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生きることに無気力な羽良多と、小さな罪を犯してしまった森崎。 うまく社会に適合できない二人の逃避行の終着地とは――
「吉田ゆうこ」という作家の持つ薄暗さに怖いもの見たさのように惹かれて。
本作は、中編2作品収録。
「悪玉」
魔が差した一瞬の万引き。そこを撮られて、口調はソフトだが明確に脅迫を受ける高校生の森崎。
ゆするのは半グレでも不良でもなく、物静かなリーマンだ。
ただ映画を見るだけ。で気が抜けたら口でシてくれと言い。
悩みを言えない時に手を握ってくれたと思えば、ホテルに連れ込まれ。
決して力づくではないが、絡め取られて。
相手の羽良多も多分重い何かを抱えている。2人の薄暗さがいつしか共鳴して…
ラストはどう解釈するんだろう。ハッピーエンドはありえない。
「ノンフィクション」
芸能BL。
役に入り込めない一ノ瀬は、相手役の文世と疑似恋愛をするが本気になって…
こちらは珍しく薄暗さのない青春系だと思う。ひたすらナイーブ。
1冊に2編の物語が収録されているのですが、どちらの話も言葉少なくストーリ展開されています。
私は吉田ゆうこ作品に合う合わないがあるのですが、『悪玉』は合う作品でした。ショート映画を観ている気分になります。
表題作は静かに謎は謎のまま終了する形でした。
魔が差し万引きをしようとしたところを写真に撮られた受けは、黙っている変わりに攻めからの要求に応えることになります。
受け側の感情はしっかりと描写されており、脅されているにも関わらず、攻めに対する感情が”愛”に変わっていく過程が見事でした。
どちらもはっきりとした言葉を使わないため、とても危うく脆い関係性。
彼らのバックボーンに関する情報はとても少なく、散りばめられた要素から推測することしかできません。
この不透明な部分が物語により雰囲気をプラスしています。
言葉少なく進むので、読み手に解釈が委ねられていると思います。
一度は攻めの毒牙から抜け出せたはずの受け。
けれど結局”彼の手から逃れる”ことを放棄してしまうところが、この物語の結末としては一番合うなと思いました。
個人的に、『悪玉』の後日談がないところがまた良いですね...あの2人の行きつく先を知っているのは彼らだけなんです。
同時収録は、若手俳優の2人がドラマを通して感情を交わしていく話。とてもぴゅあな恋の話です。
めちゃくちゃに明るい話では無く、演技と真実の恋で悩む若者の脆い感情がほろほろと零れ落ちてくる話でした。
どちらの話も、恋愛感情をはっきりと描写しているというよりは、そこへ至る過程を濃く描いていました。
人間の脆さとか危うさを織り込みつつ、自分たちの世界だけで完結する道を選んだ2人と、不安定さを乗越えて明るい道を選んだ2人の物語。
答えのないしっとりした物語が読みたいときにおすすめです。
◆悪玉(表題作)
冒頭の展開でもう面白そう、と思わせてくれるのはさすが吉田先生。万引き現場を押さえられてしまった優等生・森崎がどうなっていくのか、すごく気になって。警察や学校に突き出さない代わりに、一緒に映画を観るような健全な遊びに付き合ってもらったかと思えば、フェラをお願いするなど健全なばかりでもなかったり。未成年の森崎は初めてフェラさせられた後泣くんですが、これは己の愚行のせいで他人の性の捌け口になったからというより、自分に好意を持っていない相手へ奉仕することへの虚しさからのようにも見えました。万引きするほど度胸がある子、というわけじゃなく、むしろかなり繊細な男子なんですよね。
2人の関係にはずっと引き込まれていましたが、最終的には些細な矛盾を感じるところもあったので、すごくハマった作品とまではいきませんでした。恨まれて仕返しされたかったのなら、羽良田が中途半端な優しさを見せたのはなぜなのか、とか。優しくしたら惚れられる可能性だって十分あるはずですから。互いに好意を抱くきっかけも曖昧なままなので、そこは雰囲気に乗って、気付いたら好きになってたんだなと受け入れるしかないですね。ただ、ストーリーは最後まで面白かったですし、2人とも独特の魅力があるキャラだったので、萌評価にしました。
◆ノンフィクション
こちらはさらに気に入った作品。同性愛を扱うドラマで共演中の啓と文世。演技のためにプライベートでも親密になってみるんですが、どこまでが演技のためで、どこからが本心なのか、互いに境界線が曖昧になっていく。文世は結局すべて演技だったのか?といえば、そんなわけはなくて。どんなに演技の上手い人でも、カメラもセットもない所で、2人きりの相手に演技してみせるなんてきっと難しいでしょう。ドラマの結末とは違う結末を、現実の2人が見せてくれて安心しました。
嘘と本当が混じり合ってるのが世の中というもので。
普段はその社会の輪の中で疑問もなく過ごしているのに、相手がその他大勢からトクベツに変わった瞬間、相手を好ましく思えば思うほど本当だけを欲しがってしまう。
マイナスからのスタートだから彼らにはお互いが交わるこれからの道が作れたんだと思う。
痛みを抱いて、それでも繋げる手があったなら......淡々とした画から淡々と流れ出る彼らの感情、最後に残るのは...
(2013.3.16)
普通の高校生が泣き出しそうな顔をしてる表紙。
下は帯で隠れてるしズボンは履いてるとしか思ってなかった。
裏返すと高校生の下半身だけが描かれている。
素足で制服のシャツでお尻が隠れてるけどたぶんパンツ履いてないんだろうなと。
ハラタさん自分のことおじさんと言ってるけどおじさんには見えないな。
季節は冬で外にいて鼻の頭が赤くなっていくのが可愛いな。
ノンフィクションのほうが好きです。
切ないけどハッピーエンド。
若手俳優たちが同性愛をテーマにした映画を撮影していて、一ノ瀬が告白のシーンで何度もミスをしてしまう。
相手役の文世と距離が縮まったことから上手くいくようになるんだけど、文世の表情が可愛いすぎて萌えます。
これは好きにならずにはいられないと思う。
キスシーンを演じるのに、文世に前に演じたキスシーンを再現してもらうんだけど、ソファに頭を預けて上目使いで見つめてくる文世に思わずキスしちゃう一ノ瀬。
その表情はキスせずにいられないですね。
さすが俳優さん。
恋は始まったばかりの二人が可愛いです。
