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多感な時期に、ゲイであることをリアルな人間関係には誰にも打ち明けられられず、ネットで知り合った、共通の趣味を持つ年上男性と高校生のお話です。
ネットで知り合ったとは言え、年上男性はアルタイルというハンドルネームだけで年齢や職業は明かしてくれず、お互いにアルタイルとベガという星の名前をハンドルネームにただ話をするだけ、直接会いましょうという距離の詰め方をせずに3年間関係を続けます。出会いが目的ではない、プラトニックな関係のまま、自身の性的な悩みなど、何でも打ち明けられる存在ができた文人(ベガ)。これだけでも文人が大人の男性に惹かれてしまうの、無理もない話です。
でも文人が高校を卒業した後、文人がSOSを出したことがきっかけで2人は初めて出会います。そこでも本名も家も、職業さえも教えてくれないアルタイル。踏み込もうとしても引かれてしまう距離感に文人は歯がゆさを感じるものの、もう会うこともメールもやめようと別れる2人だが、アルタイルは文人の姉の婚約者として再び文人の前に現れてしまう…。
もうここだけでも相当しんどいです。しかもお姉ちゃんが弟思いのめちゃくちゃにいい人だからなおさらのこと。辛くて辛くてどう転んでも絶対誰かが悲しい思いをする鬼展開に久々に泣きそうになりました。そしてこのお話、アルタイルこと新開さんがバイってこともポイントなんですよね。これまでBL読んできて、バイの登場人物を深く掘り下げて考えることは無かったように思います。バイの方は男女どちらとも関係をもてる、だからこそ家庭を、子供を持つ夢を簡単に諦めることは出来なくて、周囲からの目にも割り切ることはよりできなくて…という苦悩を初めて知ったように思います。だから新開さんの苦悩も読めてしまう。誰も悪者じゃない。みんなが自分と向き合い、苦しみながら生きてる。
今回ネタバレは避けようと思うので、未読の方は文人と新開さんが出した結末を、ドラマティックな展開を出来ればネタバレ無しで読んでみてほしいです。そして、雨降りvegaのタイトルも、最後には悲しく響かないのではないかな、と…。
一年に一度の逢瀬の7/7、七夕。
▶vega :ベガ:織女星 七夕の星。こと座α星
▶アルタイル:(Altair): わし座α星 七夕の彦星 漢名は牽牛星 天の川を挟んで織女星(ベガ)と相対する星。アラビア語の「鳥」
雨が降っても、雲の上の空で、織姫は彦星に会える。
・・という物語かな、と思ったけど、そうじゃなくて、
雨(障害)が有ると、逢瀬も叶わない二人、という意味だった。
文人が抱えるマイノリティの苦しみと、切ない秘めた恋の物語。
文人も、姉も、新開も、登場する人物には事情があるだけで、どれも悪い人じゃない。
同じ人を好きになっていた姉と弟。
弟の気持ちを理解して受け入れる姉。
でもその気遣いに、傷つく文人。
二人から身を引く新開は、随分時間を経て、答えを出す。
周囲に気遣い傷つけまいとして考えて、いざというときは自分を犠牲にしながら、
精一杯の幸せを掴もうと生きている人達の物語だった。
結末は、きっとこれから幸せになれるという、新開目線の小話。
ちょっと耽美風。
こんな風に、みんながゆっくり幸せになっていく話は、読後感がとても良い。
ちるちる不朽の名作にランクインされていたので読んでみました。
タイトルにもある通り、夏の大三角形を擬人化しました。みたいなお話でもあるかもですね。
主人公の文人は同性愛者が集まる掲示板でvega(ベガ=織姫)と名乗りaltair(アルタイル=彦星)というネット上で出会った人物に惹かれていく。3年間ネットでやり取りをするだけの関係だった2人がある日直接的に出会い本当に恋に落ちてしまう、でもすぐに引き裂かれてしまい、また数年後ふたりは最悪の形で再開する。お互い想いを抑え込んで抑え込んで、でも気持ちは溢れていくばかりなのがどうしようもなく、ま離れ離れになるけど、、、ってのが、ザBL七夕物語!と作品です。
当て馬で出てくる神崎はデネブポジションなんですかね?文人のお姉ちゃんと神崎どっちかなあって思ったけど、デネブで調べたら『ベガ、アルタイルの何倍何十倍もも光輝く..』みたいな感じで出てきたので、神崎の執着さや愛されたい愛して欲しいという思い、主張を考えれば私の中では神崎がデネブかな、と思いました。
主人公(受)も(攻)も優しさに溢れていて、結構いい感じの雰囲気なのにあと一歩二歩のところで臆病になって引いてしまうみたいな切なさが肝な作品です。自分よりも相手の幸せを願うからこそ、自分都合で行動できないのが良くもあり仇にもなってるけど、もうここまで何度も巡り会うのなら一緒になってくれ〜と願わずにはいられない。
この作品は最後の最後まで切なさと純愛さにハラハラしながら、それでも最後は、、というのが好きな人はめたんこ刺さるだろうな〜と思いす。
あー、良かった…。
2人は一緒に生きられない運命なのかと、胸が張り裂けそうでした。
好きな気持ちに蓋をしても、それまでのささやかな思い出や気持ちが積み重なって、溜まって重みをどんどん増して、動けなくなってしまう。
そんな文人の気持ちが分かりすぎて胸が激痛でした。
なし崩し的に他の人と付き合おうと思っても、折に触れ思い出すのは心の奥に秘めた人の事なんていうのも悲恋あるあるで切なかったです。
好きだけではどうにもならない関係性が本当にもどかしくて、切なくてしんどかったのですが、こういうお話が好みなのでハマりました。
今まで読んだ凪良先生の作品で1番好きな作品になったかも知れない、そのくらい私には刺さりました。
作品内のあらゆる場面での描写が美しいです。
ただの2人の言動を書き綴るだけじゃなくて、美しい言葉、比喩、表現に酔いしれました。
蓋をしても溢れる想いがじわじわじわじわ蓄積されて
切なくて温かくて痛くて心持ってかれた…
新開のくれたものを大切に支えにしてる文人がいじらしく、新開が真摯なだけに酷で。
平穏な日常の「心の中は嵐」も行動力もすごい。
最初はメールのやり取りだけで、
"不思議とあたたかい気持ちになる。
文章のリズムが合うのかもしれない"
というのも波長が合うということで、それこそ恋の土台を作ってたんだろうな。
言葉だけでは難しいことも通じ合って支えあってきたの絆を感じる。
そんな仲だったのに、そんな仲だからこそが後々生きてた!
しっとり苦しくでも温かな気持ちになる抱きしめたくなるような物語でした。