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表題作棒投げ橋で待ってて

森雨市,22歳,看護士
新宮桜里,24歳,天然お坊ちゃま

同時収録作品そして今週のふたりは・・・

佐川謙太 小児科医(29歳)
新宮不律 桜里の兄

その他の収録作品

  • 棒投げ橋でまってて2
  • あとがき

あらすじ

小児科病棟勤務の堅物看護士・雨市のもとへ、ある日突然、超お坊ちゃまの押しかけ女房がやってきた!幼い頃に一度だけ会ったことのある美貌の財閥御曹司・桜里は、生きがいを探すために、人並みの常識を教えて欲しいと頼み込む。生活能力皆無のお坊ちゃまに庶民の暮らしぶりを教えながら日々を過ごすうち、桜里のことを可愛く思うようになる雨市。しかし、彼らのたどたどしい恋の行く手には、オヤジギャグ好きなハンサム小児科・佐川や、桜里をとんでもなく溺愛する両親&二人の兄が立ちはだかる。堅物×お坊ちゃまの純情のゆくえは!?大量書下ろしの番外編は、おちゃらけドクター佐川と冷徹美形な桜里の兄・不律のスラップスティック・ラブ!

作品情報

作品名
棒投げ橋で待ってて
著者
小林典雅 
イラスト
柚名ハルヒ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576042183
3.5

(21)

(5)

萌々

(4)

(9)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
71
評価数
21
平均
3.5 / 5
神率
23.8%

レビュー投稿数7

「お言葉」義兄弟。

先生のデビュー作ということで時間をかけてゆっくり読みました。堅物看護師×旧財閥御曹司と、おおらか小児科医×御曹司の義理の兄の2本立て。わたしは後半のお話の方が好きでした。佐川先生がイイんですよ〜。むつこさんとはホント、ツボが被るなぁ。

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

看護師の雨市(ういち)が仕事から帰宅すると、玄関前に品の良い美貌の青年が雨市の帰りを待っていた。身勝手で常識外れなお願いなのはわかっているが、自分を男にしてくれ!といきなり迫ってくる青年。彼は子供の頃、雨市が大きなお屋敷で出会い、一日だけ一緒に遊んだ旧財閥系・新宮グループの三男、桜里(おうり)だった…

彼らが同居生活を始め、晴れてカポーになるまでには、雨市が担当する小児科医・佐川のお節介が絡んでいます。勤務中に寒いオヤジギャグを連発する心も体も穢れた男(雨市談)の存在感に、のっけからそそられましたw

桜里が執念の果てに初恋を成就させて感無量…ではありますが、桜里を溺愛している父親と異母兄弟(長男・不動、次男・不律)が黙っちゃいません。一見、ぽんや〜りした桜里の母親以外、桜里を雨市から引き離すのに躍起なんです。←この展開が一番コミカルで笑える件

そこで次男の不律が、そもそもの原因となった佐川に二人を別れさせるよう、慇懃に協力を依頼するのですが…

佐川は交換条件として、不律に一週間のあいだ毎日一時間だけ一緒に過ごし、一日に一つだけ自分の言うことを聞くよう提案します。この攻防で見せる佐川の鷹揚な態度と茶目っ気タップリな意地の悪さに、大人の器を感じて萌え萌え♡

不律は佐川より年上なのもあって、相手のムチャぶりを冷たくあしらいますが、佐川の方はといえば、高飛車女王さまタイプの不律を翻弄しては反応を楽しんでるんです。でもでも佐川みたいな男に翻弄されるんだったら、不律も悪い気はしないでしょうよ〜

キャラもツボったけど、佐川が不律のためにプレゼントした、うっすら時代を感じる癒しグッズのセンスも地味にツボ。(『少林サッカー』のDVD他4点。)

長い台詞回しとみっちみちの文章のせいで、先生の作品のわりにはすごく読むのが大変でした。作家さまの原点が読めて嬉しいのだけれど、新装版で読んでみたい感じです。

ところで、皆さんのレビューが長文なの、よくわかります!タイトル、ストーリー、キャラ、小ネタに至るまで魅力が満載で、どこをピックアップすべきか悩む。。

1

さらりとした梅酒

ここまでコメディーに振り切った作品は初めて読みました!とても爽快な気分です。完全に笑わせにきている言葉のチョイスが憎いやら可笑しいやらで声を上げて笑ってしまいました。小林典雅さんの作品はいくつか読んだことがあり、面白いコメディーを書く作家さんだな~と思っていましたが…お見逸れしました。セリフと動きがとにかく面白いので、映像や舞台で見てみたいと思いました。

「棒投げ橋」という呼称を知らなかった私は、その説明文が登場するまでてっきり二人で槍投げでもして対決する話かと思っていたのですがそんなわけはなく…。二人の、可愛くてロマンティックなエピソードにキュンとしました。そのシーンをはじめ、しっかり萌えも詰まった作品だと思います。特に、桜里がもう可愛くて可愛くて。雨市が羨ましいです。

ボリューム的には、雨市×桜里と佐川×不律がほぼ半分ずつ収録されています。コメディーが好きな方はきっとハマると思いますよ。

1

熊、関係なかった(笑)

このタイトルにピンとくるのは、ネズミーフリークか子持ちかのどちらかでしょう。
BLと黄色い熊の接点はなんだ?という間違った角度から読み始めたこの一冊。
…実に面白かったです。
それも予想外に、ものすごく面白かったんです。
幼い頃、一度だけお邸の広い広い庭で遊んだことのある相手を探し出し、そのお邸も家族も捨てて、小児科の看護士の雨市(ういち)のもとに押しかけてきた桜里(おうり)。
この桜里がケタ違いのお坊ちゃまで、見た目もなにもかもこれぞ王子という敬称が相応しい人物。
その浮世離れした行動言動がトンチキで、とにかく笑えるのですが、庶民の生活を学習して少しずつ世間並みになろうと努力する様が可愛いのです。
桜里の家族ってのがまた非常識をゴリ押しする困った大金持ち。
雨一のことを認めてもらいたくて、実家に雨一を連れて挨拶に行くのですが、溺愛していた桜里を奪った雨一を徹底的に拒絶する父と二人の兄は、雨一を本気で殺そうとするのですが、この辺りがもう抱腹絶倒で、小説でこんなに笑ったのは初めて。
そもそも私は、こういう世間知らずなお坊ちゃまがイマイチ好きになれないのですが、なぜかこの桜里君は気に入ってしまったな~。
ひたむきで前向きで時に強引で大胆。そうだ、お人好しじゃないところがよかったのかも。
もう1本収録されている「そして今週のふたりは…」
先の桜里を溺愛している次兄の不律と、雨市が勤務している病院の佐川医師とのお話ですが、これがまた最高に笑えてせつなくていいお話でした。
不律の常識ハズレな思考回路、佐川のタヌキっぷり・・・二人がどうにかなるとは到底思えないのですが、おかしな方向に進みながらも、どうにかなっていくんですねえ。
最愛なる弟の恋の成就を手助けした佐川だけに、二人を別れさせる義務があるだとかなんとか言って、佐川に詰め寄る不律ですが、基本的に楽しいことが大好きな佐川は、不律のトンデモ加減を面白がってからかい半分で付き合っていくうちに、不律のことが可愛くなっていくという。
佐川が不律のことを陰で「プライドが高い高級猫」というような表現をしていますが、ホントにその通り。
しかもひねくれもので、意外とドジ。
世間知らずな分、佐川に丸めこまれてても気づいてないなんてところは、可愛くてたまりませんでした。
日頃は言葉が荒いと、あとがきに書かれていた著者ですが、とにかく丁寧語もくだけた言葉も生き生きと素晴らしい。
ブランド名やメーカー名もかなり出てくるのですが、それがストーリーの中で生きた小道具となっているて、その辺の効果的な使い方には、ただならぬセンスを感じました。
桜里のお父さんなんて、セレブのくせして案外庶民的なものを知っていて、晩餐に招いた雨一に対して
「私はシャトー・ムートン・ロートシルトにしよう。だが君はいつも飲みつけているようなものの方が口に合うだろうから、君だけさらりとした梅酒だ」 と意地悪を言うセリフには、声をあげて笑ってしまいました。


2

無菌培養お坊っちゃまとの恋

いやー小林さんの作品はどれも外しませんですね!
私の場合、ギャグやコメディ系小説作家さんだと作品によってはたまにノリそこなっちゃたりするんですが小林さんに対しては今のところそれが無いです。
どれを読んでもおもろい~そして萌える!

2カップル話でどっちも別の面白さがあります。
表題作は両親共にガンで失い看護師として慎ましく堅実に暮らしている雨市[攻]と大金持ちの末っ子で箱入り息子、無菌培養でちょっとロマンチック気味に24歳まで育てられた桜里[受]との再会物。
再会といっても互いが子供の頃にたった1日遊んだだけなのですが桜里にとってはその想い出は何より強烈で以来、彼は雨市を憧れの存在として想い続けていたんですねー。
一方、雨市は彼にその話をされるまで忘れており説明されて思い出します。
タイトルの棒投げ橋というのはクマのプーさんに出てくる橋の名で幼い彼らが遊んだ場所なのです。
とことんお坊っちゃまな桜里ですが己が世間知らずで常識を知らないという自覚はあり、それを学ぶ為に雨市のアパートへと押し掛けます。
箱入りだけあって言葉遣いがもっそい丁寧、庶民の味ブリ大根や納豆を美味しそうに食べ、雨市の勤務する病院でボランティアとして子供に接し前向きで好奇心旺盛な桜里は読んでいるだけで和みますなー。
しかし実は桜里には秘めていた大いなる野望がありそれは「雨市のお嫁さんになる」という事だったのです!
2人が働く病院の一風変わった医師佐川がきっかけで酔った桜里は雨市に告白し、更に見せられたばかりのマニア系ゲイアダルトビデオの余韻もあって抱いて欲しいとねだります。
堅物気味な雨市ですが、桜里を可愛いと思う気持ちは本物でそこでそれが恋愛だと気付き結ばれるのですが、それからの展開がおもろいです。
運命の相手雨市を連れ、桜里は家族に愛する人が出来た事を告げるんですが、彼を病的にまで溺愛している父親と2人の兄達はライフルやらアーチェリーやらを備え彼らを別れさせようと画策するのがアホで笑えます。
えええっ!てシーンてんこもりなんですが空すべりする事なくいちいちおもろいです。
やっとこさアパートに帰った2人が盗聴機対策に電気をすべて消しペンライトの明かりだけでお風呂エッチするのがエロ描写としては控えめなんですがシチュエーションとして萌えましたー。

「そして今週のふたりは・・・」は、はからずとも雨市と桜里の仲を取り持つきっかけをつくった医師佐川[攻]と、まだ彼らの仲を裂くのを諦めていないブラコン兄不津[受]。
不津はこの原因が佐川にあると主張し、2人を別れさせるのに協力しろと強引に言い張ります。
そんな彼に対して佐川がからかい半分に出したのが「一週間自分の元へ来て1つ言う事をきく」という条件。
佐川はこれで追い払ったつもりだったのですが、どっこい不津は本気で不遜な態度ながらも条件通り佐川の家へとやってくるのです。
傲慢な上に憎まれ口ばかり叩く不津ですが、佐川は我ながらマニア好みと思いつつ魅かれていきます。
2人して雨市と桜里の初デートを隠れて監視したり行動を共にする内に不津の方も佐川の良いべき所は良しとして不本意ながら認めて行くんですな。
佐川はオヤジギャグが好きな遊び人タイプの男ですがそれだけに真面目な医師の顔と、不津という普通なら持て余す相手と渡り合うという駆け引きを心得ていてその辺がかっちょいいです。
こちら2人のエロシーンにもちょっとしたお笑い要素があるのですがそこも萌え。

どちらの話も、どちらのカップルも愛すべき楽しいそして萌える作品でした。

2

いやー、面白かったー

独特ですね。
小林典雅さんらしく、ひたすら笑いに走ってます。このノリが合うならとことん面白いし、合わないならさっぱり面白くないんじゃないかなと思います。
私は面白かったー。ひたすらニヤニヤしながら読んでました。
ただし表題作はまあまあ。
兄編の『そして今週のふたりは…』のほうがとにかく面白かったんですよ。佐川先生が私の好きなタイプのオトナだったからというのが大きいかな。この性格、私の上司にちょっと似てるw

難攻不落の女王様に惚れてしまった、楽しいことが大好きなお気楽攻め。
二人のバカバカしいセリフの掛け合いがとにかく楽しい。
さらに楽しかったのが、難攻不落の受けの家に、縄ばしごとか筋弛緩剤入りの肉を持って攻めが忍びこむところ。
はっきりいって無意味ともいえる行為なんですが(他のやり方でも十分陥落させることができるのは、読んでる側だけじゃなくて、忍びこんでる攻め本人にも分かってますw)、こうやって無駄におもしろおかしいことをする攻め、ホント好きだー!と思いました。

3

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