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表題作英国紳士の意地悪な愛情

ローレンス・ウェントワース,25歳,ギャラリーのオーナー
和・ウェントワース,19歳,ローレンスの義弟,大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

親の再婚で3人兄弟になった和は、長男への淡い恋心を、自分を嫌う意地悪な次男・ローレンスに知られてしまい……!?

作品情報

作品名
英国紳士の意地悪な愛情
著者
神香うらら 
イラスト
椿森花 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344830363
3.6

(23)

(5)

萌々

(5)

(12)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
8
得点
82
評価数
23
平均
3.6 / 5
神率
21.7%

レビュー投稿数8

愛おしくなる不器用さ

 兄弟BLを求めて購入しました。神香うらら先生の作品は初めてでしたが、好みのお話だったので終始萌えながらあっという間に読み終えてしまいました。

 まず、序盤のテニス後のアンドリューとローレンスに対する和の反応の違いがおもしろいんですよね。
 アンドリューに触れられた時「ああ和はアンドリューのことが好きなんだな」と思ったのも束の間、ローレンスに触れられた時に「あれ、ローレンスの方が好きじゃん」とこの時点で萌えが始まり、読み進めるとローレンスが初恋の人だったことを知り、さらに萌えました。
 ローレンスとの会話でも、しきりに和は言いすぎたかもとか謝った方がいいかなとか気にするんですよ。ウェントワース家に来たばかりの頃にローレンスに冷たくあしらわれた記憶が大きいのかもしれないけど、怒らせないように嫌われないように気遣う和が健気でした。
 ローレンスは年頃だったので、父親の再婚に複雑な感情が沸き起こるのも無理もありません。
 ましてや気持ちの整理もついていないのに、突然できた弟に懐かれるのは困惑しますよね。和が決して悪いわけではないけれど、突き放す態度をとっていたローレンスの気持ちは理解できます。
 そして、和が優しいアンドリューに惹かれていったのもよく分かります。人間ってそういうものです。でもローレンスの一挙一動に心を乱されている様子だと、きっと和はローレンスに嫌われている(と誤解していた)からローレンスを好きじゃないと思うようにしていただけで、無意識に男として意識し続けていたのはアンドリューよりもローレンスだったのだと思います。

 そして問題のローレンスですが、こちらはとても一途な男でした。昔から和のことをよく見てきたのが言葉の端々から伝わってきて、その度に萌えました。
 ただし、とても一途ということは読んでいて分かるんだけど、それ以上にとても不器用なんですよね。
 初見だったので、「ちゃんと和が好きなんだよね?」と心配になることがちらほらあり、攻め視点で読みたかったと書かれている方がいらっしゃるのも頷けました。
 でも和視点だからこそ、和と気持ちを同調させながらローレンスの真意を探れた面もあるので、そこを楽しめるかどうかが肝かもしれません。

 今振り返ると、ローレンスはかなり嫉妬深い人でした。和と誰かが一緒にいると必ずやってきたり、和が好意を示す相手がアンドリューの雰囲気に似た男なら俳優であろうと不機嫌になります。和がアンドリューの恋愛には嫉妬するのに対して、ローレンスの恋愛には全く嫉妬しないことに不機嫌になるローレンスがかわいかったです。
 和にキスをしたり、体を愛撫したり、陰部を擦り付けたり……。愛の言葉は一切ないのに和を困惑させたまま着実に段階を踏んでいく行為に、どこが英国紳士なんだと思ったりもしましたが、終盤に明かされた真実を知ると若干フライングしたとはいえ、和が二十歳になるまでは手を出さないというアンドリューとの約束をちゃんと守り、和に手を出さないようにアパート暮らしをして自制していました。彼はわりと誠実だったのです。
 察しはついていたけど、日本へ来た理由が留学した和を追いかけるためだったということにも萌えました。
 和が小さい頃に読んでいた日本昔話のことをちゃんと覚えていて、好みに合いそうな日本家屋を見つけたのも、昔手を繋ぎたがっていた和を邪険に扱ってしまったことを後悔して和と手を繋いだところも良かったです。
 和に冷たくしていた時期だったのに、その頃でも和のことをちゃんと見ていたところに兄としての愛情を感じたし、いろんな事情で同居期間がほとんどなかった二人が、その時間を取り戻すように二人暮らししているのがたまらないですね。
 しかし、ローレンスは不器用で意地悪だけど優しい兄というだけでなく、策略家でした。
 ずっと和のことを見てきただけあって、和のことは全てお見通しであり、嫉妬のさせ方も熟知しております。紛うことなき和マスターです。夜這いの翌朝に和の好物のパンケーキを作ろうとしていたところも(これは策略じゃなさそうだけど)しっかりと和の心を掴んでいました。
 ローレンスへの恋心を自覚してしまった和が逃亡した時も、滞在先のホテル名と部屋番号まで把握しており、どうやってこの情報を掴んだんだ(智幸?)と思いながらも、和への執着具合や、かといってホテルへ乗り込んで無理やり連れて帰ることはしない引き具合、そしてアンドリューが来るという理由で帰ってきた和を嫉妬心むき出しで抱こうとする強引具合、この振り幅が絶妙で、そこからの流れで和に愛の告白をした時には、和だけでなく心配しながら読んでいた私まで報われたような気持ちになりました。
 ようやく二人は身も心も結ばれたわけですが、事後のやり取りからの二回戦へ突入する流れがすごく好きです。でもそこで終わってしまいました……。

 和の留学が終わったらローレンスのアパートで同棲することはほぼ確定なので、同棲話とかもっともっと読みたかったのが正直な感想です。
 だって、晴れて和と恋人になり我慢の必要がなくなったローレンスは、さらなる執着攻めに成長してくれそうな気質があるように見えるんですよ。非常にもったいないです。
 電子で読んだので挿絵がないのも残念でしたが、それらの要素を差し引いても萌えが圧倒的に勝ったので神評価にしました。
 個人的にとてもツボにはまった物語だったし、二周目はローレンスの言動に萌えると思うので、しばらく寝かせてからまた再読したいと思います。

0

三兄弟の三角関係?ややこしい。

舞台はイギリスと東京。英国紳士です。伯爵家です!

アメリカ人セレブの話は読みましたが今度はイギリス貴族!(読む順番が違うかもしれませんが)

主人公和19歳。母の再婚でイギリスに住んで義理の兄が二人。王子様紳士アンドリューと獣ローレンス。

ずーっとローレンスは和に意地悪言ったり絡んだり、いきなりキスしたりそれ以上も。
家族になった頃は嫌われていじめられたり無視されたりしてたみたいなので、それよりはマシなのでしょうが。
和からすれば、何?からかって面白がってるって感じで。

なんとも三兄弟であっちが好き、実は最初からこっちが好きってやってて。

和とローレンスのモダモダも、なんだかなあ。実のない攻防に思えて。そもそも和がアンドリューを好きだと思い込んでるローレンスがややこしい。

プライドの高そうなローレンスだから出来なかったのでしょうが。
はっきり好きだと、追いかけてきた、一緒に住みたい、恋人になりたい、自分のものにしたいって言えばいいのに。

ローレンス視点が最後に少しでもあればなあ。
出会った頃の印象や、意識しだして好きになっていく様子とか、モダモダしてたときに何を考えていたのか知りたかったな。

美少年らしい和の他人目線の描写も読みたかったなあ。

0

視点がすごく惜しい

イギリスと日本が舞台の義兄弟もののお話です。
イギリスと日本半々くらいの描写かと思います。
受けの和(のどか)は、日本人の両親の間に生まれた純日本人。父親とは死別しています。
まだ幼い和を連れて渡英した母親が再び恋に落ち再婚したのはイギリス人。
この再婚相手の連れ子の1人が今回のお相手・ローレンスです。
幼い頃から優しく穏やかな長男のアンドリューに淡い憧れのような恋心を抱いていた和。
ある日その恋心を次男のローレンスに知られてしまって…とお話は進みます。

親の再婚をきっかけにした義兄弟ものはかなり好きな設定なのですが、今回はなかなかハマれず。
攻め視点でも両視点でもなく、全編受け視点なので、あれこれ好きな子に意地悪をしてしまっている攻めの気持ちは序盤から「可愛くていじめたいのね」と分かりつつも、受け視点だとなんだかしっくり来ないというか、誰にも感情移入が出来なかった。
意地悪しちゃうし、嫉妬しちゃうし、構いすぎて和を怒らせてしまったりしながら、でもちゃんとふとした時にぶっきらぼうな優しさが見える部分もあるんですよ。
だからこそ攻め視点が入っていないのが勿体なかったな。
一途な想いを抱えていたようなので、実は物凄く必死に気持ちを律していた…なんて姿が描かれていたら印象がガラっと変わったかもしれない。
その気持ちに勘付いていたアンドリューに口酸っぱく釘を刺されるシーンも読みたかったです。
受けの和の揺れ動く心情も描かれてはいるのですが、強引に奪われた唇から始まり、えっ大丈夫?本当に好きなの?という状態であっさり体までちょろちょろっと許してしまっているので、ときめきや萌えを感じる手前でお話が終わってしまいました…
ううん、もっとじっくり読みたかったな〜!
くっついたこの先に、きっと和限定でタイトル通りの英国紳士っぷりが出て来たりするんじゃないかななんて思うんですよ…!

トムとジェリーのような2人の軽口の叩き合いは親しい仲だからこその空気が流れていて好きでした。
パンケーキを作るシーンも可愛かったですし。
上手く卵が割れなくて殻を入れまくっちゃうローレンスが可愛い。
椿森花先生の挿絵もとっても美麗でした!

そして、神香うらら先生の作品には、童貞で初々しいけれどベッドでは…という、非常に魅力的な受けが度々登場しますが、今作の和は乳首に触れただけですぐにイってしまうという敏感さでした。
これはたまらないですね。こちらももっと読みたかったです。

1

攻め視点があったら萌えるんだろうなぁ

両親が再婚して、義兄弟になった攻め(次兄)と受け。

再婚当時、まだ幼かった受けは、兄ができて嬉しくて何かとまとわりついたのだけど、思春期真っ盛りという難しいお年頃だった攻めは、そんな義弟を無視をしたり意地悪な仕打ちをしたり……という経緯もあって、いまだ二人の間には微妙な空気が残ってしまっています。

そして受けは、何かと慰めてくれた優しい長兄にいつしか恋心をいだくように……という攻めにとってはだいぶ不利な状況。

読み手には「好きな子ほど意地悪したい」攻めなんだなとわかるんだけど、受けからすると今も嫌がらせでしかないんだろう?としか思えないんですね。

実際、わかりづらいし、ちょっと意地悪すぎるというか。
勉強のために日本に行くと告げても、「自分の好きなようにすればいい」と言うのみで、執着心とかまったく見せるそぶりはないんです。

なのに。
突然、日本にやってくる攻め。
しかも滞在のために用意した家は、受けの好みというか、受けの憧れを絵にしたような(と攻めは思ってる)純和風の家。

こういうところがニヤニヤです。

でもなー、ちょっと判りづらすぎるし、ようやく思い通じたと思ったら終わってしまった……という感じで、満足できるほどの萌にはあと一つ……といった感じでした。
受けに家を出て行かれて、久しぶりに再会した攻めの目の下のクマなどの憔悴感とか、最後、ようやく攻めが思いを吐露するところは萌えるんだけど。

このお話をまるまる攻め視点で読んでみたいなぁと思いました。
多分、超絶萌えると思う。

実は、超絶我慢してた。
実は、超絶苦悩してた。
実は、超絶焦りまくってた、など、表情がわかりづらい攻めのジェットコースターのような内心が楽しめるはず。




4

セレブな義兄弟モノ

イギリスと日本を舞台にした、イケメンで俺様な次男と健気で可愛い末っ子のお話でした。セレブな攻と(感覚的に)庶民な受のシンデレラストーリーかと思ったのですが、そうではなく、二人とも序盤からセレブセレブしていて面白かったです。

王道ど真ん中のスレ違いモノで、思ったよりキュンとしてしまいました。そうと分かって読んでいるせいですが、ローレンスの「好きな子ほどイジめたい」っぷりが分かりやすすぎて、むしろ彼の方が健気なのでは?と思います。

0

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