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表題作初恋迷宮

宝坂眞, 京都府警本部のキャリア課長 28歳
椎名雪人, 元財務官僚の京都府警刑事 31歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

狂ってる――恋しくて、恋しすぎて

初恋の男に残酷な拒絶を受けてから8年。以来、脇目も振らず職務に邁進してきた椎名雪人は、異動先の京都府警本部で愕然とした。
宝坂眞──かつてチェロ弾きだった年下の彼が、雪人を振った男が――上司として現れたのだ。
予想だにしない事態に雪人の頭は混乱を極めたが、その顔を目にしてしまえば、捨てきれなかった恋情は呆気なく再燃した。
けれど、宝坂の左手の薬指には、彼が誰かと誓った愛の証が燦然と煌めいていて……。

作品情報

作品名
初恋迷宮
著者
鳥谷しず 
イラスト
蓮川愛 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
発売日
ISBN
9784592877226
3.6

(72)

(20)

萌々

(25)

(13)

中立

(7)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
12
得点
246
評価数
72
平均
3.6 / 5
神率
27.8%

レビュー投稿数12

人が変わった課長!

雪人は学生の頃に自覚し始めたが、その時に恋に落ちたのがバーで演奏するチェロ奏者の男だった。。。

偶然、出会った二人は懐かしむような会話だったが、宝坂が放った言葉で雪人は愕然とする。。。。
その失恋?でダメージを受けた雪人は実家に帰り警察官となる。その際に家族へカムアウトするもの同じ警察官の父親には絶縁されてしまう。
そんな折、異動になった雪人の上司が宝坂で…

そっからはもう。究極の両片思いのお話でした。雪人がかわいそうで、切なくて、胃がキリキリするようなやり取り。もう読んでるこっちは「こんちくしょう、小鳩め!!」って思いながら読んでました。
嫉妬から、ってことになってるけど、遅刻ギリギリだとか、書類を丸一日かけて書き直すとか、そもそも社会人的にイケてないやつよね?ましてや取り調べでの失敗は自分のミスなのに逆恨みじゃないのか?!
上司にゲロっちゃうとかも、普通ならもっと恐縮するよ〜

最後はハッピーエンドだと知りつつも、何?このすれ違いは!って思いながらヤキモキ。

後半で、思いが通じてからは、なぜか変態プレイがお好きな宝坂。原因は従兄弟の名演技にあったんですね(笑)さらに、普段は理知的な話し方なのに、最後はめっちゃ砕けた口調の宝坂にも笑えました。
ホント、良かったね、雪人!って言ってあげたいくらい。
そっからは速攻で指輪の交換もするし、親にも挨拶行くしで、宝坂の本気度もみれて感無量。

無理のない関西弁で進行するのも、京都が舞台だけあって(京都っぽくない部分もあち、こりゃ大阪弁では?とか)目先がかわってて面白かったです。もう途中はしんどかったですが、思いが通じてからはラブラブ?も見れたしスッキリした〜

1

地雷が埋まっていました

電子書籍で読了。挿絵あり。あとがきなし。特別ss付き(初出は不明。ペーパーだと思うのですが、出来ればこういうの、書いて欲しいですね)。あと、カバー折り返しの部分の『作者近況』が入っていました。

いや、鳥谷さんらしいのです。しっかりと『変態紳士』だし。
前半部分の『嫉妬でドロドロ』という所も、大好きです。
でもね、非常に数少ない私の『地雷』が埋まっていたのです。ちゅどーん!

穏便にすませようとする上司の意向を無視して部下の不正を監察に報告した結果、椎名雪人は公安から生活安全部少年捜査課に左遷されてしまいました。そこで出会った課長の宝坂眞は、8年前、必死の思いで告白した雪人を「気色悪い」と侮蔑的な言葉で手ひどく振った男でした。雪人は学生時代、友人達と入ったゲイバーでチェロを弾いていた宝坂に一目惚れしたのですがオーナーの恋人と噂される宝坂に声をかけることも出来ず、ただバーに通っては同じ曲をリクエストすることを繰り返していました。社会人一年目にCDショップで偶然再会し、運命を感じて告白したのに……彼に会うことを避けるため、財務省を辞めて出生地の京都府警に再就職するほどのショックを受けながら、雪人は宝坂以外の人に恋をすることも出来ずに8年間を過ごしてきました。宝坂はそのことを覚えており「あの当時は自分のことしか考えられない愚かな子供だった」と謝罪してきます。当時、家出をしていた宝坂はバーのオーナーに関係を強要され、それを拒んだら監禁されてしまったという事情があったのだ、と。雪人に対して実に紳士的にふるまい、何かと気にかけてくれる宝坂ですが、彼の左手に輝く婚約指輪を見る度に、また、雪人の部下に目をかける様子を聞く度に、雪人の心はどす黒い嫉妬心で一杯になります。耐えられなくなった雪人は、恋人と同居するので京都府警を辞職すると宝坂に告げ、従兄弟を偽の恋人に仕立て上げるのですが……

いや、良くできたお話だと思うのです。
雪人の家族が京都府警では『伝説の一族』であるのに、カムアウトしたために父と絶縁状態であるとか、チャラい部下の小鳩が「部長と飲んだ」という話を自慢げにしまくる事の小憎らしさとか、時折訪れる宝坂の美しい婚約者の話とか。上手いのですよ。色々なエピソードの振りまき方が。

あとね、雪人は従兄弟の貴文と話す時は京都弁になるのですが、これがまたはんなりしていて彼の美人ぶりにピッタリなんです(方言萌え全開!)。

何がダメだったかというと『性被害』なんです。
そのことと、後半の『変態紳士』ぶりがどうもミスマッチっぽく感じられて、乗りきれなかった。変態ぶりに磨きがかかるほど、頭の中で「いやー、そりゃ無いだろう」という声が響き渡りまして……
経験は少ないのですけれど、地雷というのは怖いものですねぇ。
大丈夫な方は、大変面白く読めるんじゃないかと思います。

7

ツラい苦しい嫉妬

半分あたりまでは受けの嫉妬が本当につらく苦しくなんとかしてーって感じです。

そこを乗り越えて読み進めるとやっと展開してなんだか都合良すぎでは?な両片思い発覚です。

とにかく丸くおさまって良かった。最後までくじけずに読めて良かった。

3

ネチネチです。昼ドラ系です。でも、それが最高です。

最高の作品が来ました。橘紅緒さんの『唇で壊される』に並んで、
私のなかで文句なしの神小説となりました。

***以下ネタバレあり***

攻めの宝坂と受けの椎名は、まだお互いが社会人になる前に
とあるバーでチェロ弾きと客として出会っているんです。

出会いの時点でふたりは一目惚れのような恋に落ちている。

が、とある事情から、宝坂はゲイである椎名を冷たく拒絶します。
椎名は心に傷を負い、
自分のセクシュアリティに対してトラウマを負ってしまった。

そんなふたりが、数年のときを経て、同じ警察署で再会することになるんです。

(岩本薫さんの『捕獲者ーロッセリーニ家の息子』を彷彿とさせるような
再会モノBLでもあります)

攻めの拒絶にも事情はあって、ふたりの誤解は早々に解けるんですが、
そこからすんなり「じゃあ付き合いましょう」とはなりません。

自分だけが相手を好きなんだと思い込みながら、
でも、それを直接相手には伝えられないから、

椎名は 宝坂に可愛がられている後輩刑事に八つ当たりをしてみたり、
宝坂は 宝坂で、椎名(の恋人のフリをした色男)の従兄弟にバチバチ静かなる牽制をしかけたり‥‥

起承転結がはげしい恋愛ドラマ‥‥昼ドラのような濃さ!

椎名の従兄弟がね、また良い。
彼が恋人のフリをしてくれたおかげで、(すでに一度こっぴどく傷つけられている)椎名が、惨めなキャラクターにならずに済んだ。

蓮川愛さんの美麗な挿絵で、この濃いストーリーが読めたことに
感謝いたします‥‥!

以上。

12

紳士から野獣のギャップ萌え

 勇気を出して攻め様である宝坂に告白したら、暴言を吐かれて拒否られた受け様の雪人。
そのショックとそれでも忘れられない気持ちを引きずったまま8年後、異動になった警察署で雪人は宝坂と再開する。
 お互いが恋人や婚約者がいると嘘をついているので、距離をとりあぐねて遠回りした挙句、辞表を提出した雪人に8年前の言い訳をさせて欲しいと自宅に呼んで、想いを確かめ合う。
この時えちシーンになるのですが、雪人がインランでどMだと誤解してる宝坂は、初めからけっこう変態ちっくな攻め方。
 誤解をこじらせて宝坂の言葉を信じられない雪人の目の前で虫除け婚約指輪を捨てるのですが、ここから今まで紳士的な話し方を崩さなかった宝坂が、急に乱暴なオス全開の話し方になるんです。
このギャップがいい!!そう、その調子でがんがん攻めちゃってー。
紳士の仮面をはずして野獣モードになる、これが一番の萌え所でした。

 雪人の自分の気持ちにふりまわされてるとことか、部下の言動とか、えっ?と思うところもありましたが、私の萌え所が随所にちりばめられていて、にやにやがとまらない一冊です。

5

残念

裏のあらすじから嫌な予感がしたものの、文章が読みにくくて内容がまったく頭に入ってこない。

宝坂眞──かつてチェロ弾きだった年下の彼が、雪人を振った男が――上司として現れたのだ。

ここだけでセンスが悪いのが伝わってくる。
綺麗な表紙で手に取ったものの、もったいない買い物をしてしまった。

2

初恋の男

1冊すべて表題作です。雪人(受け)の視点でストーリーは進みます。

冒頭の宝坂(攻め)の拒絶が強烈だったので、切ない展開が終盤まで続くのかと思ってました。なので、後半の甘い展開は良い方で予想外に嬉しかったです。婚約者&恋人がいるフリをしてすれ違い展開もありますが、職場でするとか甘エロでした。宝坂が変態に目覚めたのも楽しかったです。

また恋人同士になって終わりでなく、父親と和解するまで至るのも良かったですし、ラストに登場してちくりと釘をさすお母様が素敵です。警察に入った理由もちゃんとあるというのも行き届いていて、細かい点が気になる質には有難かったです。

ただ、互いに嫉妬の駒に使っていたとはいえ、小鳩がちょっと鬱陶しかったです。失敗してフォローしてもらいながら文句を言うような男を周囲が庇うのは腑に落ちませんでした。宝坂の公私混同した「命令」も回数が多かったのでちょっとなぁと思いました。

蓮川先生のイラスト最高でした。チョコバナナ食べるとか、雪人と貴文の和装とか、欲しい場面に素敵な挿し絵があって嬉しかったです。

2

タイトルと中身がマッチしてる

長い恋をすれ違いからぐるぐるしているお話で、辛かったりもやもやする部分もあるんですが、最後まで通すとなかなかよかったです。
京都府警が舞台の東大出身・エリート警察官同士のお話ですが、冒頭から二人の出会いは最悪です。

まだ警察になる前の雪人と宝坂は東京で出会い、雪人に淡い思いを寄せられていると気づいた宝坂は、ホモなんて気持ちわるい死ねっと辛辣な言葉を突きつけます。

これで雪人はショックから不安定になり、勤め先を辞めて京都の警察署に勤めるのですが、そこで8年振りに再会した宝坂はあまりに別人。

物腰の柔らかい紳士になっていたので、本当に同じ人か?と思いました。
冒頭の出会いがあれだったので、他人を突っぱねた子供のような人間だったのが温厚で懐が広い紳士の鏡のような人間になっていて宝坂のキャラがちょっと掴めない…。

この宝坂、友人から二重人格と呼ばれるくらい、職場では寛容な紳士を徹底してるようで、ホントに年下なのかと思わせます。精神年齢的には雪人より10歳くらい上に見えてしまいました。

雪人は雪人で、8年前に酷いメにあって転職までするはめになった恋をまだ引きずっていて、かといって既に婚約者のいる宝坂にアタックするでもなく諦めていて、なのに職場で会えないかとそわそわして宝坂と仲のよい後輩には嫉妬して八つ当たり。
女々しいというのもと違うんだけど、何がしたいのかどうなりたいのか、わかりにくいな~と思いました。

正義感があり、警察としての指命を掲げていながら父親に反発して「警察は辞職する」と言ってみたり「恋人がいて同棲するつもりだ」と宝坂に嘘をついたりするところも何だかしたいことがわかりにくいと思ったり。
鳥谷さんの受けキャラは、女性よりも綺麗とか、見惚れるほどの絶世の美人、みないな容姿が多い気がするのですが、せっかくそんなに綺麗に生まれていながら、かなり卑屈というかなんというか…。

なかなか進まなさそうな展開と、イマイチ受けも攻めも掴みにくいキャラで最初はうーんて感じでした。
うーんて思ったのはもう一つ、宝坂の二重人格(?)的なキャラである職場での紳士的な性格がどうも苦手でした^^;
8年前の本性を知ってるからか、嘘ぽく感じてしまったというか。

もともとの口が悪く俺様な年下というタイプは攻めとしてとてもタイプなので、どっちを宝坂と思えばいいのか…。裏の顔は好みで、普段の顔は苦手って、なかなか味わえないキャラだとは思いますが、片方の性格が苦手なのがなんだか惜しかった。

でもギャップを出す攻めというのはお話として大好きでして、もっと早く出してこちらの本性を堪能させてくれていたら神評価を付けたかったのですが、でもこの本性に戻る瞬間というのは一回しか出せないカードなので、ギリギリで出すからいいのかな?と思います。

8年前の宝坂の酷い台詞にも意味があり、彼は彼で雪人と同じくらい苦い思いを今までしてきており、その二人が再会して誤解を解いてすぐわかりあえたかというとそうでもなく、またそこから互いに恋人がいると思い込みぐるぐるして…とちょっとじれったかったり回りくどいと思う箇所もあるけれど引き込まれました。
宝坂が警察に入った理由もちゃんと順序だてて書かれているところもよかったです。

あと、言葉責めが好きなので楽しめました。
普段の敬語での言葉責めも、俺様な本性を現してからの言葉責めも。
でも少々SとMっぽいですが、鳥谷さんのお得意の変態度は低めだと思ったら、これ、もとは投稿作品だったのですね。しかしこんなに面白いのに投稿作品というのはさすがだなあと思います。
変態度はそこまでではないですが、えろさは結構濃厚だと思います。

傲慢な年下×年上美人がお好きなかたに是非是非オススメしたいです。

7

つっこみどころが満載

バーでチェロを弾いていた店員を好きになった受け。街で偶然出会っていきおいで告ったら、「死ねホモ」などとこっぴどく振られ、その8年後、財務省官僚から警察官に転職したらこっぴどく自分を振った相手が上司だった、という再会もの。
事情があったにせよ「死ね」って振る攻めが人としてどうかと思ったし、そもそも受けも攻めの外見&チェロ弾けるスペックにのみ惹かれてたかんじだったので、特に最初のあたりはまったくハマれませんでした。
あと受け、再会してからも攻めがすきなんだけど、部下(ワンコ系男)が攻めと仲いいからって嫉妬で部下をいじめるし、仕事に私情はさみまくりで、こっちも人としてどうかと思う。
最後もとってつけたような家族との和解。父親が実は子煩悩、っていうんなら最初から家族の縁切られたりせんわ。
エッチシーンはなかなかつゆだくでよかったけど、それだけ。あと蓮川愛さんのイラストはとっても美麗でした。

そういえば、受けが恋愛系のゴタゴタのせいでしょっちゅう「仕事辞める」って言うんだけど、恋愛脳か! と思いました。
攻めは作中ではそれを止めるんだけど、ラストくっついてからは「仕事辞めてうちに嫁に来い、転勤で離れ離れになるのはいやだから家にいろ」って。
こっちも恋愛脳か! ある意味お似合いか!

16

言葉使いや態度のギャップに萌!!

長い長い期間(8年)を経ての再会ハッピーエンドでした。

過去にとても酷い言葉で拒絶され、その時の仕事も辞め刑事になった椎名。
左遷ともいえる新しい赴任先で出会ったのは、
過去自分に残酷な言葉を投げかけた人物・宝坂。

再会した2人なんですが、過去にそれぞれの身に起こったことで
しばらくギクシャクとしていましたが
今度こそ当時の誤解も解けてハッピーエンドかと思いきや
またもや小さな誤解(それぞれには相手がいる)から
さらに数か月苦しい思いをしてきた。

そして今度こそハッピーエンドなのですが
宝坂の変化にビックリ!!
上司としてはおっとりと丁寧な口調にスマートなしぐさが、
超俺サマな態度と言葉使いに大変身!!
(たぶんこっちが本当の宝坂なんだと思うけど)
執着も凄いし、何よりも笑ったのが
自分は警察を辞めるつもりはないから、これからもいろんな地域への移動がある。
だからどこに移動になっても自分についてきて欲しいので
「辞表は早めに出せよ」と椎名に対して命令口調!!
宝坂にとって、椎名はもう自分のもの(嫁)なのです…(^^;)
とはいっても、釣った魚にエサはやらないような男ではなく
激しい愛情は注がれ続けるでしょうがね。

正直この宝坂のギャップがあったから私は萌×2

5

受けが本当に醜く過ぎやしませんか?

鳥谷さんの初・花丸作品。
鳥谷さんと言えばわたしの中ではえっち度高しなんですが、今回もその辺りは裏切りません(笑
ただ、内容的には辛口レビューとなりまして、すみません。


受けの雪人は、公安から京都府警本部・特捜隊(少年課の)班長として赴任した31歳。
実年齢よりもはるかに若く見られる容姿は美しく、元財務省キャリアという職歴の持ち主。

攻めの宝坂はキャリア官僚の警視で、婚約者を東京へ残す28歳。
警察庁からの出向で、京都府警少年課課長を務めています。
長身の目立つ美形で、しかも実家は資産家という恵まれた環境に見える男。


財務省へ入庁して間もない頃に街で会った男は、雪人が密かに想いをよせていたバーのチェロ奏者。
そんな彼にゲイへの暴言を吐かれ、ショックで財務省を辞め故郷である京都へと戻った雪人。
ヤワ過ぎますがな…
そんな雪人が警察官となり(しかも父親への嫌がらせで…)、移動先でそのチェロ奏者であった宝坂と8年振りに再会して…というお話。

デビュー頃の作品ということだからでしょうか、とにかく最初の数ページに渡りふたりの容姿がいかに美しいか!という説明が力説されウンザリしてしまいました。
そしてそこにプラスして、受けが公安から府警のしかも少年課に移動してくるって…
しかもノンキャリでありながらエリート集団の公安の元係長って…あんの?と違和感ありまくりで冒頭から入り込めませんでした。
もしあるのだとしても、先にあった容姿云々でそんな姿がまるで想像できないのです。

鳥谷さんの作品は個人的に受けが好きになれないパターンが多いのですが、今回もダメでした。
なんでしょう、すんごく卑屈でひがみの酷い受けが多いのですよね。
同作家作品の『恋色ミュージアム』の、攻めの周りの人間全員に嫉妬して嫌悪する受けと本当にそっくりです。
特に妊婦さんや人妻に対する嫌悪が毎回酷過ぎる…またかと思ってしまいました…
恋愛小説ですから、可愛らしい嫉妬はお約束かと思います。
が、鳥谷さんの嫉妬受けさんはそういうタイプでなく、滅多やたらに憎悪するという様子で、内面がひじょうに女性の嫌な部分を凝縮させたような感じなのですよね。
わたしが女なので、よけいそういうキャラは同族嫌悪なのかなあとも思いますが、読んでいて気持ち良さは皆無の受けさんですね。
それでも買うのは、お話自体は面白く読むことが出来るからなのですが。
ただこの作品は、舞台の警察やキャラの外見設定が大仰過ぎて冷めた目で読んでしまいましたが。

イラストは蓮川愛さんです。
個人的には「うーん」でした。
他の作品で描かれていた時はすごく好きだったのですが…
ファンの方がたくさんいらっしゃるのにこういう書き方は申し訳ないのですが、今回の挿絵は古臭い感じがしてしまい残念だなあと思いました。

中立としゅみじゃないでひじょうに悩みましたが、受けの内面があまりに真っ黒なのでしゅみじゃないにしました。

12

誤解と後悔の後には必然の恋

受けの雪人と攻めの宝坂との再会ラブ、雪人が東京に住んでいた頃に出会った二人。
ゲイタウン近くのライブバーでチェロを弾く宝坂に淡い恋心を抱きながら毎週通い
同じ曲をリクエストしながら見ているだけの片思いの相手から後にかなり辛らつな言葉で
振られてしまい、それがきっかけで仕事も辞めて実家のある京都に戻り、
警官になった雪人が新たに移動した部署で上司となって現れるのが宝坂なのです。

気持ち悪いとまで言われた相手との再会、それなのに片思いの恋心が切なく残ってる。
絶対M属性でしょうと思える雪人ですが意地っ張りで嫉妬深くて宝坂が本当に
好きなんだねと感じるのです。

そして8年前はどこか刺々しい若さのある攻撃的な雰囲気もあった宝坂ですが、
再会したときにはまるで菩薩ですかと言うくらい微笑みありでさすがキャリアですねと
礼儀正しく、過去に雪人を傷つけたことまで謝る大人になっていました。

でも実はそんなことは全然なくて、8年がかりの誤解や後悔すれ違いが解消されてからは
本来のオレ様ぶりが発揮されて、雪人が振り回されながらも幸せになるのが良いですね。
何度も偶然の出会いをしながらもその出会ったときの状況やタイミングでタイトルどおり
恋が迷宮に入り込む。

後半になればなるほど面白くなってきて蓮川愛先生のイラスト目的の作品でしたが
内容にも惹きこまれました。
1度とことんぐちゃぐちゃに絡まってしまった感情が緩んではこじれ、とけかかっては
またこじれ、そんな繰り返しをしながら初恋を実らせる、素敵な作品でした。

10

この作品が収納されている本棚

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