瀬戸さんは、最後まで俺を抱く気になれませんか?

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表題作リアルリーマンライフ

瀬戸閑,29歳,工作機の開発技術者
益原央紀,27歳,同じ会社の同期でエリート営業職

その他の収録作品

  • リアリストの恋愛命題
  • あとがき

あらすじ

万代精機株式会社で開発を担当する瀬戸は営業部の同期・益原と得意先のクレーム処理に当たることに。社交的でそつのない営業手腕を持つ益原に、根っから理系人間の瀬戸は苦手意識を感じる。ところが瀬戸が唯一の恋人といえる存在だった充輝と再会し、再び交際を迫られていると知った益原は、なぜか瀬戸を自宅へ強制的に保護し、恋人宣言してしまう。暫定処置と知りつつも、より真実味を出すためにと妻のように世話を焼き、惜しげもなくフェロモン満ち溢れる身体を差し出してくる益原に、瀬戸は挑発されて――。

(出版社より)

作品情報

作品名
リアルリーマンライフ
著者
今城けい 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576120522
3.3

(30)

(7)

萌々

(6)

(10)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
7
得点
94
評価数
30
平均
3.3 / 5
神率
23.3%

レビュー投稿数7

展開が強引すぎるような

口下手研究者とリア充営業のリーマン話。

タイトルでリアルリーマンと言いつつ、専門分野の説明だけが詳細にあり、動きのある仕事の方はあまり書かれていない。主には瀬戸が元彼を追い払うためのあれこれで、全体的に益原の強引さが謎だった。

元彼と再会し、付きまとわれる瀬戸。様子のおかしさに気付いた益原のとった行動は、益原本人も理由が分からないと言っていて、読んでいても分からなかった。
なぜか瀬戸についてきて、偶然ピンチに遭遇、そこから恋人宣言と、あまりに展開が強引すぎる。ゲイでもない益原が屁理屈をこねて瀬戸とヤろうとするのも不自然だし、気があるならそれはそれで瀬戸のどこにいつ惚れた?と分からない。

益原の心理に説明を付けるように過去の話を入れ、自分とかぶると言っていたが、益原が強引な行動をとり始めたのは瀬戸の事情を知る前からなので理由にならない。常に益原に対しなぜ?という思いが先に立ち、スムーズに楽しめない。爽やかイケメンで仕事もできる素敵キャラなので、素直にどきどきしながら読みたかった。

最後の話し合いでは元彼の行動とセリフの矛盾が気になって、見えない糸に操られるサマを見ているよう。瀬戸と益原は山場を乗り越え無事カップルとなったが、いまいちしっくりこない二人で、何とも言えない読後感だった。
ハテナがいっぱいなだけで不快感はないので萌え評価。

文章は意識高い系で好みじゃない。作風的に何の効果もないのに、ひらがなを多用している。漢字で書けばすんなり意味が通り伝わりやすいが、商業小説でこだわりを優先しており、その姿勢が受け付けない。ストーリーと併せて独りよがり感が出ている気がした。

1

受けの魅力がいまひとつ

表題作と短編の2作品収録されています。

「リアルリーマンライフ」
研究所で開発を担当する瀬戸(攻め)が、本社の営業である益原(受け)と一緒に仕事をすることになります。瀬戸は口うるさい益原に苦手を抱いていましたが、元恋人の充輝に迫られているのを知った益原は、なんと瀬戸の恋人宣言をして強引に同居に持ち込み…という話です。

仕事はしているのですが、恋愛重視の印象が強く残った作品でした。
瀬戸の流され具合からしたら受けだと思っていたのに攻めで、弁も立ちぐいぐい引っ張っていく益原が受けという、攻めらしくない攻め、受けらしくない受けという「らしくない」ポジションが面白かったです。ただそこに違和感を覚えるとエッチシーンは楽しくないかもしれません。

自己評価の高くない瀬戸の目線でストーリーが進んでいくためか、益原や充輝が断られても迫るほどの瀬戸の魅力がよく分かりませんでした。
短編「リアリストの恋愛命題」は後日談的な話で、益原の視点で語られるのですが、それを読んでも、それほどの相手かなぁ、とどうにも納得できなかったです。母親に益原のことを告白したのも、真面目だからとしか思えず、どうにも素敵と思えなかったです。本人に自覚はないけれど、この男なら仕方ない!と思わせるものが欲しかったです。

あと、続編で、瀬戸が受けだったら、騙されてでも女と寝たら、責任をとるために増原を切り捨てるだろう…というような不安があるのですが、それは攻めでも同じでは?と益原の危惧がよく飲み込めませんでした。

私は登場人物にいまひとつ魅力を感じられなかったのですが、ストーリー展開は良いと思います。真面目理系攻め、男前な受け、社会人カップルがお好きな方にお勧めです。

2

今城さんのお仕事もの

今城さんは専門職や工場系のお話を多く書かれている印象があるのですが、こちらもガッツリ専門職のお話です。
専門的な部分もかなり調べられていて専門用語も飛び交うのですが、むずかしいという事もなく、むしろ読むのが面白かったです。

主人公の瀬戸は研究バカで朝から晩まで研究内容のことばかり考えていて、普通の生活能力やコミュニケーション力に欠けた典型的な天才型の主人公です。
同期で営業の益原は、瀬戸と正反対の人当たりがよくそつの無い人間。

最初は二人の噛み合わない会話が面白く、仲もあまりよさ気でないのが逆に味に思えてとても楽しめました。
瀬戸はゲイで、大学生のとき付き合った彼氏・充輝と刃傷事件を起こして別れており、その充輝が再び表れて復縁を迫りストーカー化します。
その対策として益原がカモフラージュで自分と付き合うことを提案する、というお話なのですが、提案というか、半場無理矢理です。

最初は好みなお話だと思ったんですが、このあたりからすこし納得できない部分がちらほら。
このお話は瀬戸視点で進みます。
なので、最初はそつなく温厚で要領がよかった益原が、元カレが出てきた途端、急に瀬戸に執着を見せ、余裕がないというか、強引キャラになるというか、突然なぜに?と思いました。
最後まで読むと納得できますが、瀬戸が益原に段々引かれていく過程に対し、益原の行動がよくわからない。感極まり、益原が瀬戸を襲うシーンもあるのですが、最初描いていた益原の人物像からだんだんずれていく気がしました。

もちろん理由は瀬戸が好きだから、ですが、この時点ではいつ、なんで瀬戸が好きなのか明かされておらず、何より気になるのはお話の最初から最後まで益原がゲイではないと言ってることです。なので益原のこの執着、瀬戸がどうしても欲しいという気持ちが、益原視点でないのでやはり伝わりにくかったと思います。

それから、最初は個性的で瀬戸を追い詰めていったストーカーの充輝が、最後やけにあっさり引いてしまったのと、瀬戸以上に実は深いトラウマを持っていた益原の過去が、あまりにさらっと流されているのも勿体ない気がしました。

ストーリーは益原×瀬戸のような感じですが、実際抱かれるのは益原に落ち着くのは面白かったと思います。
ただ、益原も大人しくされてるわけではなくいろいろ手をだしてくるので精神的にはリバーシブルカップルのような感じでした。
あまり挿れないけど、挿れる時は瀬戸が挿れる、みたいな。

ですが瀬戸がキャラとしては好感が持てても、BL的によい攻めか、と聞かれたら私はそうではない気がしました。
逆も同じで、益原がキャラとしては良くてもよい受けキャラ、萌える受けキャラかと言われたらそうは感じなくて、攻めだったほうが魅力的でより萌えられたと思いました。

4

お仕事がっつり、攻め受けの意外性も☆

作者の今城けいさん、自分的にシャレードは過去2冊はずしてきているので余り期待はしてなかったのですが、理系のリーマンにはとても興味があるので手に取った一冊。
ただ入り方とか楠田雅紀さんの「恋人はバカ~理系彼氏のしつけ方」と若干にていなくもない。
理系作品といえば研究開発バカでお固くて真面目で融通がきかなくて鈍感で(ひ、ひどい!)空気が読めなくて人を怒らせたり、身なりにも気を使わなかったり、そして相手とのすれ違いが激しく・・・というお決まりの設定があったりするのですが。
さて、この作品はそういった王道設定をどう料理していくのか?

主人公の瀬戸、確かに開発研究・機械が大好きで没頭するタイプ。
なので対人スキルはもちろん低いのですが、ただの偏屈野郎じゃない。
営業の益原とクレーム処理で組むことになった時、相手の態度によって自分を反省したり、それなりに努力しようとしたり、進んで気遣い出来るタイプじゃないけど、それを自分で感じることが出来る人。
ハッキリした気づきのあるデキる営業マンという益原に、感性が自分とは違うんだな、という自覚を持つのだが、それを決してコンプレックスに思うでもなく棲み分けのできている人なのです。
でも、やはり理系バカなのは間違いなく、彼が研究開発においてとても優秀で賞を摂ったり、海外で論文を発表したりと、その能力はすばらしく評価されているのですが、本人は気がついてない。自分に目がいってないのです(人にも関心がないから仕方ないかw)

そんな瀬戸をどうして営業の益原が好きになるのか?
クレーム処理に赴いた自動車工場に、瀬戸のこだわりの過去に関係する昔恋人関係にあった向井と再会したことで、彼が再び瀬戸へ執着を見せたことで進展していくのです。
益原は、とても潔く前向きで気遣いの出来る人なので自分に頓着しない瀬戸が心配になってしまうのもあるのですが、何よりも、
入社した時から目を奪われて注目していたという事実。
そして憧れの人にやっと会えたのに自分を覚えてないというガッカリ感があったものの、瀬戸の弱さを見てしまって、きっと発奮してしまったのでは?と思えたのですが~
それがどんどんと加速して、かわいいと思えて、愛情に育って行ってしまう様は、何だろう?ひょっとしてそこに男の優位感みたいなのはないだろうか?
かいがいしくまめに、瀬戸の世話をやくのも、本来アウトドア派なのに瀬戸につきあうのも、、、
そして、エッチでは自ら受けをしています!
どう見ても、益原は攻めにしか見えません。
だけど、そこにはある種のけん制と独占欲が働いている描写がありましたので、なるほど~とおもわされるわけです。

いや、なかなかに攻め喘ぎの瀬戸もわるくないですよw
それに、この二人多分もう少し時間が経過したら絶対リバになりますから!!
その日は近いと思うんですよ♪

自分によくわからない工業系の数字やらなんやらで具体的な事はわからなくても、仕事の雰囲気は満載。
その仕事を介しての恋愛という展開は、悪くはなかったと思える評価です。
また攻め受けの以外性という部分も。
今回は、普通評価ができました♪

4

こういう話を読んでみたかった!

人づきあいが苦手で研究に没頭しがちな瀬戸と社交的で仕事もできる益原のカップルです。

クレーム処理のために営業の益原と取引先へ向かうことになった瀬戸は口下手な自分と対照的な益原に苦手意識を持ってしまい、うまく会話することができません。
しかし、取引先で再会した元恋人の充輝に復縁を迫られるもうまく断れずに困っていたところを助けてくれたのは益原でした。
益原は強引に瀬戸を自宅に住まわせ、充輝には自分が瀬戸の恋人だと嘘をつき、その方便を盾にとって瀬戸に迫ってきて…というのがあらすじです。

他の方々も仰るとおり、この話の受けと攻めは普通のBLなら役割が逆転してそうな二人です。
セックスすると受けが言葉責めして、攻めが喘ぐという、どっちがどっちなのかよくわからないことになってます(笑)
好みが分かれるところだと思いますが、受けのような攻めと攻めのような受けの話を読んでみたかった私としてはとても楽しめました。

益原は、押しに弱い瀬戸の性格を見抜いて強引に同居に持ちこむ一方で、瀬戸の素直な言葉にいちいち驚いたり、照れたりして、普段の余裕ある態度とはうってかわってかわいいところも。
瀬戸のために料理を覚えたり、ノンケだったのに躊躇いなく受けに回れるあたり、根はものすごく一途で健気なようです。

瀬戸は無神経ではないけれど自他ともに心の機微に疎く、口下手なので読んでいてすごくもどかしい!
でも瀬戸は瀬戸なりに自分に関わる人に誠実に向き合おうとするんですよね、言葉でうまく伝えられないだけで。
益原からの告白に流されるように返事をするのではなく、三週間かけて自分なりのやり方で益原へ気持ちを伝える瀬戸には益原と一緒に感動してしまいました。

全く違うタイプの二人だからこそ、お互いの足りないところを補い合うように寄り添えるのかもしれませんね。

3

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