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大人組がとても大人で歯がゆい!
四者視点、五角形+α、恋模様も家族愛の入り組み方も見事。
運命?タイミングの無慈悲さ、
好きな人を守りたい、幸せになって欲しいからの心情や行動、すれ違いが切なくて、愛って偉大!!となりました。
気丈に振る舞う宮の健気や優しさには胸を打たれるところがあり、サヤの包容力も分かる。
なんといっても、鼎の強くて強くて脆いとこ本当に魅力的すぎました!
そして、それを支えてた万ちゃん!
矢印があっちこっちしてて、どうなるどうなる?な物語り運びではあるけど、
表紙を見れば、サヤカナ、万ちゃんがないことは予想できるので、
大人組派な私は途中でトーンダウンしてしまったのですが、
下巻からスピードアップして読めました。
ネグレクトの末に母親が事故死して孤児になった龍之介。
龍之介を引き取り、固く閉ざされた心に愛情を注いで彼を育てた陶芸家で叔父の鼎。
鼎とは高校時代の同級生で、カフェを営むフランス帰りの高砂。
鼎に恋をし続け身を焦がす、龍之介の友だち国生。
陶芸家としての鼎と、愛人としての鼎を包み込む既婚者の万座。
恋にうつつを抜かす実父に愛想を尽かして家出し、高砂の家に転がり込んだジェシー。
というように、やたらに情報量の多いキャラクターがたくさん登場し、恋愛の矢印があっちこっちへ飛び、章立ても4人の視点で次々に語られます(龍之介、鼎、高砂、国生の4人)。
また、本当は他にも、鼎を好き過ぎて龍之介の腹を包丁で刺した女性や、龍之介の実父を名乗る外国人がいますが割愛します。
読み始めた当初は面白かったんです。上下巻だし、まだ先は長いし、どうなるんだろうとわくわく読んでいたのです。
実際、著者の文章は読みやすく、ページ数の割にメインキャラが多いですが、色分けされるように個性的で混乱はしません。会話が続いても誰の言葉か分かりますし、章ごとに視点が変わっても自然に読み取れます。
ですが、上巻を読み終わった段階で、カップリングがいまだ判然としません。
もしかしたら、この群像劇こそがこのお話の主眼で、カップリングを敢えて外しているのかもしれませんが、いわゆるカップルが二組とかではなく、片思い矢印があっちへこっちへ飛び交っているので、誰の恋愛に寄り添って読めば良いのかよくわからないのが正直なところです。
鼎と高砂は、学生時代にお互いに恋していたものの相手がゲイと思わず気持ちを隠して友だちづきあいを続けています。大人が本気の恋を巧妙に隠した、両片思いです。
一方で、鼎は年上の万座とセフレといっていい関係にあり、年下の国生からは熱烈に恋い焦がれられこちらもセフレみたいな関係にあります。
また一方で、龍之介は高砂が初恋の相手で、高砂も龍之介に好意を持っています。
鼎と龍之介は恋愛関係ではないですが、お互いを大切に思い合っていますし、ジェシーは高砂を好きで、龍之介を敵認定しています。矢印が多すぎます。
お好きなカップリングを好きなように応援してくださいね、という感じなのでしょうか。一冊読んでこんなに戸惑ったのは初めてです。というわけで、下巻の展開も読めない状況です。
泣けるBL
セキュリティ・ブランケット=ライナスの毛布=子供が抱いて安心する御守り、抱き毛布
タイトルの「安心毛布」が指す意味は、下巻の最後尾にある情景。
・・・ 龍之介がおたふくかぜにかかったとき、龍之介の吐瀉物にまみれながら、吐き続ける龍之介を抱きしめて背中をさすり、子守歌を謳うように「ヘーゼルナッツ王子」と語り掛けた人がいる。
龍之介が時々夢に見る「愛されている、生きていいのだ」と満たされる情景の記憶。龍之介は、その人は鼎だと思っていた。
・・この場面、凄く泣けた。
幼い龍之介は、夜の仕事に就くシングルマザーの母と二人暮らし。
仕事に行く前に「いい子にしててね」といって母親は行く。
時々帰ってこない日があり、毎日帰ってくるわけじゃない。
「いい子で・・」といって出かけて帰ってこなくなった母。
母の仕事場に探しに出るが、母はいない。
飢えてゴミ箱の果物を漁っているところを警察に保護される。
母は事故死していた。保護者として引き取りに来たのは、母の弟・鼎。
叔父の鼎に「いい子にするから捨てないで」と泣く龍之介、
・・・この場面も切なくて泣けた。
★鼎が龍之介の保護者となり、龍之介が飢えることは無くなる。だけど、心は癒えてない。
★「いい子に・・」の母の言葉と飢餓体験がトラウマになり、呪文のように龍之介をずっと縛り付け、感情を表に出せない。
「いい子でいること」の魔法を解除する人は、下巻に登場。
★高砂も鼎も、十分に愛されない家庭環境に育ち、心に傷を持つ。
★普通の家庭に育った国生は、思いやりに欠け、強引で幼い行動が鼻に付く。
上巻、2017年刊。
やっと凪良さん作品を読んだ。
あとがき曰く、登場人物四人交互視点との事だが、ややこしさは感じずに各キャラの個性を掴み易かった、とは思う。
ただ、各章ごとの格言めいたサブタイトルにはピンとこなかったが。
メインの四人だけでなく全ての登場人物がおしゃれで、脳内ではトレンディドラマを彷彿とさせられるものがあった。
主人公・宮から見ての叔父さんの鼎(かなえ)もおじさん(笑)呼ばわりされちゃった高砂もそれぞれモテモテですな。
特に高砂の、無自覚に相手を射止める粋な伊達男ぶりは堪らない。
大人の中で一番紳士然としていたし。
宮が唯一人周囲に気を使い過ぎて委縮する性格が尋常じゃないってのもあってか、周囲の自己主張の強さが目立つ。
良く言えば皆キャラが立っている訳だが。
そこにドロドロしたものは無くとも、どうして我を持った大人達が自身の為に毅然と振る舞っていても縺れが生じるのだろうかね。
それにしても、花房は地雷女級だし、ジェシーは自分が可哀想だからと宮を攻撃してウサを晴らそうとするわで、のどかな生活を引っ掻き回してくれちゃって…
未成年という盲点に気付いていない故、年上の想い人に負担をかけるのに気付けない国生もちょっと苦手かも知れない。
つくづく他人の恋の盲目さって痛いな…なんて感じてしまった上巻だった。
周囲の意図しないところで誤解したり傷ついた宮が、下巻ではちゃんと癒されるのか心配になってくる。
どうも自分は受けが可哀想になってくる展開が苦手なので、早く高砂と宮がくっついて落ち着いてほしい。
鼎が過保護を卒業しても、そもそも宮との叔父・甥関係は変わる事がないから問題はないはずなのだけどね。
そんな鼎も自身の恋愛には踏ん切りがついていないようで…
ま、肝心の自身の三角関係をささっと決着付けて。
当初は登場人物とカップリングの多彩さに頭の整理が追い付きませんでした。
ちよっと落ち着け自分。一回整理しよう、
と何度立ち止まって読み返した事か…
複数キャラがここまで絡んで進行するお話ってなかなかない気がします。
キャラ一人一人がどれも際立っていて、うるさくなりそうなのに上手く絡み合っていて。
今後の関係性がどう展開していくのかがとても気になります。
あー早く続きが読みたい!
上巻しか買ってなかったのをとても悔やんでます。