無垢な人に、嘘の愛を刷り込んだ

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表題作愛されたがりの嘘つき

朝倉祐嗣
34歳,建築デザイン事務所の敏腕社長
椎名里斗
29歳,有能な秘書として朝倉を支える社長秘書

その他の収録作品

  • ささやかな約束

あらすじ

辣腕社長の朝倉と、朝倉を支える有能な秘書・椎名。社外ではセフレとして関係を持っていた二人だが、ある夜、朝倉が怪我で記憶を失ってしまう。無垢で素直な青年になってしまった朝倉に、椎名はちょっとした悪戯のつもりで「二人は正式に交際していて、愛し合っていた」と嘘をつく。かくして、セフレでしかなかった椎名が望んだ通りの、偽りの甘い生活が始まる。しかし徐々に罪悪感と「元の朝倉」への想いが募るようになり――?

作品情報

作品名
愛されたがりの嘘つき
著者
野原滋 
イラスト
香林セージ 
媒体
小説
出版社
アスキー・メディアワークス(角川グループパブリッシング)
レーベル
B-PRINCE文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784048919654
3.7

(53)

(11)

萌々

(24)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
192
評価数
53
平均
3.7 / 5
神率
20.8%

レビュー投稿数8

嘘つき具合がどうしても無理だった

切ない&面白い記憶喪失ものと聞いて購入したのですが、長らく積んでおりました。
何度か読みかけていたのですが毎回頓挫してしまい…今度こそ!と決意して読了。
今回やっと頓挫してしまう理由が分かったのですが、とにかく受けがずっと「嘘つき」なんです。
それがキツかった。中盤まで読み進めるのが大変辛く、若干流し読みしてしまいました。

攻めは自信家で女も入れ食い状態、踏み込まれたら簡単にポイできちゃう人。
対する彼の秘書である受けは、本当は攻めのことが好きだけど、踏み込んだらセフレ関係を切られると分かっている。

初っぱなからずーーっと、受けが本音を隠して「自分は割り切ってますよ」と徹底して装っているのと、その言動と裏の心情が痛々しい。。

ホテルで過ごした後頭を打ち記憶喪失になってしまった攻めに「愛し合ってる恋人同士だ」と嘘をついて過ごす受け。
ヒナ状態で受けについて回り不安げな攻めに、本当は攻めとこうしたかったの願望だらけの嘘で固めてるから罪悪感もあるし、どうしても前の攻めと比べてしまう。
もう、切ない箇所だけれど余計痛々しい。
(あとこの間の攻めも少し幼く素直な感じになっていて、個人的にはあまり…)

ただ、攻めが記憶を取り戻してからは、面白く読めました。
受けもある出来事をきっかけにウソの関係からキッパリ抜けだし、やっと自分に正直になる。記憶を無くしてた間のこともきちんと清算して良かったです。
攻めとも本音を隠したやり取りではなく、心からの言葉で伝え合うことができていて、読んでるこちらもスッキリした気持ちになりました。

終盤は良かったけど、私は痛々しく思えてしまう受けの嘘つき具合がどうしても無理だったのでこちらの評価にします。

それから、挿絵ですが…ちょっと2人のイメージより幼く感じましたし稚拙に見えてしまいました。盛り上がってきての挿絵のタイミングで興がそがれてしまうことが何度かあり残念です。

今回は合わなかったけど、野原先生の作品は想定の範囲外のところを攻めてくるから意外性があって好きです。

0

記憶喪失後の朝倉のほうが好きなので、受けとは趣味があわないな……

遊び人の社長とセフレ関係にある秘書。

ベタだけど切ないです。
本気を見せたら朝倉(攻め)は逃げると知ってた椎名(受け)だから、「好き」だなんて言えなかった。
だけど朝倉が記憶喪失になったのをきっかけに「私たちは恋人同士」と吹き込んだ椎名は、朝倉の家で一緒に暮らすことに……。
今まで言えなかった「好き」を解禁して、朝倉に「好き」をぶつけてる様子が切ないんですよね。
朝倉の記憶が元どおりになるまでの「期間限定の恋人」というところも切ないし。

なんだけど、あらすじにもある「元の朝倉」への想いが……ってところがピンとこない。
だって記憶喪失になってからの朝倉のほうが、私は好きなんだもん……

「元の朝倉」って「英雄色を好む」じゃないけど、めちゃくちゃバイタリティの塊。
仕事も抜群に出来るし、己の魅力を存分に知ってるし、女がいくらでも寄ってくるので自由気ままにつまみ食いしているけれど、相手が一線を踏み越えようとするとあっさりとポイする。
そんな様子を椎名は間近で見続けてきたので、自分も「あくまで身体だけの自由きままな関係」と演じてきたわけで……。

セフレ関係時のエッチシーン描写は、朝倉が主導権握っててるし、余裕かましてる様子がなんか読んでておもしろくない。
決して意地悪とか嫌なやつでは無いんだけど、でも好きなタイプではない。

記憶喪失になった朝倉は、そういう成功者ゆえのオーラみたいなのも消えて、どこか不安げで純朴な感じで、こっちのほうが好き。
なので元の性格のほうが……と思う椎名とは趣味があわないなと。

0

ツンする理由が過去の傷

電子書籍で読了。挿絵有り。

『釣った魚には餌をやらない』のなら『いつまでも釣られない魚』になれば良いのではないか、と考えるのは一つの作戦ではあると思いますけど、でも『恋の駆け引き』って、椎名がやっているのよりも、もうちょっと軽やかなもの。釣り針にかかりそうでかからない様を装うのは、ゆとりがあるからこそ出来ることであって、そんな発想をしちゃう理由が『前の恋愛に傷ついた所為』であるならば、朝倉の記憶喪失事件が起きなかったとしても最後まで完徹出来なかっただろうな―、と思うのです。
擬態は敵から身を守るために行うもの。でも、恋は敵とするものじゃないので、自分から『ネタバレ』した後に『真実の愛(大げさ?)』が訪れるという終わり方で安心しました。
実は記憶喪失ものってあまり得意ではないのですが、何となくお伽噺テイストを感じて面白かったです。

0

セフレ&記憶喪失モノ

セフレ関係にある社長×社長秘書の、社長(攻め)の方が記憶喪失になってしまい、秘書(受け)は、記憶を失って不安になっている彼に“自分たちは恋人同士だった”と嘘をつく──という内容。

セフレ関係にある間の受けは、プライベートは明かさない・寝ても決して泊まらない・プレゼントも受け取らない、と徹底したツンで、それがまたよかったです。
そして記憶を失った攻めは、俺様キャラ→純朴な優しい青年になっていて、その優しさを愛おしく思いつつも、かつての攻めが恋しくなる受けの心情がとても理解できた。
さらに記憶が戻ってから、純朴だった攻めとの思い出を大切にするくだりまで、切なくて萌えまくりました。

「セフレ&記憶喪失モノだったらこういうのが読みたいな」と思ったそれを具現化してもらえたような満足感。
加えて、ちょっとしたやり取りも楽しくて。
記憶喪失中の、ワインのくだりは思わず笑ってしまった。
記憶喪失ってこんな失敗も起こりうるんだなぁと思って。新鮮でした。

5

セフレという拠り所に秘めた甘い望み

社長×秘書(主×従)、華やかな年上攻め×年下美人受けというシチュエーション。
この話のように元々会話や行動の端々に気遣いの利くタイプの受けが実は個人的好みのパターンだったりする。
作中にも無意識に周りの男達の独占欲を刺激していそうなタイプに書かれていて納得…。
相手の朝倉のほうもやり手の若社長という描写がきちんと書かれていて、惹かれるものを感じる。

本当は朝倉の事が好きで堪らないのに、彼が他人にあれこれ詮索されるのを嫌がるのを承知している為に、セフレという関係で割り切っているふうに装わないといけない。

そんな朝倉が記憶喪失になり、椎名は朝倉の面倒を見る事になるが、常に対応が穏やかでガツガツせず大袈裟な振る舞いがないし、せめてもの空白期間に甘い望みを秘めている。
願望をさらしていながらも、嘘って言葉で本音をごまかそうって気持ちが少し切ない。
でも、切なさ一辺倒ではなく淡々と自分の想いを振り返る様子なので重さを感じずに話を追っていける。

記憶喪失ものって、記憶を無くしている最中と取り戻してからの落差をどう埋めるかってのも見ものだが、その後はお互いに一線を意識していた二人が静かに変わる様子が伺えた。
空白期間の望みがちゃんと現実になっていくという、予定調和な甘い展開が心地良かった。

1

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