ねえ、安芸さん……俺に男の抱きかたを教えてくれる?

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表題作高機能系オキタの社員食堂

沖田陽明,26歳,食品専門商社勤務
安芸優史,28歳,管理栄養士

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

明るく、華やかで、都会的なイケメンと称される食品専門商社勤務の沖田は現在、管理栄養士の安芸に協力を頼んで大がかりな社員食堂企画を担当中。年上で、控えめながらもどこか色気のある安芸に、最初は無邪気に懐いていた沖田。しかし、安芸が沖田の先輩・真下に長年片思いをしていると知るや、言い知れぬ感情が湧きあがり――。
年下ワンコ商社マン×年上未亡人系管理栄養士のおいしい社食ラブ?

作品情報

作品名
高機能系オキタの社員食堂
著者
今城けい 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576130569
3.3

(30)

(2)

萌々

(9)

(15)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
95
評価数
30
平均
3.3 / 5
神率
6.7%

レビュー投稿数10

オール攻め視点なところが好き

オール攻め視点なので、攻めの気持ちが手に取るようにわかるところが最高でした。

特にいいなと思ったのは、まだ恋の自覚がない攻めが受けと一緒にいるときの描写。

「このやさしくて穏やかな年上のひとといると、うれしくて、慕わしくて、胸が弾む」と表現してるんです。

ここを読んだとき「リゴレット」というヴェルディのオペラの中の「慕わしい人の名は」というアリアを思い出したんですね。

このアリアは恋に落ちた10代乙女が「慕わしいお方のことを考えると胸が弾む」と歌ってて、ときめき、ドキドキ感が見事に表現されている歌なんです。
「うれしくて、慕わしくて、胸が弾む」という句読点の使い方も含めて、ときめきやドキドキ感がこのアリアと見事重なりました。
(ちなみにオペラは、貧乏学生だと名乗った青年をおぼこいヒロインは好きになってしまうのだけど、青年の正体はとんでもないヤリチン公爵で……というやつなので中身はまったく異なります)

そして10年も片思いしてきた相手の婚約が決まって傷心の受け。
攻めは傷心につけこむようなことはせず、いい人ポジでいようとするんです。
だけど、本当は喉から手がでるほど受けがほしい。

相反する二つの思いにぐるぐるする攻め。

そこがおいしいです!
受けのことが好きすぎて苦悩したり葛藤したりする攻め、ばんざい!なので。

あと想い通じ合ってからもいい。
受けにメロメロな攻めの思考回路には思わずニヤニヤしちゃいます。

末長く一緒にいるだろうなという多幸感溢れる終わり方なのでそこも好きなんだけど、神評価ではない理由は、攻めが気持ちを隠して「俺に男の抱きかたを教えてくれる?」と迫ったところが、あんまり好みではないので。
おまけに途中の「男の味を俺に教えてくれるんでしょう?」というセリフが陳腐だな……と。

2

良く言えばスローペース、悪く言えば…

最近読んだ作品の中でダントツに間延びした印象の作品でした。良く言えばスローペース、悪く言えばテンポが悪い。主人公である沖田(攻)の視点で進みますが () で表現される心の台詞が多すぎて、今城けいさんってこんな文体だったかなー?と不思議に思いながら読みました。

商社に勤める沖田は、会社の管理栄養士である安芸に健康管理を担当してもらった縁で、彼にすっかり懐いている――というところから物語が始まります。儚げ美人な安芸にちょっぴりドキドキしつつ、きっとこれは濃い目の友情だと自分に言い聞かせる沖田ですが、ある切欠で自分の先輩である真下と安芸が高校の同級生であることを知ります。しかも、安芸はどうやら真下に恋しているようで…。真下を想う安芸に気持ちを伝えるわけにはいかない、けれど真下の婚約を知って傷つく安芸を放っておけない。いつの間にか安芸に恋していることを自覚した沖田は、彼と一夜だけの関係を持ってしまうのですが――…というお話でした。

沖田と安芸が取り組む社員食堂プロジェクト絡みで料理や調理に関する描写が沢山でてきます。それ自体は美味しそうではあったのですが…シナリオが妙に中途半端な気がしました。お仕事に奮闘するお話ではないし(実際、プロジェクトは困難らしい困難もなくするっと上手くいきます)、二人のすれ違いや片想いの切なさはほとんど書かれていないし、かと言ってストレートの沖田がゲイの安芸の魔性に惑わされるエロエロな展開もない。お試しセックスの後で沖田がウダウダしていた理由も、これと言った切欠もないのに急に本音を告白した理由も、私はさっぱり分かりませんでした。

そもそも、沖田がたったあれしきの根拠で「はッ…安芸は真下が好きなのでは!?」って悟るのは無理があるでしょう…。あの時点で安芸がゲイであることは知らないのに。しかも、その思い込みが当たっていたのがまた凄い。エスパーか。

あんな電話を受けて真下さんは( ゚д゚)ポカーン。だと思いました。

3

雰囲気が綺麗で優しい受け

今城さんは好きな作家様の一人なのですが、この本はちょっとスローペースすぎてラブストーリーにしては物足りない感じがしました。
舞台は食品系の会社の社員食堂。
タイトルも面白い!と思っていたために、もっと変わったお話を自分が勝手に期待してしまっていたからかもしれません^^;

元モデルで超イケメン社員の沖田と、社員食堂の栄養士、安芸の歳下攻めラブストーリーです。
沖田はハイスペックな攻めですが、傲慢な俺様系の攻めではなく、イケメンだけど敬語でワンコ系で、ちゃんと年上をたてる可愛い年下攻めという感じでした。安芸はどこかはかなくて繊細、物腰が丁寧で美人、作中では「未亡人のよう」と例えられています。

この安芸さん…ちょっと女性的過ぎると思ったことが、自分の好みでないと思ってしまった一因です。逆に、「綺麗で儚い受け」が好みの方にはこれ以上ないくらい雰囲気の良い受けキャラだと思います。

ストーリーは、栄養士の安芸に好意を抱いて交流をしているうちに彼を好きだと実感していく沖田と、ゲイだと自覚していて、昔好きだった学友への恋心をいまだに引きずる安芸がゆっくり心を交わしていくものです。
よく言えば丁寧なのですが、悪くいえばちょっとローペースです。

沖田が安芸を好きだと気づいたり、そこからお話が動くのが200ページ近くなってからなので、最初は二人で食事に行ったり、安芸が昔の恋を引きずるそぶりを見て気になったり…というゆっくりな展開が続きます。
いつお話が動くのか~とヤキモキしてしまいました。

出会ってすぐに好きになっててキスされて、なんてイキナリすぎる展開もどうかと思いますが、あまりにスローなのも退屈に思えてしまう、という自分は我が家だなあと思いますが^^;いいあんばいのストーリーというのはなかなか難しいのかも知れませんね。
淑女のような安芸のベッドでのギャップはかわいかったです。
年下×年上美人がお好きな方にはよいカップリングでないかと思います。

今城さんはちょっと専門的なリーマン系のお話をかかれることが多く、普通のリーマンものとは一味違って面白いので、そういう舞台設定は今後も楽しみにしたいと思います。

2

甘えじょうずで、甘やかしじょうず…沖田陽明という男

気楽に読めるラブコメ系かなと思い購入。実際は、イケメンで女性からモテるノンケ君が年上の物静かな男性に恋をして…という意外に切ない話でした。一貫して「攻め視点」の語り口です。
真面目な「お仕事BL」の趣と、攻め・受けの人物造形が、共に仕事に誠実に向き合い裏表や駆け引きのない「好ましいヒト」という設定なので、読む方も自然に「ふたりがうまくいって恋人になれますように」的な気分で読み進めるようになるような一冊です。

二人は同じ会社の社員で、営業の攻め沖田が食事を疎かにしたせいで味覚障害になり、その相談で訪れた健康管理室の栄養士が受けの安芸。アドバイスに従うことで健康を取り戻し、食に対しての向き合い方も変わっていく。毎日のように安芸に会いに行く沖田。自分でもおかしいと思いつつ「わりと濃いめの友情ってところで」なんて思考をすり替えてる。
自分が提案したベンチャー企業向けの社員食堂の導入と運営の懸案を共に進める内に、安芸には長い片恋の相手がいることを知り、自分も想いを封印して「懐いてる後輩」でいようと自戒する沖田。
この辺の沖田は安芸の同僚女性からも指摘されるほどシッポふりふりのワンコっぷり。作為があるわけでもなく、天然で安芸に「おねだり」と「ありがとう」の波状攻撃を繰り出していきます。プレゼンで安芸さんの力を貸して、とか試食会用の料理を一緒に作って、とか。そして安芸さん最高、とか安芸さんのおかげで案件を攻められた、とかetc、でも全然嫌味じゃない。得な性格のイケメンです。
ここで安芸の片恋の相手が同じ会社の社員(その上高校の同級生)で、しかも男、安芸はゲイでしたという都合のいい展開になってしまっているのですが、まあBLあるあるということで…
しかし、仕事帰りに飲みに行った後、初Hになだれ込むあたりの展開は、ちょ〜っとハテナ?だったかなあ…。攻め視点で、恋してる相手が自分と寝てもいいと言ってくれた機会を逃さず!というのはわかる。しかし、受けの視点が描かれてないということもあって、安芸が自分を好きとは言っていない沖田とHするその心情がその場では腑に落ちない感がありました。
結局沖田は安芸に告白し、安芸も前の恋と訣別して二人は結ばれるわけですが、その後で安芸が初めての時に何を考えていたかを吐露するので納得はできるわけですが…。
Hシーンは甘くて、ノンケ攻めと清純受けのHとは思えない、ある意味濃密なシーンでした。はじめに書いた通り、二人共にホントに性格の良い真面目な人たちなので、想いが通じ合ってよかったね、という読後感です。
ラストはプロポーズあり。末永く愛し合ってね、とまとまります。

1

“食”も“恋”も大事ですよね!

タイトルで既にタニ○を思い出してしまいますが
その方がなんとなく容易に社食を想像出来て良かったですw
しかも私は社食に憧れがあるので
(弁当持参です…。そうじゃないとBLにつぎ込めない!;
会社自体小さいし社食なんてないw)
バランスのよい定食が毎日食べられるなんていいなーと単純に思いました!

食料会社に勤める沖田はイケメンで、
日々忙しい為自分の食生活は全く無頓着でした。
常駐している医師に栄養相談を勧められ
社食にいる栄養士・安芸の元へ訪れたのが最初の出会いです。

ハイスペックイケメンならば、誰にでも愛想が良いんだろうなという予想が
“面倒だから早く終わらせて必要なサプリでも教えてもらえればいい”という
テキトーな態度が人間くさくて逆に好印象でしたw
その沖田を咎めるわけでもなく、嫌な顔もせず
真摯に向き合う安芸が気になっても仕方ないなって納得しましたし。
でもこの時点でまだ恋心だと自覚していない沖田というのもナイスなんです。

企業向け食堂のメニュー企画の為、是非協力して欲しいと
安芸を誘って初めて二人で行った居酒屋で
沖田の先輩・真下の話題を出した途端、スッと一線引かれたような瞬間に
ツキッとさせられました。
それまでは和やかだったのに。

安芸に対する感情がただの親しみだけじゃなく、
徐々に恋になっていく様子が、攻め視点なので楽しめました。
真下に嫉妬とかね、美味しいですw
あと、恋だと自覚してからエロい夢見て自慰……イケメンが!!w

沖田のお姉さんが女優とか、沖田が昔読者モデルをやったとかは
あんまり必要ないような気が多少してしまいましたが…。

安芸に対する気持ちを隠したまま騙すような真似をして肌を重ねたシーンは
安芸さんがエッロくて、
普段穏やかで優しいひとがそんな…そんなエロくなっちゃっていいんですか!?と
興奮させていただきましたw

勿論、想いを通じあわせた後の若干余裕の無い沖田と(でもすっごく優しい!!)
更にとろける安芸さんがまたねぇ…。
いつもは“わたし”なのに、最中にめっちゃ素だと“俺”になるのが
ぐっときました!!

3歳より、もう少し離れててくれても良かったですが(どういう拘り??)
年下イケメンの片想いが実って良かったです。
…大体、イケメンは自分のイケメン度を理解していての言動ですけども
安芸への切なさがにじんでいて、きゅんとしました。

仕事の内容の比重は軽めでしたが、決して薄くはなかったので
お仕事BLがお好きな方は萌えられると思います☆

5

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