電子限定おまけ付き
オメガバースは地雷がてんこ盛りなので読んだことがなかったのですが、ナツ之さんは作者買いしてる作家さんなのでどうしようか悩んで、他の方のレビューを見て、地雷がなさそうなので思いきって読んでみました。
結果、良かったです!
このお話には、ビッチ受けも、モブ姦も3Pも、ゲスな攻めもいないし、痛くもなかったです。
設定も細かく説明されていて全く初心者でも読みやすくできていたと思います。
オメガの弁護士の智宏(受け)と高校の同級生でアルファの恒星(攻め)が10年かけてゆっくり両想いになるお話です。
あらすじは他の方が詳しく書いてくださってるので、感想だけ。
ベータから変転してからの智宏は高校に入って恒星に出会うまではとても哀しく気の毒です。普通の生活をしたいだけなのに、抑制剤を飲んでいてもヒートの時期が近づくと漏れる匂いに発情され、何度も襲われそうになって、被害者なのに自分の方が悪いみたいに言われてしまい、疲弊していきます。
保護施設に入ってそれなりに楽しくても、刺激がなく生きているのに死んでいるような生活。学生生活を送っての人として成長ができないことに、もどかしく感じていくところも、他のオメガのように情欲に支配されないよう、理性で押さえつけられる精神力を持っている為、余計にしんどそうで哀しいです。
施設での生活を甘受するには若すぎた智宏は、勇気を出して高校に通いだし、恒星に出会ってから、毎日が楽しく幸せそうで本当に良かったと思いました。
救いだったのは、智宏の両親が智宏を思いやって慈しんであげられる人だったことです。
智宏も大変でしたが、両親も周りからいろんな目で見られて言われて大変だったと思います。それでも智宏を疎むことなく愛し育てた両親には拍手です。
恒星はというと、高校で早々に伴侶に出会えたのに、相手はオメガということを嫌悪し抑制剤を飲んでいる為気づいてもらえないなんて、ひどいお預けです。でも、ずっと傷ついてきた智宏を思いやることができ、智宏の考えを尊重できる本当にできた人でした。
抑制剤を飲みすぎて、処方を一旦お休みしなければならない為に起きた事件で話は大きく変わっていきます。なぜ、たった9歳でオメガに変転してしまったかが、智宏の中で深い傷になっていたのですが、そのトリガーとなったものを思い出せた時、ずれてしまった歯車を元に戻すことができ、本当に良かったです。
後、気になったのが施設で出会った類と仁科さんです。類は伴侶とともに幸せに暮らしているのでしょうか。また、最後まで心が痛んだ教務官の仁科さん。伴侶に出会えたにも関わらず添い遂げられないなんて、伴侶に出会えないよりもはるかに残酷で悲しい。仁科さんは修行僧のようになっていましたが、相手の人はどうなったのかもとても気になるところです。伴侶という事を話した後に拒否られ死にそうになってた恒星や伴侶を無くして能面みたいになっていたタクシー運転手を見る限り、幸せに暮らしているとはとても思えないのです。2人に救いがあったらいいのに。
お話としてはとてもよく出来ており、良かったので神評価です。
ただ、ヒート時のオメガの状態は女性と変わらなくなってしまうので、最中の描写はほぼ女性です。(濡れたりとか)この辺の描写をみるとBLじゃない!、と思うのですが、オメガバースなのでそれは納得しないといけないですね。
オメガバースが、地雷の人も多いと思いますが、普通のオメガバースを敬遠していた人でもこのお話なら大丈夫だと思います。
ナツ之先生のオメガバースです!
オメガバースというと基本的な設定以外は作者の自由に出来る所も魅力の一つだと思いますが、この作品はかなり作り込んであります!!
オメガがベータの変転でしか出現しなかったり、はぐれオメガやアジールというオメガの保護施設等、オメガバースファンならワクワクする設定が盛りだくさんです。
受けの智宏は9才でオメガ変転していて、あまりに早い変転のため周りから色眼鏡で見られ心の傷になっています。しかしそのまま流されるのではなく、前向きに努力して自分の居場所を作っていく強い人物です。
攻めの恒星は朗らかでリーダーシップがあり、太陽のような存在のアルファです。
高校生での出会いから26才の現在までと長い時間をかけてようやく結ばれるんですが、このジレジレとしてる所がめちゃくちゃ萌えます!!
受けの智宏視点で進むんですが、抑制剤をずっと飲んでいるので伴侶の匂いに気づかないんですね。そして本人が鈍感で意地っぱりなせいもあり、ずっと恒星のことは親友だと思いこんでいます。
恒星の方はそうそうに運命の相手だと気付くんですが、オメガという事で心に傷を持つ智宏を思いやり、ひたすら親友として見守り続けます。
ここにオメガバースの細かな設定がとても上手く効いています。オメガバースだからこそ成り立つ作品なのですね。
オメガバースというと出会ってすぐ結ばれるパターンが多い気がしますが、この二人は長い長い時間をかけようやくなんですね。智宏がオメガの自分に折り合いをつけ、自分の気持ちに素直に向き合えるまでそれだけの時間がかかります。(きっかけになる事件はありますが)
そして、その間ひたすら我慢強く見守り続けた恒星がとても男前です。
胸にじんわり来る素敵な作品でした。
それとナツ之先生というと文章のクセが強く読みづらい部分があったのですが、最近はとても読みやすくなってます。そのうえで、艶っぽい個性的なところは健在なので、初期の作品が苦手だった方にもお薦めです。(^^)
ナツ之さんって、デビュー作のころからきわめて文章のうまい作家さんだとひそかに注目してて、特に濡れ場を描かせたら当代一、二を争うんじゃないかと。でもその巧みさがあだというか、エッチシーンに気を取られるあまり、先走る身体に気持ちがついていけてない気がしたり、個々のキャラの印象が薄まったりで、いまひとつ読後の満足度、幸福感が盛り上がらず残念だったのですが、本作は文句なしに面白かった‼ なんといっても、攻めの恒星がいい。理想の攻めと言ってしまえるくらいに。
高校の入学式で見初めて以来、恒星はただひたむきに智宏のことだけを思ってきた。アルファの彼は、生まれ持ったカリスマ性で男女問わず多くの人を惹きつけるけれど、みずから欲しいと思ったのは智宏だけだった。間違いない、智宏がただ一人の伴侶だ。比較的早い時期から恒星は確信していて、揺らぐこともなかった。けれど当の智宏は、9歳で突如オメガ変転し、発情期のたびに甘いフェロモンを放つ自分の性を受け入れられず、一生ひとりで生きると固く決めていた。そんな相手に、どうしてたやすく告白なんかできるだろう。そこから長い長い、恒星の葛藤の日々が始まったのだ。
このまま近くに居続けると、我慢が利かなくなる。それを恐れた恒星は高校卒業も待たずに家を出る。少しでも遠くへ。智宏の気配のない場所へ― 世界各地を放浪しながら、やっぱり考えるのは智宏のことばかり。どうすれば彼を幸せにできるか。そのために、自分は何をすべきで、何をしてはいけないのか。一つ一つ必要なものを身に付けて、邪魔なものは徹底的に排除して。苦節6年。入念に準備を整えたうえで、あくまでなにくわぬ顔で智宏の元に舞い戻るのだ。弁護士となった彼を支える探偵として。
もしかしたら一生報われることはないかもしれない。幼い智宏が受けた痛手は深く彼の中に刻み込まれ、成人したいまも本能に流されまいと必死で抗い続けている。オメガとしての自分の性を受け入れられない彼が、恒星を伴侶と認める可能性はかぎりなく低い。それでも、ずっとそばで見守る道を恒星は選んだ。自分の側の都合は一切押し付けず、時に湧き起こる欲望も強靭な意志の力でねじ伏せて、智宏には気取らせもしない。見事なまでの、その無私の献身。こんな攻め、なかなかいるもんじゃない。
そうして2年。無二の親友で、仕事でもいい相棒として、安定したポジションを保っていたのに、発情期のオメガを狙った誘拐事件に智宏が巻き込まれ、思わず叫んでしまう恒星。「お前は俺の運命の相手だ!」なぜずっとそう思っていながら告げずにいたのかと問いただす智宏。その時の恒星の返答があまりにせつない。「言ったら、最後だと知っていたからだ」
報われなくてもいい、一生お前にかしずいていたいなんて、どんな奴隷体質かと思いますが、普段の恒星は度胸も腕っぷしも申し分ないオトコマエ。だから余計に智宏にだけ向けた捨て身っぷりが際立つのです。そのルックスや生態は随所で大型犬、というよりかぎりなく狼っぽく、「褒めていいぜ」とか言いながらその黒いくせっ毛の頭を智宏にスリスリしたり、智宏の好きそうなスイーツを見繕ってはせっせと貢いだりするとこも激萌えでした。
あらすじは他の方が詳細に記載してくださっていると思うので割愛します。
読み始めて数ページで、凄く惹かれて次のページ次のページって感じで読むことができ終わるのが惜しいな‥と思わせる一冊でした。今まで読んだことのあるオメガバースは激しいHが売りって感じでしたが(オメガバースでも落ち着いた優しい話もありました)主人公のオメガも伴侶になるアルファも理性を保って、読んだことのあるのとは毛色が違くて良かったです。
オメガの智宏は幼い頃にヒートがあった事に対して罪悪感が強く、自分に好奇の目が向けられるのが耐えられない。(オメガである自分が全部悪いと思い込む節がある。)
アルファの恒星は 文句無くいい男!高校で出会って智宏一筋!智宏という人間を理解した上で身体も精神も傷つけないように、見守りつつ、智宏にとって一番良い距離をとっている。(でも絶対他の人に智宏を譲る気はない!)
ベタベタしている訳ではないのに、甘々な雰囲気が伝わってくるのが良かったです。
上手く説明できませんが、お手に取る機会があれば(オメガバースが苦にならないなら)読んでほしいです。
オメガの保護施設のアジールにいた仁科さんと類さんがどうなったのか知りたい!
仁科さんは本当にこのまま悲恋で終わってしまったのか?類さんはお世話になったマスターの店を潰したオーナーが運命の相手で間違いなかったのか?凄く知りたい!スピンオフ出してくれないかなぁ 絶対購入します。(特に仁科さん)
電子書籍版を購入。
表題作、攻め視点の「恒星アラウンド」、アジールで一緒だった類が登場する電子版おまけ「再会コングラッツ」が収録されています。
あとがきあり、挿し絵なし
この作家様は、作家買いしているので、その流れで購入。
オメガバースということで、かなり悩みました。
結果、買って正解。
かなり、楽しめました。
神評価です。
オメガバースは、有名どころのコミックを2、3冊読んだ程度ですが、どれもイマイチ世界観にはまることができなかったのです。
ですが、今回の話は全く気になりませんでした。
地雷なくスッキリと読み進めることが出来ました。
なんといっても、伴侶と番(つがい)の使い分けが、良かった。
運命の相手の「伴侶」は一人だけ。
諸事情で結ばれない場合は、誰とも結ばれないか、流動的な関係の「つがい」で我慢するか。
うーん、切ない。
これは、オリジナル設定でしょうか??
今まで読んだオメガバースは、一目で運命の相手とわかるものが多かったのですが、本作は長い年月をかけて愛をはぐくんだのも、萌えポイントでした!
親友から恋人へというのが、好きな方にはおすすめです。