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原作未読。ドラマCDは聴取済。
暗く深い水の底に重たい何かに絡みつかれながら漂っいるような苦しみを抱く藤島啓志と、その藤島啓志が守りたい高久透、記憶喪失で自分が過去に藤島啓志と何がありどのように恨んでいたか知らない高久透、両想いでも恋人同士になるのは難しい、という苦しい世界を、麻生ミツ晃先生の線、絵柄が見事に、さらに重さを増して表現しています。
3部作の2作目なのですが、あまりに重くて深い話なので、一気に3冊読めません。
1冊読んで、ちょっと休憩して、脳内、心の中の荒ぶる波を落ち着かせたから読み進めるべく作品だと思います。
透を庇い、一時は命の危険もあったほどの重傷を負った啓志。
それぞれ、一方的なキスをしたことがあり、(啓志からのは泥酔していて記憶なし)両想いなのが明らかなのに恋人同士にはなれない状態での、同居生活が再び始まります。
2作目は2人の過去が次々と明かされていきます。
自分の一族の名前と血を誇りに思い、そればかりを大事にする母親の常軌を逸した言動の数々、大人の勝手に振り回される子どもたち、と物語の大切なエピソードたちなのですが、とにかく読んでいて心が痛い、きついエピソードが続きます。
啓志の言動に、イラつかされることがたびたびありましたが、両親の、主に母親の言動を知るにつけ、仕方がないことなのだと知っていくのもつらいです。
今だったら2人とも心療内科に長年の通院治療が必要なレベルでした。
つらく苦しいエピソードが多いのですが、どんどんこの世界に引き込まれていきます。
ドラマCDもあわせて味わうとより今作の素晴らしさがわかると思います。
これは神にせねばなるまい(偉そうにすみません)
自分が夜明けの腐であることを再認識しました。光の作品も好きですが。
前作は透視点で、本作は藤島視点。
この構成も好きです。
ふんわり想像していた以上に、2人の過去が壮絶でした。
出たわね。苦手な設定。
兄と妹の子ども…。
ドロドロものには結構出てきますね。
全ての元凶は着物のクソババアやんけ!と怒りがこみあげますが。
子どもの頃の2人がかわいそうすぎて、健気で。
ちょびっと泣いてしまいました。
(BL的な部分で泣きたいのに、まだそれは1回しかない)
原作のプロットがよく出来ているし、麻生先生の表現がすばらしい。
あとがきに書かれていた「藤島の行動原理」がとてもよく描かれていたのが大きいです。
ここに説得力があるから、全てが活きてくるわけですから。超重要。
藤島が泣いちゃうところや、透を突き放そうとする辛い気持ちが手にとるようにわかる。
そう描かれているのがすごいし好きです。
そして、透の気持ちも。
記憶がなくても、藤島を好きで好きで…藤島のために何かをしたい、一緒にいたい、というのは本来の透の気持ちでもあるのだな、と察せられるのがいい。
「途中で放り出すくらいなら最初から俺なんか引き取らなければよかったんだよ‼︎」
と言うのもよくわかる。
辛い過去の中で出会い、ほんのひとときだったけどかけがえのないあたたかさを得て、傷つけてしまった罪悪感から「今度こそ僕は君を守る」藤島の決意、あと藤島がゲイであること…それらが全てつながっての、ラストシーンたまらなかったです。
2人の心境の変化もすっと入ってきたし。
最高のお話、すばらしい読後感です。
「何かを諦める過程は火に似ている」の藤島の独白もとてもいい。
ずっと与えられてきたから選択が苦手なのも、感情を表現できないから小説が好きなところも。
全て藤島啓志という人格を物語っている。
その描写が冒頭、途中、ラストに出てきてつながっているのもお上手だなぁと思いました。
続編どうなるのか、心して読みます。
本編は衝撃の展開でしたが最後のショートノベルで内容を忘れそうでした。
ショートノベルの楠田の彼女雅が嫌な女で。
楠田と透が彼女の為にどれだけ骨を折ったかが書いてあるので余計に腹が立ちました。
でも藤島に食べてもらえたので良かったのかな?
そして本編。まるで80年代の土曜のドラマ(といっても伝わらないよね?出生の秘密とか引き取られるとか色々あったんですよ)みたいな衝撃的なお話でした。 痛い辛い苦しい三重苦です。
透に嫌われてると言ってた意味がやっとわかりました。
ひどい両親ですね。藤島も透も被害者です。特に藤島母が異常です。よく藤島がまともな大人になれたなと思いました。あの時透を裏切った事を抱えて今も生きてるんですね。
そして藤島はゲイだったのですね。幼い透に欲情してましたが、結婚させられてもセックスできず結婚生活も苦痛だったことでしょう。
元奥さんが再婚するならあれだけこだわった藤島の血をひく跡継ぎはどうなるのでしょうか。
だからマンションまで押し掛けてきたのかな?
最後に藤島の本音をやっと聞けて透が強引に藤島を抱きます。翌朝藤島が透を追いかけてやっと!
この後二人の出会いから語ったのでしょうか。透はどんな反応を?知りたい!
まだ高久が自ら記憶を取り戻すことはないものの、藤島視点で過去が大きく明かされます。藤島がこれほどまでに抑圧された人生を送ってきていたとは。何不自由ない暮らしを与えられた反面、自分の意志は何から何まで蔑ろにされてきたんですね。そんな中で自分よりもさらに幼い年齢で辛い目に遭った高久を守ろうと努めたこと、その過程で彼に欲情してしまうほどだったこと、そして一番守るべきだった時にに守ってあげられなかったこと、どれだけ苦しんだのだろうと思わずにはいられません。もちろん幼い高久にとっても最悪の期間だったでしょうけれど、年上だからこそ自分への責めの気持ちが特に強かっただろうと思うとあまりにも藤島に酷に思えて。どこにも居場所がないのは2人とも共通していたんですね。
以前の記憶を思い出して欲しくないという藤島の気持ちも納得できるほどの過去でした。高久もその意向を汲んで、過去よりも今の自分を見て欲しいと懇願したりもするのですが、どうしても過去は思いもよらぬところから付き纏ってくるので目を背け続けるわけにもいかない状況になってしまいます。結局藤島は過去を教える選択をしたようですが、彼だって共有することによって少し肩の荷を下ろしたっていいんじゃないかと思ったので、私はそれで良かったと思います。過去を知らせず高久が去っていくのをただ見ていることしかできないのと、過去を知らせた上で高久に今後を選択させるのでは、同じ後悔をするのでもその度合いが全然違うと思うんですよね。最終巻で高久がどう行動するのか、藤島が母親との確執を清算できるのか、見届けたいと思います。
シリーズものは揃ってからっというのが基本なんですが、
今日は無性にBL読みたくなり、遠出もしたくなく、
地元の本屋で物色。手に入ったのが今作だったので、
大好きな木原さんだし、たまにはいっかと思い購入して読んだんですけど、
ひゃー!なんなんですか!これは!!って位良かったです。
絵も好きだったし、お話はさすが木原さん。
読み応え充分でした…てか、よくこの長さに収まったなって位。
家にシリーズ揃ってからと寝かせてあるCOLD SLEEPがあるんですけど、即効読みます。
で、今作の小説版もその先も読まねば。
はまりました。
