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イケメンニート×オヤジ作家の、嘘から始まる恋物語。
三澤は数年前に失業し、今は叔父の手伝いという名目で好き勝手な生活をしていた。
そんな時、叔父がぎっくり腰になってしまい、造園の仕事ができなくなってしまう。
事情を話に行った家は大豪邸で気のいい通いのお手伝いさんと、家主である四十過ぎた小説家・石神と二人きりで生活をしているらしい。
実は家主である石神は、数年前恋人と揉め事を起こし、自宅に居座られた過去がある。そのことから、過保護な家政婦と彼の息子が、浮世離れした石神の次の恋人は自分たちが見つける、と言って張り切っていた。
そこに現れたのが三澤。
二人に見初められた三澤は、三澤のことを意識している石神と付き合ってくれと言われるけれど、年下の男が好みの三澤は断っていて――という話でした。
収録されているのは二編。
一つ目はカッコつけの男が気が付いたら年上の男にほだされていた話。
二つ目は年下男のプライドの話。
四十男と言っても、ちゃんとしたらこぎれいな四十、という設定なので、「四十!? 無理!!」という人でも楽しめるかと思います。
逆に、「四十男!? 大好物です!!」という人の方ががっかりするかもしれないです。
なんにせよ、意外とまじめな年下に、生活能力のない美中年が恋をする話でした。
うーん、攻めがちょっと好きになれませんでした。
でも受けにとってはぴったりな攻めだと思います。
攻めの横暴で乱暴で優しくないところがどうも。特に日本酒を受けこと石神の顔にひっかけたり、畳をバンっと叩いたり、すぐ舌打ちしたり。個人的に苦手なんです、すみません。
それを除けば脩一は石神の性格や行動パターンを知りつくし、年下のプライドと男の矜持をもっていて。
昔の石神の男のことも石神の為にこっそり片付けようとしたり立派な男らしいいい攻めなんですが。
石神はかなり自虐的で悲観的で消極的ですが最後の最後はきちんと脩一に言いたいことを言えましたね。小説も読んでもらえて普段言葉に出来ない想いを伝えられたのでしょう。
脩一にとってはこんなめんどくさい恋人だけど本当に愛してるんだって、もっと石神に伝わるようにしてほしいな。そして石神に幸せをかみしめて欲しい。
あとがきのショートで石神の元カレと脩一の元セフレのカップルが出て来ます。こちらもいいんじゃないですか!
今回も脇キャラの息子の恵と家政婦の芳江さんがいいキャラでしたね。
――はい、好きです。
と、答えるしかないですよ、コレ読んだら。
基本、私はオヤジ受に対する萌えってそう持ってないんですよね。
どちらかといえばちょい悪オヤジとかの方が好きなもんで。
単純に年下攻は好きなんですけどね。
だが、しかし。
このお話に登場するオヤジ・岩上(43)は非常にかわいらしいのですッ!
ちゃんとした恋愛をするのが初めてともいえるような状態のせいなのか1つ1つが初々しい。
いや、相手となる脩一(27)にとったら若干最初のうちとか特にウザイ気がしないでもないんだけども。
ドキドキとウジウジが同居するような岩上はなかなか心を開けないままにも、脩一が気になって気になって仕方なくて。
そんな脩一から夜這いなんてかけられた日にはもう天にも昇らん気持ちで。
それがそんな幸せな時間の後で、その時間が偽りであったことがわかって。
それはもう落ち込む落ち込む。
良い意味でも悪い意味でもそういう意味では気伏が激しいんですよね。
この岩上のかわいいところはたくさんあるんですが、とにかく自分に自信がないところさえかわいく見えるんですよね。
元々の脩一の好みは年下のかわいい男で、自分がそれにまるでそぐわないことはよくわかっていて。
加えて、以前唯一付き合った男からいいようには扱われていなかったせいで自分のことを卑下しがちなところがあって。
それでも脩一は岩上と過ごしてみて、岩上の書くものに触れてみて、その人となりを思い、自分の好みではないのにどんどん惹かれていって。
岩上にはそうは見えなくても結構夢中になってるんですよね、脩一。
最初こそタチが悪かったといえばタチが悪かったのですが、ちゃんと好きになって育んで行こうする気持ちがあって。
それでも。
両想いのはずなのにどこか不安げな岩上がまたかわいい。
続編ではそんな岩上の元カレが登場して2人の仲を引っ掻き回すことになるのですが。
それによって岩上の中の気持ちが確固たるものになって、自分からもちゃんと行動しようと変わっていけるように。
印象的だったのは脩一の電話に別の男が出て浮気疑惑の悩んで家へと行って、でも留守で戻って来たら、自分の家の前に脩一の車があって、つい落ち込んでたのも忘れて「わーい!」って感じで駆け寄っていくシーン。
岩上、どんだけかわいいんだ…。
あとはもう岩上の息子・恵が父親の性癖に理解がありすぎてすごい。
そして。
そんな岩上の元カレ・雅巳。
当て馬のように登場してた彼ですが、実は当時からちゃんと岩上のことを好きだったとしたら結構せつない立場だったんじゃないかな?とか思ってみたり。
どんなに構ってみても上手く関係を築けなくて。
久しぶりに会ったら自分の時とは比べものにならないほど、自分の意志を見せる岩上がいて。
それから脩一の元カレ・小城。
この人、どんな人なのかイラストで見てみたかったです。
脩一相手にはネコで、それでいて雅巳にはタチのリバで。
その方面にはそれなりに有名っぽい感じで。
完全にこの人がラスボスなのは感じるのですが。
そんな小城に愛されちゃったんだから雅巳も大変ですよね。
本編の様子だけではガバガバになった(笑)くらいしかわからなかったんですが、あとがきのところにSSがあって嬉しかったですww
なんだかんだで雅巳も振り回されて、ほだされる…のとは違うのかもしれないけど、何かが芽生えているようにも感じられて。
小城にガッツリ愛されてみればいいと思いました。
小城相手だと子供みたいになってる雅巳がかわいかったですw
BLでは良く出てくる資産家のお金持ちですが、
『耳たぶに愛』に出てくる石神家の人々
(通いのお手伝いさんと息子を含む)
は全く良くありがちなお金持ち臭がしない人々でした(笑)
受の友彦は社会慣れしていない人見知りの変人だし、
お手伝いさんも息子も妙にオープンマインドで。
最初は興味のなかった攻の脩一に友彦と付き合うように仕向ける
友彦と脩一が一夜を共にしても温かく見守ってくれるような
友彦があまりに社会適合性に欠けるので
読者が応援したくなってしまうようなお話でした。
コメディというほどコメディでもないのですが
シリアスでもない、変わった作風でした。
レビューで作品を知り、購入したのですが、
何でもっと早く読まなかったんだろ!!と後悔するほどに
面白かった☆☆☆
失業中の脩一は、
叔父の仕事手伝いとして庭師として入ったお屋敷で、
屋敷の主人・石神に会う。
脩一はゲイと自覚しているのですが、若い年下好き。
石神を、40代のオジサンであるため、
自分のタイプ外と思っています。
そんな中、石神が、どうらや自分を意識しているようで。
石神の子供や、家政婦さんが、どうも自分と石神を
くっつけようとしてくる。
おまけに、恋煩いでスランプになったとして、
編集者から石神を一晩抱くことをお願いされ、抱いてみたら、
抱き心地がよくて・・・。
このお話で何よりも面白いのは、石神の性格。
天然というか、子どものようです。
でも、ちゃんと大人なので、そのバランス感が絶妙です。
脩一が、石が転げるように、石神に落ちていく様子が、良かったです。
また、あて馬な存在の雅巳と小城が気になって仕方ありません!
SSの続きが読みぁぁぁぁい!!