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表題作憂鬱な朝 4

久世暁人,学生,久世家当主,子爵
桂木智之,久世家元家令,石崎家大番頭

あらすじ

桂木(かつらぎ)は先々代の庶子だった…!!
事実の発覚を機に、暁人(あきひと)を外から支えようと、
久世(くぜ)家を出て石崎(いしざき)家に入った桂木。
ところがある日、暁人の不穏な噂を聞きつけ、
急遽別宅を訪ねてしまう。「もう会ってくれないと思っていた」
はかなく笑う暁人は、爵位を桂木に譲るため縁談を破棄、
森山(もりやま)侯を脅迫した、と衝撃の告白をして──!? 

(出版社より)

作品情報

作品名
憂鬱な朝 4
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199605192
4.8

(556)

(500)

萌々

(34)

(14)

中立

(3)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
44
得点
2681
評価数
556
平均
4.8 / 5
神率
89.9%

レビュー投稿数44

泣きました

後半ちょっと涙が止まらなくなりました。
ロマンス以前に家の存続、繁栄が何より重要な世界なので真剣に読まないと私の頭では理解できません。毎晩読もうと思ってページをめくっては寝落ちし、4巻までなんとか読み進めたら…
やっと、やっと桂木から聞きたかった一言が発せられたぁ!
長かったです。
暁人様のうつむいた顔に浮かぶ涙、荒れた指先。ほんとに愛、相手を思うお互いの気持ちの描き方が素晴らしいです。
こんな時でも呼び捨てにせずきちんと暁人様といつも通りの呼び方をする桂木がすごく良い男でした。

0

通じ合え…た?

◾️久世暁人(当主)×桂木智之
旦那様の次のブチ切れワードは若様ですか。そりゃ総一郎もこんな男と1秒も一緒にいたくなかろうて。この関係性も追々変わっていくんだと思うと感慨深くはある。

通じ合えたのに全く通じ合えていない2人。もっと早く足並みを揃えて立ち向かえば、こんなに回り道をせず全てを手に入れられた気がしないでもない。そのあたり総一郎がひょっとしたら一番冷静に2人を見ていたのでしょうか。話し合うことをさんざ促してましたから。

0

早く穏やかな時間を過ごせる2人を見たい

 互いを思いやるあまり暁人も桂木も極端な行動に出ることによって、物語の方向性が二転三転する4巻。暁人は桂木の積年の目的を果たすため、自分が隠居し桂木を久世家当主に据え置くことが最善だと考え、森山侯爵を脅迫してまでその根回しに奔走します。最大の目的は桂木のためですが、彼は自分が当主の器ではないとも感じています。家格を軽視し恋に溺れている自分では、臣下や領民が不安になる、と。一方、その画策を知ってしまった桂木は、無謀な考えを改めさせることは諦め、暁人の隠居は止めず、絶縁されていた先代の弟に叙爵させることを考えます。頭の切れる2人の男に何度も驚かされ、並々ならぬ相手への想いに最早ひれ伏すしかありませんでした。

 当主としての暁人はますます桂木と似てきており、一切隙を見せない駆け引きの仕方に舌を巻くばかりな反面、桂木と対峙する彼は幼少期と大して変わらず、まだ甘さや純真さが窺えます。どれだけ処世術を覚えようと、暁人の内面はけっして変わることがないから、桂木もここまで心をかき乱されるんでしょうね。そして、そんな暁人に絆され、彼の熱を自分から求めてしまった桂木。事が済めばすぐいつもの冷静さを取り戻してしまうところが憎いですが、彼の中で暁人の存在感が増しているであろうことはちゃんと感じられました。はっきりした言葉も聞けましたしね。

 拗れに拗れる展開は、人によってはくどいと感じる方もいらっしゃるかと思います。私も時折そう感じてしまいそうになりますが、これはすれ違う恋愛作品のある意味様式美でもあると思うので、そこにはもう突っ込みません。誰かにすれ違うBLのオススメを教えてくれと言われたら、今は迷いなくこのシリーズを最初に提示しますね。まだあと4巻も続きますから、恐らくまた何度か展開が大きく変わるのかなと想像しているので、自分の目で確かめたいと思います。

0

封じ込めたはずの熱が溢れ出て…。シリーズ中最も評価の高い第四巻‼︎

この第四巻の評価が最も高いのは、やはりあの冷静な桂木が自ら暁人さまを抱き寄せ、混乱しながらも触れたいという気持ちに抗えず、淫らに抱かれてしまうという、熱いシーンがあること。さらに終盤では決して言葉にする事なく逃げていた、その事で暁人さまを苦しめていた桂木が、自ら暁人さまに告白したことだと思います。『夢でもいい…。』と暁人さまが望んでいた言葉。たった一言。「…好きです。」と。

暁人さまは桂木がかつて望んだ様に、久世家を陞爵させ、桂木を当主として久世家に迎え入れる為に奔走します。その為に邸を出て、石崎の元女中が住んでいた下町の家に(たぶん、身分を偽って)下宿する。初めて商店で買い物をしたと言い、女中が飯や風呂の支度をするのを初めて見たと話す暁人さまをいたわしいと思う桂木。
桂木は石崎家に将来、暁人さまの後ろ盾になって頂くことを条件に石崎家の大番頭になる。そして、石崎の教育係にもなる。石崎は暁人さまの親友でもあるので、やはり桂木も信用しているのだ。「お前は俺をも久世家の為に利用するつもりか。」と言いながらも、石崎はとても良い男なので、『今はこの二人をどうにかしてやりたいと思ってしまっている。』
この二人の思惑に振り回されているのは石崎家だけではない。雨宮から、桂木が先々代・直弥さまの庶子である事を知らされた、桂木家当主・高之は、全面的に暁人子爵の味方をすると誓う。久世家を疎ましいと思う以上に、この男は昔から優秀だと言われてきた智之を気に入らないのと、父が旧態依然として久世家に平伏して来たことが許せないのだ。
そして、娘が西園寺家に嫁いだこの大事な時期に、暁人さまに脅迫され、久世家の陞爵を求められる森山侯爵。
また、旧いしきたりに囚われず、時代に沿った新しい在り方を模索する暁人さまについて行けない、久世家の使用人や旧領地に残る家臣達を不安にさせている。「だけどお前なら、お前が当主になれば、家の誰もが喜ぶよ。」と桂木に告げる暁人さま。暁人さまはただ、桂木の幸せの為に、久世家に仕える人々の為に。桂木に居場所を作ってやりたいとだけ望む。暁人さまの想い。深い愛情。
ところが、そんなものを受け入れられる筈も無い桂木。ただ、これまでと違うのは、暁人さまの覚悟を知ったからこそ、その気持ちに全力で応える決意をしたのだと思います。初めて告げる告白。「好きです…。暁人さま…。どうか私をあなたのお側に。」(プロポーズ⁈)

暁人さまのダダ漏れの恋心は親友の石崎だけでは無く、新しく家令として迎えられた雨宮にも直ぐにバレてしまいます。桂木の幼い頃を知っているという、雨宮に「僕はお前に嫉妬してるんだよ。」と可愛らしく話す暁人さま。全体にシリアスなムードで進行しているので、緊張感がハンパないのですが、ここ少しホッとしてクスリと笑えます。

お互いに久世家を譲り合う事に埒のあかなかった桂木と暁人さまでしたが、桂木は一つ突破口を見つけます。それは、暁直さまが家系図からも外されていた、直弥さまのもう一人の庶子、妾腹の子、暁直さまの弟君に久世家をお譲りする事。この桂木の企みは次巻へ持ち越されることになりますが…。
わたし的にはちょっと納得しかねるんですよねぇええ。もぅ‼︎ 暁人さまを支えて、二人で久世家を盛り立てて行けばいいじゃん‼︎ などと思ってしまうんですよ。どうしても。きっと、作者の意図としては。家からも、旧いしきたりからも、解き放たれてこそ。二人はようやく「個人」として幸せになるんだろうと。そういう結末を用意してくれているのだろうと。期待もし、望んでもいるのですが。家を捨てるという事が本当に良い事なのか。とても悩ましかったりもするのです。そしてそんな私のもやもやを他所に、うっすらと夜は明けて行きます。

0

絡まって解けない糸のように。憂鬱な朝4

4巻です。
冒頭、いきなり下々の暮らしを実行している暁人の姿。
何をしているのかと思いきや、爵位を捨てる気でいると言う。
あゝまた桂木の意図と暁人の行動のすれ違い…!
元はと言えば桂木が思惑を何も語らない事で暁人が憶測してまた憶測して、それでやっぱりわからずに自分の考える事をやってしまうから、いつもいつも桂木がイラついて怒る展開。
桂木は久世家のため、暁人は桂木のため、それは一致せず、交わりもせず、2人はどんどんこじれる。
桂木も、暁人も、雨宮も誰も彼も、その場で思惑は明かさずの思わせぶり。
こういう展開は作者様がこの作品で用いている手法なのでしょうから、こちらは作者様の描く通りに読むしか無いのですが、私個人はこの方式、非常に読みづらい。
3巻末で結局桂木は久世の家を出て、この4巻では石崎の大番頭になっている。でもそれすらも暁人のバックに石崎をつけようとしての事。なのに。
顔を合わせてしまえば暁人の熱に引きずられて、借家の2階で熱く抱き合う。
ここもBL的にはいいシーンで眼福ではあるけれど、いつから桂木は暁人にほだされた?いつから心でも暁人を求めるようになった?
それでいて事後に手を振り払ったりして、暁人にしてみれば桂木の心が今では自分にある事など分からないでしょう。
…とごちゃごちゃこじれておりますが、クライマックスは森山侯爵邸に持ち越しとなります。

ラスト数ページの、この久世家を二人でどうにかいたしましょう、という言葉、そして一生涯あなたに応える、と。
ここは絵柄の超絶的な美しさと共に、遂に2人は和解し手を取り合うのだ、というメロドラマのカタルシスが得られる…のですが。

実はこの先まだまだ2人に甘い両想いの空気など起きないのですよね…

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