたが、たまには毛色の違う高遠作品も読んでみたくて。


受けの三浦は23歳。
就職先を半年で辞めいくつかバイトを転々とし、今はフラワーショップでバイト中。

攻めの堂島は、三浦と高二時のクラスメート。
端正な顔立ちで、寡黙ながら目につく男。


高三の冬、好きだと堂島へ告げたけれど、諦めて欲しいと言われてしまった三浦。
五年経ち、再会した堂島は三浦の働くフラワーショップの娘、由布子とつきあっていました。

前半は受けの一人称です。
ノベルス版に加筆修正した作品ということで後ろに書き下ろしが入っていますが、前半、「ちょっとー、こんなとこで終わっちゃうの?!」
という感じです。
いや、びっくりしました。
そして後半は堂島の一人称。
わたしはこちらの堂島一人称の方が好きでした。
一人称はそのキャラに思い入れないと楽しめないので、三浦がもう少し儚げか可愛い感じならもっと前半も入り込めたかなあと。

2

人を好きになる気持ちがせつない

誰かを好きになる。
相手が自分のことを思ってくれなくても、その気持ちがどうしようもなくあふれてくる。
本当にタイトルがしっくりくるお話でした。
堂島が幼い頃の父との別れ、思春期での母の再婚、気持ち的に欠けた部分をもった人だったので本人がそのことを自覚するまでが長かったように思います。
「消えてなくなりたい・・・」と思うくらいに傷ついて、それでもずっとひとりの人を好きでいつづける三浦は本当に強い人だと思います。

4

不憫好きなら

泣けると思う。

ただただ好き。
好きになってしまって、
もう、どうしようも無い。
好きになってしまうのに、理由なんて無い。

レビューが沢山ついて、その分評価もばらついているこの作品。
評価のばらつきは、攻めの堂島を、どの位受け入れられるかどうかみたい。
三浦視点の「好きで~」は、普通に切なくて泣けるけど、
私としては、堂島視点の「ラブソングみたいに」の、堂島が「好き」の意味を求めてグルグルするストーリーの方が好み。

自分の中で渦巻いている、
自分でも自分が制御できない、理解できない、この気持ち。
この気持ちはなんだ?

堂島は、ちゃんとその答えを見つけたので、私としては満足だわ。

3

ごめん、泣けない・・・

いえ、別に泣きたくて読んだわけではないんですが・・・

高遠さんは、文章も綺麗だし心情描写も細やかで、読んでいてリズムが気持ちいいですし、なんでもない日常を題材に、大きな起伏もないところも私はいいと思うんですよ。でも、キャラクターが好きになれないことが多いんです。キャラクターさえ気に入れば、好き作品になる確率は高いんですが。この作品はその典型です(ちなみに高遠さんでは『捨てていってくれ』『酷いくらいに』が大好きです)。

三浦(受)の片思いが軸ですが、ぐるぐる・うじうじは(もともと私の好みの範疇なので)これぐらいなら十分許容できます。むしろ好きですよ。
ただ、三浦の好きフィルターを通してさえ、堂島の良さが伝わってこないんですよね。三浦が堂島を好きなのはよ~くわかるんですよ。でも、なぜこんな男をそこまで好きなのかわからないから、『長年の片思い』の重さに感情移入のしようがなかったですね。

とにかく切ないのには間違いないですし、ストーリーの流れにも大きな不満はないです。ただ、堂島が酷過ぎた。いわゆる『酷い男』『ダメな男』じゃない分、余計に(BLのキャラクターとして)タチが悪いと思ったんです。コイツのどこがいいのか、私にはまったくわからないんですが。三浦の思い込みだけなんじゃないの?とさえ感じました。

私は、BL(に限らず本)を読んで号泣することはまずあり得ませんが、目頭が熱くなったり、思わず涙がほろりと・・・っていうのはよく(いやもうしょっちゅう)あります。ホントに、自分でもどうかと思うくらい、涙のハードルは低いんです。それがあるから、外(人目のあるところ)で読むときは要注意!なんですよ。
それでも、この作品ではまったく泣けませんでした。なんというか、途中ですごい傍観者目線になってましたから。

ハッピーエンド至上主義の私ですが、まだ前編だけ(三浦の片思いEND)のほうが『切ない名作』としてとらえられたかもしれません。後編でも、堂島の『よさ』はわからないままでした。いや、きちんと描写はされてるんですが、私がどうも納得できなかっただけです。三浦に対しても、由布子に対しても(まあ、由布子とはお互い様か)、表面(体面)だけ取り繕ってるような。いくら心情を語られても、勝手すぎるとしか思えませんでした。

それにしても、由布子ってそんなに『いい子』ですか?私はこれっぽっちもそうは思えなかったんですが。単に元彼と堂島を天秤にかけて、熱意をもって見てくれない堂島より、(元彼が経済的にも何とかなりそうだし)崇拝者とも言える元彼を取った打算的な女としか思えなかったんです。打算がダメなわけじゃなくて、それなら正面切ってそういう人間として描いた方がよかったと思うんですよ。別れ方ににしろ、堂島から切り出させて、『慎ちゃんは優しさから・・・』って、なんか堂島も由布子もどっちもどっちで、もう勝手にしたら、と白けました。
特に最後のSSの、結婚式に招待したり、取りすがって泣いたり・・・のエピソードが我慢ならないくらい気分悪かったですね。

結論から言えば、私には合わない作品だったってことでしょう。

8

せつないですね。

以前から気になっていた作品。
ようやく読めました。

………せつないですねー。
高校生の時に偶然見かけた堂島の弓道姿に恋をしてしまった三浦。
それから教師の遣いで堂島の家を訪れて、そこから少しずつ友達のような関係になって。
けれど、進路が違う三浦は追い詰められて気持ちを伝えてしまう。
堂島はそれを受け入れられず2人の関係は疎遠になってしまう。
しかし、また偶然が2人を引き寄せる。
あれから、5年。
花屋の店員になった三浦と、花屋の娘の恋人になっていた堂島。
もう過去のことだと思うのに…。

三浦がとにかくせつなかったです。
振られても好きな気持ちを止められなくて。
好きになっちゃいけないと思うのに、またどうしても好きになってしまって。
それをうまく隠せれば波風はたたないのかもしれないけれど、つい溢れてしまったりもして。
熱い視線を向けてしまったりして。
それが堂島を揺るがすことにもなるんだけども。
堂島がもっと早くに行動できてたら違ってたんじゃないかなーとも思ったり。
でも、想われる側だと思ってたなら自分の気持ちに気付けないのも一理あるようで。
それでも、非常にもどかしかったです!
三浦が二度目のえちの時に堂島が同情してくれてるんだと泣いてしまうところがとても好きです。

書き下ろしもステキでした。
堂島がどれだけ三浦のことを好きなのかが伝わってくるというか。
離れてしまうことを不安に思っているような。
ずっと一緒にいたいと思っているような。
仕事の邪魔をしてはいけないと思いつつも、求めずにはいられない感じが好きです。

2

安全圏。。

レビューも高評価だし、タイトルにも惹かれて購入しました。

三浦の一途な恋心はとても切ないし、私自身も読んでて苦しくなる位に想いが伝わってきました。こういう健気で一途な子は大好きです。
一方の堂島、過去の傷から自分を知らずの内に護っているという事に気付いていない。相手を想っているというより、相手の為に自分はこうあるべきだと決めて行動しているように思える。
堂島がどうしてもダメでした・・・自分のしている事を無自覚に正当化しているタイプ。一度想いを告げられたら意識するのが当然だと思うし、受け入れられないなら突き放すべき。。。
由布子については、アキが出てきた時点で完全に想いも最初からアキだろうなと思っていたので、個人的には嫌な女という感覚は無く読めました。

三浦への想いに気付いてからの堂島は急すぎる程のピッチで行動しはじめますが、今までのお前は何だったの・・・と意表を突かれてしまいました。
三浦の想いが通じた事については万歳ですが、堂島がどうしても好きになれなかった・・・

4

「好き」が溢れる

受の片想いものが見たくて、皆さんのレビューも見て購入しました。
受の片想いは大好物です!!そして、健気な受も大好き!!!

高校時代同級生だった攻・堂島と受・三浦。どうにか堂島と一緒にいるうちにどんどん惹かれ好きになる三浦。好きで好きで好きで我慢できなくて、ある日告白します。しかしながら、『そういう風にお前を見ることはできない』とこっぴどく振られ、堂島を卒業するまで避け続け…

それから、数年後。フラワーショップで働き始めたとき堂島と再会します。
三浦が戸惑っているのに対し、あの告白はなかったかのように接してくる堂島。三浦も忘れようとしますが、あの日の熱が蘇ってきます。

フラワーショップの娘さんの恋人と知り、なんともないように普通にふるまい、自分の気持ちは押し殺して接する三浦を見ていて非常に切なくなりました。2度目の告白時に三浦が言った、

『消えてなくなりたい…』

と言うセリフに、感情が一気に高ぶり涙腺崩壊してしまいました。
そこまで高遠先生の文章の持って行き方素晴しかった!!

最後の最後までキュンキュンでした。ちゃんとハッピーエンドで良かった。
「好き」だという想いが溢れている1冊です。凄く好きすぎましたw

5

好きだ好きだ好きだ

このお話も、三浦も、堂島も、高遠琉加さんも~!
もう何度涙したことか...
電車で読むのはオススメしません!
悲し涙とうれし涙がとめどなく溢れてくる...
あとがきで“半分読んだところで投げないで下さい”って書いてあり
ましたが、無理です、そんなことできません!!
「ラブソングみたいに」を読んで三浦の想いが報われるのを見届けるまで
死ぬに死ねない!ってぐらい引き込まれました。

それに、読むまでは六芦かえでさんのイラストが苦手だったのに、
読み始めてすぐの1枚目のイラストの時点で、すっかり六芦さんの繊細な
イラストにグッと切なさをかきたてられました。
先に見てしまうと話の流れがわかる重要なシーンばかりのイラストで、
三浦の笑顔のシーンが1枚もないことで、ひたすら片思いの切なさを
追って行き、最後の最後までその想いが報われないのも予想できました。
それでも、1ページ目からどんどん話に引きずられていきました。

まずは、高校時代のエピソードから始まります。
堂島に恋におちるきっかけ、会う度につのっていく恋心、全否定で
断られた告白。
そして、5年の月日を経て再会した今も堂島への想いは変わらず、
交際相手の由布子に嫉妬する気持ちと、そんな醜い自分に嫌気がさして
落ち込み葛藤する毎日。
一緒に舞台を見に行って、寄りかかって寝てる堂島の頬に触れてみたり、
去って行く背中を見つめていたり、堂島に見つからないようにしていた
行動の全てを気付いていたんです、堂島は...
「ラブソングみたいに」を読んで、2つの話と2人の想いがリンクする
たびに感極まって涙が出てきました。
本人さえ気付かぬうちに涙を流していた三浦を抱きしめながら、
とうとう三浦の想いに気付いてしまう。
もう、このシーンがこの上なく切なくてキュンキュンするんです!!
三浦がかわいくてかわいくて...

区切りをつけるため体を重ねた時も、堂島は三浦のことをかわいいと
思ってたんだよ!気持ち悪いなんて思ってないし、決して同情なんか
でもなかったんだよ!!って言って三浦を慰めたくなる。
ケガした堂島にこっそり見舞いを持って行く三浦。
それが高校の時にくれたものと同じだと気付いて追いかけるシーンから
やっと2人の想いが通じ、本当の意味で体を重ねることができた2人に
感情移入しすぎて涙腺崩壊。

そして、意外にも堂島は独占欲強くて、甘えたで、寂しがりや。
それまで堂島のことは傲慢で、三浦をいじめるドSで、女と2股
かけてるイヤなヤツって印象を拭い去ることが出来なかったのですが、
心から想える相手を手に入れたことで、ヒーローでもない本当の自分を
さらけ出して、すっかりかわいいヤツになってくれました。
ラスト2行の三浦へのプロポーズともとれるセリフが、これからの2人を
物語っている気がして、じわ~んとまた涙がにじんできました。
自分もお前のこと幸せにするから、お前も俺を幸せにしてくれって、
最高のセリフですよね~★

「君がしあわせになる前に」
優柔不断で三浦にデレデレで、すっかりヘタレ君になってしまった堂島。
立場は逆転し、2度の失恋で傷ついたせいで強くなった三浦が
これから堂島を支え、また強くしていくんだろうなぁ~
最後、誓いの言葉の合間の2人の会話は、結婚式を挙げられない彼らの
2人だけの結婚式みたいな感じがしてキュ~ンとなりました。
あぁ、本当にいいお話だったなぁ~www

5

ボッコボコに

受けは高校時代から片思いをしていて、一度振られているにもかかわらず、大人になってから偶然の再会でその気持ちが再熱。
でも攻めにはすでに恋人がいるという最初から「泣ける設定」でいかにも感はありますが、不快感はなく純粋な気持ちで読むことができます。

途中、攻めの暴言で受けが平手で殴るシーンがありますが、拳で良いと思います。
パシッ?そんな生ぬるいのより、ボッコボコにするべき。
個人的な意見ですが攻めの言動には本当にイライラします。

でも、攻めの言動にイライラすればするほど、受けに対して切なさがこみ上げるので、演出というか、良いスパイスだな~と暗示をかけることにします。

ふう、片思いはやっぱりウマいのう(*´∀`)

3

全員気持ちの切り替えがうまくできないタイプの人ばかり

片思いの話でした。
同性を好きになるきっかけも
想いを受け止めてもらえないことも
それでも好きでいてしまうことも
すごく説得力があったけど
再会して、ためしに一回ヤっちゃうのか・・・。
私にはこの攻めの行動が理解できないというか
ずいぶん自分勝手だよなwって思った。
だって、彼女いるのに!
そしてそんな状況で攻めの気持ち的には「抱いてあげよっか?」的なね。
いやいや、攻めも「抱きたい」って思ったんだと思うけどさ
受けには伝わらないからさ、酷い男だと思うよ・・・。
最悪な形での失恋の再確認だよなって思った。
私だったら、この時点で攻めの道徳観が崩れて
美しい片思いは終了するけどね。

受けも攻めも、すごく葛藤やとまどいがあって
ぐずぐずした感じがリアルといえばリアルなんだけど
私は性格的にどっちも好きになれなくて萌えなかった。

受けの片思いは、美しいかもしれないけど
次の恋愛をする勇気や行動力のない人という負の側面のほうが
目についてしまった。

攻めの恋愛観は、世間的な固定概念が強くて
自分の気持ちを理解するまでに時間がかかったという話だったし
母子家庭に育って母を幸せにしなきゃっていう使命を
母の再婚で失い、その想いを花屋の彼女に向けちゃっただけで
ぜんぜん彼女のことに執着も嫉妬もないんだもん。
なんかすごく酷い男w
結局、この攻めって“かわいそうな人”を俺が幸せにしなきゃ病なんじゃない?

花屋の彼女も、元カレのあて馬的に攻めを使ってるわけで
この彼女がすごく“いい人”として書かれているのにも疑問符。
私、こんな女とは友達になりたくないなぁw

全員すごくいい人でもなければ
すごく悪い人でもなく、ぐずぐずと自分中心に迷ってる
恋愛の決断の猶予期間・・・全員モラトリアムに浸ってる感じがした。
んー。なんかうまく説明できないんだけど
全員気持ちの切り替えがうまくできないタイプの人ばかりだった。

7

切ないけれども・・

レビューで切ない話と書かれていたので気になり購入。
確かに切ないお話でしたが皆さんが書かれているように涙腺決壊、とまではいきませんでした。
受け視点での前半、攻め視点での後半、の流れでしたのでそれぞれの感情の揺らぎや生い立ちなどもわかりやすかったのですが・・・・・・
全体的に綺麗にまとまりすぎたのと受け攻めの性格が私の好みに合わなかったのが原因です。
ただ恋愛の切なさや詳細な心理描写などは凄く良かったです。

4

大好きだった作品の新装版キター

こういうお話を読むと、個性的なキャラや、ドラマティックなストーリー展開などが無くてもいいんだよなァと思わされます。
繊細な文章と繊細な心理描写だけで、これだけ「読ませる」ことができるのだ。
それを証明してくれる高遠琉加さんは、やっぱすごい。大好きです。

簡単にいうと「高校時代にフラれた相手と五年ぶりに再会する。切ない、苦しい、でもまだ好き…」みたいなお話です。簡単すぎる説明だけど、プロットそのものは本当に単純なんですよ。
旧版、かなり読み返したんだけど、ほんのちょっと書き下ろしのために買っちゃった!
はい、満足しました。
泣けなかったけど、それは仕方ない。旧版は初読時に大号泣した挙げ句、再読でも泣いてたし…、さすがにもう泣けねえw
でもまた泣きたいので、数年寝かせてから読もうと思いますw

高遠琉加さんの作品は、「小説であること、文字であること」にものすごく意味を感じるから好きなのです。
文章の組み立て方が上手いのだ。言葉の選び方が上手いのだ。いや、上手いというか、本能レベルで私の感性にダイレクトに「響く」文体なのだ。
逆ににいうと、合わない方にとったら、プロットそのものは地味なので、「そこまで絶賛するほどのモンじゃないだろ」と思われちゃうかもしれないなァとも思います。

6

旧版を読んだときは「神」だと思ってたのに・・・。

片思いの話です。
高校時代に好きになった同級生に、告白して振られてる主人公。
片思いの相手は、同性に対して恋愛感情はもてないからと。
まあ、ノーマルな人にとってはそれが普通の反応です。

しかしこの作品の最も切ないのは、社会人となって再会した後です。

フリーターをしている三浦の勤め先の花屋。
そこで片思いの相手・堂島と再会します。
しかも、花屋のカンバン娘の恋人として現れたんです。

思いを隠して普通で居ようとするのだけど、堂島は三浦が今も自分を好きだとは全く思っていなくて。
普通の同級生、友達として・・・かなり親しい友人として接するんです。

好きなのに「友達」としか思ってもらえなくて、しかも距離を置こうとしても追いかけてくる。
近づくくせに、気持ちは「友人」以上のものはない。

片想いがあまりにも切ないです。

実は堂島、心が変な風にゆれてて、でもその揺れの正体を「友情」だと思い込んでて。
この話は受よりも攻の方に、表立って見えないトラウマというか歪みというか、そういうのがあるし。
三浦にかなり残酷な事もしてますが(無意識に)、最後はちゃんと自分の心を自覚したのだから許します(笑)。

残酷といえば・・・花屋の娘とその幼馴染のカップル。
こいつらも無意識に酷いコトとしてるよなぁ。

新装版の書き下ろしのストーリーは、アレでないと三浦と堂島が自身の心をしっかりと持つための最後のハードルにならなかったとは思うんです。
だからいいんですけど・・・。

個人的に、プロポーズまでされてた元カレ(しかも二股かけて結局元々カレを選んだ。さらに自分から堂島をフったんじゃなくて、堂島から別れを言わせたという悪辣さ)を式に呼ぶか?
かなり悪趣味で厚顔無恥だと思うぞ。

そういう意味では、カンバン娘カップルのその後は不愉快でしょーがなかった私です。
切なさはハイパーマックス。
でも書き下ろしでマイナス評価とさせていただきます。
ゴメンナサイ。

7

再読しても切ない

受けの片思い物をお探しの方には、特にオススメしたい切ない話です。
書き下ろしと全サ企画の為に、新書版も持っていたのですが購入してみました。
何十回目かの再読なのに、切なさにいまでも浸れます。
高校生時代に好きだった人に振られて、23歳のいまになってアルバイト先の娘さんの恋人としての再会。
よりによって、なぜ?という位、三浦に切ない状況が整っていてそれだけで泣けます。
眠っている堂島の頬に触るのでさえも悪いと思って遠慮してしまう三浦の健気な性格が、切なさをより加速させるのかも。
堂島が普通に性格がいい人なだけに、誰が悪い訳でもなく、ただ思いが相互にならないだけ。人の気持ちだけは、どうしようもなくて。
このもどかしさを悲劇のヒロインになりすぎず、淡々と切なく書かれているのに、胸をうたれました。

『君がしあわせになる前に』
建設会社勤務・堂島慎一(23)硬派攻め×花屋アルバイト・三浦郁彦(23)健気受け
2人が恋人になってからのその後のエピソードです。
恋人になっても、三浦の不安は去らなくて。
まだ好きな人が自分の傍にいる幸せに慣れていない三浦の不器用さが切なかったです。
意外にオチが呆気なくて驚いたのですが、逆にその深刻になりすぎない所がよかったです。
そこで、その発言を出来るようになった三浦に強さと成長を感じました。
堂島のヘタレ部分が暴露された感じで可愛かったし、いいエピソードだったと思います。
最後に、糖分補給が出来てよかったです♪

エロ:★3 切ない誘い受けや、普通
総合:★5 切なさ有、糖分補給有で、前よりバランスがよくなった気がします。

11

一番シンプルな切なさ

旧版で所持していますが、書き下ろしありのため購入しました。
…しかし雑誌掲載の短編は未収録、そちらは全サの小冊子って…しかも600円の定額小為替は実質800円だからー!お、おのれ角川め…と思ったのは私だけではないはず。

本編の方は、流石に最初に読んだ時のように涙が出るようなことはありませんでしたが、しかしシンプルゆえの良さがあると思います。
書き下ろし部分は、何だか本当に普通の男性なんですよね二人ともね、という感じでしたでしょうか。
…意外とテンション低めです。

3

彼が彼であると言うだけで

今回は花屋の娘の恋人で建設会社積算課勤務の会社員と
なかなか仕事が続かない花屋のバイトの元同級生カプの恋物語。

攻様視点で出会いから再会、二度目の失恋をするまでと
受様視点で出会いから再会、別れを経て恋に気づくまで、
それに本編終了後、攻様の元恋人の結婚式の様子を収録。

受様は高校時代、とても切ない恋をしました。

相手は高校二年の時のクラスメイトで
高い身長とほど良い筋肉と、
すっきりと端正で凛々しい顔付の
ちょっと独特の存在感の男子生徒。

偶然に見かけた彼を追って覗いた弓道場で
弓を引く彼の姿に見惚れて以来
無意識に彼を目で追うようになります。

初めは同性として羨ましいからなのだと
思っていた受様ですが、
担任に頼まれて
風邪で欠席した彼の様子を見に行った日、
ふらつく彼を支えた瞬間に
腕の中に倒れた彼の体温に欲情してしまいます。

その日以来、
受様の世界は彼一色に染まります。

自分といる事を楽しいと言ってくれる彼。
同性の自分が受け入れられるはずが無いと
言い聞かせても抑えられない気持ちは強く、
そして苦しくなっていきます。

しかし、
卒業を控えた冬のある日、
二人の友情は壊れてしまいます。

抑えられない気持ちのままに
受様が攻様に思いを告げるのですが、
攻様の答えは…

どんなに考えても俺がお前の事を
そういう意味で好きになるなのて
絶対にないと思う。
だから、悪いけどあきらめてくれ。

それから五年、
進学後の彼の事は全く知らなかった受様ですが
偶然の巡り合わせで彼と再会します。

受様は専門高校後に
入った会社が合わずに辞めてからは
なかなかコレと云った仕事に着けず、
色々なアルバイトを渡り歩きます。

そんな受様がやっと
自分も楽しいと思える仕事が
看板娘のセンスの良いアレンジが好評の
小さな花屋のアルバイトでしたが、

受様にも優しく接する看板娘が
偶然にも受様が片思いしていた彼の恋人で
恋人を訪ねてきた彼と受様は
五年ぶりの再会を果たすのです。

この彼こそが今回の攻様になりますね♪

攻様は受様の恋は過去の事と、
改めて友人としての付合いをします。

でも受様にとって攻様への思いは
過去の忘れられる思い出ではありませんでした。
受様は気持ちが再燃するのを止められません。

でも攻様が恋人を見る目も笑顔も
自分には向けられないもので…

恋人がいても一度だけでも
彼を手に入れたいと思う受様ですが?!

この後、
受様は攻様に二度目の失恋をして
バイトを辞めてしまうのですが、
受様を失って初めて
攻様は受様の存在の大きさを実感します。

そして自分の気持ちも判らないままに
受様に手を出して拒絶されて初めて
本当に大切な人は誰なのかに気づいて
やっと受様の片恋に終止符が打たれます。

旧版に後日談を加えて文庫化された本作は
旧版発刊時にとても好評だったそうなので
すっごく楽しみに発刊を待って
ワクワクして読み始見始めた一作。

タイトル通り、
受様の攻様への切ない思いが溢れたお話で、
受様的にはとってもピュアで切ない物語です。

でもぉ、どんな事情が有っても
女性の恋人と二股掛ける様な男でもイイワケ?!

痘痕もえくぼ的な…
なんて捻くれ者な私は思ったのですが、

攻様視点が盛り込まれている為に
受様視点では表現しずらい攻様の弱さと
受様の強さもしっかり伝わりました。

書き下ろしの続編が
今後は受様リード的な二人を予想させる感じで
読了感は良かったです♪

今回は本作同様、
高二の時から攻様に片思いしている受様のお話で
真上寺しえさん『お金じゃ買えない愛を教えて』など
いかがでしょう?

4

ただひたすら好きな気持ちが涙を誘う

今日の電車の中で読み始めました。
なんだかんだで四分の一くらいしか読めずに帰宅してしまったのですが、先が気になって家事もそっちのけで読破しちゃいました。
いやー、帰宅してから読んでよかった。
涙涙の連続で、鼻かみまくっちゃいました。
気持ち的には神評価でもいいくらいなのですが、偶然がもたらす出来事が重なり気味なので、ちょっとマイナスになりました。

お話は、先に片想いをしてしまった三浦目線の「好きで好きで好きで」から始まり、後から恋に気づく堂島目線の「ラブソングみたいに」で締めくくられますが、同じ時間軸の部分が大半を占めていて、その時のそれぞれの気持ちを知ることができます。
最後に書き下ろしの「君がしあわせになる前に」で登場人物たちのその後を知ることができるという仕組みです。

何がそんなに泣けたかと言えば、諦めなくてはいけないと言い聞かせながらも、好きで好きで仕方がない相手を前にしてしまってはどうにもできない恋心があるというところでしょうか。
書き下ろしにおいて、恋も三度目ならと三浦が言う場面がありますが、その恋の相手は全て堂島なのです。
振られても振られても、再び出会ってしまえば抗えないくらいに好きな相手。
理屈ではないところで燃え上がる熱い気持ちが涙を誘うのです。

で、相手の堂島と言えば、恋に気づかないというかなんと言うべきか、フェミニストなのに鈍感なのです。
そこへ持ってきて変なところが意地っ張りなもんだから、三浦を振り回しまくるのです。
結婚を考えるほどの恋人がいるくせに、三浦をはっきり振ったくせに、つい気になっちゃって三浦宅に押しかけ、「一度だけしてみようか」と抱いてしまうなんて『なんて卑怯な奴なんだ!』と、『こんな奴とはさっさと別れて新しい恋を見つけるんだ三浦!』と思ったのですが、堂島目線のお話を読むことによって、ちょっと見方が変わりました。
作者もあとがきで書いていますが、半分終わったところで投げ出してはいけません。この先が重要です。

甘いだけじゃなくて熱くて痛い恋。そんなお話です。

どうでもいいことですが、なにもしなくても居心地がいい存在って重要かなと思います。
私は熱い恋などしたことはないのですが、旦那さんとはそんな関係です。
そこにいてくれればそれでいいのです。

7

大雨洪水警報発令、ゲリラ豪雨状態になってしまった。

もうダメです、涙腺決壊しました~!!
前半の受け視点、後半の攻め視点、どちらも自分の中に入り込み過ぎて、どうしてこんなに浸透力が高いのか。
主人公達と自分が同化してしまう高遠マジックは素晴らしいです!!

人を好きになる気持ちは、ある些細なふとしたきっかけ。
側にいられるだけでいいと思うものの、触れたい、触りたい、抱きしめたい、そんな欲情も感じるようになってしまったら、それはもう止めることをやめられない。
最初はそれを三浦が、そして次に堂島が、時間は違うけどそれぞれに感じて、初めてそれが交わる時、二人の気持ちは通じるわけで。
その片思いの最中の心情が切なくて、切なくて、、
男だから、女だからという性差は、好きになる気持ちにはないわけで。
だから、このお話にのめり込んで感情移入できるのでしょう。

三浦の堂島に二回目の失恋をするシーン、三浦の自らの恋心を傷つけて別れるその心情が悲しくて、堂島にやり場のない憤慨を覚えるも、次、堂島の視点で描かれることによって、堂島の気持ちが理解できる。
一粒で二度おいしい味わい。
堂島は、人を守りたい気持ちと愛する気持ちを同じに考えていて、その違いに気が付いていなかった、とてもある意味傲慢で我儘な性格だったといえるでしょう。
三浦の捨て身の行動で、初めてその執着が恋なんだと気が付かされた堂島は、もう骨抜きなんだと思います。
まるで甘えることを初めて覚えた犬や幼児のように(?)

『君がしあわせになる前に』では堂島の元カノの結婚式シーンがありますが、これはひょっとしたら堂島と三浦の誓いの場面でもあるような気がします。

攻め視点、受け視点、共に泣けてしまったのは初めての体験だと思います。
まだピュアなハートを持っていた自分に少し安心、、

8

実は雑誌のショートストーリーが一番萌えました。

今回の新装版に収録されるかと思っていたら
それは全サ収録だそうで、嬉しいような嬉しくないような(どっち?)
どちらにせよ書下ろし目的で全サは申し込むつもりなので
どちらでも同じことだったかな…。

単に読んだ順番のせいかもしれないのですが
(なんだかファーストインパクトにやられる性質もちな私)
最初に掲載されたショートストーリーはハンパなく衝撃度がありました。
めっさ萌えた!せつなかった!
なんかわからないけど当時心をつかまれました。
(未読の方は是非小冊子申し込んでみて欲しいです)

高校時代の切ない片思いから幾星霜のはての再会劇
しかもまたしても壮絶絶賛片思いの幕開けで
何回読んでもいい具合に胸をキュ~っと絞られます。
旧版では(先を知らずに読んだので)本編ラストで号泣
続編でちゃっかり救われました。

ちゃんとわかって読んでいても
本編ラストは泣きそうになりますね…。

本文ちょこちょこ手直しがあるようですし、
旧は旧で佐々さんの美しい挿絵が大好きなので、
読み比べを楽しみつつ、二冊一緒に本棚に納めることにします。

書き下ろしの幸せな二人が見れて嬉しいです…。
全サ書き下ろし、ナルナル教授との2本立てが叶うといいな~!

7

片想いの苦しさ、切なさ、そして人を好きになる嬉しさ

「好きで好きで好きで」の題名通り、主人公・三浦の片想いがテーマです。
高校時代の同級生であり片思いの相手であった堂島に偶然再会した三浦。
しかし、堂島は三浦のバイト先の花屋の娘・由布子の恋人で――

前半は三浦視点で語られます。
高校時代、二人はふとしたきっかけから友人となりますが、三浦は堂島に片想いをしていて、
三浦の告白が堂島に拒絶されたことにより、二人の友情関係は終わってしまった。
そのことから恋に臆病になっていた三浦は、再会後も堂島を避けようとしますが、
堂島は“友人”としてどんどん近付いてきて…
三浦は5年たった今でも堂島を好きで好きで、でも堂島には由布子がいて…
ダメだと思っていても好きだと思う気持ちを止められません。
自然と目で追ってしまったり、体が触れただけで全神経がそこに集中してしまったり。
高遠さんの繊細な描写が、片想いをする三浦の心境を事細かに表しています。
恋ってこんな些細なことでも特別で、好きな相手のどんなコトにでも敏感に反応してしまうもんなんだ、
「好き」ってこんな感情だったんだなー…と、その甘酸っぱさを味わうことができました。
しかしこの片想いが相当つらい。
三浦の好きになってはいけないと思う気持ちと、どうしても堂島に惹かれてしまう葛藤が
どんどん自分を苦しめていってしまってます。
三浦の二度目の告白は、かなり胸にきます。
それに追い打ちをかけるような、堂島の無自覚の優しさ。
一度だけ、と体を重ねた後の三浦の後悔も、辛すぎて辛すぎて、見るのもキツかったです。

後半は堂島視点。
三浦語りでは完璧な男のように描かれていますが、
実は堂島はずるくて無神経な男だと思いました。
由布子を選んだ理由も、わからなくもないけれど、堂島はきっと恋をしたことがないんですよね
綺麗事だけじゃ恋はできない、もう衝動みたいなもんだと思います。
堂島と由布子は結局お互いが「王子様」「お姫様」な関係であって
その胸の内には三浦やアキのような情熱はなかったんですよね。
三浦を失った堂島は、初めて恋を知ります。
そして初めての恋に、堂島はとてもカッコ悪い男になってるわけで…
それを笑顔で見守る三浦が健気で可愛かったですね。
こんな堂島のカッコ悪いところを見られるのも、三浦の特権ですもんね。

書き下ろしは由布子の結婚式に参列する二人。
由布子の結婚式ですが、この二人の結婚式みたいなもんでした。
そして二度の拒絶がトラウマになっている三浦も切なかったです。
堂島は、何が何でも三浦を幸せにしてほしいですね。
でも堂島を幸せにできるのも三浦しかいないでしょう。
堂島もすでに、三浦を「好きで好きで好きで」たまらなくなっているようですしね。

最初は本当にツラい片想いの心情がこれでもか!と語られます。
しかし、人を好きになるのってここまで純粋で綺麗な感情なんだと思わされました。
誰かを好きになりたいと思う、そんな一冊でした。

14

泣きたかったのに

某通販サイトで評価が高く、泣けるBLとのことだったので、ずっと読んでみたいと思っていました。
・・・ごめんなさい、泣けませんでした。
基本的に誰か死ななきゃ、泣けないようです。


高校生の頃に想いを寄せていた同級生の堂島と再会した三浦。
堂島は三浦が働く花屋の店長の娘の由布子が付き合っている相手だった。
5年前に想いを告げしっかりフラれているのに、三浦の気持ちは堂島へ向かい出す。
いくら想っても既にフラれていて、相手には彼女がいて、そもそも同性同士で・・・。

堂島は一見優しそうでいて、結構ひどいです。
彼女と付き合っているまま、三浦の気持ちに応えるつもりではなく、ただ同情から誘いをかけてくる。
(堂島視点の『ラブソングみたいに』を読むと、本心は違うようですが。)
この三浦の切ない片思いが泣き所なのでしょうね。
でも私は三浦は堂島から友達としか見られていないんだと思った時よりも、堂島が三浦に拒絶された時の方がズキッときました。

苦しんだり傷付いたりはしたけれど、素直に恋をしていた三浦。
こっちは勝手に好きになったんだから仕方ないやんと思うんです。
恋愛をすることより結婚願望の方が強かった堂島。
同性なんて対象外なのに、告白してきた同性は誰よりも居心地の良い相手。
一度はきっぱりとフリますが、ずっとひっかかってたんですね。
決して嫌いなわけではなく、好意は嬉しいと感じる。
想いには応えられない、でも傷付けたくない。
自分の気持ちがつかめなくて、三浦に対して起こる衝動が抑えられなくて、悩み迷う。
こっちの苦悩の方が深そう。

なので途中まで三浦より堂島の方が不器用で痛々しいと感じていたのですが・・・。

堂島は由布子が元彼とヨリを戻したがっている時に別れを切り出しました。
由布子は「優しい慎ちゃんは私のために・・・。」と思ったことでしょう。
三浦の方には三浦のことが好きだから由布子と別れたように告げてます。
まぁ事実ではありますが、このカップルは三浦がいなくても終わっていましたね。
このタイミングでは立ち回り方がずるく見えてしまいましたよ・・・。


書き下ろしの『君がしあわせになる前に』は後日談。
過去に雑誌掲載された高校時代のショートストーリーは、全サの小冊子に収録予定だそうです。

7

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