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表題作鴆 -ジェン-

フェイ,武人(将軍),元鴆飼
ツァイホン,攻の兄を殺した妖鳥・鴆(ジェン)

同時収録作品いちばんりっぱな花になる

キノコバエ
徒花

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

将軍×人外!
いつも澄ました顔してるくせに、私相手でも勃つじゃないか

この国には、鴆(ジェン)という鳥人がいる。
有毒の食物を好んで食べ、
体内に溜め込んだ"毒"を"色"に変えると、鮮やかで美しい羽根をつくる。
毒の強さは鴆の誇りだった。
しかし、いつしか人々はその羽根の美しさに魅せられ、より美しい鴆を飼うことをステータスとするようになり……。

一番美しい鴆と名高いツァイホンと、かつてツァイホンの毒によって兄を殺されたフェイ将軍。
憎しみと愛が交わる人外BL――!

作品情報

作品名
鴆 -ジェン-
著者
文善やよひ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
シリーズ
鴆 -ジェン-
発売日
ISBN
9784829685754
4.3

(374)

(230)

萌々

(77)

(46)

中立

(17)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
42
得点
1613
評価数
374
平均
4.3 / 5
神率
61.5%

レビュー投稿数42

漫画として超一級品。

『鴆――ジェン――天狼の眼』を雑誌で途中から読んで興味を持ち、購入しました。

まず絵が美麗! ツァイホンの翼の描写が、国一番の美しさという設定通り、豪奢で眩いです。表紙のカラー絵だけでなく、本編中のモノクロ線画でも、虹色が目に浮かぶようです。古代中国風の装束の描写も繊細で素敵です。

そして漫画が上手い! 設定の説明が必要最小限にしぼられていて、いいあんばい。おかげで無駄に疑問を感じることもなく、ストレスフリーでサクサク読めました。ストーリーに中弛みがなく、不足もなくて、一冊で満足のまとまり感です。

面白いBL漫画が読みたいという人に、ぜひおすすめしたい一冊です。

1

美しくて独特の世界観。素晴らしいです。

中華ファンタジーで「鴆」(中国読みでジェン、日本語だとチン)と呼ばれる猛毒をもつ鳥の擬人化もの。

かなり独特で凝った設定なので、最初はとっつきづらかったのですが、世界観が理解できてくるとすごくおもしろいです。よくこんな設定思いついたなと作者様の独特なセンスもさることながら、絵も独特でとても美しいです。

主人公2人の考えが終盤まで分かりづらいのですが、最後まで読むと「なるほど!」と納得。設定も思想も一貫していて良かったと思います。

もう1作短編が収録されており、花とその花粉を運ぶ虫の擬人化ものなのですが、こちらも設定が良くできていてオチも良かったです。

0

泣きます…

絵柄もストーリーも設定も凄いですね。
ちょいちょい出てくる、毒植物が気になって調べてしまうので、スマホ検索は誰にも見せられない状態ですが。

ツァイホンにもランにも感情移入しすぎて、めっちゃ泣きました。
さらに絵柄でも魅せてくるので、ボロボロです。
最後はハッピーエンドで良かったです!

同時収録の、お花の話は短い話になのにまとまっていて良かったです。こちらは、ハッピーエンドとはいえないメリバですかね。




















紙本購入
修正は白短冊です。

0

絵が美しい愛のお話

文善先生作品、初読み。

鴆(鳥人)は毒が強いほど羽根の色が鮮やかになり価値があるとされる。

鴆のツァイホンと元鴆飼フェイ。
ツァイホンがフェイの兄を殺した理由が悲しい。
お互いを思いやる気持ちが…。

鴆は、美しさを称賛されるけど、毒があるため人とは触れられない。鴆の生きる意味とは?となってしまう。権力者のステータスのためだけに生きる存在?
心があるのに。と悲しくなる。

ツァイホンのことを兄を殺した鴆と見ていたフェイだけど、根っこには鴆への愛があり、ツァイホンの気持ちを知ってしまったら、ああなるよねと。

最初、この設定がどうBLになっていくのかなと思っていたけど、
愛玩やステータスではなく、愛のために生きる話になっていって過程がよかった。

絵が美しい。
描き込みがすごい。
羽根がすごくて、たまに顔はどこ?となったけどw

1

ベストオブ強気受け!

受けのツァイフォンが強気で健気でとっても愛しかったです。

攻めのフェイ将軍は、ツァイフォンと出会った頃は兄を殺され恨んでましたがツァイフォンを育てる中で本当のツァイフォンを知り惹かれていく姿が良かったです。

ツァイフォンがフェイ将軍の兄を殺した理由も物語の後半になるとわかってくるので読み応えがあり面白かったです。

あと、フェイ将軍がジェンスーをやめたきっかけのエピソードが心がぎゅっと切なくなり好きです。フェイ将軍も昔はジェンスーとしてジェンを育てていたのですが可愛がっていたジェンが譲り主に色の出が悪いという理由で殺されてしまいます。それを機にフェイ将軍はジェンスーをやめ、フェイ将軍の兄は手元に置いて話したくなくなるほどの美しいジェンを育てればいいのだろうと考え...ツァイフォンを育てる決心をします。この出来事が後々のフェイ将軍とツァイフォンの出会いにもつながるのでとっても重要な部分を担っているのですよね。

中国?っぽい雰囲気の世界観と合っていましたし、最後まで楽しんでドキドキハラハラしながら読めました。

最後のあとがきで作者の文善やよひ先生が本作を書くきっかけを4コマ漫画で面白く描かれているので、それも必見です。

0

見た目や設定をかなり振り切っているところが好き

◆鴆 -ジェン-(表題作)
 人外受けでも、妖鳥というのはかなり特殊な部類ですよね。見た目が既に毒々しく、文善先生の画力なくしては描けないキャラだっただろうと思います。猛毒を持つ受けのツァイホンは、本来はとても人懐っこく穏やかで繊細な性格をしているので、殺伐とした過去がありながらも、どこか落ち着いた雰囲気が漂っていました。攻めのフェイも、ツァイホンに兄を殺されているのですが、彼に復讐心を持っているわけでもなく、あくまで鴆というのはそういう生き物であると割り切って接しています。美しい鴆を飼うことがステータスとされる世界観の中で、美しさのために毒を与える人間と毒を食す鴆という関係性から、美しさと引き換えに毒を介さぬ関係性に変化していく2人が魅力的でした。真っ白になったツァイホンにも、また別の美しさを感じます。

◆いちばんりっぱな花になる
 こちらも人外ものなんですが、実は表題作よりもさらに気に入った作品です。花粉を媒介する虫×花という、ありそうでなかったキャラ設定に心を掴まれました。いろんな花を転々としていたキノコバエが去年切り捨てた花は、今年一番立派に咲き誇っていました。彼がその花に会いに行くと、文字通り花の中に捕われてしまうところで終わります。とても素敵な題材だったので、続きが読みたいなぁと思いました。

1

絵も世界観も大満足

異種和姦好きはハマらざるをえない作品でした。
文善先生にしか描けない、絵柄と世界観が調和した漫画だと思います。

世界観の作り方がBL漫画の枠内でなくても素晴らしい作品です。それでいてBLとしての満足感も高い!
ファンタジー漫画は風呂敷を広げ過ぎて閉じられないものもありますが、1冊で過不足なく設定を広げて綺麗に落とされています。
フェイ(攻め 人間)の兄の死を主軸としたミステリー調の話運びもいい!

続編(初出は同人誌)が「極夜」に収録されていますのでそちらもぜひ。

※電子書籍 /カバー裏・裏表紙有り

0

美しかった。扉絵のカラーなんてうっとり♡

長らく未読でしたが、「鴆 比翼の鳥」が出たことで初めて読んでみましたが、
「まぁ~なぜ今まで読まなかったの?私のバカタレ!」って思いましたね♪

鳥人の”鴆”が体内に取り込んだ毒によって美しい色の羽になり、美しさである毒の強さは鴆の誇りとされているなか、
国一番の美しさと名高いツァイホンが、鴆飼のフェイと一緒になる為に毒抜きをするのは可愛くって素敵でした!!
ツァイホンの元々の飼い主であるフェイの兄との話は切なく感動するし!!
他の人間と違って鴆飼兄弟の鴆の扱いが・・・手袋など道具を使わず、もぉ既にキュンってさせられちゃいました。

0

美しい羽、鴆飼としての誇り

人外もファンタジーも好きですが、鳥はどうなんだろうと
なかなか読めずにいました。

観賞用の鴆(鳥人間)・ツァイホンは羽の美しさ=毒の強さ。美しくなければ捨てられてしまうけど、毒で大切な人を傷つけてしまうのも辛かった...

フェイの兄・ランはツァイホンの毒によって死んでしまいます。

ツァイホンはなぜ良くしてくれたランを殺したのか?と、その答えに行き着いたとき、ランの鴆飼としての誇りに泣きそうになりました。

描き込みが多く、ツァイホンは人間と違って羽があったりするので 分かりづらいシーンもありましたが

美しい羽を捨て、フェイと共に生きる道を選んだツァイホンの毒が抜けて真っ白になった羽は

モノクロのページでも、ツァイホンの羽にはっきりと色が見えるようでした。

0

新しい扉が

あーなんて素敵な作品!!!
これまで人外とかケモノとかそんなに興味なかったのに…新しい扉が開かれました。
「この国で最も美しい鴆」と言うだけあって、カバーと中のカラー絵が大変美しいです。
うーんもっとカラー見たい。過去の掲載誌を入手するしか…といろいろ画策してしまうほど素晴らしき色感です。
ストーリーも深く、切なさと愛しさに溢れてとても素晴らしいのですが、なにはさておき!ツァイホンのツンデレぶりが可愛くて可愛くて堪らない!羽根を畳んだ様が萌え袖みたいでまた可愛さアップ!
元々トオジョオミホさんが好きなので、古代中国的な背景も大好物でした。小物や衣装の細やかさが素敵で、特にツァイホンの寝間着の前掛けがイチオシです(垂涎)
是非続きが読みたいです。

1

美しく健気な鴆

悩みに悩んだ末の今年のベスト1です
白黒出会ってもツァイホンがどれほど極彩色の素晴らしく美しい鴆であるのかがわかるほど素晴らしい画です
ツァイホンの健気な可愛さに地団駄を踏んでしまいました
続編が待ち遠しいです

1

表情だけで語る絵がすごい!

虹色の翼の絵に惹かれ、本編読む前に「文善やよひ展」を訪れました。
展示されていた複製原画は本編から抜き出されたクライマックスシーンだけで全ページを読んだわけじゃないのに、鴆・ツァイホンが鴆飼ランとの生活を「私は幸せだった」と語る表情だけで、ツァイホンがランをどれだけ大切に想い想われていたかが伝わってきて泣きそうになりました。
そして最後、ツァイホンが真っ白な翼で振り返るシーン、ランの命でツァイホンの誇りだった虹色の翼を捨てさせたものが何だったのか目だけで語ってます。
文善先生の絵は綺麗なだけじゃなく、ストーリーを語る力があって圧倒されました。

鴆は毒を羽に貯めて色を出す、触るだけでも危険な毒の塊。
鴆飼のランとフェイの兄弟は可愛がっていた鴆を「美しくない」と殺されてしまった過去がある。
ランは美しければ鴆は幸せになれると信じ、ツァイホンの翼を美しくすることに全てをかける。そしてツァイホンの家族が欲しいという願いも叶え、毒とわかっていながら直接触れ命を縮めていく。毒を抜けばもっと一緒にいられたはずなのに、ツァイホンの翼の美しさを優先させたランはどこまでも鴆飼なんだと思う。
一方、弟のフェイは鴆自身の幸せを考え、ツァイホンから毒を抜き、ツァイホンが欲しかった家族(番)になる。
ランはフェイがツァイホンの願いを本当の意味で叶えてあげるとわかっていて託したんじゃないかなと思う。

『極夜』に『鴆』の番外編が載っています。
本編ではランを殺した負い目を背負っていたツァイホンだけど、番外編はコミカルで、ただフェイを好きなだけのかわいいツァイホンが見られます。

4

ううん

人外はけっこう好きぐらいです。
受けツァイホンの価値観が優しい人間になついていたせいもあって人間的すぎて個人的に萌え所がありませんでした。人外ものには異文化や違いを求めているので。そうしたら一巻では終わらないというのも分かるんですが。
ツァイホンが実は優しいというのが描写から丸わかりなのと漫画的お約束から攻め兄の死因の事実も最初から予測できてしまってあまり感動しませんでした。

本編より同時収録の擬人化と後日談が好き。後日談の鳥にツァイホンの唇を奪われて嫉妬するフェイがとても良かった。

0

中華風

随分前に読んでいたのですが、レビューを書いていなかったことに気づき書くことに。

こちら、知能のある妖鳥ジェンが存在するファンタジーです。
イメージは三国志時代のような。
そのジェンの中でも、より羽根の美しいものを囲うことがステイタスとなっている歪んだ世界です。
主人公は攻めで帝の武官、フェイ。
そして受けがフェイの兄を殺したとされるジェン、ツァイフォン。
いまでこそ武官として宮仕えをするフェイも、元は兄同様ジェンを育てることを生業とし、心血を注いでいた青年。
フェイの兄を殺したとされるツァイフォンですが、捨て置けず世話をし、そこから愛情を持つまでとなります。

ジェンはまさしく鳥と同じく、羽根が手の代わり。
ですので自分で自分の世話はできず、野に放たれば生きていくことは困難を極めます。
気位がいくら高くとも、人の手がなければ生きられないという不憫さが彼らにはあります。
この設定が本当に生きていて、己には存在しない『手』を愛し、そしてまた手をかけられることに喜びを感じる、沿う相手や主人によって幸不幸が大きく左右されるジェンという生き物に魅了されました。

ツァイフォンもフェイの兄もそしてフェイ自身も、誰が悪いわけでもなく、ただ彼らの生き様や愛が誤解を与え、結果兄は死亡しツァイフォンは人を殺したジェンとして見られたわけですが、その辺りもきちんと説明されていて不満はありません。
特にフェイの兄とツァイフォンのお互いを思う気持ちと行動には、胸が苦しくなります。
作者さんの絵柄に好き嫌いはもしかしたらあるかもしれませんが、ぐっとくるものをお探しの方にはお勧めしたい作品です。

3

カラーが綺麗

色鮮やかな表紙に惹かれて購入しました。

モノクロでもすごく緻密に描かれている鴆の羽・・・もっとカラーで拝みたい。いつまでも眺めていられるような気がします。自分も物語の人々のように鴆の魅力に取り憑かれました。

内容も面白い。鴆を美しい羽色に変える毒が皮肉にも慕っていた人間の体を蝕んでしまう毒でもある。ランが毒に侵され、ツァイホンが「私のせいで苦しむの?」と泣き崩れるシーンは何度読んでも鼻水すすってしまいます。昔のツァイホンがすごく可愛くって、だからこそ涙なしには読めません。「私は幸せだった」とランとの思い出を儚げに寂しげに頬を染めてフェイに告げるシーンが一番好きです。
フェイとこれからを話すツァイホンも前を見ていてよりいっそう美しかった。真っ白なツァイホンも、すてきでした。部下のようにもふもふしたい。笑
情事シーンもとっても色っぽい!ツァイホンの表情が豊かでほんと飽きません。

同時収録の花とハエの話も面白かったです。読めば読むほど深みにはまる作品だなあと思いました。

2

BL要素は少ないが、画力は本物

最初は、キャラの容貌に特徴がありすぎて、
苦手かも…と思ってしまったんです。
人外受け、ということも殆ど読んだことがなく、
読む前は不安を覚えました。
しかし、読み始めるとその絵の技量に驚きました。
「美しい鳥」というものを表現するために、
細かいところまで描きこんであり、また、トーン使いも繊細です。
そこのところも注視しながら読んでほしい作品です。

◆◆◆

≪CP≫
武将で鴆飼・フェイ × 美しい毒鳥・ツァイホン

毒鳥ツァイホン(受け)に実兄を噛み殺されたフェイ(攻め)。
「ツァイホンを殺すな。人に譲れ」との遺言の元、
鴆飼でもあるフェイは、ツァイホンの世話をすることとなります。
実兄を殺された身としては、複雑な思いのフェイ。
「美しくない鴆は、意味がない」との理由で、
以前、鴆を殺されたことのあるフェイ。
それ以来、鴆飼を辞めていました。
しかし、虹色の羽根をもつ美しいツァイホンを育てるうちに
2人の間に妙な気持ちが生まれてきて……?


あまりに強気のツァイホンに、最初はあまり良い印象を
抱きませんでした。
「ツンデレ」「強気受け」と言うには、度が過ぎると思ったのです。
対するフェイは一見、淡々とした冷静な性格。
しかし、そのうちに秘める想いは炎のような激情があると感じました。
実兄を殺されてなお、ツァイホンに恨みを抱かないとは
思えませんでした。
ツァイホンを酷く恨んでいる……そう思ったのです。
しかし、物語の中ではそれを語られることはありません。
あくまでフェイは動揺することなく、冷静に振る舞います。

実兄が家族のように可愛がっていたツァイホン。
ツァイホンが、何故実兄を噛み殺したのか、
フェイはその理由を知ることになります。
ずっとツァイホンに寄り添って、傍にいた実兄。
ツァイホンもまた、実兄に懐いていました。
しかし、傍にずっといたせいで実兄は
毒鳥であるツァイホンの毒が全身に回り切っていたのです。
毒鳥の毒で死ぬことは、何より苦しむ死でした。
それを回避するため、心を痛めながらツァイホンは
実兄を噛み殺したという事実を、フェイは知ります。


この事実を知って、フェイはツァイホンに対して、
どのように思ったのでしょう?
ツァイホンは何を思いながら実兄を噛み殺したのか
想像したのではないでしょうか?
親切心?
心の痛み?
涙を流したか?
苦しんだのか?


ラスト、フェイは将軍の座を辞し、ツァイホンと一緒に
山奥に移り住みます。
そのツァイホンの姿を見た人は言いました。
「その鴆は、雪のように白いやつだった」と。

これを意味することは、ツァイホンは、
何より誇りにしていた虹色の羽根を捨て、
苦しみながら毒を抜き、フェイと生きることを選んだということです。
フェイもまた、ツァイホンと番(つがい)になるため、
地位も名誉もすべて捨てたということです。

これは、嬉しい最後であり、悲しい最後でもありました。
雪のように白くなったツァイホン。
その表情にも以前の剣呑さはないように感じました。
どうかふたりとも、この先手を携えて、幸せに生きてほしいと
願わずにはいられない最後でした。



描きおろしおまけページは、山奥に移り住んだ
フェイとツァイホンの幸せな日々が描かれています。

ツァイホンは、強気な性格がすっかりと抜け、
優しく、穏やかな性格になっています。
これが本来のツァイホンの性格だったんでしょうかね?
強気受けが好きな私ですが、この優しさへの変貌は
嬉しく思うことが出来ました。

キスもまだとか、なんてウブなカップルでしょうか…!!
山奥にふたりで移り住む決意をするカップルとは
思えないウブさです!
この後のファーストキスと初エッチをどうしても
期待してしまいました。
この描き下ろしでは、そこのところも描かれます。
ああ、萌えます><
しかし、手がないツァイホン。
フェイを抱きしめたかったのではないでしょうか…?
と、思ったのは私だけ…?

◆◆◆

本当に繊細な画力には魅せられました。
ツァイホンの美しい洋服の模様全てが、手描き!!
そりゃあ、美しく見えるはずです。
背景ひとつひとつの壺の模様なども、白磁などではなく、
全て手書きの模様が描かれています。
ツァイホンの羽根の模様もトーンも素晴らしいです。
ここまで表現するには、どれだけの労力が
かかったことでしょう…!
それを考えると、作家さんの作品への愛が
存分に感じられます。

人外受けということで、いろいろと心配した作品でしたが、
秀逸な画力で十分に魅せてくれました。
BL要素がもうちょっと欲しいところでしたが、
それを補う力のある作品でした

4

美しい絵

絵が鮮やかで美しいです。
モノクロなのに色が見える。
人外BL初めて読みましたが、
「なぜそこで最後まで至ってしまうの?」という
考えになってしまいました。
それ以外はとてもいい話で
話を読むというより、美しい絵を見る作品だと思いました。

1

初めての人外BL

人間×人外です。
それほど抵抗はなかったのですが
なかなか読む機会がなくちるちる様の
ランキングで高評価だったので購入。
初めての人外BLで鳥人間とは
なかなかレベルが高すぎたかなと
最初は思いましたが全然!!
逆にすごく良かったです♡

世界観さながらこの方の画力も
すごいと思いました。
主要キャラに毎回羽を描くって
すごい事ではないでしょうか。
そしてどのシーンでもブレない
ツァイホンを見ているだけで
作者様の愛を感じました。

ストーリーにも感動しました。
フェイは鴆飼として色出しが
苦手であったからこそ鴆と
本心を通じ合えたんだと思うと
本来の鴆飼としてのあり方に
疑問を感じました。
鳥人間と言えど感情を
持った人間なんですよね。
美しければ鴆は幸せだと言う
ランでさえツァイホンの
本当の幸せはどういう事なのか
分かっていたからこそ
毒が体を侵蝕しても鴆飼としてじゃなく
家族として一緒にあり続けたんだと思いました。
フェイが嫌味かと言っていたランの言葉は
本心だった事も伝わってきました。

そして自分のせいで
大切な人をなくしてしまった
とても後悔したツァイホンだったからこそ
フェイが飼っていた鴆の話はとても
衝撃的だったと思います。
餌を拒んでボロボロになってしまった
ツァイホンにまた泣きました。
ランの死がフェイの人生もツァイホンの人生も
変えたのですね。

その後の幸せ新婚生活は本当に心が
ぽかぽかしました(;_;)♡
色抜きまでの過程も気になりましたが
フェイもツァイホンもとにかく
可愛くて...可愛くて...
作者様Twitterの育児?w漫画もとっても
可愛かったのでオススメです!!

同人誌や番外編も出ているようなので
これから追っかけていこうと思います!!
好き嫌い別れる絵柄だと思いますが
ストーリー重視の方はぜひぜひオススメです。

4

共に生きる幸せ

神話の中から飛び出た様な設定、描写に心踊ります。
実は絵は苦手な方です。
レビューが沢山入った後で、すっかりネタバレ済み。
それでも尚、読んでみたい!!と、思わせたこの作品。

フェイ、ツァイホン、ラン。全員に共通している気持ちは
『共にいきたい』その一心のみ。
強い想い。お互いがお互いを想い遣る強い心。
その心がとても美しかった。
『愛してる』そんな簡単に出される言葉ではなく
行動で示される永遠の愛。
求めるものは、特別な事ではなく
日常を普通に過ごせる幸せ。
男も女も鳥も関係ない。命ある者が求める究極の愛ではなかろうか。
余韻が心地よい一冊でした☆

2

新しい

犬や猫の人外はよくありますが、鳥はあまり見たことないですね。
強い毒を食することにより美しく色付くジェンは、フェイとラン兄弟に大切に育てられることで、人と触れ合いたいと思う様になります。しかし、ランとフェイ以外にはあまりなつかない。
ただ、威嚇することはあっても、ランが死んでしまってから人を傷つけてしまうことを恐れるように。
独特な設定で絵も綺麗なのですが、私はまだBLビギナーなので、ジェンに違和感を感じてしまいました。
でも、続きがあるのならぜひとも読みたいです。

1

期待していた分少しがっかり。

互いの気持ちの変化が共感しにくく、胸がきゅぅぅんとならなかった…。
ストーリー的に萌えがどこにあるのか自分にはみつけられず…。ファンタジー好きの私としては合わなかったです。
見せ場、というか羽はとても綺麗で、あぁこれは魅せられても仕方ない。欲しくなる。と、思いましたが攻めが受けを強く求めていく順序に共感がわかず…好きっていう単語も出てきたか記憶に曖昧…。
その後のお話は甘い感じでとてもよかったです。
ほんと序章のような感じがしたので物足らず、続きが欲しいかぎりです。

3

世界観に浸る

正直人外は苦手ジャンルなので、読むまでに結構二の足を踏んでいたのですが思い切って購入。
1ページ目から一気に読んでどっぷり世界観に浸ってしまいました。
好き嫌いの好みが分かれるクセの強い絵柄ではありますが、切なくて苦しい、でも、とても美しい作品です。
エロスも萌えも愛もあって、それでいてエキゾチックで叙情詩的な雰囲気がとても素晴らしいです。
読んだ後の満足感もあり、繰り返し繰り返し読みたくなるそんな1冊です。


2

読み応えのある一冊!!

表紙の美しさに強く惹かれる、、!でも、人外ものまっっったく趣味じゃない!でもでも、試し読みの感じだとおもしろそう!!でも、、でも、、を自分の中で30回はグルグルはしました笑
それぐらい私にはチャレンジ購入でした。
ですが、そんな悩みは開いてすぐのカラーイラストで吹き飛びました。ポストカードのような美しい一枚!これだけで買ってよかった、と思いました。
世界観も作りこまれていて、登場人物がみな魅力的。購入時不安だった『妖鳥・ツァイホンを自分自身がどう思うか(なんせ人外物は初なので)』も、読み進めるうちにツァイフォンに感情移入してどんどんかわいく思えていきました。特に、最後のツァイホンの姿には胸にグッ!とくるものがありました。
人外物ということで二の足を踏んでる方がいたらこうアドバイスさせていただきます。
安心してください、ちゃんと萌えられますよ!!

すごくすごーーーーーく個人的にですが、今市子さんの百鬼夜行抄がすきな方は特にはまるんじゃないかと思います。

4

近年来の逸作

表紙に一目ぼれ!
一冊なのに、内容がぎっしり、読みながら、何度も涙が出そうだ。
一見凶暴な「ツァイホン」、実は繊細でやさしい子だ。
兄の「ラン」を殺めた部分、『高瀬舟』を思いさせられた。。。
画も設定もストーリの進みも、すばらしい。

4

思わず号泣しました

ちるちるさんのランキングにずっと載っていて気にはなっていたのですが、痛い話なのかなと手に取るのを躊躇していました。が、本屋さんでお見掛けし、あまりの表紙の美しさに手に取ってみました。内容は皆さま書いてくださっているので感想を。

序盤、フェイとツァイホンの関係性がいまいち理解できず話に入り込むことができなかったのですが、読み進めていくうちにどんどん引き込まれてしまいました。

鴆飼をしていたフェイの兄のラン。
ランが飼っていた鴆のツァイホン。
ツァイホンに兄を殺され、憎しみも抱いているのにツァイホンに惹かれていくフェイ。

毒性のものを食べることでより美しい色の羽を持つ鴆。毒を持つため人から恐れられる鴆ですが、ランとフェイの、鴆に対する愛情にうるっときました。
そして、ランに大切に育てられたツァイホンの想いにも。

三人が三人とも、相手を想い、想うがゆえに自分を犠牲にしようとする愛情の深さに思わず号泣してしまいました。

終盤の、フェイとツァイホンの決断もとても良かった。ずっと二人幸せでいてほしいと願ってやみません。

ただ一つ気になった点が。
時代背景的にまだ戦争が勃発している時代のようですが、それなら鴆のあの「毒」は戦いに利用されてしまうのでは?と思いました。
それがあくまで「観賞用」として愛でられているのが気になって気になって…。

ただ、ストーリーとしてはとても素晴らしかった。
「毒」を取り込むことで美しい羽根を持つことができる鳥人間という設定も斬新でよかった。
寡黙でありながら心の優しいフェイもカッコよかったし、自分の体を犠牲にしてもツァイホンに愛情を注ぐランも素敵でした。

三人の、相手を想う愛情に何度でも落涙する、味わい深い作品でした。

8

一人の時は 色褪せていた日々が、二人なら こんなにも愛しい。

表紙の無骨な武将にトキメかされ、二人の静かだけれど熱を帯びた視線にとらわれ、本を手にとるしかありませんでした。

今まで萌えられる自信が無かったので、人外モノは避けてきたのですが・・・

妖鳥(ツァイホン)の描写(鳥と人の混ざり具合)が絶妙で妖艶です。
羽根や衣装の描き込みが もの凄く丁寧なので「どの部分だろう?」と分かりにくいコマもありましたが(自分の理解力の低さが関係している事は言うまでもない)分かるまで何度も何度も読み込みたくなる作品だと思う。

大好きな人に自分の想いが伝わって笑ってくれたなら、それは どんなに嬉しいことだろう、みんな大切な人の幸せを願って ただ純粋に喜ぶ姿が見たくて行動しているだけなのに・・・
些細な出来事や 少しの綻びから、それさえも叶わないのだと突きつけられる非情な現実。

そんな現実の中で ツァイホン(受け)が必死で作ってきた心の壁を、易々と乗り越え 踏み込んでいく フェイ将軍(攻め)。

一度「家族」を知ってしまった事により孤独が色濃く感じられていた ツァイホンの心は、どれだけ彼に かき乱された事でしょう。

「毒」「羽根」「発情」それぞれの設定が巧みに生かされ物語は すすんでいきます。
最初は苦痛を与えるため ツァイホンに精を吐かせていた フェイ将軍ですが、徐々に真実が紐解かれ 二人の心の距離が近付いていくと「気だけ遣る」という苦痛の少ない方法を とるのです。

文善先生は「手」を本当に魅力的に描いてくれる作家さんで、物語の中で「手」は 多くの感情を伝える手段として、時に残酷に 時にエロティックに 見る者の心を とらえます。

自分の誇りであり、何よりも大事にしていた「物」を、唯一人の相手に委ねるという行為は こんなにも美しく 滾るものなんですね。

この先も二人は 笑って泣いて でも、お互いを強く信じて支え合い、時々可愛らしい嫉妬を繰り返しながら、仲睦まじく日々を紡いでいくのでしょう。

本編は もちろん神評価ですが、描き下ろしの部分だけでも 神だなぁ・・と思うので、個人的には「神×2 評価」です!

2

鴆の全身イラスト、カラーでもっと見たい

コスチュームといい、鴆の羽根といい、細かい描き込みが素晴らしい。
カバーイラスト以外にも、ちゃんとカラーで口絵がついているのもこの作品にとってすごく重要。
中華コスチュームプレイ好きにはたまらないと思う。
最初のうち、鴆の全体の姿がなかなか具体的にはっきりイメージできなくて、一回目に読んだ時はサラッと流しちゃったけど、最後まで読んで、鴆の姿をちゃんと理解した上で読み直すと、俄然切ない。
鴆のカラーイラストとか、もっと見てみたいな。

2

腐女子だけが読むにはもったいない

鴆(ジェン)と呼ばれる、身に毒を摂取することによって羽根に艶やかな色を発現させる妖鳥。飛び抜けて美しい羽根を持つツァイホン(受け)は、その身の毒で鴆飼だった主人を殺してしまった。その後美しさを買われて権力者に買われたが、ツァイホンが殺した主人の弟・フェイ(攻め)が軍人となっていて、その権力者の元に仕えていた。権力者の命により、フェイがツァイホンの世話をすることになって…。


人を殺したと言われている妖鳥・鴆と、その鴆に殺された鴆飼の弟のお話です。ちなみに受けは鳥ですが、羽根があり腕がない、という外見的特徴以外は、喋れるし生殖器も人間と同じものが付いています。
復讐的な話かと思ったのですが、復讐とか、憎しみとかは攻めにはあまりないです。もちろん恨みや悲しみはあるのですが、淡々と鴆に食事をさせ、世話をしています。
その面倒を見ている姿が、何とも微笑ましいというか、見ていて和みます。毒を持って人から恐れられている受けの可愛いこと。攻めは受けを怖がらないので、この時点ではちょっと凶暴な猛獣を飼い慣らす的な萌えを感じられます。受けがあーん、なんて口をあけて攻めに毒の植物を与えられているカットの、恐ろしさと髪一重の美しさ、可愛さといったら…。
そこから、兄の死の真相や、戦が起こって離れ離れに、などの息もつかせぬ展開ののち、最後の超ほんわかなシーン。すごい緩急です。こんなに起承転結それぞれが鮮やかなBLマンガは稀有です。物語力がハンパないです。

腐女子だけが独り占めするにはもったいない作品でした。
これにエロがなかったら、とか、男女の話だったら、とは言いません。このままの形で十分一般に通用する作品だと思います。
あと、あとがきのラストのカット、みんなに触られてドヤ顔の受けと、姿は描かれてないけど左から漂ってくるドス黒い攻めのオーラ、の図にめっちゃ笑いました。

3

新時代の耽美、なのかも

美しくて、哀しくて、切なくて、甘くて。

一切の手抜きなしの作画、全編カラーで読みたいくらい作り込まれたツァイホンの造形、虹の羽根だけでなく衣装や宝飾品、また屋敷の天井や調度品も凄く凝っています!
そして何より設定が素晴らしいじゃありませんか。粗筋を読んだら絶対興味が湧きますよ、これは。
実際読んでみると、膨らみきった期待も裏切られることなく充足感を味わえます。迷っている方、何も迷う必要はありません。是非読んで下さい!
素晴らしいレビューが既にたくさん挙げられておりますので、私は同時収録作について書かせていただきます。

「いちばんりっぱな花になる」
虫と食虫花の擬人化BL。8ページの短いお話ですが、これも美しくて、哀しくて、切なくて。そしてほろ苦いのです。
実も蜜も作れず、美味しそうな匂いだけでキノコバエ(褐色のチャラ男風)を誘い込む天南星(テンナンショウ)の「徒花」。
実を結べるのはその年一番の花だけ それ以外は皆ただ咲いて散るだけの徒花…
去年の花はオレを好きだなんていうバカな奴。「そういやおまえが去年会った花 今年は一番の"花"になったそうだよ」
チャラ男なハエ君はチャラチャラと見物へ。「来るな!」と叫ぶお花くん。何も考えてないハエ君は花の中に入ってしまう。一番の花の虫の脱出口は閉ざされている。つまり…
お花くんはハエ君が好きで、好きだから助けたかったのに。
自分だけのものになった恋の相手、それは自分と相手の終わりを意味していた…お花くんの涙は哀しみ。
こんな終焉は、読んでる私たちにはどこかゾクッとくるヒネリ。だけどこのお花くんは自分達種族の現実を本当には知らず、実の作り方は言い伝え的に知っていただけだった。だからハエ君が自分のところに来てしまった時の焦りは本物だし、あの涙は絶望なのかもしれない。

「鴆ージェンー」は特に美しさが際立っていて、読者が美に耽ることができるという意味で実に「耽美的」。人外という設定も非現実世界の美を際立たせていると感じました。

5

美しい!

前半の、派手なジェンもたいそう美しいのですが、最後の姿がもう!!!!

いいものを読みました。何度も読み返してます。

2

美しいがゆえの孤独と救済のお話

独特の世界観が美しいファンタジー作品。
それぞれの孤独や愛情を求めてやまない性が滲み出るようなお話で、人は1人では生きれないということを感じさせてくれます。
BLじゃなくても成り立ちそうな綺麗なお話でした。
ツンデレな受けが可愛かったです。
昔読んだ毒姫という作品を思い出しました。
その作品は悲しい終わり方だったような気がするのですが、この作品はハッピーエンドで報われたような気がします。
2人の末永い幸せを願わずにはいられません。

4

美麗な絵と王道ストーリーで読みやすい人外モノ

ハッとするような美しい色使いの表紙の印象そのままに、出来ることなら全ページカラーで読みたいくらいに、紙面から色が溢れ出してくる1冊でした。

古来中国にいたとされる毒羽の鳥「鴆(チン)」をモデルにした鳥人モノ。
美しい羽根を誇りとして生きる鴆(ジェン)という鳥人と、美しい鴆を育て上げることを生業にする鴆飼(ジェンスー)だった男の物語です。
美麗な絵柄と、萌えが分かりやすく詰まったBLとして読みやすいストーリーは、人外ビギナーさんにもオススメ出来るのではないかと。

ジェンのツァイホンが可愛いのなんの!
(手がないので)両足でぎゅーっとフェイにしがみつく姿とか、餌の毒花をフェイの手でお上品に食べる姿とか、とっても可愛いのです。
ツァイホン自体が萌えの宝庫でした♡

妖艶で毒々しく美しい雰囲気がすごく素敵で好みなだけに、個人的には、王道BLでとどめてしまわずに、毒鳥というジェンの設定をもっとガッツリと活かすお話だったら更に嬉しかったなぁと思います。

同時収録の短編(こちらは花と虫の擬人化)は、短いながらも中々に強烈な毒を隠し持っている作品でした。
このダークな作風でもう少し長めのお話も読んでみたいです。

5

美しさよりも、愛を…

すでに素敵なレビューがたくさんあるので、
書くのは躊躇していたのですが、友人に貸す前に…と再読をしましたら、
その素晴らしさに書きたい気持ちが溢れてきてしまいました。

改めて読んでも、
強力な毒を体に取り込むことで、より鮮やかで美しい羽根を纏う、
鴆という妖鳥のツァイホン(受け・表紙左)、
その美しさと魅力が、モノクロの絵から十分過ぎるほどに伝わってきて、
文善さんの画力の高さには舌を巻いてしまいます。

鴆の姿だけではなく、凝った衣服や装飾、古代風の建物や雰囲気、
細やかで訴えかけてくるような表情も秀逸です。
全てが分かってから再読すると、
また余計に受けのツァイホンの表情にはグッときてしまいますね。
絵を見るだけでも、ため息がこぼれてしまいそう。

そんな素晴らしい絵で描かれるお話は、
受けの毒は攻めを簡単に殺すこともできるほど強力…という、
その設定により触れ合うだけでも緊張感があり、
受けの飼い主だった攻めの兄の死について…など、
謎めいた内容によって引き込む、その引力も本当にすごい。

描かれていない点は、
ファンタジーゆえに考えるとキリがないようにも思いますが、
時代背景は昔のようだから色々と情報が伝わり辛かったのかも…とか、
都合よく解釈して描かれていることに注意を集中する方が、
楽しめるのかもしれません。

愛する者を自分のせいで失くしてしまった…という、
深い傷と罪の意識を負っているふたりが惹かれあう様は、
恋というより、もっと深い愛情や心の共有のようにも思えました。
ふたりの過去に思いを寄せると、ひどく悲しく苦しかったただけに、
穏やかな幸せを手にした、描き下ろしの微笑ましい姿を見て、
よかった…本当によかった…と胸が熱くなりました。
物語を読んでこんなに安堵した気持ちになったのは久しぶりでした。

色鮮やかな美しさを失くした代わりに、愛を得た受けのツァイホン。
きっと国で一番、幸せな鴆になったのでしょうね。
その頬にさす赤みは真っ白な羽根に映えて、
奥ゆかしげな表情と共になんともいえない輝きを放っていました。

羽根の鮮やかさを失くす辛さを、
乗り越えるふたりの様子も見たかったな…とすごく思ったのですが、
その辺りは番外編に期待、でしょうかね。

14

大好き。

人外やファンタジーは苦手意識を持っていましたが、文善先生の世界に触れてからはまりました!
綺麗な綺麗なツァイホンは高慢に見せて切ない。フェイは強靱に見せて優しい。切なくて温かく、何度読んでも満足のため息が出るお話です。大好き。

6

じわじわくる。

作家さんのインタビュー記事を読んでの購入でした。
もう何回読み返したか。そして読むのは必ず寝る前。

正直な話、最初の方のツァイホンは好みではなく、記事の中でも全然印象が違うこの子の本質はどっちなんだ、と読み始めは戦々恐々でした。ハマるかハマらないかのどっちかだな、と。

複雑なお話です。複雑ですけど難しいわけではない。切ないけれど、優しいお話だと思うのです。

キーパーソンはフェイの兄であるラン。読み手がこの兄をどう分析するかで若干感想が変わりそうな気もします。

インタビュー記事の中でも帯でも出ていますが、ツァイホンの涙を流しているシーン。この時のツァイホンは涙は後悔の涙なのか、希望の涙なのか…。
それから最後のシーンのツァイホン。これがすべてだな、と自己完結しました。


もうひとつのお話の「いちばんりっぱな花になる」
8ページの短いお話です。…こういうのをメリバっていうんでしょうか。
いや、違うのか? バッドエンドでもないけれど、はっきりとしたハッピーエンドではない、よね?


6

鴆―ジェン―

ぼろ泣き(´;ω;`)ぶわっ
可愛い、可愛すぎるの。

不遜でプライドが高い。
何より美しい羽根を誇りに生きる獣人。
しかし凶暴が故になかなか飼いならせる人がいない。
そんな獣人を飼いならすことを生業にした兄が死に、
その兄を殺した獣人・ツァイホンと出会ったフェイ。
もう獣人を飼うことはないと決めていた。
けれどそれはツァイホンとの出会いで変化していく~なお話。
また、ツァイホン自体も、あんなに虚勢を張って
人を近づけないように牙をむいて。
でも本当は・・・・兄を殺してしまった本当の理由は。。。。

思い出しただけで胸の中がキュぅっとなってしまう。
手が好きだ、撫でてほしいと甘えるしぐさが可愛くて。
あんなに美しい羽根を守ることに必死だったものが
フェイが愛した獣人が、その美しい羽根を捨ててまで
毒を抜くことを選んだのかを知ったツァイホンの動揺
そして変化。すごく良かった。

鮮やかな羽根色を無くして
むしろ幸せそうに笑うツァイホンが好きでした。
何回も読み返したくなるお話。

9

表紙の印象とはやや異なる 優しいファンタジー

麗しい表紙に惹かれて手に取ったのだが、まず設定がすごく面白い。
国一番の美しい羽を持つ怪鳥(鴆)のツァイホンと
その毒で兄を殺された将軍・フェイのお話。
(ツァイホンは漢字で書くとおそらく彩虹、フェイは飛ですね。)

毒が強ければ強いほど美しい羽となる鴆の
身の内に猛毒を抱えることによって、誰とも触れ合えない切なさ。
しかも精を放つことによって毒が薄まって苦痛が訪れるという禁忌。
この設定と造形がなんとも美しい。


フェイはかつて兄と共に鴆飼をやっていたのだが、
自分の可愛がっていた鴆を殺され武人になった
無骨ながら心優しい男前。
兄を殺された恨みを持ちながらも世話をするうちに
やがてツァイホンに惹かれていくのだが……。
関係の深まりと共に明かされる兄の死の真相、
ツァイホンと兄の関係が切ない。

その後の二人の関係の変化や、結末は王道ながらも心を打つ。
ツンツン強気で凶暴に見えたツァイホンの健気な可愛さ!

さらに最後の二人が山の中で暮らす後日談は、
毒の色の抜けた白くピュアなツァイホンも、やきもちをやくフェイも、
二人(一人と一羽?)とも可愛く、キュンとして萌える。
章間に植物図鑑のように描かれている毒花の演出もいい。


と全体に非常に満足な読後感だったのだけれど、
意外にあっさりだったかな、といういくばくかの物足りなさと
鴆は羽以外はまるで人間で知能もあるのにな……
この生態で鴆はどうやって繁殖するんだろう……
生まれてくる時には卵なのかな……
檻に入れられて売られる時には裸なのか……
解毒しても生きてはいられるのか、苦痛は大丈夫なのか……
ならばそういう生き方を選ぶ鴆もいそうなものなのにな…… などの
疑問や納得のいかなさ(じゃないとBLにならないw?)があって
評価は☆一つマイナスです。




最後にポソッと……
鴆といえば、『ぬら孫』のリクオの義兄弟……と最初に思った。

8

たまらなく切なくて愛おしい

鮮やかで美し過ぎる表紙に魅せられて購入を即決意。
緻密で繊細な中の絵も鮮やかな色を思わせるような美しさで、表紙に偽りなし!
人外でファンタジーという馴染みのない世界観でありながら、とても読みやすく引き込まれるストーリー展開に、私満足し過ぎて読み終わった瞬間に心地よい脱力を覚えました。
いやぁ、面白かった!!
2015年最後に購入した作品ですが、最後を締めくくるのに相応しい素敵な作品でした!

とにかく、設定が萌えます!
体に入る毒が濃ければ濃い程、羽が色鮮やかに美しくなる鴆(ジェン)。
でもその毒の強さは、牙で相手を少し傷つけるだけでも死に至らしめる程。
そんな鴆(ジェン)と人間が心を通わせた時、2人はどんな未来を選択するのか…想像するだけでワクワクするし滾ります!

でも、ツァイホンとフェイの場合は、もっと複雑で切なく哀しい運命を背負っていました。
フェイにとってツァイホンは、兄を殺めたいわゆる敵なのです。
しかし、ツァイホンは兄のランが世界一の鴆(ジェン)にすると心に決め、大切に育ててきた宝のような子。
そんなツァイホンをフェイは複雑な気持ちを抱きながら大切に世話をします。

本当はとても人懐っこくて優しいツァイホンが、常に人を威嚇し攻撃的な態度を取る。
それはフェイに対しても同じで、時折向けられる牙をかわしながら世話を続ける。
そんな態度を取られながらも世話を続けるのは、兄への愛情故か、他に何か理由があるのか。。

ツァイホンが誰よりも愛情を持って育ててくれたランを何故殺めることになったのか、
フェイが何故兄の下を離れ、鴆飼をやめて将軍となったのか、
その真相をお互いが知った時、2人の運命は決まったのだと思います。
2人が心を通わせていく様は本当に切なくて美しいんです。
私自身、読んでいて涙を堪えるシーンが何度もありました。

想いが通じ合った後の直接触れられなもどかしさ、手を間に入れて行われる愛撫やキスには心が震えましたね。
なんて深く美しい愛なんでしょう。
キスをするだけ、これだけ嬉しく幸せな気持ちになれる作品は滅多にないと思います!
過去を乗り越え、鎧を取り去って素の自分を見せるようになった2人には萌え滾りましたよホントに!!
ツァイホンは人懐っこくて動物にも好かれるめちゃくちゃ可愛い子だし、フェイのデレ顔の破壊力はハンパないですよ!
自分の手や烏にまで嫉妬するとか、フェイくん可愛すぎでしょ!!
後書きの後にある最後の一コマのツァイホンのドヤ顔も必見です☆

正直言って、これまでに他の方が書いてくださったレビューで、私が伝えたい気持ちは言い尽くされてると言っても過言ではありません。
今更レビューを書いても同じことを繰り返しになると思います。
でも、それでも書かずにはいられませんでした。
この作品を読もうか迷ってる方がいたとしたら、その方の背中を押したいと思ってしまいました。
本当に、出会えてよかったと思える作品です。

9

読んだことがない新鮮な世界観

初めて見た世界観でとても新鮮でした。
ありきたりな世界観ではないです!

表紙の絵が好みだったのと帯の「将軍×人外」に惹かれて買いました。

・将軍のフェイ(攻)の兄を殺した人外のツァイホン(受)
という攻めの敵が受けという設定
・ツァイホンには毒があり触れると毒にやられてしまうという設定
とても切なかったです…;

 さらに絵柄が切なさに磨きをかけているといいますか…
キャラクターの繊細さが出た絵だなと感じました。


 その他の収録作品『いちばんりっぱな花になる』は短い話だったんですが、終わり方がゾクゾクきました。興奮的な意味で

私は、ファンタジーが苦手なんですがこの作品はすごくおもしろかったです。大満足ですよ!!

5

わたしの羽根はあなたの愛

年末に購入し、もう何度も読み返していますが、
こんなにも素敵な作品に出会えるなんて...
BLというジャンルの可能性たるや、無限大!

本作の設定は、時代物中華風ファンタジー。
毒を持つ鴆(ジェン)という美しき鳥人・ツァイホンと
元鴆飼で現将軍フェイの、哀しくも優しい愛情物語です。

美しく繊細な鴆の描写はエロティシズムをも感じさせ、
この作品の素晴らしさの大いなる一端を担っています。
又、鴆の体内の毒の強さが羽根色の美しさに変わるという設定は
読み手の好奇心をそそります。
けれど、特異な部分はこういった設定までで
ストーリーは文善さんご自身が望まれた通り、王道で読み易い。
(ちるちるさんインタビュー記事参照)

過去に、自分を家族のように大切にしてくれた鴆飼で
フェイの兄でもあるランを殺めてしまったツァイホン。
ツァイホンに対して、憎しみだけではない複雑な感情を持つフェイ。
このふたりが、世話をするもの・されるものという関係を通し
ふれあいを深める描写が、可愛くて切ない上に官能的で、たまらなく良い。

ツァイホンは、はじめこそ、
お高くツンツンして、牙を剥いたりしていますが
実は人懐こくて、寂しがり屋で夜啼きをしたり、
人間の”手”が大好きだったり、大切な人と家族になりたがったり、
本当にすごく可愛い子。そんな可愛いツァイホンが
ランを殺めた真相というのが、また切なく胸を突きます。

対するフェイは、一見無骨な武人。
でも世話焼きで面倒見が良くて、とても情に厚い男。
殺された兄に対する想いだけでなく、元鴆飼のフェイは、
わが子のように育てた鴆に対する戒めに似た感情を抱えています。
因みに彼は、自分の手に嫉妬してしまう程のやきもち焼き(萌!)。

そんなふたりが出した愛の選択の行方は、
彼らの愛の象徴でもあるツァイホンの美しい羽根色でご確認ください。
想いを通わせたふたりの手越しのキスと共に必見です!

巻末では、萌えに満ちた描き下ろしが堪能できます。
愛し合うメンズが体をひとつにするというのも重要ですが
このふたりに関しては、とにかくキスシーンに尽きます。
彼らのキスまでの流れに、殊に、
フェイのやきもちには萌え死ぬかと思いました(本気)。
あと、フェイの体に毒がまわらないか心配で、
起きて見張っているツァイホンは安定の可愛さでした♡

今作の番外編が、発売中のCanna Vol.45で楽しめる上に
文善さんは今後同人にて更なる番外編の執筆を予定されているようで、
ファンとしては嬉しい限り。
心躍らせながら、彼らに会える日を待ちたいと思います!

評価は迷うことなく神評価。
人外やファンタジー初心者の方にもおすすめできる一冊です♪

10

切なくて純粋で綺麗

初読み作家さんで表紙買いです。
とにかく表紙が綺麗で見てるだけでドキドキします。
インタビュー記事で中身も見れます。
モノクロなのに虹色が見えるような綺麗な羽や、世界観にあった細かい宝飾品や背景など、緻密に書き込まれた絵は見てるだけでもウットリ。それだけでも買ってよかった!と思えました。

ストーリーもスゴく良かったです。
時代物の中華ファンタジーで、攻めと受けの間にはいくつもの壁や過去の確執があります。とても切ないお話です。

内容は書いてくださってるので、個人的萌えポイントと感想を。

猛毒と綺麗な羽を纏う鴆のツァイホン。
鳥なので手がなく、身の回りのお世話は全てやってもらわないと生きていけません。着替えはもちろん、食事も「あーん」で攻めに食べさせてもらうのです(激萌!)
精液を出すと毒まで抜けちゃうので、本来は発情させないよう管理してる純真無垢な体なのですが、兄を殺された確執から攻めは性的な事を教えちゃうのですね。1度知っちゃった体は時折発情するのだけど、手がないから自分では出来ない。それも攻めがお世話の一環でしてあげるというシチュには床ローリングで萌えました(^///^)しかも噛みつかないよう猿轡をしたまま、ドライでいかせる為にお尻を…///

世界観を壊す言い方をしちゃうとお世話BLとしても楽しめます!
最初は元鴆飼いとしての性と、上司の命令により。
番いになってからは、溺愛して大切に大事に。
攻めがお世話するシチュが大好きなので、この設定は萌えドストライクをついてくれました\(^o^)/

あと、心が通ったあとが切ないんだけど良かったです。
ツァイホンには毒があるからキスすら出来なくて。フェイが手のひらをおいてキスするのです。首筋、羽、と移動していくのですが、ずっと手のひら越しの愛撫で。どうしようもない壁の厚さに切なキュンです。

それなのに、番いになれるの…?
一生エッチも出来ない関係なの…?
バッドエンドきたらどうしようと思ったのですが大丈夫です。
人と鴆の分厚い壁を崩して乗り越えた先のハッピーエンドには泣かされましたヽ(;▽;)ノ初めてのキスに萌えです!
ハッピーが詰まった描き下ろしが最高でした。

他にもフェイとツァイホンがそれぞれ抱えてるツライ過去の切ないエピソードもあるのですが、それだけにラスト幸せそうに笑う2人にキュンキュン。
素敵な作品が読めて幸せな気分です。

21

妖鳥と武人の優しい恋物語

舞台は昔の中国を思わせる架空の国。
鴆(ジェン)という、毒を栄養源とする鳥人間がいて、人は鴆を飼い品評会で羽根の美しさを競わせる。
その鴆の中でも一際美しい羽根をもつツァイホン(受け)と、ツァイホンに兄を殺された武人・フェイ(攻め)の切なくも温かい物語です。

フェイは、元々は兄と共に鴆の飼育を生業としていましたが、自身の育てた鴆を客に殺されて以来、武人に転身。
鴆を殺めることを自身に固く禁じており、兄を殺したツァイホンの世話をも厭わない、硬派で一本筋の通った人物です。

ツァイホンは凶暴で荒い気性かと思いきや、意外にも非常に健気で純粋。
フェイの兄を慕い、本当の家族のように彼に寄り添う過去の姿がいじらしいです。
心を開いてからはフェイに対しても無邪気ですが、体内に毒を持つ自分は誰かと添い遂げることも雌の役割も果たせないと悟っている部分もあり、ふと見せる寂しげな表情に切ない気持ちになります。

兄の死の真相を知ったフェイがツァイホンを受け入れるクライマックス、そして描き下ろし後日談で初めて体を繋ぐまでの流れはとても感動的でした。

しかし設定には少々疑問が。
人語を解す毒鳥なんて品評会に出す以外にも色んな使い道がありそうなのにそうした話は一切出てこない点や、
元は鴆飼だったフェイが兄の死因を全く推測できなかった点、
ツァイホン以外の鴆がほとんど出てこない点、等々。

更に気になったのはツァイホンのキャラデザ。
パッと見人間が羽根を纏っているようにしか見えず、人外感が今一つ。
羽根と趾以外ほぼ人間という点にBL的な都合の良さを感じてしまいました。
妖鳥というからにはもっと見た目に野生味や禍々しさが欲しかった気がします。

ちなみに鴆の元ネタはおそらく中国の古文献に登場する同名の鳥。
鴆(ちん/zhen)の羽毛は猛毒で、古来より度々暗殺に使われていたんだとか(真偽は不明)。
こういう血生臭い元ネタを利用せず鴆=鑑賞用としての設定にとどめたのは、作家さんの優しい作風故なのかなと思います。

物凄く濃密な世界観やドラマティックな展開を期待するとちょっと物足りないですが、ライトで心温まるファンタジーとして楽しめる一冊でした。

17

この作品が収納されている本棚

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