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先生の「美しい彼」「未完成」「全ての恋は病から」「累る」などが好きな作品。
こちらはしばらく積み本となっていたのですが、やっと読みました。
不幸な生い立ちの末恋愛詐欺師となった蓮と、そのターゲットになった裕福な医師加賀谷の恋を描く作品。
本編は全体の真ん中くらいまで。
蓮が加賀谷を嵌めていくんだけど、加賀谷の誠実さや一途さにだんだん絆されていく。
蓮がかなり辛い生い立ちで、孤独でやさぐれている描写が切ないです。
紆余曲折あって、本編最後に結ばれる二人。
最後は加賀谷の一途で深い愛に、胸が締め付けられました。
後半の『CHRISTMAS BOOK』は、同棲し始めた二人のお話。
一緒にいても、この生活がずっと続くとは信じられない蓮。低い自己肯定感はそんなに簡単になくせない。それで時々ギクシャクしてしまう二人。
加賀谷にお見合い話が来たり、蓮が仕事を見つけても前科者のため雇い主とうまくいかなかったり。
単純に幸せとはいいきれないお話が進んでいきます。この辺はちょっとお話が重たくて、なかなか読み進むのが難しかったです。
加賀谷の見合い相手として登場した万里は、明るくてさっぱりしてて、蓮と友達になる様子もほっこりしてよかったです。こういう女子でいい子が出てくる作品、好きです。
最後はようやく本音でぶつかり合えた二人が、ロマンチックに仲直り。こんなふうに、時々衝突しながらも、ずっと一緒に過ごしていって欲しいなぁ、と感じさせるラストでした。
最後のSS『NEW YEAR’S BOOK』は、初めて二人で過ごすお正月。とにかく甘々な短編。着物を着たままの濡れ場がエッチでした。
濡れ場は数回あるんですが、普段は優しくておとなしい感じの加賀谷が、その時はちょっと強引にグイグイ求めるのが、ギャップ萌えで良かったです。
後書きによると、本編は文庫デビュー前に書かれた作品に加筆修正し、後のニ編は書き下ろしとのこと。かなり初期の作品なんですね。
本編は、この先どうなるのか、とどんどん読み進んだのですが、後半の書き下ろしはちょっと内容が重かったからか、あまり没入感は得られませんでした。
先生の作品は、もう少しコミカルさのある方が好きみたいです。
シーモア 挿絵付き
じんわりと胸にしみる。
基本的に甘々が好きですけど、こんな甘いだけじゃないお話もやはりいい。
受け様は、男専門の恋愛詐欺師の蓮。本名は透。
今回新たにターゲットにしたのは、大病院の息子で医者の聡。
詐欺師とカモ、という出会い。
でも、聡から対価を求めない掛け値なしの愛情を向けられ、罪悪感を覚えるように。
「好き」という気持ちを自覚して葛藤する透。
透の気持ちに引き込まれて、私も苦しくて切なくて。
とてもリアルで胸にくるー(¯―¯٥)
CHRISTMASのお話もとても好きです。
罪を償っても、世間や人の気持はハイそれでおしまいって訳にはいかない。
頑なな透が歯がゆい聡。
普段は穏やかな聡が、透が欲しくてままならなくて激昂するのが嬉しい。
NEW YEAR'Sのお話は聡視点で、ご褒美みたいな気持ちで読みました。
聡の透への気持ちはよく伝わってましたけど、やはり攻め様視点はいいわ~。
聡の着物フェチも知れましたしね。
いや~聡もちゃんと男なのねぇ( ´∀`)
積木のようにいつ崩れてもおかしくない不安定さ。。
一つ一つ、愛情や約束を積み上げていく2人の姿が、本当にとても好きです。
また、凪良先生の言葉選びが美しくて秀逸。
もちろん、朝南かつみ先生のイラストも儚く美しくて、もう新しくは見れないんだな、と改めて残念に思います。
作者買いです。
開業医の長男と、その資産狙いの恋愛詐欺師の物語でした。
最近読んだBL小説の受けがどれも不幸な生い立ちの子ばかりだったので、またか思いましたが不幸な受けが幸せになるお話は好みですし、まあまあと思いながら読む。
辛い暗いシーン多めなので、加賀谷がひたすら蓮に甘々なのが救いでした。
加賀谷が好きだったという後輩や、お見合い含めた家のアレコレ、公園でで会ったおばあさんの件についてはもうちょっとその後が知りたいと思いました。
それと、生まれ育った環境の違う2人がやっていくには、愛だけではなかなか乗り越えられないものもあると思うので、完全にハッピー!って感じに思えなかったのは私だけでしょうか?
何度崩れ落ちてもその度に一つ一つと積み木のピースを積み直せる2人であって欲しいです。
攻め目線のNEW YEAR'S BOOKが好きです。
蓮が子供時代に味わえなかった幸せな時間を2人で取り戻そうとしてくれる加賀谷の優しさに癒されました。
恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮
蓮は、結婚詐欺を繰り返す自分の本当の動機理由を、自覚していなかった。
連は、積み木遊びのように積んでは崩す、恋愛ごっこ=詐欺を繰り返す。
でも、標的にした相手・総合病院の長男である医者の加賀谷から、とんでもなく本気の愛を注がれて、
自分の中の凍った心の歪み・・詐欺を繰り返す動機になっていたしこりが氷解していく。
幸せそうな人を憎く思う訳は、裏切らない無償の愛を手に入れたかったから。
愛を注がれて、自分の今までの生き方を思い返す事ができるようになる蓮。
蓮のカモになった加賀谷は医師。
心理学の素養があるので、蓮の心の傷には手当てが必要だと感じることが出来たのかもしれない。
積み木のように崩れない愛、安定した心の土台を蓮に与えてくれた人。
なぎら先生らしい、心理攻め、マイノリティを見つめる目、がこの物語にもありました。
主人公の心の揺らぎが、面白かったです。
なぎら先生の登場人物の設定は、性善説。悪人は居ないって前提の世界感なんでしょうね。
いつも後半でグッと流される作家さんですが、前半から涙が止まらず、切なくて苦しいお話でした。特に、自分の気持ちを自覚するシーン、過去を後悔するシーン、クリスマスを心待ちにする描写…。心の揺れる様子を丁寧に書かれていて何度も読み返してしまう話です。
でもバイト代はもらって欲しかったし誤解も解いて欲しかった。脳内EDで誤解の解けたシーンが流れたので良いのですが、そこがスッキリすればもっとよかった!
2人でずっと幸せになってほしいし、安心して生活していってほしいです。