中国華僑を裏で束ねる「火龍」トップと、国内の新興組織「神嶋組」のトップ抗争を描いたラブストーリー

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表題作天の龍・神の龍

神社の後継で暴力団系企業社長 神嶋恭司 37歳
中華料理店支配人で裏世界の頭 黄偉龍 29歳

その他の収録作品

  • あとがき
  • カバー裏:short story

あらすじ

「あなたを知るには、一晩ではすみそうにないな…」中華街の老舗北京料理店の支配人・偉龍は、常連の神嶋に気に入られている。「料理も見事だが、美しい支配人だな」とプライベートでも口説かれるようになった。しかし神嶋は、とある新興組織の代表で中華街の土地を狙っているという噂を耳にして――!?

(出版社より)

作品情報

作品名
天の龍・神の龍
著者
水原とほる 
イラスト
水名瀬雅良 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784796403467
3.2

(7)

(1)

萌々

(0)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
23
評価数
7
平均
3.2 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数2

水龍vs.火龍

水原作品のホームグラウンドともいうべき横浜中華街を舞台にした作品。
過去色々と中華街を背景にした華僑組織の話がありましたが、これはまた、ヤクザな世界とはちょっと違う(本質は同じだが)あからさまにヤクザではなく、いわるゆる自警団のような組織。
対する相手もヤクザではなく、ヤクザな不動産業者といったところか。
題名に「龍」がついていることから、かなり龍が主人公たちの比喩として、こだわった設定にしてあります。
受けの主人公についてはともかく、相手の攻めにはちょっと無理やりこじつけな部分を感じなくもないのですがw
「龍」とは彼らが背負った宿命と力なのかもしれませんね。
そして物語は全て、ラストの結末のために動きます。
構成・展開としては、かなり、いたってシンプルで、ひょっとしたら甘い作品(ラブという意味)だと思います。

中華料理店「梅華楼」の支配人・偉龍は実は、清朝の末裔で、未来を見ることのできる力をもち、横浜中華街の華僑達の安全と安心のためにその土地を統べる裏の組織「火龍」のトップでもある。
彼には、昔から黄の家柄につきそう役割を使命としてある、宋という男が表向きはフロアマネージャーとして、裏では右腕として付き従っている。
偉龍はゲイであり、叔父の息子に次を託すことが決まっており、自分の血は残さなくてもよいと考え、それは決まっている。
宋とは強い主従関係で結ばれているが、決して交わってはならない関係でもあるのです。
数ヶ月前、中華街へ進出してきた不動産会社の社長・神嶋が、梅華楼と偉龍を気に入り、盛んに店に客としてやってきて、偉龍を口説いたりするのだが、偉龍はそつなく替す。
そして、最近中華街の土地や店が買収されて、日本人の手に渡ることが相次ぎ、華僑のテリトリーを犯すものとして、それを阻止し、黒幕を暴くために火龍が活動しはじめる。
買収の裏に神嶋の存在がわかったとき、偉龍は神嶋の誘いを受け、身体でもって彼に接近していくのだが・・・

偉龍の血筋というのは、大陸からわたってきた華僑達の結束のシンボルでもあるのですね。
だからすごくそれにこだわるのです。
そして偉龍も自らの龍をかなり意識した描写が多々出てまいります。
神嶋に接近する中で、彼の出自が明らかになるのですが、水神を祀る神社の息子であった彼は、どうも龍憑きという設定になっているようです。
子供の頃に色々あった彼ですが、大の大人がそんな迷信めいたことにこだわりという、客観しするとバカらしいと思われる設定は、
火の龍、水の龍の対決に持っていきたいがための設定ではあるでしょうが、それでも、彼の本編中では詳しく明かされていない過去(うっすら概要は知らされる)により、神がかり的なものがあるということでしょうか?

互いが龍を背負うものだけに惹かれあう。
そんなことかもしれません。
それにしても、神嶋が何か裏がありそうなわりに、偉龍にメロメロなのが結構よくわかります。

アクションシーンはお約束w中華側は刀や混紡、かたや日本人は飛び道具w
でも、こういったベタな対決って、あるあるっぽくてちょっと好きだったりします♪
偉龍は、外見はとても中性的ですが、トップに立つものとして覚悟も度胸もあり、男前です。
それが閨では女のように、しかし相手を喰らうような姿を見せるのも魅力かもしれません。
水名瀬さんのイラストが、実によくあっていて雰囲気がでいました。
ストーリー的には全然むずかしくありません。
むしろとても受け入れやすい展開で、ハッピーエンドに向けて一直線というポジティブなお話でした。

カバー下の短編は神嶋視点。
彼がいかに偉龍にメロメロかが、本編以上にわかるお話(ゴチソーサマw)

3

敵を愛してしまった2匹の龍

今回は中華街が舞台でしたねぇ~、美味しそうな匂いが漂ってくる気がします。
流血騒ぎのお話を読んでも食欲が落ちない中華街!
内容は日本生まれの日本育ちの華僑の受け様、実は皇帝の血筋だと言う設定で
高貴でどの龍よりも強い黄色の火龍の加護を受けてる血筋の末裔。
攻め様は、水龍を祀る日本の山深い神社の息子で子供の時に両親と兄弟を火事で亡くし、
かなりヘビーな子供時代を過ごし、現在はヤクザと変わらない組織のトップ。
そして受け様は中華街で老舗の中華店の経営者であると共に、中華街の華僑を守る
裏組織のトップで未来を予知できる能力を持っている。
そして西から吉凶を暗示する予言を見た頃から店に常連のように来るようになった
攻め様と知り合う事になり、その攻め様が中華街を脅かす存在になってくる。
それと同時に受け様を軽口で口説いてくるようになり・・・
そんな感じで始まるストーリーなのですが、二人は色々な面で似ているのです。
互いに龍に加護される血族で、自分自身では変えられない運命の中で生きてる。
二人とも龍に運命を翻弄されてるような感じで、攻め様はその龍の為に、
常軌を逸した過去を持っていて、龍の怒りを身にまとっているような感じでした。

互いに一歩も引くことが出来ない状況と互いに愛しい相手として惹かれあう。
相反する状況で、二人が選ぶ未来とは?って風なお話です。

2

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