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表題作憂鬱な朝 6

久世暁人
久世家当主、学生、子爵
桂木智之
久世家元家令、石崎家大番頭

その他の収録作品

  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

久世家の跡継ぎ問題を賭けた森山侯の夜会──。
その駆け引きの一夜が明けると、状況は一変!!
桂木の策を潰した暁人は、肺病で療養することが一斉に報じられる。けれど、思惑通りに事が進む中、何も言わず沈黙を続ける桂木が、暁人を戸惑わせることに…。
一方、暁人を想う孤独をかみ締め、新規事業に没頭する桂木は、嘉代子からの手紙で暁人の留学話を知って…!?

作品情報

作品名
憂鬱な朝 6
著者
日高ショーコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
シリーズ
憂鬱な朝
発売日
ISBN
9784199606472
4.7

(474)

(405)

萌々

(42)

(19)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
32
得点
2255
評価数
474
平均
4.7 / 5
神率
85.4%

レビュー投稿数32

溺れる

◾️久世暁人×桂木智之
恋に溺れる役は暁人のものかと思いきや、案外と躓くのは桂木の方でした。暁人も溺れてはいたけれど、なんとなし目はしっかりしています。西園寺の言う通り、耐え忍んだ長さが違うからだな。

この巻でまた「憂鬱な朝」の意味が変化します。桂木が隣にいない暁人の憂鬱から、立ち止まってしまった桂木の憂鬱へ。燃え尽き症候群みたいなものでしょうか。あれだけバチバチとやり合っていた2人なのに、この巻、言い方は良くないですけど桂木が女の顔をしがち。色気はたまんないんですけど、腑抜けと言われても仕方がない。でもあの階段下で眉を寄せて目を閉じる桂木の顔は、この腑抜け段階があってこそ見れたと思うと…満足。あとがきで、先生もそう言うものが書きたかったのだと裏打ちされるのもありがたい。

0

堂々巡りからどう帰結させるのか

 名高い作品に自分もハマりたい一心で読み進めてきましたが、もう心が折れそうです。ここまで来てもほとんど萌えは感じられませんでした。焦れったい展開には耐性ある方なんですけどね…。しかし、時々挟まれる濡れ場にすらあまり萌えられないのでもうどうしようもないです。ついさっきまで冷静だったのに、暁人に迫られるとすんなり受け入れてしまう桂木に、どうしても矛盾を感じます。本人にも自覚はあるんでしょうけれど。自分のストライクゾーンの狭さが嫌になりますね。

 今まで物語が大きく転換したのって、桂木にとって暁人が排除すべき対象から外れたところだけで、正直あとは全部同じことを繰り返しているように感じてしまいます。桂木は一体いつになったら成長するんでしょうか。彼のやり方は暁人を恨んでいた時から大して変化していないですよね。そして、相変わらずけっして最後までは自分の考えを明かさない2人。理解の余地がまったくないとは言いませんが、さすがに飽き飽きしてきました。私には2巻辺りから代わり映えしないように思えてしまう。暁人の留学の件や桂木の本当の出自の件、石崎の父の怒りの件など、まだまだ問題は山積みのようです。2人には幸せになって欲しいと心から願ってますから、あと2巻、併走したいと思います。

1

再読してみて初めて気付く。桂木智之にとっての憂鬱な朝。

再読して、私はおそらく初めて気付いたのだと思う。これは、桂木にとって『憂鬱な朝』だったのだと。どうしてこれまで見落としていたのだろうか。
「共に夜を過ごしても、目覚める度に鬱々とした気分になる。いつも昔の夢ばかり見てしまう…。」桂木の台詞の中に、それはさりげなく潜ませていた言葉。

一夜で覆させられた森山邸の夜会の後。暁人さまは兼ねてからの予定通り、療養を装って石崎家が手配した豪奢なホテルに滞在して、時期を見計らっておりました。その間、石崎を連れて牛鍋屋に出入りしたり、活動写真を見に行ったりと、庶民の生活を垣間見たり。身分を隠して、雨宮と旧領地を視察したり。桂木高之と今後の事業について策を練ったりと、精力的に仕事をしておりました。暁人さまは、桂木に教育されて来た様に、久世家の未来を見据えて、今成すべき事をしていたのです。そして、あの夜会の後、桂木が桂木で無くなってしまったかの様に、おとなしくなってしまったことを寂しくも思っていました。
桂木は、自分の脆さ、弱さを。暁人さまへの愛を自覚してしまったので。もう争いたくは無かったので、逃げている。暁人さまを失いたくない。
「暁人さまが好きだ。今の私にはもうそれだけしかわからない。」
二人は別々に動いている様に見えて、その実、同じ行動をしておりました。久世家の後見人に石崎家を立ててはいるが、このままでは石崎総右衛門に全てを奪われかねない。そう危惧したからこそ、旧領地に産業を興そうと奔走する暁人さま。一方で石崎総右衛門の企みに気付く桂木。「この御方は…私の忠義や能力を欲しいというよりも。恐らく“久世家”を従わせたいのかもしれない…。」
時代は産業革命とも言える時期に差し掛かっており。次代の産業として、紡績や縫製工場に目をつける桂木。総右衛門から、買収した工場のリストラを命じられる桂木ですが、出向いた先で桂木はアメリカ帰りの工場長を見込んで、多額の費用をかけ、縫製の向上を務めさせる。総右衛門の命令とは逆のことをやってしまうのです。
桂木が先代の影響を受けていて、シャツ一枚にもこだわりが強く、本物を見る目が養われている事が見て取れます。それは工場で作られた製品を検討するところもそうですが、暁人さまと過ごした朝、暁人さまのシャツを羽織ってみるさまを見て、(彼シャツ‼︎)暁人さまが指摘するのです。「僕が頼む時はそんなに細かくボタンの位置まで指示しないよ。お前は贅沢だ。」細部にまでこだわっていたのは、先代からの教えです、と答える桂木に「父上のことはどうでもいいよ。僕には関係ない!」とヤキモチを妬く暁人さまが可愛いらしいです。(その後、彼シャツを着た桂木の腰を抱いて甘える。ここ、萌えます!)奇しくもこの桂木の先見の明は現代に通ずるところもあって。いい加減なファストファッションにノーを突きつけた日本にとって。全ての人がそうではありませんが、沢山安いものを消費するよりは、確かなものを少しだけ持てればいいという価値観。そういったところにまた洋服産業は価値を見出してもいるのです。桂木のこの時代においては、テーラーから量産品へと向かう過渡期ではありますが、だからと言って、いい加減なものを作っていては競争に負けるという原理に早くも気づいていたのでしょう。現代に繋がる考え方を桂木がしていたという描写に唸らされます。

桂木が西園寺重之さまを訪ねるシーンもとても好きです。かつての情人であったこの優男は、桂木の魅力に翻弄され、利用されただけであったのに。彼の方ではとても桂木を愛していた事が分かる。とても切なくて優しいエピソードです。重之さまは、何もかもを悟った上で、穏やかに、「どうか幸せに。」と桂木の為を想って見送るのです。泣けます。

いつもの様に、暁人さまと桂木の、二人が抱き合うシーンもまた素敵です。桂木が言葉に出来ないだけに…激しく、強く、求めていて。暁人さまはそれに応えるという、切なくも情熱的なシーンです。この時だけは、先の事など何も考えられなくなる様に、と願う桂木。また、最初の方のホテルでのシーンも甘くて良いです。最中に暁人さまが桂木の美しさに見惚れるんですよね。「いや…キレイだなって…。」
この美しい男の身体中に痕を付ける暁人さま。この痕を雨宮に見咎められるという恥ずかしいシーンは次巻へと持ち越されます…。
激動の時代を生き抜く恋人たちの行く末を見守りながら、クライマックスへと進んで行きます。

5

寄り添わず、歩み寄らず。憂鬱な朝6

6巻です。
激動だったはずの5巻ののち、エッという位落ち着いた日々。
暁人は(表向き)病気療養をする、桂木は引き続き石崎の大番頭、森山侯爵は久世家から引く事。
そして桂木は暁人にあれこれ言わなくなった。好きだと言う以外…
何度も言うけど、ここに違和感を感じてしまう私。損してるなぁ〜。
そして両想いなのに独りで留学をしようとしている暁人と、それを知っても聞いてないふりをする桂木。それはお互い言い争いになると決めつけて逃げているから。
はあ〜6巻になってまだそれですか…ほんとに面倒な2人。
心は寄り添うのをわざと拒否しているようで、またぞろ口論になりながらの、その口をふさぐようなキス、そして…
抱かれる時は甘く喘いで、あとはあの冷たい目。正直そこも違和感があります。ツンデレというなら確かにそうなんでしょうけど…
暁人は一貫している。そこは納得。
桂木がね…
本作では自分でも『いつから好きになっていたのだろう』と自問自答していますね。
暁人は久世家をどうするのか。
桂木はどうなるのか。
世の中はどう動くのか。
7巻に続く。

1

変わっていく二人の関係

前巻で、桂木が暁人様からしてやられてしまって、6巻ではどうなるんだろうと気を揉んでいましたが、全体的には穏やかな感じでした。二人は家の問題に関しては、終始ぶつかりあっているのに、ベッドシーンになるとすごく甘い雰囲気になり、お互いに相手を強く求め合っているので、そのギャップがキュンとくる部分でもあり、なんで普段はあんなにぎすぎすしてるんだろうとはがゆい部分でもあります。今までは主従関係みたいな感じでしたが、6巻では、暁人様が桂木に隠れていろいろ事を進め、自分で道を切り開いていっているので、もう以前の様な関係ではなくなっていると思います。暁人様がどんどん立派になっていくのをみて、桂木が、置いて行かれているような寂しさを感じるシーンは切ないです。     あとがきで、暁人様と桂木とその周囲の人たちが幸せなラストに向かって進んでいけるように頑張ると書いてあったので、それに期待して、登場人物たちの幸せを祈っていようと思います。

2

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