不遇の貴公子×兄の盲愛に怯える王子の大逆転ラブストーリー!

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表題作シンデレラ王 ~罪を抱く二人~

エラルド・ジェームズ、継母によって不遇な生活を送る青年
シャロン、目の不自由なアシェンプテル王国第二王子

その他の収録作品

  • もしも再び会えたなら
  • あとがき

あらすじ

継母の家族の下で不遇な生活をしていた青年エラルドは、ある時、森をお忍びで散策していた美しい第二王子シャロンと出逢い、天使のような愛らしさにたちまち恋に落ちる。一方、シャロンは弟を偏愛する兄王に束縛されていて、真の友人を求めていた。運命的に出会った二人は森の離宮で逢瀬を重ね、いつしか秘密の恋に溺れていく。そんな折、城で舞踏会が催される。シャロンに会いたい一心でエラルドは城へ向かうが、彼との仲を知った王の逆鱗に触れ…!? 大人気濃厚官能童話!!

作品情報

作品名
シンデレラ王 ~罪を抱く二人~
著者
犬飼のの 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
人魚姫の弟
発売日
ISBN
9784041062791
3.9

(81)

(35)

萌々

(24)

(10)

中立

(5)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
17
得点
306
評価数
81
平均
3.9 / 5
神率
43.2%

レビュー投稿数17

衝撃!!読み終わったあと口が開く

シンデレラは絵本の王道ものしか読んでいない私ですが、これはもうすごかったです…。

犬飼のの先生の書くお話はどれも壮大ですね…。
国や世界の規模でとてもソワソワ、ワクワクします。

ほぼ攻め視点であらすじとキャラ設定を読んでいない私は、てっきりシンデレラが受けかと思いましたが攻めの方でした。

かなりの劣悪の環境と境遇の攻めが痛々しかったです。
さらには受けも王家でありながら、兄からの扱いが酷いこと…。
でも辛いからこそ、幸せになった時の感動が増します。

そしてラストに向けての後半がもう物凄く衝撃です。
ですが、私はある一部のシーンがキツかったです。

(以下、詳細含みます)

それが動物と心を通わせる受けが攻めと馬上セ〇クスした時。
馬に謝りながらガツガツ腰を振る二人の馬の心境よ…。
後に受けが「馬も羨ましがっていた」と言っていましたが…ちょっと私には合わなかったです…。
また、愛犬が銃殺されるシーンもあるので地雷の方は注意です。

これさえなければ、文句なしの神評価。
人に自信を持ってオススメできるのですが、このシーンが苦手な方もいるだろうことを考慮して、趣向が似ている方にそっとオススメします。

1

凄いとしか言いようがない

読み始めてから何て難しいお話なんだろうと思いました。
犬飼先生なので登場人物も魅力的だし、ストーリー展開もとても面白いです。

でも主人公に次から次へと襲いくる不幸、愛する王子は眼が悪くて現状を打開する権力は皆無です。

離宮で逢瀬が出来るのは、兄の王太子が他国に出かけてて留守の間だけです。

読んでも読んでもエラルドには困難ばかりで、遂にはシャロンを置いて逃げなければならなくなりました。

最後はどう決着つけるのだろうと、夢中で読みました。

シャロンの眼が悪いのも結末に向けて理由があったし、王太子ヴァリウスが人前に現れる時に何故仮面を付けていたのかも理由がありました。

エラルドとシャロンのエチシーンも流石だったし、見事にまとめ上げた犬飼先生はやはり凄いです。

0

衝撃の結末でした。

犬飼のの先生、童話BLシリーズ、第三弾。
シンデレラといえばあまりに有名な童話、少女の夢そのものの物語ですが、それにしてもなぜ王? 王子じゃなくて? しかも珍しい攻め視点。この平民のエラルドがどうやって【シンデレラ王】になるのかと思いつつ読み進めました。
受けのシャロン王子が健気で素直でしかも精神的に強い! 
駆け落ちしたいエラルドをなんとか説き伏せ、一人逃がすシーンは惚れ惚れするくらい男前でした。
また笠井あゆみ先生のイラストのなんと美麗なこと!! うっとりしてしまいます。
シャロンの兄王子、王太子のヴァリウス、後の王様(私はどうしてもヴァ○リウスって読みたくなっちゃった)が求婚者の条件としてガラスの靴ならぬ水晶の男性の象徴を作れとシャロンに言ったときには、はあ?! と目が点になりました。さすが犬飼先生、一筋縄ではいきませんね。読者の予想の斜め上を行って下さいます。
ともあれエラルドは罠にかかることなく約束の離宮を訪れ、晴れてシャロンに会える・・・ はずもなく、そこには衝撃の結末が待っていました。
童話BLだと思っていたのが実はまさかの○○BLだった!!
いや、これはこれで大変好物ですけども。
この本を読み終え、ラストの番外編も読んだあとで表紙イラストを見ると、なぜか攻めの目つきが悪く見えて、ヴァリウスに見えてきてしまいました。
やっぱり大人の童話は残酷なのね。
どうか末永くお幸せに。

4

とてもユニークで奥深いシンデレラもの

「シンデレラ」をモチーフにしたBL小説という事で、BLモノだから、シンデレラと云っても一味違った作品になるんだろう・・という予測はしていました。

実際に読んで見ると、さすが犬飼先生。想像より右斜め上の展開で先が気になって仕方が無いし、夢にも出てきそうなくらい、魅力的な登場人物達で繰り広げられる耽美でドロドロとした世界観に引き込まれること、引き込まれること。

全体的に美しくお上品な童話風仕様ですが、一応官能童話ですから、笑えるくらいインパクトのある下な話も出てきますwwストーリーの中で妙に浮いて耽美な世界観を損ねたりしない所が流石です。
最後まで読み、サブタイトルの「罪」の意味がもう…。なんとも言えない気持ちになりました。結末として美しくもあり、後味も悪くもあり、美しくもあり…。これこそ、残酷だったり、棘のある童話そのもの。真相に少し触れられる超ショートストーリーがまた泣けました。登場人物のそれぞれの事情や、心情が切なくて。誰も蔑ろにされない結び方には救われました。愛の敗者はこの小説にはいない、ですよね??

改めて犬飼先生は只者でないなー、先生の偉大さを存分に感じる事が出来た一冊でした。あとがきを読んで、先生も新たな試みでもあり、水面下ではもがかれたようですが、完成した作品にはその苦労も微塵も感じさせない出来栄えの美しさが素晴らしいですね。官能童話BLシリーズ4弾の実現を心待ちにしています。

BLものは、NLものや一般ものと同じ題材を扱っていても、スパイスの効いた違った風味の作品になるので、ここがBLに病みつきになり、止められないところだなーと実感しました。

5

まさかの水晶登場で、朕のチンなり!みたいな展開になるのかと……

馬の上で交わるという荒唐無稽な行動なのに、そのシーンは切なくて涙を誘う……という答姐のコメントを以前目にして以来、気になっていたこちらの作品。

例のシーンが出て来たときは、あぁ〜これかぁ!と思いました。
涙は出なかった……というか、騎乗しながらバッグで挿入する挿絵を見て、器用なことをするなぁと妙な感心をしたり、騎乗しながらの騎乗位って可能なんだろうか?とか、アレが折れないんだろうか?とか色々考えちゃいました。

そして、ガラスの靴ならぬ水晶のナニには驚きました。
「我こそが!!」と名乗りをあげて、「では、早速見せてみよ。おおっ!!お主と同じじゃなっ☆」みたいな、どーしようもないトンチキ展開になるのかと思ったら、違ったのでホッ。
荒唐無稽になりそうでならないところが良かったです。
それにしても、どういう顔してシャロンは作ったのかしら……。



超ネタバレになりますが……





「罪を抱く二人」というタイトルが読み終わると、なるほど!と思わせる仕掛けでした。
最初は同性間で姦通し神の教えに背くことを指しているだけかと思ったら、まさかのガチ兄弟!
ネタバレになってしまうからか設定欄にもガチ兄弟表記はないけれど、完全なガチ兄弟だったので苦手な私は、おぅ……とダメージをくらいました……。

そして義母の性的虐待といい、当て馬のヴァリウスの飼い犬射殺といい、最後の終わり方といい、ディズニーの映画のシンデレラのような「いつまでも幸せに暮らしましたとさ めでたし めでたし」系ではなく、ガラスの靴を履くためにつま先やら踵を切り落としたみたいな残酷描写があるグリム版のシンデレラのようなちょっとダークな味付けに少し気が滅入りました……。

少〜し自分の好みとは違いましたが、それでもよくこういう展開を思いつくなぁと発想の妙には感心しましたし、先が知りたくて一気に読んでしまいました。

4

幸せだけど、切ない


本屋で表紙に一目惚れして購入。
犬飼のの先生が書く本は初めて読んだのですが素晴らしかった。描写からストーリーの展開やら何もかもが好み。笑
笠井あゆみ先生のイラストがまた、物語の世界観と見事に会っていて感動。
誰もが知っているシンデレラの童話がもとになったBL、しかもそのシンデレラが攻めです。
その他あらすじは説明がされているので省略しますが、以下ネタバレ感想です。


______________________________


この本の感想を一言で表すと個人的には「ヴァリウス…………」でした。
序盤はただの弟大好きお兄ちゃんなのかと思いきや、物語が進んでいくにつれてヴァリウスの心の内や弟であるシャロンへの歪んだ愛情が露わになっていきます。もちろん私はエラルド×シャロンのメインCPが幸せになってくれれば良かったのです…が、この本を読み終えた後もどうしてもヴァリウスという兄の存在を忘れることができなかった。終盤ヴァリウスとエラルド二人が対峙している挿絵が二枚あり、特に二枚目の挿絵を見るたびに心が痛くなってたまらなくて……。

ヴァリウス視点の『もしも再び会えたなら』という短編からも分かるように、ただ彼は素直になれなかっただけで、本当はエラルドやシャロンと同じように愛する人のために奔走する人だったんだなあ、と。ヴァリウスの死と代わりに得た幸せは、果たしてエラルドとシャロンにとって嬉しいものなのだろうかと思ってしまいました。
ヴァリウスが命を落とすことなく、三人が幸せに生きていく結末を望んでいただけに読後涙が出ました。来世幸せになってほしいと願うばかりです。

8

大人の童話シリーズ

犬飼先生の童話シリーズが前作2作とも好きで、これも!と思って購入。お話は、すごく引き込まれたし、とても面白かったです。シンデレラ要素があちこち少し捻った形でちりばめられて、そうなったかー!と楽しいです。ただ、お兄さんのヴァリウスが切なくて可哀想でどうしても気分が晴れませんでした。


シンデレラ エラルド×シャロン王子
シャロン王子の兄 ヴァリウス。このお兄さんが、2人の邪魔をしていき、嫌なお兄さんとして登場するのですが、彼の本当の想いや言葉を知った時、とても悲しくて…。最後の2人は、様々な結果や要素を考えると、それで本当に幸せになれるのか?と、どうしても複雑な気持ちになり、しゅみじゃないにしました。


あと、2人のカップルには関係なくて本当に申し訳ないのですが、動物が殺される話が苦手で…あれは駄目でした。

5

耽美な『金髪もの』で浮き世を忘れる

電子書籍で読了。挿絵とあとがきあり。

レビューも多くご評判だった本作(なのであらすじ紹介は省略します)。
読んでみて頷けました。
圧倒的に素晴らしいと思ったのは、全体を通した耽美的な雰囲気。
いや、正直「それはないんじゃないの?」と思ったシーンもあるのですよ。シンデレラを確認するものは『靴』ですが、この物語のシンデレラであるエラルドを確認するために設定された『あるもの』が出て来た所とか。
これ、未読の方は解らないでしょうけれど、全てをぶっ飛ばしてしまう位の強烈な破壊力がある代物です。
私は大のトンチキ好きなものですから、こういうシーンでは必ず吹き出してしまうのですけれど、いやそれでもね、お話の雰囲気は壊れないのですよ。
これは、すごい。
犬飼さんの得意とする『特殊設定』というのは、世界を作り出す力の事なんだなぁと思い知らされました。

攻めに感情移入しがちな私は、身も心も無垢で美しいをシャロンを「綺麗なままでいて欲しい」と思いつつ「自分が汚したい」と渇望するエラルドの葛藤に萌え滾りました。
またね、それに応えようとするシャロンの純愛もいじらしい。

そして、それに絡んでくるシャロンの兄、ヴァリウスがね、もう『当て馬の鏡』みたいな人物造形でね。
「ヴァリウスは過去にシャロンに対して行ってしまった罪がなければ、こんなに拗くれたことにならなかったんじゃないか」とか、彼に対して諸々妄想するだけでもう一冊分楽しめましたよ。
なので、個人的には同時収録の『もしも再び会えたなら』は、ない方が好みでした。彼に関しては謎が多い方が良い、と言う意味で。

笠井画伯のイラストも美麗!
特にエラルドとヴァリウスが一緒に描かれたもの(物語のクライマックスだしね。LOVEのクライマックスは馬上シーンかも知れないけれど)が溜息出るほど美しい。
浮き世を忘れて、お話の世界にどっぷり填りたい時に最適の一冊ではないでしょうか。

5

童話とは残酷さを秘めている。

どうも私としてはこの話はハッピーエンドに読み取れず、
ちょっと暗い気持ちで読み終えました。

いくつもの罪を背負ったエラルドと、
それを知らずに愛するシャロン。
エラルドは本当にシャロンが愛したままの彼だったのかと思うと、
そこが違うような気がします。

それにしても、シンデレラを題材にしつつも、
こういう展開でストーリーを考えられるのは凄い!
恐竜BLを生み出す犬飼さんらしい!
展開が読めなくて、結局は一気に最後まで読みきってしまいした。
流石です!

ストーリー的にはテンポよく読みきれたのですが、
どうしてもヴァリウスの存在が気になって、
ハッピーな気分に浸れず。
評価的には「中立」で。


3

罪について

BL世界のおとぎ話シリーズ「シンデレラ」
今回のタイトルの「シンデレラ」は、ストーリー内でエラルドがシャロンに読み聞かせる白くて美しい本の中で描かれた物語として直接的に登場。
エロルドはこの物語と自分の境遇を重ね合わせて懊悩します。
このお話の何が凄いって、不遇に耐える健気なシンデレラが聡明で美丈夫な「攻め」に設定して、王子様の方が「受け」だってこと。
この発想の転換がハラハラドキドキを盛り上げます。
エロルドとシャロン、そしてシャロンの兄の第一王子ヴァリウス。
サブタイトル~罪を抱く二人~に込められた三人の愛憎の結末。
三人それぞれの思いの描かれ方が良く練られていて一気読みでした。

9

綺麗にまとまっている

表紙が気になって購入。
笠井先生の絵が本当に美しいです。
二人の表情もさることながら、馬もリアルで背景の月とお城も幻想的。

その絵のようにお話も素敵でした。
モチーフはシンデレラなのですがそこは犬飼先生。
独自のアレンジをされてきちんとBLに仕上がっています。

受けのシャンロンがとても魅力的でした。
信心深くとても健気。
エロも濃厚でストーリーのテンポもよく楽しめました。

ちょっと変わったBLを読みたい方、幻想的なお話が好きな方にオススメします。

6

濃厚官能童話第3弾

前作、「白雪姫の息子」は
レビューを見る限りグロがあるようなので、
のの先生大好きだけれども
グロ、スプラッタ、ホラーがだめな私は
読めずにいました。

しかし、本作「シンデレラ王」は
グロがないようでしたので、
ちょっとビクつきながらも(笑)
安心して読めました!



さすが、のの先生!
本作もとってもおもしろかったです。
山あり谷ありすぎて、
ハピエンになれないんじゃないか?
と不安になりましたが
ちゃんとハピエンでした。

シンデレラでは、魔法使いが
ドレスや馬車を魔法で出してくれますが、
本作でももしかして魔法使いが出てくるのかな?
と思っていたら、
とってもおもしろい方法で夜会服が現れたり、
ガラスの靴の代わりがあっと驚く物で表現されたり。
コメディじゃないんですけど、
このあたりはちょっと笑ってしまいました( *´艸`)


物語の舞台と時代設定からか、
登場人物はみな信心深く、
事あるごとに神や罪を口にします。
自害は天国に行けない、同性愛は地獄行き等。
それがまた物語を盛り上げていました。
たとえ神に逆らってでも、地獄に落ちたとしても
二人一緒ならそれでいい、と気持ちは盛り上がる一方です。
こういった考えは現代日本が舞台のBLでは
あまり見かけないのでとても新鮮でした。

シャロンの兄である王太子ヴァリウスも
ただの憎まれ役ではなくて、
とても悲しい人だったので、嫌いになれませんでした。
むしろ読了後は、
「ヴァリウスいい人だった...」
という気持ちも芽生えています。

11

高尚さと官能がせめぎあうBL版シンデレラ

犬飼さんがどうやって童話・シンデレラを土台にして独自の世界観を表現するのかと楽しみにしていたが、まず主人公の役割を担うのが<攻め>というところからして新鮮だった。
誰もが知っている原型の童話と頭の中で比べながら読んでいくと、ニヤリとする部分が散りばめられている。
両親との死別、意地悪な継母と連れ子、BL仕様にアレンジされたきらびやかな舞踏会、そしてガラスの靴の代わりは…読んでみてのお楽しみ。

話のほうは高尚さと官能がせめぎ合っている中から各キャラクターの心情の深さを感じた。
最初は不遇な境遇に屈したくないエラルドの高尚さが色濃く出ているが、シャロン王子と恋に堕ち想いを募らせるにつれ官能さが際立っていく。
また、シャロン王子の兄・ヴァリウスも印象の強いキャラクターで、単なる悪役としては憎み切れない複雑で切ない存在だった。
シャロン王子が垣間見せるエラルドへの恋慕とヴァリウスに対しての微妙な素っ気なさと比べてみると、この物語内の神様もつくづく不条理な境遇を二人に与えたものだなと感じずにはいられない…。

表紙からして見目麗しい二人にうっとりするが、既に此処からして、実はこの二人は…!!って真相が仕掛けられていたんだなと読了後に実感できる一面もあると思うので、これ以上は語るのを控えないと…。

ちなみに、今回は小説だけでなく、笠井さんの表紙・挿絵にも拍手を送りたい。
いつもなら過激すぎる表紙を見て正直読む前からうんざりする時もあるのだが、この小説に関しては一切文句なし。
それどころか、2017年刊BL小説・最美麗表紙賞を差し上げたい程だ。
物語がより引き立ったのも、この表紙と中の挿絵のおかげだと言っても過言ではない。

6

何もかもが素晴らしい

人魚姫、白雪姫、ときて第三弾がシンデレラ。笠井さんの美しい表紙で、リアル書店でも手に取りやすい…、と思いきや、よくよく見るとちょっとエロティックなのが笠井さんならではか。

内容はすでに書いてくださっていますので、感想を。






童話「シンデレラ」をベースにしているので、エラルド(=シンデレラ)はそこそこ高貴な生まれであるのに薄幸。母亡きあと、父親と再婚した継母に財産を奪われ、雑務を押し付けられ、そしてあろうことに閨の相手までさせられる。という事で、エラルドが女性と絡むシーンがあります。直接的な描写はありませんが、苦手な方はご注意を。

そんなエラルドが出会ったのは見目麗しいアシェンプテル王国の第二王子・シャロンで…。

お互い身分を偽り、少しずつ恋心を育てていく。
けれど、このストーリーで二人を引き裂くのは「身分」ではなくシャロンを溺愛する兄王子。

この兄ちゃんがさ…、

良い!
素晴らしい当て馬だった。

不器用で、シャロンに対する想いを素直にぶつけられない。
でも、シャロンを心から愛している。
彼の最後の覚悟がカッコよかったです。

エラルド×シャロンもナイスガイなのですが、個人的にこの兄ちゃんが一番好きでした。
どこかで彼を幸せにはしていただけないだろうか…。
犬飼先生なら、彼がいる場所で、彼を幸せにしてあげられる作品が書けると思うんですよね。

兄ちゃんとエラルド、そしてシャロンの関係もなかなか素晴らしかった。
ああ、こういうオチか、という。

犬飼さんの描かれる童話シリーズの中で、この作品が一番好きかも。

笠井さんの描かれる挿絵は文句なく素晴らしく、作中に漂う儚さとか、切なさとか、そういったものを見事に描き切っています。表紙の、馬ですらイケメンなんですよ。
いつも思うのですが、笠井さんの画集、出してくれないかな。

読後、この作品の余韻から覚めるのにしばし時間がかかったくらいドツボに入った神作品でした。

14

切なくて苦しくて美しい

表紙には儚げ長髪美人と短髪イケメン。
長髪の方がシンデレラと思ってたら、短髪の方がシンデレラ(攻め)という意外性にビックリでした。
シンデレラという誰でも知っている物語をなぞらえつつ、のの先生らしいオリジナリティ溢れた内容で凄く面白かったです。

シンデレラことエラルドは継母・義兄の仕打ちに耐えながらも腐らず真面目で紳士的、受けのシャロンは優しく健気な目の不自由な国の第二王子。
そんな身分違いの二人が出会って恋をする訳なんですが、立ち塞がるのが『身分差」という壁だけでなく「同性愛」という禁忌とシャロンの兄の第一王子の存在。
この兄が物語のタイトルにも深く関わるキーパーソンでもあるのですが、エラルドとシャロンの邪魔をする嫌なヤツなんです。
でもその嫌なヤツに秘められた想い・行動が切なくて仕方なかった…。
彼のラストに涙しそうになりました。

ハッピーエンドながら物語の仄暗さがあります。
本当、秀逸なタイトルだな…と。
ネタバレ回避したつもりなので意味不明なレビューになったかもしれませんが、その理由は是非とも読んで確かめて頂きたいです。
のの先生の童話シリーズの中で一番好きでした。

9

怖いもの読みたさだったのですが

白雪姫も人魚姫もあぷあぷで読むのもやっとこさだったのですが、
美しい金髪くるくる♡表紙に、今度こそ読めるかも!と期待度が上がり購入。
よく見てみりゃ、あんたその手どこ入れてんの&風邪ひくで という
表紙でした。さすが笠井先生。

で、読めました♡今、無事読めた♡という達成感で評価上振れ、神寸前です。
グロさ、スプラッタ感はあんまり感じません。(一部流血あり)
前2作がダメだった方もトライをご検討いただいてもよいのでは。
本編240Pほど+視点ちがうショート4P。
ほんとシンデレラ話がちゃんとちりばめられていて、どうするのどうするの
と、先生と駆け引きしているような気分になったお話でした。
甘さより、やっぱり切なかったなあ。

少年時代に攻めは母と死別し、新たに迎えられた継母に絶望して
家を衝動的に飛び出した時に出会った天使のような少年に惹かれて・・と
お話は進みます。
できればネタバレなしで最後まで読んだ方が面白いのではないかと思います。

攻め受け以外の登場人物は
攻めの継母(くず)、義兄(くず)、受け兄(王太子)、
攻めの愛馬(忠義者。上でエッチされてもちゃんと耐える)等。


************以下は 内容に触れてしまう感想


せつないんです。
受けはキレイし、攻めも頑張るし、普通に読んでたんですが
最後の最後で、うわーこう来たかー という印象。
攻め受けより、受け兄が一番印象に残りました。
こういうカゲのある悪党役って好きなんです。
戦隊ものでいうと、レッド ではなく ブルー? or ブラック?
と感じます。あんまりいい例えじゃないか。

先生の書かれた終わり方も好きですが、湖に二人して落ちて
結局どっちが残ったの という終わり方も好きだったりする。
うーん、切なかったなあ、兄。どっかから復活してこないかな。

3

夢のように儚く感じる・・・

大人の為の「官能童話シリーズ」第三弾です。
今回はシンデレラをベースにのの流肉付けで、美しく清らか、そして罪の香りが漂う切ない仕上がりになっています。どうぞ、最後に「アッ!?」と驚いて下さい。

ちなみに、シンデレラは表紙の左側、攻めのエラルドになります。王子様が右側のシャロンです。

内容です。
両親に先立たれ、継母と義兄の下で不遇な生活を送る青年エラルド。ある日、森にお忍びで来ていた自国の第二王子シャロンと出会います。二人は恋に落ちますが、シャロンには彼にひどく執着する兄王子がいて-・・・というものです。

この二人がですね、ホント童話の世界に住んでいそうなタイプです。不憫な境遇ながら、真面目で賢く控えめなエラルドに、幼い頃の事故で目が不自由な、大人しく純粋で天使のようなシャロン。二人は逢瀬を重ねるうちに互いに深く惹かれ合いますが、彼らの信じる神は同性との恋愛を禁じています。
ここがですね、すごく耽美感が漂うと言うか、禁忌であるが故に、より萌えると言うか・・・。
二人の関係は「罪」であり、それでも互いに触れたいという、この抑えがたい激情。背徳感漂うエロシーンが、もうたまらん!!て感じで。また、シャロンを抱く時のエラルドの台詞がいいのです。「私は罪を犯します」て!!!
まぁ、無垢で何も知らなかったシャロンに無理矢理いたしちゃうワケですから、同性以前に確かに犯罪ですけど。

そして、キーパーソンになるのが、シャロンの兄王子。ただ単にイヤな当て馬だと思っていると、ラストで驚く事になります。これが、なかなか良く考えられていて、彼の正体にも驚愕するのですが、その胸に仕舞った真実にも驚く・・・。
これまたタイトルが秀逸で、「罪を抱く二人」と言うのが、「あぁ、そういう事ね」と、最後に胸にストンと落ちます。「罪」と言うのが、よりダークになると言うか。
でも、これも究極の愛の形。最愛の人には、幸せでいて欲しいんだよねと、かなりしんみりさせてくれます(´;ω;`)

と、美しく官能的な世界に浸って、切なさに身悶えしながら読みました。特にラストのシャロンの無邪気な台詞が、夢の中のように儚く感じさせてくれます。

どうぞ、大人の童話を皆様もお楽しみ下さい。

13

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