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表題作アンフォーゲタブル

和久井冬梧
明光新聞社勤務,25歳→42歳
有村望
真秀製薬勤務,25歳→42歳

その他の収録作品

  • アンスピーカブル
  • アンタッチャブル(とあとがき)

あらすじ

新聞社勤務の冬梧。製薬会社勤務の望と出会いやがて惹かれ始めるが、思いがけなく身体を重ねることになった後、望の電話は繋がらなくなり……

作品情報

作品名
アンフォーゲタブル
著者
一穂ミチ 
イラスト
青石ももこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
is in you
発売日
ISBN
9784344830615
4.1

(163)

(90)

萌々

(38)

(15)

中立

(9)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
24
得点
656
評価数
163
平均
4.1 / 5
神率
55.2%

レビュー投稿数24

『忘れない』が繋ぐ想い

新聞社シリーズ4作目。
ボリューム的にはそうでもなく読みやすいページ数だったのだけど、
このシリーズのどれよりも重たいテーマで本の厚さの倍くらいの読み応えがありました。
お仕事BLとしての一面と、心の奥を暴いていくような展開が本当にすごい。めちゃくちゃ引き込まれました。

冬悟と望、どちらの気持ちを考えても辛い部分がたくさんあるので
さくさく読み進めるには苦しいところもあります。
何も知らされないまま望とはもう二度と会えないと知った冬悟の独白がもう…
ツラくて悲しくて胸が締め付けられました。
でもその苦しみも込みでいいところに辿り着くその着地点が素晴らしすぎます。
BLだけど『BL』と一括りにはできないストーリーだなと感じて、一穂先生の作品やっぱり好きだなぁ。と改めて思ったのでした。

0

素晴らしいストーリー展開

新聞社シリーズがとても好きで、本作に辿り着きましたた。一穂先生買いでもあります。
このシリーズでは、佐伯をはじめ、静、西口など登場人物が非常に魅力的で、かつお仕事BLとしてもとにかく大好きで、本作も心に沁みました。


***

出会いこそ突飛でしたが、そこから交流が始まる冬梧と望。

自分のことに対して無頓着すぎると望に怒られる冬梧。
自分はストレートで男は無理だもんという冬梧。
反対に望は亡くなった先輩は男で、その人を好きだったと。

冬梧の、男性を恋愛の対象とできるかについての自己分析がさらっと書いてあるけど、掘り下げ方がめちゃくちゃリアルで秀逸でした。
冬梧の一言一句、気持ちわかってしまって、物語にひきこまれました。
恋愛対象ではなかったのに、なぜか気になる、気持ちが動き出す感覚。

印象的だった望の言葉。
「曲がらずにぶつかることを繰り返したら、いつか疲れ果ててぽっきりと折れるんじゃないかと心配で」
好きだった先輩がそうだったから、生駒と冬梧を重ねる。
後の出来事も、冬梧ならやってくれると思い、託した。
冬梧への愛を自覚していた望が、生駒の最後の思いを実行する。
生駒の遺志を継いだのが99%、残りは記者に返り咲きたいと話していた自分の願いを叶えてくれたのかと思い出す冬梧。
望との繋がりが途絶える。とてもツラい場面でした。


望の覚悟。全てを終わらせて、生駒への気持ちを昇華させるように実行する。
正義なのか、愛なのか。
それだけで終わらなかった。
望が生駒の代わりに守った家族。未帆がとても魅力的だった。
愛していた生駒の遺志を継いで、恋敵でもあった奥さんを守る。
個人的にはここまでする望の気持ちは全部は理解できなかったけど、正義、愛、死。
全てを通じて。望は覚悟と決意、そして未帆を育てるという使命。
ただただすごいなと。

ストーリー展開が面白く、飲み込まれるように、一気に読み終わりました。

良時さんが相変わらずバランスの取れたイイ人で、良さが際立っていました。
とても好きな作品でした。
ありがとうございました

0

シリーズ集大成

ラストのラストでものすごい重い題材を持ってくるところが本当に先生らしいですね
これまでのシリーズすべてとても良く、何度もないたのですが、この作品ももれなく泣かされました
製薬会社の偽造、それによる社員の自死…どこを切り取ってもものすごく苦しい一冊でした
そして主役のふたりも一筋縄ではいかず、再会するまでにものすごい時間がかかりました
でもその時間は確実に二人に必要な時間だったし、それを経てもまだ二人の思いが繋がっているのがとてもよかったです
このシリーズ一貫して最後に言いたい言葉は
「今度こそ幸せになれますように」

1

運命について考えたくなる

突拍子もない出会いから、あそこまで大きな出来事に発展し、かつ切ない経緯を辿ることになるとは。十七年を経て再会後、やっと二人が自由になり、初めて真っ直ぐ向き合える状態になれた結末に泣いた。

シリーズ作品で、時系列でいえば前三作のずっと前のお話(他を読んでなくても問題ないと思う)。新聞記者の冬梧と製薬会社勤務の望。一見、ただの偶然で交流が始まった二人に見えたが、二人だけでなく、関係する多くの人の人生に影響を与える出会いだった。

亡くなった想い人を忘れないままの望に翻弄される冬梧は、ふわふわした恋心を自覚するかしないかのタイミングで、衝撃的な事態に陥る。人と人との運命について考えたくなるような展開。これが決してロマンチックな意味でないとこがすごく好き。

あんなことになってしまえば、冬梧の中に望がより一層強く刻み込まれるだろうし、人生が一変したと言えるかもしれない。望に出会わなければ、冬梧の人生は全く違っただろうし、無難に結婚もしていたかもしれない。そうした因果に感動を覚える。

十七年後の再会は、劇的でも運命的でもない。ただ、望が支えて来た人たちの協力あっての結果で、それは望の十七年の成果でもあるのかと思った。

巻末の望視点の短編では、シリーズ四人目のバツイチ男が完成しそうな気配。あっちでもこっちでもよく離婚するシリーズ。まあこちらは円満離婚だし、可愛い親バカぶりは継続しそうでほっこりできた。

毎度思うが、一穂さんの作品は読後の感情を言語化するのが難しい。確かなのは、良かった好きだったということくらい。ココが好き、という点もあることは分かるのに、ぴったりの表現が見つからない。だから次も読みたくなるのかもしれない。

1

”17年分”の思い

「泣ける小説」が無性に読みたくなり、色々調べてこちらの
作品にたどり着きました。

新聞記者の攻め視点の物語。
「新聞社」シリーズ4作目とのこと、シリーズはまだ『is in you』しか
読めていませんが、他作品も絶対読もう…!と決意させてくれました


夜読み始めて、この時間まで一気読み。
実は涙こそ出なかったのですが;

報道のあり方。
17年分相手を想い続けた二人の想い。
どうしても連絡を取るわけにはいかなかった事情、
和久井に託した望の覚悟...

そういったものに思いを馳せ、
物語に没入する2時間でした

まず何よりも、一穂ミチ先生の文章の美しいこと…!
読んでいて、季節や景色の色が見える。
揺らぐ心が、ありありと見える。

そして喜怒哀楽をあまり前面に出すことのない望が
感情を見せる時の、表現。

”静かな自制の閾値(いきち)からわずかにはみ出した感情の色を見るのが
楽しい”

もう、個人的にこの一文の美しさに衝撃を受け、
夜中にしばらくぼうっと分を見つめたり、声に出して読んでみたり...

なんて素敵なんだろう…と、文章を読んで
いちいち立ち止まっては感激し、衝撃を受けました

物語の大きなテーマとなっている、「報道のあり方」についても
心抉られ考えさせられることが多く。。

読み手を満足させるため、
”犯人らしい”写真を撮るがために暴言を吐く記者。

自分のスクープ一つが、一つの家庭を壊してしまった事実。
自分の知らないところで、広がる枝葉のように
もっともっと多くの人、家庭、事象にまで影響が広がっているであろうことー

それでも、「伝えない」という選択肢はない。

ただ、それが愛しい人と会うこととの引き換えに与えられる情報だったなら、
俺はいらなかったよー

和久井のその独白が苦しくて、切なくて
胸を刺すような痛みを感じるシーンでした


そんな二人の再会に、一役も二役も買った未帆ちゃん。
どちらかというと、普段”BLに女性キャラはちょっと…”と思っている派では
ありますがこの未帆ちゃんには親指たてて「グッジョブ!!!!!」と伝えたい。

大好きなキャラになりました

報道をする側の覚悟と責任の大きさ、
その在り方…

そして17年もの長い時を、会えずに過ごさなければいけなかった
二人の恋の行方。

並行する2点のテーマに心惹きつけられ目が離せず、
一気に読み切った一冊でした。

すっかり”親バカ”状態になっている望の様子が可愛かったな...

そして、17年もの別離の間、特派員記録(かな?)として
書かれる和久井の記事を追い続けていた望の健気さにも心撃ち抜かれました。

長い長い別離を経ての、再会。
骨太な夜明けの物語、これから何度も読み返したいと思える一作です。

2

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