イラスト入り
作家買い。
作家買いですが、Cielさんの描かれた表紙が麗しい…!が、しかし、ドドーンとエロスも漂ってますのでリアル書店で買うのはちょっと勇気がいるかも(私はリアル書店で買いましたけども☆)。
沙野作品の『神の飼育―真白き神の恋―』のスピンオフ。『神の飼育~』は輝土国が舞台でしたが、今作品は神を擁する輝土・ノイエ・ガラの三か国の一つ、ガラが舞台。
神を擁する、という部分は同じですが、神になる存在や、成り立ち、立場は輝土とは若干異なります。前作が未読でも理解できるストーリー展開になっていましたが、でも、まず前作を読んでからこちらを読むと細かいところでリンクしていたりするので2作品ともにより面白く読めるかなと思います。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はガラの娼館の一つで下働きとして働くタキ。
タキには美しい姉・ユキノがいて、彼女は娼館で娼婦として働いている。やっと年季が明け、来年には恋人と結婚できる、という今、時期神候補の一人として名指しされてしまう。
「神」になった者は長生きできず、5年も生きられないと聞く。その事実を知ったユキノは、恋人と二人で心中しようとするが、そんなユキノの身代わりをタキが買って出る。
時期神候補として国王のもとに召し上げられたタキは、そこで現国王のリイドと出会うが―。
というお話。
リイドは黒豹国主と呼ばれるほど冷徹で寡黙。
はじめはタキに厳しい言葉を投げかけたり辛辣な態度をとるものの、彼自身、何か内に秘めたものがあるようで、彼の心中を計りかねます。
一方のタキ。
姉の身代わりに自ら名乗りを上げ、そして男の身でありながら輿入れする。
王道設定ではあるのですが、でも、タキが身代わりを買って出た理由がきちんとあるために話が上滑りすることなくタキに感情移入してしまう。
姉の代わりに、そして他の人が神となり過酷な日々を送る日が少しでも短くなるように少しでも長く自分が「神」としてあり続けようと奮闘するタキが、めっちゃ健気で可愛いのです。
寡黙で人を信用しない国王・リイド。
自分の運命を受け入れ、少しでも理想の「神」となるべく奮闘するタキ。
その二人が少しずつ心を通わせ、想いを通じ合わせる二人。
めっちゃ定番。
めっちゃ王道。
なのですが。
ここで終わらないのが沙野さんならではか。
ストーリーの中盤には恋人と言って差し支えない関係になるリイド×タキで、え、ここでくっついちゃうの?と思うのですが、いやいや、ここからが怒涛の展開。
ネタバレになってしまうので詳しく書くことは差し控えますが、あっという間に暗闇の中に堕ちていくタキが不憫で泣けた。
けれど、きちんと救いはあります。
ユキノ、そしてユキノの夫となったカシム。
そしてもちろん、リイド。
彼らが、タキを救う。
最後まであきらめることなく、タキを求め、救い、そして愛し続ける。
作中では恋愛感情だけではなく、家族愛もきちんと盛り込まれていて、そこも非常に良かった。
ストーリー展開。
バックボーン。
キャラ設定。
まさに「王道」といったストーリーではあるのですが、要所要所できちんと萌えポイントが盛り込まれていてページをめくる手が止められませんでした。
「神を擁する国」というバックボーンは前作『神の飼育~』と同じであるものの全く異なる展開になっていて、さすが沙野さんといった感じでした。同じバックボーンを活かしつつ、ここまで違うテイストで描けるってすごいなと思います。
前作『神の飼育~』は座裏屋さんが挿絵を描かれていましたが、今作のCielさんもめっちゃ素敵でした。
そして忘れちゃいけない「触手」。
今作も大活躍です。
痛いベクトルに使われることもあって、もしかしたら好みが分かれるかなと思いますが、まあとにかくクッソエロいです。
あとがきで沙野さんが書かれたコメントに、思わず笑ってしまいました。
残るはノイエ国。
ノイエは神存続のために奮闘する国なので、次作がどう展開していくのか今から楽しみで仕方ないです。
そしてもちろん、レーターさんも。
誰が描かれるのかな。
早く読みたいです。
大変申し訳ない事に、当初は超エロエロを期待して読みました。
で、超エロエロなんですよ。まさに期待通り。
なのですが、実は予想もつかない方向に展開してゆくストーリーの方に心を奪われ、もう夢中で読み進めてしまいました。
二転三転するストーリーも最高な上に、この二人の純愛にめちゃくちゃ感動するのです。
内容ですが、「神の飼育―真白き神の恋―」のシリーズ作になります。
が、今作での舞台は商業国・ガラであり前作を読んでいなくても問題なく読めます。
で、序盤はあらすじ通り。
「神」に選ばれた姉の身代わりとして城に入るタキ。
そこで傲慢そのものの国主・リイドと対面するー。
何故か、男と分かってもタキを「神」に仕立てあげようとするリイド。
神になるための「仕上げ」とはー・・・と言った感じで。
この「神」を作るための儀式(?)と言うのが相当淫靡なんですよね。
神触手シリーズと言うことで、触手に嬲られまくる主人公。
また、人間を神に作り替える方法に則り、何も知らない無垢なタキの身体を徐々に拓かせと、のっけから超エロエロで読ませてくれます。
が、この作品の真髄はここから。
超傲慢でタキを「神」にするための道具としか見ていないリイド。
また、姉の恋人を密かに想いつつも、ずっと自分の為に辛い思いをしてきた姉の為に自身が身代わりとなり、神として死ぬ決意をするタキ。
と、最初はかなりリイドに腹が立つのです。
健気なタキが可哀相で仕方なくて。
それがですね~、途中からそんな傲慢そのものに見えたリイドの真実が語られる事が上手い。
実は彼の姉も過去に「神」にされていて・・・と。
で、タキの健気で真っ直ぐな気持ちに触れるにつれ、凍っていた心が溶け出すように「優しさ」を取り戻すリイド。
王を降り、タキと二人で生きていく決意を固めますがー・・・。
からの、怒濤の展開です。
何だろう・・・。
不憫な受けが報われて、「良かった! 本当に良かった・・・!!」からのどんでん返しです。
いやもう、ページをめくりながら気が気では無い・・・!!
すっかり油断させてからの、一転するストーリー。
しかしこのストーリー運びにより、お話に一気に引き込まれると申しましょうか。
あのまま終わってしまえば、面白くはあるけど正直そこまで強く心を動かされはしない。
しかし、この展開により、一気にお話に吸引力が増しと言った感じで。
前半はどちらかと言うと、タキの方に強く心を動かされながら読みました。こんな健気な子がと、切なくて切なくて。そしてリイドに対して怒り心頭。
しかし、後半からはそのリイドに心を動かされる・・・。
彼のタキを想う深い愛情に泣けて泣けて(´;ω;`)
あれ程イラついていた攻めに、ガラッと心証が変化すると言うのが凄いです。
なかなかこうは持って行けない。
あとですね、終盤の二人のシーンが凄く感動的でした。
本当に泣けます。イラストが相乗効果で更に感極まらせてくれます。
また、エピローグでのタキのモノローグがとてもいい。
凄く余韻が残るラストです。
二人で、これから幸せになるんだなぁと。
あと、私は不憫で健気な受けが報われる瞬間と言うのにカタルシスを得ますが、今作では二度も味わう事が出来ました。健気受けが報われる瞬間がお好きな方、ご期待下さい!!
最後になっちゃいましたが、こちら超エロエロです。
特に触手プレイがもう凄い事になっています。
個人的には(気の毒ながら)萌えてしまいましたが、受けがいたぶられるのが苦手な方はご注意下さい。
三部作と知らずに読んだ「神の飼育」がとても
良くて、世界観が抜けないうちに二巻目も。
前作読んでなくても楽しめます。
黒豹国王とのことですが、獣人ではなく人間でした。ケモ耳は出てきません。
沙野先生の御本だしある程度の痛みは覚悟していましたが〝神となるための仕上げ〟がなかなか強烈でした(あとがきには甘々とありましたがw)
人間らしい心を失ったリイドがタキの存在で人間に戻り、神となって内なる世界にこもっていたタキが
リイドによって人間に戻りました。
一見全く違うふたりですが、境遇にも性格にも共通点があってその設定も良かったです。
前作『神の飼育―真白き神の恋―』が日本を思わせる軍人の国であったのに対して、今作はアラブ・ペルシア方面っぽい商売の国。
「あああっ!だからイラストレーターさんが変わるのかっ!」と気づいたのは、読み始めて「前の本より読みやすいような気がする」と思ったから。
前作を読み返して確かめた訳ではないけれど、文章(特にリズム)も変えているような気がしたんですよ。
つまり、三国(前作の輝土、この本で書かれるガラ、そして次作のノイエ。隣接しています)それぞれのイメージにぴったりの文章・イラストを提供してくださるという企画?
それって素晴らしい(歓喜)!
今作から読んでも「お話が解らない」ということにはなりませんが、この三作に共通して出てくる『神制度』については、前作の方が詳しく書いてありますのでそちらから読んだ方が解りやすいかと。まあ、順序はどうあれ三作全部読んで、それぞれの国のあり方や手触りを比べ、楽しむのが良いんじゃないかな、と思っています。
私が沙野さんのお話を読んでいつも思うのは『作者の高潔さ』なんですよ。
姉の身代わりとなって、神になるため自分を差し出タキは、楼閣で下働きをしていた子なんです。
リイドに、自分の価値を示せば命をつなげてやると言われて、タキが選んだことは『掃除』。
「胸を張って、きちんとできることは、やはりこれまでの人生で積み重ねてきたもののなかにしかない」
……こういう記述が飛び込んで来るんですね。
これだけで、タキが『ただ姉の身代わりになって、命を削る神になろうとしている可愛そうな青年』ではないということが解っちゃうんです。『不遇な出来事のせいで楼閣の下働きをやっていたことも、彼の人生の中では有用な出来事であったと捉えられる青年』なんです。
ね?高潔でしょ?
こういう描写の積み重ねがあるからこそ、リイドの心境の変化がすんなり理解できる。
私が沙野さんのお話を愛するのは、こういう処なんです。
また、この三部作のテーマには『知ること』や『考えること』そして『正義とはなにか』『平和とはなにか』という、結構重くて、考えることがしんどいものがあると思います(途中で「ハーバード白熱教室かい?」と思っちゃう部分があって、読書を止めて考え込んでしまったですよ)。
こういうことをお話の中に持ってくるのも「沙野さんって高潔な人だなぁ」と思ってしまう所以。
無知だから無垢なのではなく、世界の理を自分なりに理解した上で更に無垢であるという、そんな感慨をリイドに抱かせるタキだからこそ『自分の神』とまで言わせることが出来るんだろうなぁと、こちらも凄く納得。
それに対してタキはリイドを『太陽』って思っちゃっているんです。
この手の大げさな表現が上滑りしないっていうのは、前にも書きましたが丁寧な積み重ねの描写があってこそ。
読み応え、ありました。
沙野さんだもん、エロ方面のお話を。
前作にも出てきた『蔦触手』。
前作にも増していい仕事をしています(タキ、ごめん)。
ガラではこういう風に使われていたのね。
でも、私が今回「またしてもエロチャレンジャーだな」と思ったことは、お話の最後半に出てきます。
言わば『人間蔦触手』。
これは!(読んで楽しんでください)
前作の『神の飼育』がめちゃくちゃドはまりだったので期待過多だったのもあるのですが、ゲス好きの私にはメインカプがちょっとピュア過ぎて今一つのめり込めませんでした。
さらには『神制度』の維持のため今回の舞台となるガラでは最高の女郎を神にしつらえるのですが、その神を作り上げていく課程はなかなかエロくて読み応えがあるものの、そもそもこの神様がいることで何の役にたっているのかが私にはよくわかりませんでした。
『神』について『商品』という言われ方をしていたので、てっきり愛欲を知り尽くした淫靡な身体を使って不特定多数と神としての交わりをするとか、エっロエロの祭事をするとか、エロさを生かした最高級の金儲けの道具にでもされるのかと思いきや、民衆の前に透け透けの装束を着てお披露目するだけで終わりのようだったので、淫蕩な表情や仕草さえできれば精神まで破壊しなくてもいんじゃないのかなぁ…なんて思ってしまい、ちょっともやもや。
そして次の神に選ばれた姉の身代わりとなったタキはあまりにも純粋無垢で無知で幼いし、そんなタキの健気さに救われてしまうリイドはある意味単純で、甘酸っぱすぎる二人が私にはあまり萌えられませんでした。そんな中、世間擦れしていたメルヴィンの非道なゲスっぷりはなかなかよかったのですが、残念ながら当て馬として引っ掻きまわしてくれるなんてこともなく自爆。う〰️っ、もったいない。いいキャラだったのに。
しかしながら今回もいい働きをしてくれたのが触手ちゃんたち。ちょっとやり過ぎじゃないの?ってくらいに前作以上にくねくね、ぬちゃぬちゅ、ネチネチと執拗に責めまくって萌えさせてくれました(笑)次のノイエでは神様にどんな絡みを見せてくれるのか楽しみです!