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表題作コレクション

久木田,画商,39歳
三弥間祥,伯母の絵画を相続した元会社員,27歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

計日本美術界を揺るがす無名の天才画家のコレクション――突然伯母から莫大な価値を秘めた絵画を相続した祥。その取り扱いに戸惑う祥に、数多の画商が群がってきた!! 一番乗りで現れたのは、業界で「詐欺師」と黒い噂の若き画商・久木田。「わたしに預ければ、悪いようにはしない」そう微笑まれ、胡散臭く思うけれど、なぜか拒絶できない。一体誰を信じればいいのか――祥は選択を迫られるが!?

作品情報

作品名
コレクション
著者
水原とほる 
イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199008467
2.7

(10)

(0)

萌々

(2)

(4)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
23
評価数
10
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数4

たまにはこういった水原さん作品もいい

水原さんはデビュー作のヤクザ物が強烈すぎて痛い話が得意な作家さんって印象が抜けないのだが、近年は様々なトーンの物語に力を入れているようで。
この小説もそのうちの一冊で、異端児であり天才でもあった日本画家の作品数十点を相続した受けが、亡き伯母夫婦の意志を最善の形で汲み取れるように調査、奔放する様子を伺う、といった内容だ。
作中の天才画家の半生を押さえたうえで話を追っていくと案外読み応えがあった。

コレクションを相続した祥にいち早くコンタクトを付けた画商・久木田は自身の素性についてははぐらかすが、件の日本画家の真意をいち早く掴んで祥の見解と一致する辺り、絶対にただ者ではないのを匂わせている。
祥は美術の知識に関しては素人故に、当然コレクションの委託先をさがすのに相当てこずる訳だが、自身の目と足で確認しないと納得しないタイプってところに好感が持てた。

アバンチュール感覚でさっくりと身体の関係もできる二人だが、恋愛の駆け引き要素は薄い。
代わりに亡き伯母夫婦や元の勤務先の不動産会社社長と、祥の周りには彼を息子代わりのように見守るような人情味や、豪快な母親との家族愛ってのを味わえる。
人生の薀蓄がチラリと語られていて説教臭い、高尚めいた感がしないでもないが、人の内面を掘り下げたかのような切り口だった。

ちなみに攻め・久木田は詐欺師ではなく気障寄りな伊達男タイプだと思う。
たまにはキザっぽい攻めに浸ってみたいな…って思った時にいかがだろうか?

3

名画をめぐる物語

あらすじ:
亡くなった伯母夫婦の絵画コレクションを相続した祥(受け)は、南米のリゾート地で出会ったヒロ(攻め)という日本人と一夜を共にする。
帰国後、その男が久木田という画商で、祥のコレクションを狙う一人であることが判明し…

元リーマンの主人公が、伯母夫婦から譲り受けた一連の名画をどこに売却(or貸与or寄付)すべきか試行錯誤する物語。

久木田のギャラリーか、大きな国立の美術館か、その他の博物館やバイヤーか…
悩む過程とその結末に派手なドラマも意外な展開も一切ありませんが、様々な選択肢が紹介されているため、自分ならどうするか?という視点で楽しむことができます。

良いなと思ったのは、祥が伯母夫婦の遺志を尊重しつつも、安易に感情に流されない点。
某美術館の理事は絵画を見る目は一流ですが、黒い過去があり、
かといって久木田も理事への私怨から絵画を狙っている可能性があり、簡単には信用できない。
結末自体は予定調和的ですが、祥が大切な絵画を任せる相手について様々な視点から悩む展開には好感が持てました。

ただ、作中に登場する日本の美術館関係者の大半が悪者or物知らずとして描かれている等、
ややステレオタイプな視点は気になりました。

また、美術業界の話自体はBLとして目新しいものの、ラブストーリーとしてはここ1〜2年の既刊と同じく、ゲイ同士が初っ端から意気投合→身体の関係を持ち、最後まで関係良好という何の捻りもないもので、マンネリ感は否めません。
あとがきに、今回は鬼畜攻めもヘナチョコ受けも出てきません!とありましたが、それは一昔前の水原さんのイメージで、むしろここ最近は良くも悪くも面白みのないキャラが多かった印象なので、いまいちピンときませんでした。

ストーリーの核は水原さん個人の現在の関心事や訴えたいことで、そこにBLがくっついているような印象。
テーマは面白いものの、作品としては高評価をつけづらい一冊です。

10

美術品が繋ぐ大人の恋

ストーリーとしては、相続した美術品の委託先を悩みながら決定する話です。

祥(受け)は伯母夫婦から価値の高い絵画のコレクションを相続します。
追悼を兼ねた南米でのバカンスで日本人の男、ヒロ(攻め)と出会い、滞在中に関係を持ちます。
帰国後、そのコレクションに最初に関心を示したギャラリーの代表がそのヒロこと久木田でした。南米での出会いが画策されたものだと知って不信感一杯になります。
その後、色々な場所から管理したい売って欲しいとオファーがあります。絵画を観る眼はあっても美術業界についての知識がない祥は悩みに悩みます。そこを久木田と話することで考えをまとめていきます。
祥は、久木田に委託管理したいという下心はあるとはいえ身体を重ねたことで直感的に久木田は信用できると思っていたようで、委託管理のことには一切触れないで情報を仕入れたり食事したりセックスしたりします。
途中、国立美術館からのオファーが一番条件が良いのですが、やはり直感が即答を許しません。
そこは久木田には因縁のある人物だそうで、ますますどこに預ければ良いか悩みます。

絵心がなく美術知識もほぼない私にわからない単語もありましたが、そこは流して読みました。
内容的には特に大きな事件が起こるわけでもなく、祥がひたすら悩み悩んで答えを出すだけなんですが、身体は久木田に陥落していながら、それに引きずられることなくキチンとしたところに預かってもらおうと悩む態度は好感を持てました。
ただ、恋愛としては決定的なセリフがあるわけではなく、双方利益があるからくっついたように見えなくもない。39歳と27歳というちょっと大人なカップルにはそれが普通なのかなぁ。
色恋にうつつを抜かしてしまうお仕事BLは嫌いなので、ちゃんとやるべきことをしている所は良かったですが、恋愛と仕事の話の割合がどうもしっくりこないというか、恋愛に関する心理描写が少なくて、美術品を通しての相手への想いのようなものの方が多いので、BL読んでる気がしませんでした。というか、なくても話は作れるように思います。
また、伯母さん夫婦が遺したという設定にしても、眼が肥えていても美術業界については素人の祥に丸投げってのもちょっと無理やりな感じがします。研究している画家に日本で日の目を見せたいというのであればもっと後押しする用意があっても良かったのでは。亡き伯母夫婦の弁護士がそろそろ手伝いできる管理について詳しい弁護士紹介しようかというところがありますが、素人だってわかってるんだから最初から付けといてあげようよと思いました。ただ、そうすると久木田とのあれこれがなくなってしまうので話が作りにくくなってしまうのはわかるんですが、ちょっと違和感を感じました。

お話自体は面白かったとは思います。ただ、途中沢山のオファーがあったという割には国立美術館が出たあたりで完全に二択になってしまっていて、悩んでるんだけどオチがわかってしまってる展開は、ハラハラ感がなかったように思います。
大人の駆け引きのような恋愛が読みたい方はオススメかも。

3

もちょっと詐欺師だったら面白かった?

表紙買い。向かって左が受けさん。
アンニュイな表情に見えて、お、訳あり人物か? と期待しましたが
フツーな人でした。
攻めさんも おびに「詐欺師?」ってあったから期待しましたが
フツーな切れ者でした。

水原先生に対する個人的印象で「どろんどろん」という感触があったのですが
当作はいたってふつー。
ただBLである意味があんまりないのでは という気が少々。
受けさんが女子であっても、まったく問題なく成立する話な気がするー。
読んでてもBL云々的な盛り上がりではなく、
「ね、ね、このコレクションどうするの?」と二時間ドラマ的興味津々で
読み終わった感満点。

おびのように、攻めさんがまじで詐欺師だった方が面白かったんじゃね?
と ちっぴり思ってしまいました。ごめんなさい。

2

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