電子限定おまけ付き
魂が揺さぶられる作品。
なんか大げさみたいだけど、読後にまず感じた感想はまさにこれでした。
虐待されて育った勁。自分を守るために内面に「子どもたち」を形成し、彼らの目を通して人生をゲームのように過ごしてきた彼が、自分をそのまま受け止めてくれる宥と出会い、人間らしさを取り戻していく。
「宥のため」というただそれだけの理由のために、ボクシングで勝つことにこだわり続ける勁の心情がなんとも切なかった。
勝ち続けなければ、宥に捨てられる。
かつて、兄にそうされたように。
2巻では、勁のそういう思い込みを、宥が「勁が好きだ」と告げたことで払しょくしたところから始まります。
ボクシングで勝つことができなくても、宥は自分を受け入れてくれる。そう信じることができた勁。すれ違ってきた彼らにようやく訪れた甘い空気に、良かった、と思う間もなく、次々と二人に試練が。
ええ、これはタイトルに(中)ってついてますから、まだまだ完結じゃないってことはわかってたんですが。
宥のボクシングジムに所属している友也に、二人の行為を見られてしまったところから一気に暗雲が立ち込め始めます。
ゲイであることを知られたくないという思いを宥が抱いていることを知っている勁の取った行動はたった一つで。
さらに友也のバイト先の同僚による逆恨みからくる嫌がらせ。
そして、勁の実兄・梏が所属する宗教団体ヴェイクラム・デイ、通称ヴェイクラからの追跡と迫害。
悪事のレベルは全く異なりますが、様々な状況が重なり、勁と宥の二人は一気に追い込まれていきます。
特に勁の環境は最悪なもので。
けれど、そんな中でも宥の言葉を思い出し、その言葉を守り人殺しはせず、宥だけを守ろうとする勁の愛情と、そんな勁を探し守ってやりたいと奮闘する宥の、二人の相手を想う愛情に思わず落涙しました。
梏の登場によって勁の過去も少しずつ明らかになってきましたし、ヴェイクラの実態や、梏の勁への屈折した感情。
勁を引き抜きたい荒川ジムの会長。
そして、勁の内面にいる「子どもたち」。
まだまだ二人の前に立つたくさんの障害があって、これから二人がどうなるのか非常に気になります。
で、最後が~~!
なぜそこで終わるんですか、一ノ瀬先生…。
きょう ゆたかとあうやくそくだから よろこぶかおが みたい
全身で宥を求める勁に、そして守ろうとする勁に、号泣しました。
あとタイトルが良いよねえ…。
すごく意味深で、すごく素敵だと思います。
次巻はいつ発売なんでしょうか。
早く、続きが読みたいです。
上下かと思いきや、まさかの上中下∑(´□`;)
面白かった!面白かったんだけど、読み終えてみて
完結してから読めばよかったとなかなかの後悔がぬぐえない。
これどーなんの!?マジどーなんの。
まさかの展開が繰り広げられる本作。
幼い頃から愛をしらない攻。
初めて心から、というか無意識に受を想い本能で動くさまは
見ていて思わずこみ上げるものがある。
兄の言うことはすべてが絶対だった。
命令は黙って遂行する。できるはずだった。
でも頭によぎるのは。
そして限られた逢瀬と、受を守りたいと思う行動と。
ただただ純粋で。まっすぐで。
それがひどくつらい(´;ω;`)
故に、幸せな顛末を願わずにはいられないのです。
はふ。次回を首長に待ちます。
追伸:結局、なんだかんだ言うても
一番かわいそうなのはお兄さんなのかなと思わなくもないのかなと
今回思いました。
救済してあげてほしいなー
既刊の「嫌いな先輩」を読んで、いいお話を描く作家さんだなぁと思っていました。「gift」は妹からオススメされて上中と一気読みしました。
その結果、こうしてレビューを書きたいと思わせる素晴らしい作品でした。
今一番言いたいことは「早く続きをっっ!!」・・・です(笑)
中は更にシリアスで重い展開で読んでいてつらくなりますが、きっとこの二人なら乗り越えていけると信じています(>_<)
人間の本質に触れる、魂に触れる重くてハードな内容だけど、全体を通して
「愛」をすごく感じます。
慈愛に満ちた感情が沸き起こるから不思議ですね。
話は横道にそれますが、これまた妹にすすめられてこの作家さんの同人誌も拝見しました。
やはり豊かな愛にあふれていてとてもステキでした。
きっと作家さんの中に1本通っている大切な「芯」なんでしょうね。
どうぞ下巻では二人が幸せになれますように・・・!!お願いします(>人<)
勁の中で宥の存在が大きな比重を占めるようになり、ボクサーとしても歩み始めそれなりに安定した日々が一気にひっくり返る2巻目です。
ゲイばれを恐れる宥が勁を切り捨てず「俺が勁を好きなだけだ」と庇った時に、天使と悪魔が操作していたコントローラーが消えていく意味に涙がでてしまう。
そして勁の過去の鍵を握る兄の梏や犯罪組織も登場し、まさに怒涛の展開。
勁と宥が互いを求める必死の想いが、暗雲立ち込める状況との対比でまるで祈りのような純真さを放っていて、とんでもなく焦燥感にかられます。
そして崔率いる犯罪組織が、どことなく疑似家族のように描かれているのが興味深い。崔が一員として迎えているのは、外界に居場所がなかった自分と同じかつての子ども達なんだろうか。
無駄なものを排除したモノクロ世界のあちら側と、種種雑多なカラー世界のこちら側。過去と未来を綱引きにして、梏と勁という兄弟がその二つの世界の境に立たされる。
同じ地獄を味わった仲間でありながら一人でカラー世界に戻ろうとする弟を見つめる兄の目に、徐々に憎悪が宿っていくのが悲しい。
兄が出会ったのが崔で、勁が出会ったのが宥だった。それは偶然だけど、偶然として簡単に片付けられない残酷さを感じてしまう。
兄も勁も居場所を求めてもがいている。それが伝わってくるだけに、兄と崔の存在を、邪魔者だと単純に切って捨てることができないのも確か。
3巻手元にないと「ちょまーっ!」とのたうち回る事になるから、全巻揃えてから読むことをおすすめします。
それはそうと本多はめっちゃ良いヤツだなぁ。こういう健全な庶民タイプは、モテなさそうで意外と一部にモテてちゃちゃっと結婚して子ども3人くらいの良きパパになるんだよ。わかるわかる。
中巻も素晴らしすぎました。こんなまっすぐでかなしい愛を描くBLが他にあるでしょうかと思うくらいでした。
今回の巻は勁を拘束する新興宗教なども出てきており、「これ以上苦しめないで~!」と思ってしまったり、二人がやっと会えたシーンは本当にうれしかったり…上巻からの伏線もしっかり拾いつつロミジュリでは語りつくせない試練がある中、最後まで宥との約束を守る勁の姿は本能で宥を愛しているようで、切なくも温かい気持ちになりました。
上巻から引き続きですが、勁の行動を選択するのは暗い部屋でゲームをする2人の子供の勁。これを描いていただいてることで寡黙な勁という人間がすごく分かり易くなっていて、こういう表現手法は他の漫画にもたまに出てくることがありますが、がっつりたくさん出てくるのは個人的には真新しい感じがしてとても面白いです。
この本は読むのにめちゃくちゃ一喜一憂するので読後ダメージをくらいますが、めちゃくちゃ面白いことには間違いありません。本当に下巻が待ち遠しいです。
一ノ瀬先生素敵な本をありがとうございました。下巻も楽しみにしています。