お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
繊細な心理描写と会話劇で独時の世界観を創りだす歩田川和果、待望の最新作!
レビューも多いので感想だけ。
普段は片方が不誠実なのはキライ。でも本作は「こんな2人もアリなのかもねぇ…」。
この受け(陽生)。
普通に考えれば「絶対ヤダ」と言いたくなる。
だって浮気も二股三股も当たり前。
その上、この攻め(巧)。
自分が付き合った1ヶ月ですぐに裏切られ、なのに別れた後もしょっちゅう会って、たまにセックスもする友人関係を10年続け。
巧は年下で、陽生とのHが初体験で、ほんとは今でも好きで。
健気というかなんというか…
周囲も、多分陽生本人も、その気持ちがわかってる。
でも何より巧本人が今の状態を受容してる。
好きな人がいます。
その事だけで幸せだ、と。
宙ぶらりんの10年の果てに、陽生は巧に告白するんです。おそらく陽生史上初めて。
と言いつつ浮気は多分するから妥協して?お前も浮気していいぜ、と。
いわゆる「オープンリレーションシップ」ってヤツですかね。
一瞬エ〜ッ⁉︎なんだけど。
なんだけどさ。
その後巧は目に見えて精神的に落ち着くんですよね。
深夜、多分浮気の後で同じベッドに陽生が潜り込んできても。
これはまさに「悟り」というか。
自分が好きになった相手を丸ごと受け入れてるって感じ。
こうなったら陽生はもう勝てないよなぁ。今はまだ浮気ありなんだろうけど、気付かない内に巧以外とのアレコレは消滅していき、いつしか一対一になると思う。
環境に従って進化/変化していくガラパゴスのいきもの達のように。
あ、あと体に絵を描く浅井さん、激しく気になる。
歩田川先生の魅力を新たに1つ知れた作品でした。浮気癖が治らず常に複数の男と体の関係を持っている陽生。一般的な作品であればもっとネガティブな感じで描かれると思いますが、この作品にはそういった雰囲気が一切ありません。昔彼と1ヶ月だけ付き合い、最後は浮気現場を目撃して大ショックを受けた巧。それでも、彼は陽生を恨むことなく、陽生という人間はそういう人間なのだと割り切って、友人として長い付き合いを続けている。
浮気を許せる、割り切れる人間が懐が深い、大人だ、そういう話ではないんだと思います。自分を好きだという人間が、あっちにもこっちにもだらしなければいくつであろうが腹を立てて当然だし、それが普通の恋愛なんだと思う。けれど、相手がそういう人間なのだと一旦受け入れた上で、自分はそんな相手とどう付き合っていきたいのかを考えた結果、それでも相手と一緒にいたい、いれることが幸せだと思えるのなら、そういう付き合いも大いにありかと。
どんなに多くの男とヤろうと、最後は惰性ではなく本気で自分の元に帰りたいと思ってくれる。巧以外を自宅に招くこともない。陽生の中で、本命とそれ以外の間にはそれほど差がついている。そして、10年来の友人としての付き合いで、誰よりもお互いが何を考えているかは熟知している。だから、自分を一番好きだ、ずっと好きだったと言う陽生を受け入れる巧に、私はまったく哀れさを感じることもなく、むしろ彼が今まででこれ以上ないほど満たされていたように見えました。陽生の浮気癖があるのに誰よりも一途な性格は、巧と読者だけが分かっていればいいのだと思います。
相変わらず歩田川先生らしい作品です。割に知られていない気がするのがもったいない。
今回の縦軸はイグアナあるいはサボテン、またはその両方。
いつも通り基本的には男数人の会話で進行します。今回は男2人が多かったな。本田(黒髪 年下)と陽生ないし、本田と浅井(仲間)。そしてやっぱり一人一人が働いて、生きてる。こんなに生きてる感じがするのに食事シーンが全然ないのが不思議です。ここまで来ると何か先生の中で食事シーンと相性の悪さがあるのではないかと思ってしまうぐらい。"生きてる"作品には大体食事シーンがある。しかし食事シーンがないのに"生きてる"感じがあるのもすごい。
共感相手は陽生でした。引かれそう笑
かなり勝手で、かなり寂しがりな人です。本田に本当に見捨てられたり、距離を置かれたら、きっと心がもたないから思わせぶりな事をするし保険を掛けてるんだろうな。壊れないように。だからと言って自分の弱さで人を振り回しすぎるのもいかがなものかと思いますけど、本田も幸せそうなので。