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表題作毎日カノン、日日カノン

朱鷺川澄一
23歳,旧華族の御曹司
鹿野可音
19歳,朱鷺川家に代々仕える使用人

その他の収録作品

  • 今日もカノン、二人でカノン
  • あとがき

あらすじ

「君が好きだ。一緒に来てくれないか?」
住み込み先の御曹司・澄一に請われ、二人で暮らし始めた可音。
けれど二人の認識にはズレがあって!?


作品情報

作品名
毎日カノン、日日カノン
著者
砂原糖子 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
毎日カノン、日日カノン
発売日
ISBN
9784403524202
3.7

(115)

(23)

萌々

(54)

(29)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
21
得点
422
評価数
115
平均
3.7 / 5
神率
20%

レビュー投稿数21

萌は低いけど、安心して読めるハピエン

ちょっとしたすれ違いは有るけれど、優しい人同士の相愛。

鹿野可音:19才。
優しくて、思いやり深い、庭師の家庭に養子に入った美少年。額に傷跡がある。
憧れの御屋敷のお坊ちゃんに、一途に想われていることに、自覚がない。身分差に悩んでいる。

朱鷺川澄一:23才。
お屋敷の坊ちゃん。カノンが大好き。
カノンと一緒になるために、相続権を放棄。独り暮らし。
嫁として連れてきたカノンが20才になるまで、我慢している。

カノンは子供の頃、坊ちゃんに怪我をさせて、祖父から厳命されたことを、
何かある都度に、思いだして壁を乗り越えられない。

坊ちゃんに懸想する女子が登場して・・
色々有るけど、ハピエン。

0

想いは日日相乗していく

 作家買いです。砂原糖子先生は作品がたくさんあるのでどれを買おうか迷いましたが、主従は個人的に萌えポイントなのでこちらにしました。
 素敵な表紙を見た瞬間に、タイトルの「日日」を「ひび」と読み間違えていたことが発覚。「にちにち」が正解でした。

 タイトルがかわいらしいのでほのぼの系と予想して読み始め、冒頭から澄一が可音に微笑ましいプロポーズをして可音の秘めた恋が即時成就したと思われる展開でしたが、 実は可音は澄一の「お味噌汁を作ってください」を言葉通りにしか受け取っておらず、主人と使用人として同居しているつもりの可音と、夫婦として同棲しているつもりの澄一との温度差が凄まじくて笑ってしまいました。
 予想通りほのぼの系だな、と序盤は笑えていたんです。でも、すれ違いの原因がなかなか根深そうなことを察してからは切なくなってきて、同時に何も気付かずに新婚の甘い雰囲気を纏わせて幸せそうな澄一のことがだんだん気の毒になりました。
 といっても、澄一は良くも悪くも可音以外のことには関心がないので、周囲から自分に向けられている恋愛感情なんて気付こうが気付くまいがどこ吹く風なんですよね。だから、依香に対しても脈がないことは言動ではっきり分かるんだけど、いかんせん依香の恋心には気付けていないので遠ざけはしない。それによって可音は依香の邪な感情に振り回され、回り回って「可音に振られる」という形で自分に返ってしまいます。
 ……という意地悪な書き方では語弊があるので訂正します。
 正確には、可音が振ったのは可音自身の過去や気持ちが問題なので、澄一に非があったわけではないんです。ただ、依香の存在で二人の間にさらなるすれ違いが生じていた中での出来事だったので、タイミング悪く攻めザマァのような展開になってしまうという不運に見舞われただけなんです。懺悔すると、澄一のそういうところがかわいそうでもあり、愛おしくもあります。
 可音は朱鷺川家に代々仕える鹿野家の人間であり、キャンプの一件で厳格な祖父に詰られ怪我をさせられたのを最後に、澄一とは必要以上に親しくせず主人と使用人としての距離感を保つよう自戒してきたので、澄一からのプロポーズも、自分の恋が成就してはいけないと無意識に使用人への言葉として受け取り、二回目のプロポーズでは自分の気持ちを押し殺してはっきりと断りました。
 祖父が突き飛ばしたせいで孫の可音が額から血を流しているのに(澄一じゃなく)お前が怪我をすれば良かったのにとさらに責め立てられたこと、可音が遠縁の鹿野家に引き取られた人間だったこと、それらが額の傷とともに可音の心の奥深くを抉っていたので、自分は価値のない人間だから引き取ってくれた鹿野家や恋慕う澄一に必要とされるために使用人としての立場を守り続けたのだと思います。
 澄一も不憫だけど、可音も不憫で健気でした。
 しかし、二人は両想いなので、物理的に距離を置いたところで恋心はどうしようもなく、澄一のちょっとした事故と大内の機転によって可音は自分に正直になることができました。澄一に告白したところは小椋ムク先生の挿絵と相まってとても良かったです。
 すれ違いの内容が深刻だったために切ない部分が強調されたものの、その後もクリスマスプレゼントの解釈違いの発覚だったり、初めて同士で結ばれたり、後日談では保育園の子供とのやり取りでドキッとしたり微笑ましかったりで、総合的にはやっぱりほのぼの系だったと思います。

 ひとつだけ気になったところは、大豪邸(しかも東京二十三区内)に住めるほどの財力がある朱鷺川家の問題が軽んじられていたことです。
 長男である澄一は弟が跡継ぎになるからとさらりと言っていたけど、これは朱鷺川家は了承済のことなのか非常に気になりました。
 就職先が家業とは無関係の外資系企業の時点で家族にはいろんな事情を話したと思われるのですが、そこら辺の描写がなかったので、朱鷺川家と鹿野家の今後の関係に影響はないのかと、祝福の気持ちとは裏腹に妙に現実的な心配ばかりしてしまう自分に嫌気が差しました。
 なので、澄一の一回目のプロポーズ前までの奮闘物語を少しでも描写してくれていたら神評価にしていたと思います。

 本作で分かったことは、澄一のような攻めも好きだということです。
 育ちは良いけど初恋相手の可音のことになると周りが見えなくなって多少残念な思考やかっこ悪い振る舞いをしてしまう、そんなスパダリになりきれないところがとても愛らしく感じました。
 上手く言葉にできないのがもどかしいけど、読んだ人ならきっと分かってくれると思います。

 読後、「毎日カノン、日日カノン」というタイトルに性的な意味を感じてしまったのは澄一のせいにしたいところですが、パッヘルベルのカノンを久々に聴いて無事に邪念を払うことに成功しました。
 何度も何度もくり返し聴いていくうちに、可音と澄一の関係は神聖というか聖域のようなものに感じられ、どうか二人には初恋の美しさを他の誰にも汚されることのないまま、いつまでも愛を育んで幸せに生きてほしいと願うほどに心が洗われました。
 今後は、本作を読んだらカノンを聴きたくなり、カノンを聴いたら本作を読みたくなるでしょう。
 そう思えるほど、どちらも好きになりました。

2

なんて甘い主従関係!

小椋ムク先生の優しい表紙絵から、きっと甘い主従関係が読めるものと思い購入。
まさに予想どおり、甘くて幸せな気持ちを味わい、お互いを大好きな2人から癒やしをもらいました。読んで本当に良かった。

立場上、主人に尽くす受けキャラと、そんな従者を愛してメロメロな主人の攻めキャラの関係性が本当に萌えでした。
しかも、主人は従者を心から愛していて、お屋敷を出て一緒に暮らしたいなんて…!
気持ちを伝えるって難しいけど、2人が幸せで本当に良かった。

0

究極のすれ違い

コミカライズされたということでこちらも同時に購入してみました。
背景描写がとても丁寧で、物語に飛び込むことができます。

コミカライズよりも甘さを感じて、幸せな気分になりました。

ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー

読んでいるこちらは登場人物の脳内が読めるので、それぞれの想いがすれ違いまくっているところは面白いと感じました。
でもすれ違いが発覚してそれぞれに距離を置いたときが、とても切なかったです。

とくに好きなのは、すれ違いに気づく前。可音が澄一からの触れ合いを受け入れてしまっているところ。
可音の純粋な可愛さと、澄一の幸せそうなところが堪りませんでした。

書き下ろしがまた甘くて...可音に対して変態性を見せる澄一のギャップに驚きます。
いつも使っているエプロンをまさか持ち出してくるなんて。
甘いな...と思いつつも変態だな...とくすっとできるエピソードでした。

1

勘違いがコミカルというよりも切ない

コミカライズが出たということで、こちらの本を読み返してみました。

のっけから攻めは「僕と一緒に来てくれないか?君が好きだ。そして僕のためにお味噌汁をつくってほしい。」とプロポーズし、それを感極まって涙ながらに承諾した受け。

ここから新婚生活が始まるかと思いきや、受けは攻めの言葉をプロポーズではなく「僕のお手伝いさんとしてやってきてほしい」と捉えてしまっていて……という天然ゆえのズレにズレたズレっぷりが最初は面白かったのだけど、途中からどんどん切なくなってしまった記憶があります。


もう一度読み返してみたんだけど、自分の好みとしてはやっぱりもっとコミカルだったらなぁ……というのがある。
攻めが「たった一人しか好きになったことがない」と答えるのを聞いて、まさかそれが自分のことだとは思ってない受けがひっそりと傷ついたりするんです。

早く勘違いに気づけばいいのに〜♪とすれ違いっぷりをニヤニヤしながら読む感じではなく、勘違いがどんどん受けの心を暗く追い詰めていく様子になんだか受けが哀れに感じてしまって…お互い早く気づかないのかしら……と読んでるこっちもちょっとテンションがダウンしていく。
そして、ようやくお互いに勘違いしていたことに気づいたと思ったら、解決♡ハッピー!ではなく、さらに切ない展開に……。

受けは代々攻めに仕えてきた一家に養子としてやってきたので、幼い頃から使用人気質を徹底して叩き込まれてきた子なんです。
「自分は使用人だ」と己に言い聞かせてそれ以上のものは望まず育ってきた子なので、攻めの言葉を勘違いするのも仕方ないというか、その勘違いすらが私には痛々しくてならなかった。

というわけで、この作品は読み返してみても甘々ほのぼのよりも切ない印象が優っていましたが、デロ甘に麻痺ぎみな私なので余りそこらへんは参考にならないかもしれません……。
(ただし「今日もカノン、二人でカノン」は甘い)

「今日もカノン、二人でカノン」はようやく思い通じあったあとの甘い新婚生活を描いてるんだけど、どうもおままごと感が否めない……。

というのも、この結婚は両家族から認められているものなのかという点に全く触れていないので旧華族の長男がいくら弟が継ぐ気満々だからといって、周囲がすんなり祝福してくれるようには思えないし、「ずっとルームメイトだと言い続ける事になるかもしれない」と攻めは覚悟してるけど家族にそれは通用しないだろ……と。
それとも、脳内お花畑化しちゃってる長男はとっくに一族から見放されているのかしら……??

1

のほほん、ほのぼのストーリー

ほのぼのしたお話が読みたくて購入。ぴったりでした。

名家の御曹司 澄一と、代々その使用人の家の子 可音の、すれ違い勘違いラブラブストーリーです。
澄一が告白するところからのスタート。あっさりオッケーで、恋人として一緒に住み始めて…と思いきや、可音は使用人として引き抜かれたと勘違いしていたんです。それもそのはず、告白のセリフは「僕の為にお味噌汁を作って欲しい」なのです。澄一のご飯を作るのは使用人の仕事。流石に気づくだろ〜と思っても、可音も澄一を勘違いに中々気付きません。

お互いに勘違いしながらも、ハグしたりキスしたり、嫉妬したりな無意識に意識しちゃってる可音が良かったです。澄一も、お坊ちゃんで紳士なので、初々しく可愛らしい2人です。すれ違った後のラブラブっぷりが凄いので、糖度が高いのを欲している時に読みたい本です。

1

大好き同士がすれ違いながらやっと結ばれるただただ甘い物語

プロポーズが家政婦の引き抜きと勘違いしたすれ違いから始まる初恋の成就までの甘いラブストーリーです。

攻めは名家で資産家 朱鷺川家の御曹司。
下々のものとはズレたところがあるけれど思いやりのある優しい主人です。

受けは可音 代々朱鷺川家の使用人を束ねる家の男の子。
厳しい祖父の教育にもめげず明るくおっとりとした天然さん。主人に仕えるのが幸せな19歳です。

大学を出て社会人になるときに社会勉強としてマンションの一人暮らしを決めた澄一
その機会にずっと心の決めていた思い人に告白するのですが、相手の可音は一緒に暮らす、ずっとそばにいる、毎日味噌汁作って…が住み込みをお手伝いさんとしてついていくことと勘違い。

可音は無自覚ながら徐々に、新婚みたいだなんて想像したり、友人に年上彼女との同棲と思われたことがちょっと嬉しくて訂正しないとか、澄一が同僚の女性と一緒のところを見てモヤモヤするという感情を経てようやく自覚に至るわけです。

澄一は可音のことが愛しくて可愛くて大事すぎて手が出せない、でも堪えきれずに…と悶々とするところがよかったです。
可音が澄一の為に一生懸命になってお世話する気持ちがあたたかくてこんな嫁が欲しいとほのぼの読みました。

可愛らしい勘違いが微笑ましいようなおかしいような、でもそんな幸せて穏やかな日々がいつか破綻しそうでハラハラどきどきしながら読みました。
純で初々しいカップルです。
お互いが初めて同士で大丈夫かと老婆心ながら心配してしまいました。
こんな初々しい攻めは初めてでした。

2

くすぐったくなる可愛さ

現代ものですがキャラクターやストーリーがいい意味でファンタジーです。
攻めのキャラもぶっとんでるし(ものすごく天然)受けはただただ可愛くて純粋。

漫画というよりは絵本。
甘い甘い砂糖菓子のようなBLです。
読んでいて自然と頬が上がってしまうような(笑)

砂原先生ってこういうのも書かれるんだなと、とても新鮮でした。
深みや人間ドラマは全くないけれど、そんなのなくてもいいじゃんと思えるような素敵なお話でした。

とにかく甘々好きな人にオススメします。
読後感もほっこりしてて素敵ですよ。

4

甘くて可愛いく見えるけれど、それだけじゃない

電子書籍で読了。挿絵有り。ムクさんのイラストはこのお話にぴったり。

砂原さんはお名前の印象ほど甘くないと思っているのですが、このお話は激甘。「すれ違いというよりは勘違いだよなー、それも甚だしい勘違い。可音ちゃん、いくらなんでも天然すぎない?」と思いつつ、このままクスッとさせながら大団円を迎えるんだろうと読み進めていたら、表題作の後半にさしかかる部分で……

あら?そうなの?
可音ちゃん、単なる天然ではないじゃない!
そうか、呪いがかけられていたのか。ああ、だから「王子様」なのか!

「やっぱりPNが砂原糖子さんでもただ甘いだけの話ではないんだなぁ」と思い知らされました。

2

ただただあまい

受けが溺愛される話が好きなので、今作もかなり好みでした。

攻めの澄一は御曹司・イケメン・穏やか、とかなりのスペックの持ち主です。
受けの可音は可愛く控えめな使用人。
澄一が就職を機に家を出るんですが、それがキッカケで澄一は可音の事をお嫁さん、可音は自分はお手伝いさん、という勘違いをして…というお話。

天然と天然を掛け合わせたらこんな感じになるんですね…。
可音の天然さもたいがいですが、澄一の高スペックなのにあの天然さは残念なのか何なのか(笑)

勘違いでもどかしかったですが、非常に甘くて、甘い物好きな私は満足でした。

3

お互いしか見えない

お坊ちゃん攻めと使用人の受け。幼い頃から一緒に育って両想いなのに片想い状態からのスタート、2人とも天然ボケなので可愛らしい、微笑ましくてピュアなお話だった。プロポーズしたつもりな攻めとあくまでもお仕事なつもりな受けの盛大な勘違いが面白くもありもどかしくもあった。受けの気持ちは初めから恋愛感情なのだけどそれを主従関係からくるものと抑え込む理由が過去の出来事にあった。それはとても切なかった。攻めの気持ちはぶれす子供の頃から受け一筋なのでなかなかの執着愛です。見知らぬ男と一緒にいる受けを見つけて思わず店のガラスに張り付いた攻めの残念さがとってもよかった。

2

あまーーい!!

最初から最後まで期待を裏切ることなく甘々でした。
逆にもう少し裏切ってほしかったです。。
お互い思い合いながらも天然な受けの勘違いによって見事なすれ違いになっていましたが、それ以上でもそれ以下でもないというか、予想通りすぎて途中で飽きてしまいました。。
優しくてイケメンでお金持ちの王子様(攻め)がこの年まで童貞っていうのもファンタジー過ぎのような。
砂原さんの作品はちょっとピリッとした作品の方が好きです。

0

ほんわかカップル


旧華族朱鷺川家に代々仕える家系の鹿野可音(受け)は朱鷺川家の長男、澄一(攻め)が就職を機に家を出る際に一緒に来てほしいと言われ、住み込みの家政婦として一緒に朱鷺川家を出て一緒に住むことになります。
幼い時から大好きだった澄一と一緒にいられることを喜んで一生懸命働きます。

澄一は名家の出ですが、身分制度のようなものは時代錯誤だという考えの人物です。家の事業は弟に任せ、自分は実力主義の外資系に就職先を決め、家族には武者修行といい、家から出ることにします。
自分ではプロポーズして受けてもらったと思っていたので、お嫁さんとして扱うのですが、可音には伝わっていません。とても一途で誠実な人で、自分の容姿も相まってどれだけ注目されようが全く気にせず、昔から可音一筋なのも好感が持てます。
元々身分制度に疑問を抱いているところに可音を好きになり、家にいては可音と一緒にいるために家から出たようです。

二人ともお互いが自分に求めている立場が違うとはつゆとも思っていません。
これは澄一が20歳になるまで、手は出さないと決めていてそれを実行しているのも関係していると思います。手を出したらさすがに可音でも気付かざるをえないでしょうからね。
このすれ違いが見事です。両方の視点で読めるので、俯瞰で見ている私はニヤニヤしてしまいました。

可音は仕事仲間には、嬉しくてつい恋人と暮らしていると話していて(澄一はそのつもりだから本当なのに)、嘘をついて心苦しいと思っています。その嘘がばれたときに二人の認識がずれていることが判明するのです。

ほぼ1年半もお嫁さんだと思ってたのに、お手伝いさんのつもりだったなんて澄一はとても切なかっただろうと思うけど、可音にとっては仕方のないことだと思います。小さい時から、祖父に主人に仕えることについて、それは厳しくしつけられており、忘れられない傷までつけられてほぼトラウマになっていて、どんなにおかしいと思ってもそういう風に受け取ることを無意識に拒否していたし、どんなに嬉しくても受け入れられない可音もとても切ないです。

仕事仲間の保育所の勇吾先生がいい味出してました。さぞかしびっくりしたことと思います。彼女との喧嘩話と思って話を聞いてたら、浮気だと誤解していきなりやってきたキラキラしいイケメンが自分が恋人だって宣言するんですから。否定的な態度を取らずにさりげなくらサポートしてくれて、本当にいい人でした。

澄一に横恋慕する女性も出てきますが、見向きもしないし、切ないところはあり心配するところもありましたが、全体的に安定の甘さで安心して読めました。
二人とも少し浮世離れした感じのほんわかしたカップルで綿菓子ののような甘いやさしい気持ちになれる話だったと思います。
家柄、性格、容姿、学業、仕事とこんなにハイスペックなのに一途で全然よそ見をしない攻めも健気な受けも大好きです。

ただ、澄一の家族が全然出てこなかったのが気になりました。
弟が継ぐ気満々だからとはいえ、長男なのに大丈夫なのでしょうか?今は武者修行するために家を出てるだけでいずれは帰ってくると思っている可能性が高い。
で、家族にばれた場合、澄一は社会人として実家に頼らない生活ができているので縁を切られても構わないという態度になるでしょうが、可音はそうはいかないのではないでしょうか?そもそも、鹿野家の養子という立場なので養父から説得された場合、育ててもらった恩とか考えて泣く泣く説得に応じてしまいそうで怖いです。澄一には二人の幸せのために、外からの圧力を跳ね返し可音を守って欲
しいと思います。

変わった題名だなと思ったのですが、カノンは主人公の可音と二人で連弾したパッヘルベルのカノン、音楽のカノン(日本語訳では輪唱)の意味を生活の繰り返し、「愛しい、好きだ」などの言葉を繰り返しささやくこと、という意味といろいろ掛けた言葉で深い題名だなと思いました。

後、小椋むくさんの絵が二人のほんわかした雰囲気にぴったりでした。
お話しの世界がイラストで余すことなく表現されていてとても良かったです。

3

甘くてオススメ

身分差・主従物を現代日本で展開しようとすると、こんな感じの甘甘すれ違いストーリーになりました。

とにかく、澄一はパーフェクト王子様だし、可音は超絶可憐にして健気です。
こんな二人が二人で始めた、おままごとのような甘甘新婚生活を、時代物やモフモフファンタジーではなく、普通に現代に生きる人間として描いているのが、それを、ちゃんと可愛くてほんわか癒されるお話に仕上がっているところがすごいです。
澄一が可音に対して好きすぎてもはや残念な域に達してしまっているさじ加減や、可音の澄一が好きすぎて逆に澄一の好意を無視しちゃってすれ違うところも楽しかったです。






0

ほんとカノンだった

読み終えてからタイトルを頭に浮かべると再びほっこり。

気持ちは一緒なのにここまで見事にずれ合う二人の認識に早くも序盤で素晴らしいカクッをいただきました(^^)
覗けばどう見ても甘い新婚生活なのに受ちゃんだけが…そこがまためちゃくちゃ可愛いんですけどね。
おじゃまんな女性や豪快で優しい同僚まで登場して二人の関係をこちょこちょしていくのも楽しかったです。
ただ攻めがカミングアウトしなかったのが残念でなりませんでした。
ルームメイトとして周囲に隠し通す理由にイマイチ納得がいかないかな。
言いたいことは分かるけれどももうちょい強固な理由が欲しかったです。
気になる点はいくつかありましたが、とっても可愛いカノンのお裾分けに存分に癒されましたので神評価にさせていただきました☆

ここしばらく心が荒んでおりまして(笑)何か甘いお話を補給したいなと探しておりまして、皆様のレビューがあったからこそこちらのお話に出会えました(*´ω`*)おかげさまで癒されました。ありがとうございました!

甘いお話で癒されたい方にはおすすめですよ~。

5

265日カノン

どんだけカノン( ´∀` )笑w

良家のお坊ちゃんである攻とお手伝いさんの家計の受。
一緒に育ってきたものの、家柄ゆえ、身分ゆえ。
もろもろの隔たりがあった二人。
けれど思いあう心は同じ。
攻は家を出る際に思い切ってプロポーズ!!
一生添い遂げてほしいと想いを込めての告白!!
・・・だったはずなのだが

すれ違いがオイシイお話ですね。
ふたりで一緒にあまい新婚生活。
まだ体の関係はない。
大事に大事に。
二十歳の誕生日には。。なんて浮かれている攻と
一緒に住めてうれしい。お世話するのが幸せ
そう思っていても自分は「お手伝いさん」である。
という概念が抜けない受。
ほわんと甘々なお話でした。

ただ、ただだな。
甘くて可愛いおはなしなのですが、
すれ違い部分も、あらすじを読んでしまったがゆえに
それ以上でも以下でもなかった。
どんな面白いすれ違いを見せてくれるのかという期待値あげすぎたゆえ・・
はあるのだと思うのですが。

加えて、ハジメテのはずの攻の言葉責めに少々萎えた。
妙にこなれている気がする。
①カノンを抱くためにイメトレを毎日重ねていた
②シュミレーションを毎日ひとりでこっそり
この攻がこんなことしてたらまぁ、面白いなと思うのですが
なんだろうな、純粋ピュアな路線の話であったがために
少々萎えました(悲。。

個人的には、保育園でなかよくしてくれた大内くん。
彼が気になるな~サイドでなにかやらかしてくれないかしら。

4

甘々新婚さん、末永くお幸せに。

 甘いですねー。甘くて攻め様が受け様を大事に慈しんでるお話大好きなので、私もシアワセ気分で読ませて頂きました。

 受け様は、健気で純粋で尽くすことが幸せ、というような可音。
攻め様である澄一が旧華族のいいおうちの長男であり、その家の使用人一家の息子である可音は、子供の時から一緒に育ってきてはいるけど、あくまでも使用人としての立場を弁えていて、お手伝いさんとしての思考回路しかない。

 攻め様の澄一は、家柄人柄お顔もいい高スペック。
可音の事がかわいくて好きで好きでたまらない澄一は、就職と共に1人暮らしをする上で思い切って「お味噌汁を作ってほしい」とプロポーズする訳ですが。
ダメじゃん、それじゃ。
それって女性が付き合ってる男性に言われた場合、プロポーズかと思うセリフだけど、お手伝い思考しかない可音はそのまんまお手伝いとして一緒に暮らして欲しい、と請われたんだと思い快く承諾。
こうして、両思いの二人はすれ違いな新婚生活(?)をスタート。

 すれ違って入るのに、なんでこんなにも甘々な雰囲気で幸せ一杯な毎日なんでしょうね。
行ってきますのちゅーも、1つのベットに2人で一緒に手を繋いで寝るのも、可音なりに納得できる理由を見つけて受け入れていて。
お手伝い気質=かわいい新妻気質だったんですねぇ。
もちろん澄一は僕のかわいいお嫁さん、と思って接していて、だけどHは可音が20歳になってから、と日々忍耐力も鍛えていらっしゃる。

 お互いの勘違いに気付いた時、改めて間違いようのない言葉でプロポーズする澄一に対し、立場の違いを思い身を引く可音。
それでも、やっぱりお互いに唯一の相手はお互いしかいないって事で元のサヤに今度こそ正しい認識で収まって、よかったねーでした。

 本編も甘かったのに、書下ろしもまた甘かった。
この二人は、2人の為に世界はあるの、とまるで2人しかいないような甘々な雰囲気をすぐにかもし出していて、これが通常モードなのか…です。
2度目のえちシーンがまさかの裸エプロン。
澄一さん、紳士面して何を要求してるんだ。しかも、旦那様の為ならで受け入れるけど、恥ずかしがってる可音が、とってもかわいい。

 お互い、相手をとても大事にしていて、それをストレートに告げて態度でも示していて、読んでいて私もシアワセの気持ちをもらえました。
 

5

ほんわか甘々な同居話

可愛らしいタイトルに可愛らしい表紙、可愛らしいカップル…という可愛いづくめのお話です。
カップリングは、由緒正しい家柄の御曹司攻めと、小さい頃からそのお世話をする家系に育った受け。幼なじみであり、最初から両想いの2人です。

旧家の御曹司なのに家を継ぐ意志のない攻めが、実家と関係のない企業に就職して家を出るにあたって、大好きな受けに「僕についてきてほしい」とプロポーズ。受けも「はい!」と了承し、2人で小さなマンションに住むことになった、というのが始まり。
でも、そこには多大なる認識のズレがありました。攻めはプロポーズを受けてもらったつもりでいたのですが、受けは単に攻めの身の回りの世話をするよう頼まれただけだと思っていたのです。

まあそういう感じの、お互い両想いなのに、大いにすれ違っているカプです。攻めは自分たちはすでに夫婦だと思っているので両片想いではありません。イケメンだけど天然で、プロポーズを受けてもらった(と思い込んでいる)喜びに浮かれ上がっている攻めも、攻めが大好きだけど自分の片想いだと思っていて、一生懸命お世話しようと燃え上がっている受けも、どちらも可愛いけれど間が抜けています。
視点入れ替わり方式なので、お互いがどう誤解しているかがわかるだけに、焦れったさにちょっとイラっとしてしまったりも。
攻めに言い寄る女子、というメイン展開にあまり萌えられなかったし、毎日キスされたり手をつないで寝てるのに愛されていることに気づかない受けはさすがに鈍すぎるだろうとか、ちょいちょい引っかかるところはありました。非の打ち所がない攻めだけに「ザマァ」とも思えなかった。

でもくっつくあたりは良かったなと思えました。エッチも可愛らしく、受けが健気で攻めも一途で萌えました。
本編でくっついた後のお話もありましたが、そちらではまたお邪魔キャラ(ちみっこ)の登場にちょいイラっと。あと、なんでこのカプはお互いの関係を隠しているのかな。攻めが堂々とカミングアウトしそうなキャラなのに、2人の関係を「ルームシェアしている同居人」で通しているのが引っかかりました。

4

病めるときも健やかなるときも

砂原さんの作品は、甘いもの好きな私からするとほろ苦い印象だったのですが、今作はとっても甘く幸せな気持ちになれるストーリーです。間之あまのさんがお好きな方はきっとハマると思われます。

ずっと好きだった相手と甘い新婚生活をしているつもりの澄一と、あくまでも専属の使用人として主人に仕えているつもりの可音の、すれ違い同居生活から物語は始まります。
容姿端麗で文武両道な御曹司である澄一が、「僕のためにエプロンを作ってくれるかい?」とトンチンカンなこと言って告白したり、クリスマスにあげたいものがあると言われてなんの疑いもなく可音を堪能できると考えていたり、ちょっと残念な一面を見せるのにクスッとなりました。
完璧すぎない攻めってイイね!
なんだかんだで私は、幼馴染みで、初恋で、ファーストキスも初体験もお互いっていう設定が大好物なようです。
裸エプロンもいいけど、せっかく元主従関係なんだからメイド服でご奉仕っていう鉄板ネタもやってほしかったわ〜。

8

純粋な二人の純粋なお話

三人称、受け攻め両視点の本作。
本編は雑誌掲載である為、170ページほど。
ですので、出会いやら恋に落ちるまでといった辺りはありません。
いわゆる身分差で、スタートからすでに両片想いのお話です。

**********************
受けの可音は、代々朱鷺川家の使用人を取りまとめる家の息子。
19歳のわりに小柄で、小動物系。

攻めは旧華族の御曹司の澄一、23歳。
朱鷺川家の長男であり、容姿端麗・文武両道で温和な青年です。
**********************

二人は普通ならば幼馴染のような関係ですが、今は自分の立場をわきまえ一歩引いて澄一へ接する可音と、可音と共にある為に着々と足下を固める澄一は、考え方捉え方が真逆。
可音は使用人として受け身であることを刷り込まれていますし、なんというか澄一以上に箱庭で育った純粋培養的なんですね。
澄一が可音と共にある為就職と同時に一人暮らしを始めるにあたり、一緒に来て欲しいとプロポーズされたことも、可音にとっては使用人が欲しいと捉えてしまうし、朝のいってらっしゃいのキスも澄一が欧米的なのだろうと考えたり(苦笑
この真逆の思考がなんとか交差し結ばれるまでが本編の、可愛い作品でした。

ページ数は少ないものの可音が澄一へ対し一線引くようになった原因や澄一がいかに孤独であったか、そして彼はそれを、不自由なく暮らしていた自分にとって贅沢なことだときちんと考えていた辺りとても好感が持てる書かれ方がされています。
とにかく二人ともが純粋で自分のこと以上に相手を思いやり、もはやこんな人間は存在しないだろうとは思うのですが、それにまったく空々しさを感じさせないのは砂原さんの力量なのだと思います。
そして攻め視点を読むのが好きなので、今作のような作りはありがたいです。
お互いの捉え方が違うので、両視点というのは読者へとてもわかりやすい書かれ方だと思います。
そして受け視点のわりに神視点のように筆者が述べるのはどうもなあと思うたちなので、砂原さんのご本はその辺りがひじょうに安心して読めます。
砂原作品では『スリープ』がとても好きなのですが、そちらのシリアスな方ではなく、今作は可愛らしい系の砂原さん。
お疲れの方が癒されるのではないでしょうか。

5

とにかく甘い!!

ちょっとズレてるキラキラ王子様攻め×天然健気受けの、勘違いによって起こるすれ違いっぷりが面白い作品です。
シリアス展開は多少ありますが、基本はほのぼの&甘々。
まぁ、ズレてる王子様と、天然ならこうなるよね…と、読んでいるこちらも、ひたすらほのぼのとした気持ちで見守りたくなりました。


住み込み先の御曹司・澄一(攻め)に「君が好きだ。僕と一緒に来てくれないか?」と言われ、屋敷を出てマンションで一緒に暮らし始めた可音。しかし、「お手伝いさん」としてと思っている可音と、「お嫁さん」と思っている澄一。二人の認識にはズレがあって…と言うあらすじです。

受けの可音はひたすら健気。「お手伝いさん」という、ありえない勘違いをしたのも、ただ天然だからでは無く、幼い頃に自分のせいで澄一に怪我を負わせてしまったトラウマからです。使用人の立場を越えないよう、無意識にブレーキをかけているのですね。

攻めの澄一は、ややズレている王子様系。御曹司の為、世間知らずな面も。しかし可音に向ける愛情は深く大きい。可音が20才になるまでは手を出さないように自制する紳士っぷりです。これもまた、可音の誤解を助長する結果になっちゃうのですが…。

この二人による、両想いなのに見事にすれ違ってる、お花畑にいるような新婚生活です。

もう、とにかく甘いのですね。行って来ますのチューや、手を繋いでの睡眠。二つ並んだハブラシと、端から見れば、正に新婚生活その物なのに、絶妙な勘違いで誤解に誤解を重ねていく…。
攻めは「僕の大切なお嫁さん」と愛妻弁当をうっとり見つめ、受けは澄一がハブラシを一緒に置きたがる事に、ハブラシがさみしがるからだと勘違いして、「なんて優しい」…と感動する。
よくもまぁ、これだけ認識がズレていながら、上手い事回っていくもんだ…と感動ものです。

しかし、当然真実に気付く日が来て、受けは自分では幸せに出来ないと身を引こうとし…とシリアス展開。
…と言っても元々両想いの二人なので、それ程深刻にはならず、多少やきもきしながらも見守れる…といった所。

その後は書き下ろしの、更に甘々な新婚生活編。可音のアルバイト先の園児が、「先生を恋人にしてやるよ」と二人の間に割り込んで来る、何ともかわいらしい展開です。
前の一話も相当甘いですが、こちらは更に甘いです。
前話でフワフワしていたのは、お互いに本当の意味での相手が分かってないせいだと思いつつ読んでいましたが、こちらの話でもフワフワしっぱなしなので、もうこれはデフォルトなのね…と。

絡みは2回。お互いに相手以外は目に入らない二人なので、初めて同士という初々しさが萌えます。
更に後半のエッチでは、澄一によるおねだりで裸エプロンプレイ。いきなりトばした…。旦那様を喜ばせるのも役目と一生懸命な可音がかわいいです。

とにかく甘いものが読みたい方にお薦めです。

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